2020年12月1日火曜日

サステナブル(持続可能)な生き方

オランダの食卓から牛乳が減り、代わりにオーツ麦を使ったオーツミルクが増えている
日本からオランダに移住したフォトグラファーの三浦咲恵氏
「オランダをはじめ欧米では、牛乳を飲むことは環境破壊になるという考え方が広がりつつある」
スーパーの陳列棚を見ると、牛乳や豆乳、アーモンドミルクを差し置いて、カルシウム入りや低脂肪など5、6種類のオーツミルクが目立つ位置に並べられている

オランダをはじめ、ヨーロッパ全体で今、サステナブル(持続可能)な生き方が大きなトレンド
近年の夏の異常気象も手伝って環境問題に意識的な人が特に若い世代で増えている
イギリスでは世界初となるサステナブルなサッカーチーム フォレストグリーン・ローヴァーズが生まれた
チームが創設されたのは1889年だが、大手グリーンエネルギー会社がオーナーになった2010年より方向転換
自家発電による農薬を使わないオーガニックな芝作り、雨水の再利用にプラスチックをカットしたユニフォーム作りと、サステナブルな取り組みを徹底して行う
その結果、2018/7には二酸化炭素の排出量と吸収量が同じになるカーボンニュートラルな世界初のスポーツクラブと国連に認証され「世界一環境にやさしいサッカークラブ」とお墨付きをもらった
経営困難だった極貧サッカーチームが知名度を高め、今では世界中から多大なサポートを受けるほどの人気を得ている
オランダでは2011年にサステナブルデニムのブランド Kings of Indigoが誕生し、ここ数年ではサステナブルを掲げる多くのファッションブランドやセレクトショップが続々と立ち上がっている
これらのファッションブランドは環境に負荷の少ないリヨセルやオーガニックコットン、リサイクルされたペットボトルなどを材料として使い、工程上の水の使用も大幅に抑えた商品を作っている
最近では大手ファストファッションブランドのH&MやZARAでもサステナビリティーを推した商品を多く作っている
16歳以上のオランダ人を対象としたStichting Natuur en Milieu(自然と環境基金)の2019年の調査によると、ベジタリアンとヴィーガン(完全菜食主義者)の割合は全体の5%と日本とほぼ変わらない比率だったが、ベジタリアンでない人々の意識が大きく変わっている
全体の59%である普段から肉を食べる、という人のうち、約8割は4年前にくらべ食べる肉の量が減ったと回答
その理由は肉を食べることは時代遅れの慣習だと思うという回答が多く挙がった
肉を意識的に減らしているフレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)の割合が37%

アムステルダムの街はベジタリアンやヴィーガンにとても優しい
ベジタリアン・ヴィーガンレストランは年々数を増やしているし、そうでないレストランに行っても*vegan、*vegetarianの表記がメニューに丁寧に付け加えられている
ラーメン屋にもヴィーガンラーメンが必ずあるし、ヴィーガンパンケーキ屋も大人気

菜食主義になる理由
①味が好き
②アニマルライツの尊重
③健康の維持・向上
④環境配慮
この中で今は環境への配慮という意識の高まりにより、ヨーロッパやアメリカを中心に大きな波を起こしている

畜産業界による温室効果ガスの排出量は全体の14.5%
先に挙げたファッション業界も10%と高いのだがそれを上回り、さらには個人の車や飛行機、電車や輸送用の船などを含めた世界中すべての交通機関を合わせた14%よりも高い
畜産業界の中でも温室効果ガスを圧倒的に出しているのが牛肉の生産
119の国、38万7000軒の農場を対象に行われた大規模な調査を基にした2018/6のサイエンス誌の記事では
牛肉は1kgあたり60kgもの温室効果ガスを排出している
これは豚肉の9倍、鶏肉の10倍であり、2位にランクインする羊肉の2.5倍
同じタンパク源である植物性の豆と比べたら60倍
なぜこれほど高いかというと家畜の飼料である穀物の生産過程で排出される温室効果ガスに加え、牛や羊などが生きているだけで排出するメタン(温室効果ガスの一種)によるところが大きい
畜産業が環境に与える影響は温室効果ガスだけではない
水と土地の問題もある、ハンバーガーひとつ作るのにおよそ2400ℓの淡水が使用され、肉・乳製品・卵・養魚の生産に世界の農地の8割以上が使われている
この非効率極まりないシステムを維持する代償として、アマゾンをはじめ世界中で大規模な森林破壊が起こり、結果として多くの野生動物たちが絶滅に追い込まれている
先に挙げたイギリスのサッカーチームはそれを強く意識し、選手の食事はもちろん、スタジアムで提供するフードもすべてヴィーガンに徹底している

