2021年5月11日火曜日

入管法改正案

 排外主義的な動機からノルウェーで77人を殺害したブレイビク受刑者は、

2021/5現在、問題点が多いとして批判が集まっている入管法改正案が国会で審議されている
7日の委員会採決は見送られたものの、政府与党は今国会で成立させる意志を崩していない
改正案で特に問題視されているのは
入国管理局に収容されている人々の中には難民のような、様々な事情があって国に帰ることができない人が多数含まれてい
日本も加入している難民条約では、そうした人々の安全が確証されない限り強制的に帰国させてはいけないことになっている
しかしこの法案では、そうした人々が強制送還を拒んだ場合に刑事罰を与えることが可能となる
さらに、条約に反して外国人を一方的に強制送還することができる例外規定も設ける
条約に従えば、難民認定を申請している期間は強制送還できない
しかし新法では、難民申請中の送還停止は2回までと制限が設けられている
何度も申請を繰り返して難民として認められた人も少なくない現状で、この規定を設けることは人道的にも問題が大きい
難民だろうがなんだろうが、とにかく外国人を締め出すことありきで設けられた制限といってよい

この法案は、日本政府は今後、実質難民を保護しないと・・・
国内の専門家や支援者、野党のみならず、国連の専門家や難民支援の国際NGOからも、人権規約に違反するとして批判が集まっている

入管法改正案に批判が集まっているのは法案の酷さだけでなく
現状でも十分非人権的な日本の入管制度をさらに改悪するものだから
日本が2019年に受け入れた難民の数は44人
同年のドイツは5万人、フランスが3万人、カナダが2万人、アメリカも4万人を受け入れている
他のヨーロッパ諸国も、数千から数万、小国でも数百人単位で受け入れている
日本はこうした国々と比べると、難民認定者数が桁違い、いや三桁違いに少ない
この三桁違いに少ない難民受け入れ数を支えているのが、難民認定率0.4%という驚異的な低さ
ドイツの難民認定率は25%、カナダは50%を超えている
日本に来る外国人だけが特異に難民かどうか怪しい人々だというわけではないだろう
ということは、日本は多くの難民を取りこぼしている?ことになる
その取りこぼした難民を、相手の事情にかかわらず強制送還してしまおうというのだから、国際的な批判が集まるのは当然

ドイツはナチス政権下で行われたホロコーストの反省から、難民の支援に力を入れている
難民の庇護を体系的に定めたアジール法の語源は、聖なる領域における人身保護を定めた中世の制度に由来する
日本にも無縁などとよばれていたアジールのような制度はあって、歴史家網野善彦の研究によって一般的にも知られている
しかし現在、国を追われた難民たちにとって日本はアジールではない
2015年のシリア難民危機でドイツは人道上の理由で大量の難民を受け入れたが、混乱も大きく、メルケル首相は政策の失敗を表明せざるをえなくなった
しかしそれとは別に、ドイツは毎年数万人の難民を受け入れている
問題になったのは、シリアから十万単位で来るイレギュラーな難民
ヨーロッパの国々では、一定の難民を受け入れる理念を共有したうえで
その量についての議論が行われている
そこで難民受け入れを最も拒否する人々は極右と呼ばれるが
フランスの国民党のように、ヨーロッパの極右が理想としているのは日本の入管法

2011年、ノルウェーで排外主義的動機から連続テロ事件を起こして77人を殺害したアンネシュ・ベーリング・ブレイビク
は多文化主義に否定的な理想国家として日本と韓国をあげている
もし今回、日本の入管法がさらに改悪されるなら、日本はアメリカ・ヨーロッパの極右にとっての理想国家と・・・

難民認定の過剰な少なさだけではない
日本の入管制度は特に人権侵害が酷いことで知られている
法案の審議では、3月に名古屋入管に収容されていたスリランカ出身の女性が亡くなったが
体調が著しく悪化していたにもかかわらず満足な医療行為を受けさせなかった入管の対応が問題視されている
入管では、1997年から数えて20人の収容者が死亡している
2020/11にはインドネシア出身の男性が死亡した
個別のケースをみると、今回の事件と同じように、明らかに入管の不作為によって死亡した収容者も多い
たとえば2014年には同じスリランカ出身の男性が、意識不明の状態で発見され死亡した
彼はその直前に体調不良を訴えたにもかかわらず医師の診察を受けられなかった

