2023年2月17日金曜日

認知症予防

認知症の有病率は90歳を過ぎると60%を超え、さらに95歳を過ぎると80%
この病気は長寿社会の宿命
ただ90歳を過ぎても認知症にならない人は40%いる

K・Tさんは1925年生まれ、現在97歳になる女性
現在も心身ともにお元気で、認知症からは程遠い日々
2022/11に受けた認知症の検査 長谷川式認知症スケール(HDS-R)では30点満点中30点
20点以下で認知症の疑いが高いとされますが、K・Tさんのスコアは満点
認知症どころか、老化による認知障害もほとんどなさそう
現在は長男夫婦、お孫さんと一緒に暮らしており、毎朝、洗顔後にしっかりと化粧
新聞を音読する日課の後、畑での野菜作り、草取りを1、2時間はしっかりこなす
家族と一緒に買い物に出向き、自分のものは自分で支払い
月に1、2度、お孫さんと一緒に出かけるのが何よりも楽しみ
人と会うときには、女性らしいおしゃれを
入浴は誰の手も借りずに一人で大丈夫。
槽の掃除だけは、お嫁さんに頼んでやってもらっているそう
まさに人生100年時代を体現
人間にとって、幸せの形はそれぞれですが、誰もが長生きできたら、こんな風に生活したいと思うような、すてきなお婆ちゃん
専業主婦として子育てをしながら、実家の手伝いも
お子さんたちの食事にはことさら気を使い、自家製の野菜や卵、牛乳など栄養バランスをいつも考えていたそう
55歳のときに子宮筋腫の手術をした以外、ほとんど病気はせず、80歳のときに高血圧症の薬を一錠処方された程度
78歳で夫と死別した後も、90歳まで趣味の旅行で、国内の北から南までを満喫
91歳になると、さすがに足腰の衰えは隠せなくなり、日常生活にはほとんど支障はなかったものの、介護認定で要支援2を受け、通所リハビリに週2回通っている

2017年、世界的医学誌ランセットに、認知症発症を35%予防するための
9つのリスク要素が報告された
20年には3つの要素が付け加えられたことで、予防効果は40%にまで高まったと
9+3の要素は以下の通り

【教育】 小児期から若い頃の教育レベルとその後の生涯学習達成度が高いほど、認知症リスクを減少させることが報告されてる
これは英語や数学のテストの点数の話ではなく
生活習慣と健康の関係を理解し、それを実際の行動につなげていけるか
現在では新聞やテレビ、ネットでも、健康についての啓発を目にする機会が増えている
医療常識は年々アップデートされ、少し意識すれば、それらの知識は簡単に手に入る
日頃から情報を取捨選択し、正しいものを積極的に生活へと取り入れていくリテラシーを身につけていくことが大切

【難聴】 音による脳への刺激や情報量が減少し、脳萎縮(いしゅく)が進むことが影響していると考えられている
加齢で聞こえが悪くなっても補聴器を適切に用いることで認知症発症リスクが軽減するという報告も
最近では、高音質なイヤホンが販売されスマホで手軽に音楽を楽しめるようになったことから、街でも交通機関でも、イヤホンをした人を多い
あまり爆音で流しすぎると、知らず知らずのうちにイヤホン難聴になる危険が

【高血圧】 アルツハイマー型認知症と血管性認知症に大きく関与
とくに血管性認知症は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などで脳の血管が破損することで発症
適度な運動、正しい食生活を心掛け、血圧を適正に保つことは
心疾患、脳卒中を予防するだけでなく認知症を遠ざけるためにも重要

【肥満】 血圧同様、食生活の乱れや運動不足、高血圧や糖尿病などにも関連
高度肥満のBMI30以上の人は認知症発症リスクがさらに高くなる

【喫煙】 血管を傷め、脳への酸素供給が減ってしまうことから認知症を発症しやすくさせるタバコ病ともいわれるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は認知症の発症と関係しているよう
かつて喫煙習慣があった人でも、途中から禁煙することで認知症発症リスクが有意に減少する

【うつ病】 うつ病と認知症の発症率には、はっきりした相関関係があります。集中力が低下し、物忘れによる記憶障害が目立つようになる

【社会的孤立】 2010年、科学誌PLOS Medicine
社会的孤立をしている人の死亡率は、喫煙者、過度の飲酒癖、肥満、運動不足よりもはるかに高いと
社会的孤立というのは社会的接触が少ないこと、による孤独と感じること
それが認知症のリスクになると
パートナーがいるかとか家族との関係がどうかよりも
本人自身が孤独を感じることがないような対策を講じて、社会的接触(社会参加)を進めていくことが大切

【運動不足】 アルツハイマー型認知症の一番の原因は運動不足だという報告も
肥満、糖尿病、高血圧などは、運動不足と因果関係がある
有酸素運動は認知症発症リスクを減少させる
無理をして足腰を痛めてしまっては本末転倒
ですが自分の身体状況をしっかりと把握して、無理のない範囲で体を動かしていくことは有効な認知症対策

【糖尿病】 アルツハイマー型認知症に約1.5倍、血管性認知症に約2.5倍なりやすい
糖尿病治療薬投与が認知症発症率を減少させるとの報告も
ただ、どの薬剤が良いのかは?
糖尿病と診断されたら認知症以前に、神経障害、網膜症、腎症などの合併症が起きやすくなる
適切な治療と血糖コントロールは不可欠です。

【過度の飲酒】 アルコール依存症、および大量飲酒者には脳萎縮が高い割合で見られる
これまでの疫学調査の結果からも、過度の飲酒は認知症発症リスクを高める
一方で少量~中等量の適度な飲酒は認知症の予防になる可能性があるかも
お酒はおいしいと思う範囲で適量に楽しむように

【頭部外傷】 1回でも頭部外傷の経験がある人は、その後認知症を発症するリスクがあると
そして頭部外傷の受傷回数やその程度(重症度)に応じてリスクはさらに上昇すると

【大気汚染】 自動車などの排気ガスや住宅用木材燃焼から排出される微小粒子状物質(PM2.5)や二酸化窒素(NO2)、一酸化炭素(CO)などが認知症リスクの上昇に関連してる
アルツハイマー型認知症は、たんぱく質アミロイドβが脳に蓄積することによって発症するとされている
そこに大気汚染が一躍買っている可能性が
住んでいる場所によっては、個人単位での対策は難しいと思いますが
頭に入れておくべき知識かも

今回紹介したK・Tさんは、認知症のリスクとなる要素について、一つも当てはまりませんでした
あくまでもリスクの話ですので、認知症にならなかったのは結果論とも言えますが
彼女にとって普通だった生活が、自然にリスク回避に役立っていた可能性はある
一方、仮に上記の12項目にすべて該当しても、認知症を発症しない人もいるはず
これらのリスクを一つ一つ減らしていくことは、間違いなく効果がある
リスク因子は互いに関連し合い、複合的に発症の可能性を高めていくことになる

たとえば、社会的孤立をなくすため、社会的接触(社会参加)を進めることで、人とのコミュニケーションがうまくできれば、うつ状態は改善
運動不足を解消しようと適度な運動を行なっていけば肥満や糖尿病、高血圧
さらには足腰の衰えからくる転倒による頭部外傷の予防になる
現状では完璧な予防や根治療法が見つかっていない以上
連鎖的なリスク回避を意識することが最大の予防法

・・・毎日の繰り返し
ちょっとした?生活習慣

今日は~
セロジネ インターメディア/Coelogyne intermedea
のタケノコ
今、この状態
大きくなるのは、まだ先

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