2021年8月25日水曜日

かの国、清算が始まった


2021/8/18 ?中国国有の不良債権受け皿会社、中国華融資産管理
計画は大筋で国務院の承認を得ており、週内にも発表の可能性
財務を巡り懸念が広がっている中国国有の不良債権受け皿会社、中国華融資産管理が
国有の複合企業、中国中信集団主導の資本増強で約500億元の注入を受ける
非公開情報だとして匿名を条件に話した関係
この計画は中信集団に対し、財政省が保有する華融の支配権を引き継ぐことも求めている
資本注入は中信主導のコンソーシアムから行われると関係者のうち2人が述べた
一部の詳細で詰めの作業が残り、変更される可能性はあるものの
今回の計画は大筋で国務院(政府)の承認を得ており、週内にも発表される可能性がある
 華融が不良資産を巡る損失の認識を進める中で、同社の既存株主にとっては保有株の価値が大きく下がるもよう
2015年の華融上場前に$24億相当の株式を取得した投資家グループにはアメリカ投資会社ウォーバーグ・ピンカスやゴールドマン・サックス・グループも
華融株は上場以降で67%下落している
一方、債券保有者に対する影響はそれに比べると複雑
資本注入で華融のバランスシートは強化されるが、支配権が財政省から中信集団に移る
で政府による管理から一歩離れることになり、一部の債権者に不安が生じる可能性も
関係者によると、華融は国内ならびにオフショア債務の返済義務を今後も履行する計画
その借金返済は資産売却からどの程度の資金を調達できるかにかかっている
同社は資産売却から500億元程度を集めることを目指していると関係者の1人が明かした

華融にコメントを求めたところ
同社の状況に関する情報については公的な届け出を第一に参照すべき
中信集団にもコメントを求めたが、返答はなかった
財政省と銀行保険監督管理委員会(銀保監会)からもコメントがなかった

・・・一応、中国華融資産管理は助かる?
中信集団としては
んなモンいらねえ・・・が本音?

中国の金融当局は流動性危機の回避に苦慮する中国恒大集団に対し
2021/8/19中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)
中国恒大の幹部と会合後、共同声明を発表
それを受けて、中国恒大の社債(2022年償還、表面利率8.25%)の売りが加速
額面$1に対し3セント値下がりし、45.5セントに

中国恒大が何らかの形で政府に救済されるとの期待はハズれそう
同社の社債と株式は急落している
中国恒大は同国経済にシステミックリスクを引き起こす恐れが
負債総額が$3000億を超える中国恒大の命運は
$50兆ドル規模の中国金融システムのほか、同国の銀行や信託
さらに膨大な数の住宅所有者に広く影響を及ぼす

8/20中国恒大
安定的な事業を維持し、債務リスクを解決するとともに、住宅・金融市場の安定性を維持するため最善を尽くと表明
法規制に従い重要な事案を開示し、虚偽情報を適時明確にしていく・・・

いまや大国有企業のいくつかも破産を通じた再建ムーブメントに入っている
これまでは破産させないゾンビ企業が跋扈していたが、状況が大きく変わりつつある
こうした倒産した企業の不良債権を含む資産などを特殊資産と呼ぶ
この特殊資産投資市場が中国の企業倒産急増で拡大している
2021年第二四半期、特殊資産取引指数は338.18
第一四半期より21.9%上昇、前年同期比では12.8%上昇
資産金融競売の成立額も同様に上昇
2021年第二四半期で185.44億元、第一四半期より79.62%増、前年同期比3.64%増
平均取引額は1212.08万元で、第一四半期より73.98%増
ここ数年の傾向として「剛性兌付」(国家や党が後ろ盾となっている企業の社債はデフォルトしない、倒産しない)という神話が崩れ
裁判所による倒産再建、あるいは倒産清算という形で負債を処理する方法がとられ始めた
最近では中国半導体国産化政策の核心企業であった清華大学運営の半官企業 紫光集団が、債権者の徽商銀行によって破産再建の申し立てが行われた
北京大学運営の方正集団は今年7月から正式に司法当局から倒産再建整理計画が承認された
特に厳しいのは不動産関連業界
今年上半期だけで203社の不動産企業が破産申請を裁判所に提出

