2022年10月5日水曜日

リズ・トラス首相へのイギリスの洗礼


2022/9/29リズ・トラス首相複数のBBC地方ラジオ局に出演
そこで相次いだ厳しい質問と、それに対するトラス氏の反応が話題に

トラス氏は与党・保守党の党首選で一貫して大規模減税を公約し続け首相に就任
クワジ・クワーテング財務相は23日、大幅な政府借り入れを前提とした£450億規模の減税政策 ミニ・バジェット(小さな予算)を発表
所得税や住宅購入の際の印紙税を減らすほか、法人税の増税計画も廃止
これにより経済成長に弾みをつけたいとしていた
これを警戒する市場では£が大幅に下落
イギリス国債や株式にも影響が出て、政府の借り入れコストが大幅に↑
一般市民の住宅ローンなども借り入れコストが↑
27日には国際通貨(IMF)が不平等を加速させると異例の警告
28日イングランド銀行(中央銀行)市場安定化のためにイギリス国債を購入すると発表
29日トラス氏は首相官邸からイングランド各地の地方ラジオ局を相手に、7分間のインタビューを計8回、1時間かけて相次ぎ行った
これは秋の党大会前に時の総理大臣が行う慣例行事
そこで地方各局のアナウンサーやリスナーから厳しい質問が相次いだ

質問の多くは、ミニ・バジェット発表後のイギリス経済の状態に集中
南東部ケントのBBCラジオ・ケントでリスナーから寄せられた質問を首相に読み上げた
「いったいまったく何を考えていたんだ」
「自分がしたことを恥ずかしいと思ってますか」
トラス首相
「この国がどういう状況に直面していたか、思い出す必要があると思う。これから冬になれば国民は最大£6000の光熱費や、とてつもないインフレに直面するという予想だったし、あわせて経済成長の失速も予想されていました」
司会のアナ・クックソン氏
「それで、あなたのせいでもっとひどいことになったわけですね」
トラス氏
「今週末から、平均的な光熱費が£2500を超えないようにする対策を実施しました」

BBCのヴィッキー・ヤング政治副編集長
トラス氏は繰り返し政府のエネルギー対策に話題を仕向けようとしたと指摘
エネルギー対策はミニ・バジェットの2週間前に発表されたものの
直後にエリザベス女王が死去したことから最近大いに話題になっている減税策に比べて、あまり注目されなかった

イングランド中部ノッティンガムのBBCラジオ・ノッティンガムで司会者
政府の減税策は高額所得者にとってきわめて有利な内容だと指摘
減税策では所得税の基本税率が引き下げられるほか、年収£15万以上の人にこれまで適用されてきた特に高い所得税率が廃止される
司会者のサラ・ジュリアン氏
「これはまるで、ロビン・フッドの逆では?」
ノッティンガムは、金持ちから盗み貧しいものに施しを与えたとされる、イギリスの伝説的英雄ロビン・フッドの地元
トラス首相
「そんなことはまったくない」
「私たちが発表した包括策の最大のポイントは、光熱費支援だ」
ジュリアン氏
けれども新しい税制は前より公平なのか?
首相
「全体の税金が下がれば(中略)経済成長を助けるので、全員を助けることになる」
・・・よく聞く言い訳
多少は良くなる
けど、多くは、お金持ちのポッポが膨らむだけ

中部リーズのBBCラジオ・リーズ
トラス氏は政府のミニ・バジェットの正しさを強調
「経済を成長させ、イギリスを前進させ、インフレに取り組むには、緊急の対策が必要だった。それにはもちろん、反対もある難しい決定が必要だった」
司会のリマ・アーメド氏
ここ1週間の事態を予想していたか?
£が対$で急落したり
政策が不平等だとIMFに警告されたり
中央銀行がイギリス国債を£何十億も買い支えなくてはならないといった事態を
首相
予想していたかという質問には直接答えず
代わりに
「私たちはイングランド銀行ときわめて緊密に連携しているし、(政府から)独立した中央銀行があることは大切なことだ(中略)もちろん、財務大臣はイングランド銀行と緊密に連携している。私たちは経済状況がとても、とても厳しい時代に直面している」

これに先立ち、イングランド銀行のマーク・カーニー前総裁
政府の減税策は中央銀行の方針と行き違いがある
「光熱費で払うはずだった額よりも多くを、今では住宅ローンに払っている」
政府のミニ・バジェット発表後、イングランド銀行は金利引き上げをも辞さない姿勢を示した

これについてBBCラジオ・ノッティンガム
多くの人が前は冬に暖房がつけられるか心配していたが、今では住む家を手放す羽目になりはしないか心配している
トラス氏
金利を決めるのは政府から独立した中央銀行の仕事だ