入国管理局では狭い部屋に何人も押し込められ、満足な運動もさせてもらえず、食事も劣悪ということで、体調を崩す者が多発している
・・・刑務所以下
完全に病気になってしまった場合は仮放免されるが治療費は自己負担
保険に入ることもできないため十分な医療にかかることができない人も多い
収容が一時的に停止される仮放免はなかなか許可がおりることはない
またおりたとしても、就労できないなどの大きな制限があり、NPO・NGOなどの支援によって最低限生きながらえることしかできない
しかも入管の恣意的な判断で突如として再収用される可能性もある

入管が収容者を人間とみなしていないエピソードとしては、2011年の東日本大震災があげられる
当時は東京でも震度5強の地震が発生したが、そのとき東京入管は収容者を部屋に押し込め鍵をかけた
こうした人権侵害は、おそらく意図的に行われている
難民条約によって強制送還が制約されている現状で、外国人を劣悪な環境に置くことで自ら送還を希望することを待っている・・・
このような非人道的な扱いを行っている先進国はほぼないといってよい
たいていの先進国では、ホテルとまではいかないが最低限の文化的環境を有する宿泊施設が存在し、一定の制限はあれ外出も行うことができる

入管の収容者は難民申請者以外にも、いわゆるオーバーステイ、つまり日本に滞在する許可を有さない人々もいる
そうした外国人は、長年日本で就労し家族を形成している者も多く生活基盤が日本にあるためもはや国に戻ることはできない
不法滞在だから仕方がないという意見もあるだろう
しかし日本社会は、こうした外国人を低賃金労働者として都合よく働かせ、利用してきた
子どもたちは日本の教育を受け、日本語を事実上の第一言語として育ち、地域社会に溶け込んでいる
この人たちを地域社会から切り離し、追い出して路頭に迷わすよりも
特別在留許可を出すことによって、そうした人々を包摂したほうが人道的にも、また社会的にもメリットは大きいはず
今回の改正案では、その特別在留許可にも制限がつくといわれている
きわめて不十分ながら、一定の人道的な措置を行使してきた特別在留許可制度も、これで後退するとなれば、ますます外国人の人権は保障されなくなる

元総理経験者が、日本は単一民族国家であるという失言をしたのはもう30年以上前のことであるが
2021年の今なお単一民族国家意識にとらわれている人々は多い
外国出身者はどんなに地域社会に溶け込んでいても、お客さんであり、許可がない場合は追い出されるのが当然と考えられている
政府の政策も、人々のそのような視線の反映?
だが、私たちはそのような偏見を乗り越えて
本当に国外出身者、私たちと同じ生活者である人々のためになることを行わなければならない

立憲民主党・共産党などの野党は
与党の反人権的な入管法「改正」案に対して、人権に配慮した、国際的な基準に合致するような対案を参議院に提出している

入管法は改正すべきだ
しかし、それは法務省が主張する不法残留外国人が増えているという理由であってはならない
法と実態にずれが生じているのは確かなのかもしれない
だがそれは日本社会は既に国外出身者なしでは存立しえなくなっているにもかかわらず
また難民に対して世界第三位のGDPをもつ日本の役割が求められているにもかかわらず
かたくなにそれを認めようとしない日本政府に問題がある
改正は、日本の非人道的な入管行政と、国力と比較して極めて少ない難民認定を改善する方向で行わなければならない
それが、国際社会において名誉ある地位を占める、ということ・・・

・・・誰に忖度してんだろう?

今日は~
ビロードシダ/Pyrrosia linearifolia

なんかトボりそう
なんで仕立て直し
同じ流木にコケだけで着けてみた
さて、ど~なる?






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