2022年10月30日日曜日

バングラデシュの水上耕作

 バングラデシュ南西部に広がる海抜の低いデルタ地帯で農業を営むモハマド・モスタファさんは、水に浮かぶ
海面の上昇と豪雨による洪水によって脅かされる農地が拡大しているため

自給自足の農家にとって、長引く洪水による脅威は高まる一方
キュウリやラディッシュ、ニガウリ、パパイヤ、トマトなどの野菜や果実を栽培する安全な基盤として、イカダを利用し始める農家は増加している
ほとんどは苗木として販売される
イカダは、侵入種であるヒヤシンスの茎で編まれている
雨季の豪雨が激しさを増し乾いた土地が特に少なくなる季節には、農家にとってイカダが生活を支える命綱になっている
イカダを使う栽培手法は200年の歴史を持つ
その当時、年5カ月ほど続いていた洪水期にこの地域の農家が採用したもの
だが近年ではこの地域は年間8─10カ月も浸水したままであり、洪水に見舞われる土地が拡大している
モスタファさん
「最近では、土地が浸水する時期が長くなっている。昔ながらのやり方のおかげで生活が成り立っている」
「私の父も、もっと前の先祖たちも、皆これをやっていた。だが作業は簡単ではない。だから最初は果実商としてやっていこうとしたが、借金だけが残った」
「5年前に水上農法に賭けてみたところ、生活が一変した」
低湿地の多いバングラデシュ南西部では、現在約6000戸の自給農家が水上農法を採り入れている
気候変動により海面が上昇し雨季が不安定さを増していくにつれて、この手法はきわめて重要になるかもしれない

ピロジプール県ナジルプール地区の農政官僚ディグビジョイ・ハズラ氏
水上農法を採用する農家は、約4500戸だった5年前に比べて増加している
ピロジプール県内では現在、水上農法による農地が合計157haに達する
そのうち120haがナジルプール地区だが、5年前は80haだった
「従来の手法よりも少ない面積で済むし、農薬も必要ない」
「地球温暖化の影響への対策として、水上農法こそ今後進むべき道かもしれない」

低地の多いバングラデシュは気候変動に対して最も脆弱な国の1つと考えられている
海水面の上昇による影響が、暴風雨や洪水、土地の侵食によって深刻化するから
気候変動の影響は、地盤沈下の原因となる地殻変動などの自然要因や、浸食されたデルタの回復に必要なシルト(沈泥)が上流のダムにせき止められる、などにより悪化しつつある

非営利団体ジャーマンウォッチが作成した2021年の世界気候リスク指数では、バングラデシュは2000年~201919年にかけて気候変動による最も深刻な打撃を受けた国として世界7位にランクされた
アジア開発銀行の2021年の報告書
「バングラデシュのデルタは世界最大であり、同国の面積の大部分は、河川の浸食や鉄砲水を中心として、頻繁な洪水に見舞われている」
バングラデシュはベンガル湾を駆け足で北上するサイクロンの襲来も頻繁に受けているだけでなく
地球温暖化によって降雨パターンもますます不安定になっている
バングラデシュの総人口1億6500万人のうち1/4以上が沿岸部で生活している
国際通貨基金(IMF)が作成した2019年の報告書によれば
海面の上昇と沿岸部の浸食により、バングラデシュは2050年までに国土の17%と食料生産の30%を失う可能性があるとされている

前出のモスタファさんは無数に走る水路の1つにボートを走らせながら
現在では誰の助けを借りることもなく家族を養うことができる
ただし、コスト上昇とともに利益率は縮小しつつある
モスタファさんは今年使用する新しいイカダを組むために、ボート一杯のヒヤシンス、重量約1.2tを4500タカ(約¥6300)で購入した
昨年はわずか1000タカで済んだという
イカダの製作には2カ月を要する
通常は長さ約6m、幅1mほどだが、農家によれば、その数倍の長さにすることも可能だと
3~4カ月使用したら新しいものに交換する

同じ地域の別の農家モハマド・イブラヒムさん
水上耕地のおかげで、より多くの作物を安心して育てられるようになったと
水上農法で育てたウリの苗をボートの上で販売しながら
「水位は上昇している。かつてはサッカーで遊んでいた場所が、今では高潮でもないのに水面下に沈んでしまう」

妻のムルシダ・ベグムさん
イカダの上に作付けする苗の団子を作るために1日8時間以上も働いている
ヒヤシンスの茎のせいで手のひらや指に痒みや痛みが生じることも多い
「仕事はとても大変で辛い。腰が痛くて夜眠れない。でも、ほぼ常にあたり一面水に覆われているのに、他にできることもない」

・・・所変われば・・・
海水の影響は?

今日は~
ホウライシダ/Adiantum capillus-veneris L.

先日、ゲットしたコ
土瓶・ハイドロもどき仕様に
1つ、外れたのがある
さて、どしよ

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