2021年5月末、全国の裁判所では14の破産専門法廷が設けられ
100の清算・破産審理裁判が行われている
最高人民法院は全国企業破産整理再建案件情報サイトを見れば毎日のように破産案件審理の情報が更新されている

こうした破産した企業はどのように不良債権が整理され、再編されるのか?
中国最大の大学運営企業、北大方正集団の場合
非国有の平安集団、国有の珠海華髪集団、深圳特髪集団などが合同で投資し、立て直すことになった
この破産再建スキームの鍵は平安信託が受け持つ財産権信託
企業のすべての資産を再評価し、守るべき本業の資産と処分する資産を分け
売れる資産は売り、返せる負債は返し、本業の業務内容を精査し、スリム化
問題の改善策を示した上で新たな投資家を入れて立て直す
利益の相反する複数の主体が絡むので、複雑で困難な仕事
・・・見切りがムズかしい
ドコがドレだけ利益を生むか・損をだすかetc

方正集団の場合、価値ある手持ち資産を売り出しその金で負債を補填する、売り出し再建方式に加え
信託企業にそのブランドのインセンティブを生かして財産権信託スキームを作らせ、特殊資産処理に参与させるというやり方を採用
財産権信託(権利信託)は、信託受益権そのものが別の権利信託の権利になる
中国の信託業協会によれば今年第1四半期、信託企業は資産証券化信託を大幅に増やしており、財産権信託業務を拡大している
・・・信託受益権を証券化して販売
方正集団は、情報産業、医療、不動産、商業貿易、教育、金融などの多様な分野で業務を展開
傘下には6社の上場企業を含む400企業・事業単位を抱える
その資産規模はおよそ3000億元
うち債務再編にかかわる資産の総額はおよそ2000億元
今回、破産を通じて整理されることになったのは、方正集団親会社とその傘下の北大医療、方正産業、方正情報、北大資源の四大産業集団
信託企業がこうした倒産再建スキーム業務にかかわるのは決して初めてではない
2018年の渤鋼集団、2019年の重慶文峰商店街などの破産再建処理の中で信託企業は重要な役割を担っていた
ただ、北大方正はその知名度の高さから言っても、不良債権額の大きさから言っても、これまでの例に当てはまらない複雑さ
企業破産再建整理に信託企業が介入する場合の今後の重要モデルになるとして注目されている
平安信託によれば各セクターの保有資産は投資家全体で受け継ぎ
本業にかかわる継続保有の資産以外は、再編主体内に残す
このうち一部は複雑な歴史的問題が絡み短期内での処分、運用はできないので留保
・・・しがらみが・・・
処分可能な資産で財産権信託を設立し、先に資産整理を実施
優先的に関連費用を清算後、信託受益人に分配
さらに今回の財産権信託スキームの管理と処理は部門、階層ごとに意思決定メカニズムを採用
これは、持ち分の受益権に影響を与える状況を適時、効果的に区分して、決策するということ
規範性、原則性、柔軟性を考慮し最終的に債権人の利益を最大効率で保障する
平安信託特資事業部北部経営センターの鄭艶社長
「債権人にとっては、資産運用や価値修復によって補填された分配は、短期的な割引販売による権益損失を回避し、時間を価値に置き替えることが出きる。管財人にとっては、決められた時限内に順調に破産再建整理を進める助けとなる。投資者にとっては破産整理主体のリスクを切りはなすことができる。これは債務者、債権人、管財人、投資者にとってともに勝者である方法だ」
・・・こういうの、なかなか思うようにはいかない・・・
平安信託自身は、この種の業務で受託人に対する事務的な信託管理サービスによる収入があり
また資産の経営、処分、清算サービスなどを通じて、収益が発生すれば一定の割合の報酬を得られる

だがゾンビ企業が今後続々と破産することになれば、中国国内の企業や投資家だけの手におえる?
これまで国有銀行などの不良資産の受け皿であった四大国有資産管理会社(AMC)の一角をなす華融集団ですら自ら野放図な業務拡大により総資産における負債率90%という無茶苦茶な状況に
7月には上海ハンセン総合指数と港股通指数のインデックスから外されている体たらく
中国企業にいくつもの相反する利権の絡む資産を冷静に公平に評価し取捨することができるのか?