住宅ローンの増額については、中部スタッフォードシャーと南シェシャーを拠点にするBBCラジオ・トレントも
司会のジョン・エイカーズ氏
政府の減税策とそれによる影響のため
「あなたのしたことのおかげで私たちは、光熱費の節約分よりも高い金を、住宅ローンに払うことになる」
トラス氏は長いこと黙り込んだ末
「エネルギー対策をすべきでなかったなど、そんなことを言う人はいないと思う」

南西部ブリストルのBBCラジオ・ブリストル
首相が各局で何を聞かれても、あらかじめ用意した原稿の通りに答えているだけだと批判
トラス氏
世界の経済状況はロシアのウラジーミル・プーチン大統領による戦争のせいだ
司会のジェイムズ・ハンソン氏
「これは何もかもがプーチンのせいというわけではない」
「あなたの財務大臣は23日、馬小屋の扉をいきなり開けて中にいる馬を思い切り怖がらせた。そのせいで馬は一斉に逃げ出して、この国の経済を引きずって逃げ続けている(中略)中央銀行が昨日介入したのは、これもウラジーミル・プーチンのせいだとでも?」
首相
「今の国際市場はとても厳しく、揺れ動いている。そしてもちろんイングランド銀行は独立しているので、必要な対策をとっている」
「それでも政府として、国民の光熱費対策に行動を起こしたのは正しいし、きわめて高すぎる税負担に取り組む行動を起こしたのも正しいことです。経済を推進するために行動するのは、正しいことです」


2022/10/3クワジ・クワーテング財務相、減税政策でUターン
45%の所得税率を撤廃する案を撤回すると発表
クワーテング氏は、10日前に発表した一連の減税政策が
「障害になっている」
「人々と話し、人々の声に耳を傾け、理解した」

ミニ・バジェット発表直後から市場で反対と懸念の声があがり£下落や政府の借り入れコスト上昇を招いてた
今回撤回されたのは、年収15万ポンド以上の人に課されている45%の所得税率を撤廃し一律40%にする案
生活費が高騰する中で不公平を生むものだと非難を浴びていた
この一報で1セント以上上がり$1.1263となった
ただその後、再び下落に転じた
9月に政権を発足したばかりのリズ・トラス首相にとって、このUターンは大きな痛手に

BBC番組ブレックファストに出演したクワーテング氏
所得税率の撤廃案は、エネルギー法案や他の減税への支援を含む強力なパッケージをかき消すものだったと
「トラス首相は税率撤廃を進めないことを決定した」
これが首相にとってUターンになるかという質問に
「そうではない。我々は一緒に話し合い、私は自分の方針を話し、一緒に決定した。所得税率の廃止は進めないということで意見が一致した」
辞任の意向は「全くない」と

2日トラス首相はBBC番組サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグに出演した際
所得税率の撤廃案はクワーテング財務相の決定だったと
一方で、税制を「よりシンプルに」し、成長を促進する政策の一部として
絶対的にこの案を支持すると話していた

しかし所得税率の撤廃案をめぐっては市場や野党のみならず
与党・保守党内からも批判の声があがっていた
グラント・シャップス前運輸相
下院の採決を通らないと警告
トラス氏が有権者の生活費危機への懸念に耳を傾けていないとして
所得税率の撤廃案をやめるよう求めていた

2日には、閣僚経験者のマイケル・ゴーヴ議員
トラス氏の決定は「間違った価値観を並べ立てている」
議会で支持しないと示唆

最大野党・労働党は政府に
「信用のないトリクルダウン戦略をすべて覆す」ように
レイチェル・リーヴス影の財務相
今回のUターンは
「これから何年も、より高い住宅ローンや価格を支払わなければならない家庭には遅すぎる決定だ」

BBCのクリス・メイソン政治編集長
このUターンによってトラス首相とクワーテング財務相は
「恥ずかしい思いをし、傷つけられ、弱くなった」
「しかしトラス首相はこの決定が、政治的現実との接触で崩壊した減税政策の政治的泥沼から抜け出し、前進するための余地を生み出してくれると望んでいる」

・・・トラス氏は与党・保守党の党首選で一貫して大規模減税を公約し続け首相に就任
だったら、こうした減税策が決定がされるのはワかってたんだろうに
なんか、上の空?っぽい
アメリカでもそうだし、日本も
リーダーの選出がイメージだけでなされてる?

それでもイギリスは
首相になったトラス氏に
こうした批判、質問がでる
うらやましい・・・

今日は~
ハオルチア リミフォリア/Haworthia limifolia

5月終わり
花茎を伸ばし花芽
久々の登場
ハッパの色が・・・
やばい?
全然植替えしてないんで・・・

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