去年ニューヨークで開催された気候変動対策を議論する国連気候行動サミットに日本代表として出席した小泉進次郎環境相
現地滞在中にステーキ店へ行ったばかりか報道陣に毎日でもステーキが食べたいとうれしそうに語っていた
問題は彼がステーキ好きなことではなく気候変動対策を話し合う場に参加する国の代表である人間が、公にこのような行動・言動をしたこと
国中の家畜を現時点から半分に減らすという大胆な気候変動対策を発表したオランダと和牛券を配ろうとしていた日本
オランダのこの対策は国中の農家の反感を買い、トラクターによる大規模なデモで1000kmにわたる史上最大の渋滞を引き起こしたが、それくらいのことをやらないと気候変動と戦っていることにならないという政府の気概が感じられる
菜食主義は個人ができる最大の“サステナブルアクション”
同時に世界のトレンドであり、カルチャーとしての人気も高い
代替ミルクのパッケージデザインの多くは写真に撮りたくなるほどおしゃれだし、無意識に「これを選ぶのはカッコいい」というメッセージを受け取ってしまう
周囲でヴィーガンやベジタリアンが増えているのを見て自分も少し試してみようかなという気になるのは、流行を追う感覚にほかならない
環境への負荷の低さはほぼ同じなのに、豆乳やアーモンドミルクではなくオーツミルクの人気が拡大しているのはなぜか
味もあるだろうが、温室効果ガスを二酸化炭素の排出量に換算したカーボンフットプリントの数値をパッケージに記載し、環境への配慮を前面に押し出したOatlyという会社のマーケティングの成果も高い
アメリカでは今年3月のオーツミルクの販売数が前年比の470%、代替肉に関しては280%を記録した
この菜食主義への人々の移行は先進国を中心に急激に進んでおり、世界中に広がるのも時間の問題?
日本人はおいしいものが大好きで食への探究心が強く、世界中の料理が比較的安く高いクオリティーで食べられる東京という街の魅力はすごい
しかし自分が食べているものは一体何なのか、その食材にはどのような背景があるのか、たまに立ち止まって考えてみてはいかがだろう
日本は代替肉が浸透していない一方で、豆腐やおから、がんもどきなどの大豆ベースの食材が昔から豊富にある
寒い冬の湯豆腐は最高だが、湯豆腐と熱燗の組み合わせも立派なヴィーガン食

人口の約4割がベジタリアンのインドでは、食を楽しむためにスパイスという文化が発達した
何かを我慢するのではなく、できる範囲で無理なく楽しんで行動することが大事
新しい服を買う際はごく自然にサステナブルブランドから選ぶようになり、正直何も意識していなかった頃よりも毎日いい気持ちで過ごせる
自分がどこにお金を使うかを考えるのはとても大切、ストレスフリーなことはもちろん、「あぁ良いことをしたなぁ」という自己満足こそがサステナブルな生き方を支える大きな力に

・・・別に菜食主義でなくても、ミドリムシや虫が・・・

今日は~
セッコク/Dendrobium moniliforme石鎚達磨

10月に仕立て直したコ
オモロクなる予感

昨日、今日と冷えて朝にジョウロの水が半分氷
さすがにヤバイと中国南西部のシダほかをトイレ・玄関に
木のハッパが落ちたら、やっぱ避難させたほうが安心

2020/12/2加筆

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