中国は2018年以降、証券市場の対外開放に本格的に踏み切った
2021年以降、ブラック・ストーン、オークツリー・キャピタル、KKR(コールバーグ・グラビス・ロバーツ)といった名だたる国際投資運用企業が中国市場での投資規模を拡大
不動産分野での特殊資産投機を展開している
ブラック・ストーン
富力集団からマカオ香港広東グレートベイエリア内最大の都市物流パークの70%株権
泛海(オーシャンワイドホールディングス)傘下の米国国際データ集団を買収
SOHO中国総本部の91%の株権などの買収を次々と進めている

オークツリー
蘇寧に2.85億ユーロ融資し、蘇寧が所持しているインテルナツィオナーレ・ミラノ株を抵当に押さえた

KKR
$39億でアジアインフラ基金
$17億投でアジア不動産基金を設立
$150億をかけてアジアの四つのファンドを調達
中国のプライベートエクィテイ・基石資本の持つ薬局運営プラットフォーム全億健」のすべての株も買収
2020/4には中国最初の外資(香港資本)が株主の資産管理会社、海南新創建設資産管理企業が設立された
このほか、深圳、広州、浙江省などの地域での自由貿易区改革案の中で不良資産の外資企業への譲渡が検討されている

外資が中国の特殊資産市場に参入することは今までもあった
アジア金融危機後、暫定法規によって試験的に不良資産を外資に引き受けさせる試みがあった
2001/10華融からモルガンスタンレー、リーマンブラザーズなどの4社合同のチームが108億元で四つのバルク資産を購入した
翌年にはゴールドマンサックスが中国四大AMCのひとつ長城集団から80億元分で特殊資産を
2005~2008年には帳簿上1600億元の不良資産が外資に購入された
これは中国不良資産総額の10%に当たり、外資はおよそ40%の収益を得たといわれている
・・・おいしい・・・
しかしながら、2009年以降はリーマンショックの影響もあり、また外資が不良債権市場で暴利をむさぼっている状況に警戒感を増した当局が規制を強めた
同時に国内で資産管理会社が少しずつ市場を開拓、外資を駆逐しはじめた
しかし2015年以降、中国の企業倒産が本格化して中国がこの不良資産市場、特殊資産市場に外資を呼び込もうとし始めた
オークツリー、ファラロンなどが相次ぎ前後して合資企業を設立
だが、監督管理当局は一部地方には金融資産管理企業を新設させ、こうした企業がコストに見合わない市場競争をはじめた
このため外資企業は様子見に
2018年以降になって、中国の不良資産規模は初めて2兆元を突
特殊資産市場の過当競争も少しずつ落ち着いてきたので外資も再度、中国市場への進出を
2018年外資企業が購入した中国の不良資産は$32億で2017年の2倍
外資銀行とファンドが2019年に中国市場で成立させた不良資産取引は14件、投資額は$11億
北京地方金融監督管理局サイトのデータによれば、オークツリーだけでも$65億を中国の不良資産市場に投じている
こうした外資金融、機関投資家、資産運用会社はかつて日本ではハゲタカと呼ばれたが
中国の専門家、学者たちは狼と呼んでいる
「狼を招きいれていいのか」といった議論はある
だが中国の不動産や社債バブルの焼野原は今後も屍累々、腐敗させるくらいなら狼の手を借りた方がいい、というのが今のところの体制の意向
だが、もし中国が狼の手を借りてゾンビ企業のむくろを片付けたとしても
その先にあるのが徹底した共産党による規制と管理下の経済市場であるなら
構造改革など土台無理ではないか?
下半期は中、下流の中小企業の業績はさらに悪化
実体経済の債務リスクは上昇するとの予測が出ている
狼たちの宴は始まったばかり

・・・いや~ヨーロッパ・アメリカ系の金融屋さんは覚悟が違う
一応、法的な道筋もできたし倒産も進む
中国の清算の結果
トータルで+なのかーなのか?
これまで通りイケイケドンドンでいられるのか?
それで軍事に銭をカける余裕があるのか?
・・・まあ中国の数字はアテにならないけど

今日は~
ワイルドアイビー/Cymbalaria muralis

これ4月の終わり
イケイケドンドンなんだけど
ここんとこ調子が・・・
ちと不安

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