2022年10月13日木曜日

中国に見切りをつけて・・・

近年これまで中国社会の中枢にいたはずのエリート層が、習近平体制に見切りをつけて続々と母国を離れる現象が加速
中国を脱出する行為は潤(rùn)と呼ばれ、いまや上流層を中心にちょっとしたブームに
ちなみに潤という漢字に意味はなく、拼音(中国語の発音を表すアルファベット表記)のrùnが英語のrunに通じることから作られた俗語
関西地方の複数の華人系不動産業者に聞いたところ
ここ半年でこうした潤系の中国人による住居購入が、1社あたり毎月4~5件成約し続けている
全国規模で見た場合、おそらく毎月数十世帯の上流層の中国人たちが、日本に居を移していると考えられる
潤の中心となっているのは修士号・博士号持ちや留学帰りといった高学歴者
年齢層は40~50代が最多
家庭の資産についても、最低でも数億円は持っている人たち
目立つのは政権の機嫌ひとつで財産が消し飛ぶ懸念を深めたお金持ち
カネと不動産の視点から祖国の社会の不透明さや持続可能性の薄さに嫌気がさした金融関係者
言論の自由が狭まり仕事が難しくなったメディア関係者…といった人々
近年の中国は大手不動産コングロマリットの万達(ワンダ)や中国ITの旗手のアリババといった国家を代表するレベルの大企業ですら
いざ当局に目をつけられると大ダメージを負う
民間で稼いだ人たちは誰しも戦々恐々

一定以上の上流層の中国人は、ずっと前からとっくに資産を海外に移し続けてきた
・・・特に共産党とかの高官とか
習さんも

ただ、昨今の潤と従来の資産フライトとの大きな違いは
本人たちが将来的にも中国に戻る考えを捨て、資産のほとんどを持ち出すようになっている
潤の行き先として、アジアでの一番人気はシンガポール
ただ、国土が狭く閉塞感があることや、資金面のハードルが高いなどのネックもある
そこで次善策として選ばれているのが日本
日本は経済が低調なので投資やビジネスにあまり向かないが
小さな会社を経営できる程度のお金さえあれば在留資格  経営管理を取得可能
しかも物価が安くて治安がいい
生活に追われない水準の暮らしができるならば、日々のQOLも高く休日に温泉やスキーやハイキングも楽しめる
また、子育て世帯の中国人からは、体育や図工・音楽など狭義の勉強以外の教育も重視する日本の公立小学校の環境が評判がよかったりする
医療水準の高さも魅力
首都圏や関西圏ならばガチ中華店舗にも事欠かず、異国でも故郷の味にありつける
日本人と中国人は外見も似ているので、欧米圏とは違って、街を歩くだけで外国人として露骨な差別をぶつけられることもすくない

潤は今年4月から急増
理由について、最近関西地方に移住した50代の中国人女性
「上海のロックダウンでこりごりになった人が多い」
彼女は天安門世代の上海人で、若い頃の原体験としてダメな中国を知っていることもあり、もともと体制への不信感は強かったようだ
「中国社会の非合理性に、つくづく愛想が尽きたんです。あそこまで厳格な封鎖は本当に必要だったのか。数日に一回のPCR検査で逆に『密』になって感染リスクが高まったり、陽性者が送り込まれる集団隔離所が非衛生的でプライバシーもなく、かえって心身を壊しそうな環境だったり。まともじゃありません」
彼女がやりきれないと感じたのは
こうした施策の根拠を納得のいく形で説明されたり、問題点が後日に客観的に検証されたり、人的・経済的な被害の真相が伝えられたりすることが
現代の中国の体制下ではまるで望めないことだった
当時、上海では
「この過剰な統制は、やがて台湾に侵攻する際に国際社会から受ける制裁と、それによる物資欠乏に備えたシミュレーションだ」
上海市民は捨て石にされた、といった噂も乱れ飛んだという
極限状態にありがちなデマだが、市民の強い不信感を読み取れる話
「もともと、習近平政権が2期目に入った5年前から雲行きのあやしさを感じて、日本に少しずつ財産を流していたんです。いつでも拠点を移せるようにはしていましたが、今回の一件が、出国を決める最後のひと押しになりました」

一般市民はそれでも党や習近平に信頼感を持っている人が多い
ただ、富裕層や知識層を中心に、上海のみならず北京や深圳など他の大都市からも脱出の動きが加速
単なるロックダウン避けが目的ではなく、その根底にあるのは、あんな政策に平気でゴーを出せる硬直した体制に対する懸念だった
「習政権の3期目突入で、体制の硬直化は加速すると思う。不動産バブルの崩壊も経済成長の鈍化も深刻ですが、問題を柔軟に解決できるような、国家自身の自浄作用を期待しにくい。これがなにより怖い」
「民間企業の自由な経済活動に、政府から無駄なクチバシがやたらに入る。それにもかかわらず、例えば上海のロックダウン中には、物資を横流しするような怪しげな企業がいくつも生まれた。いずれも背景に党の高官がいると言う話だった。社会に公平性や透明性がなさすぎる」
「5年後か10年後かはわからないが、習近平は老いて権力を失えば『清算』されるはずだ。社会主義国家の強力な独裁者が、安定的に次代への権力移行をおこなえる例は、実子に継承させる以外ではほとんど見られない。やがて習が老いれば、国家の滅亡とまではいかなくとも、相当の混乱が起きることは確実だ。中国の先行きは危うい」

潤の当事者たちの中国の将来に対する見方は驚くほど悲観的
母国に見切りをつけた人たちなので当然でもあるが、彼らは常に体制を批判してメシを食っている民主活動家ではない
半年~数年前まで中国社会の中枢にいた人たちの口から、こうしたセリフが次々に飛び出していることには驚く
華人系不動産業者の話では、数億円の豪邸やショッピングビルをポンと買い1家族だけで100億円くらい資産を持ちこむような富豪が何家族も日本に移住している?
近年なかなか聞かれない景気のいい話

情報という面でも興味深い
仮に中国国内で会うとすれば、よほどの人脈を持っていないと知り合うこともできず
たとえ会っても機微に触れる話題はほとんど喋ってくれない立場の人たちが
いまや日本国内で大勢ぶらぶらしている
彼らは中国に帰るつもりがほとんどないため、中国国内のしがらみからは既に自由
しかも、移住した異国での日々はけっこうヒマ
話をすればいろんなことを教えてもらえる

習近平は庶民層の人心を得ており、中国の一般人の体制への信頼度はまだまだ高い
とはいえ国家のなかでいちばん目端がききそうな層の人たちからは、まったく違う話が・・・

今日は~
ガガイモ?の仲間

6月のグリーンファームで
ガタイに比べデカい花
こんなんアるんだ
ぐっとガマン

2022/10/25
修正

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