ぼや川より
じいちゃんは・夜咲く花に・負けたのね
・・・でもウレシそう・・・
新型コロナウイルスによる感染症COVID-1と戦い続ける集中治療室の医師たち
「こんなのは初めてだ」
「こんなのは見たことがない」
イギリス各地の病院で集中治療にあたる医師たちは未知の病気が迫り来ていると承知していた
昨年末に中国で最初に確認された未知の呼吸器系感染症によっ、医療機関は逼迫(ひっぱく)し自分たちは追い詰められるだろうと覚悟していた
感染者の数が増えるに伴いイギリス中の医師たちは、中国の同僚たちによる現場の報告を読んでいた
次に、イタリアの同僚たちの報告を
さらに、学術誌やソーシャルメディアで。このウイルスによる感染症がいかに重篤か
スコットランドのグラスゴー王立病院で集中治療を取り仕切るバーバラ・マイルズ医師
「ある意味で、まるでノルマンディー上陸作戦に備えているみたいな感じでした」
「準備期間は3週間しかなくて、何がやってくるのか、知識がさほどない状態で」
冬が春に変わるころにイギリスに押し寄せたものは、どれだけ経験豊富だったとしても集中治療室(ICU)の専門医を驚かせた
新型ウイルスに感染したほとんどの人は軽症で済む
まったく無症状の人もいる
しかし、重症化して危篤になる大勢の患者にとってCOVID-19は恐ろしく複雑な病気
ロンドン・パディントンのセントメアリー病院で集中治療にあたるアントニー・ゴードン教授
「ほとんどの医療者は、肺炎の原因になる呼吸器系のウイルスを想定していたと思う」「季節性のインフルエンザに似た、けれどもインフルエンザよりははるかに規模の大きい」
しかし実際に患者を診始めると症状は呼吸器にとどまらない
ウイルスによるインフルエンザは体がウイルスと戦う過程で肺に深刻な炎症が起きる
が重篤なCOVID-19の症状はまったく違った
中部バーミンガムの複数の病院で集中治療にあたるロン・ダニエルス医師
「現代医学で前例がないほどの、大量の症例数だ」
「それと同時に実に特徴的な病気で、これまで経験してきた病気の患者とはまったく違う症状が出る」
重症化する患者の体内でこのウイルスは、激しい炎症を起こし、たくさんの血栓を作り、複数の臓器を攻撃し、生命を脅かす症状のカスケード(症状の連鎖)を全身で引き起こす
ロンドンの主要病院で集中治療に当たるベヴァリー・ハント医師(血栓専門)
「医者として、本当に恐ろしいと思うことがある」
「全身で一気に深刻な変化が大発生する、本当にひどい重症の患者さんが、あまりに大勢いるので」
「どういう病気なのかもっとちゃんと理解しようと、誰もが大変な思いをしている。いったい何が起きているのか理解するには、何としてももっと研究を進めなくては」
3月になって新型ウイルスがイギリス国内でますます急速に広がるようになると多くの患者が息苦しい酸素が十分に吸えていないと訴えて来院するように
けれど、集中治療室に入るような重症患者の多くは、肺だけでなく他の臓器でも問題が起きていた
そしてその血液反応は、まだ十分に説明がつかないほど異例なもの
ロンドン北部のウィティントン病院で集中治療にあたるヒュー・モンゴメリー教授
「血中の酸素濃度が極端に低くなっていても、自覚症状としては特に具合は悪くないという患者がいる。どうしてそうなるのか、まだよく分かっていない」
医師は酸素飽和度というものを計る
赤血球中のヘモグロビンのうち酸素と結合して酸素を運んでいるヘモグロビンの割合
診療中の患者について医師は通常90%以上の酸素飽和度を維持しようとする
しかしCOVID-19患者の場合80%かそれよりもっと低いレベルまで下がってしまうことがある
通常ならばそれだけで緊急事態
がCOVID-19の場合、驚くほど血液中の酸素が減ってしまっても患者の状態は見たところそれほど悪くないという症例が相次いだ
アントニー・ゴードン医師
「炎症が血管に作用していることと関係するかもしれない」
「炎症によって酸素が血中に入りにくくなり、それで飽和度が下がるものの、病気の初期では肺そのものはまだそれほど影響を受けていないので」
COVID-19についてはこうした謎が多く研究が早急に必要
臨床でのこうした経験から患者の呼吸を補助する人工呼吸器の使用が
この病気において本当に正しい対応なのか多くの医師が疑問視するように
人工呼吸器を使うには患者に麻酔をかけなくてはならない
気道に挿管する必要もある
これによって実際、多くの重症のCOVID-19患者が救われている
しかし患者によっては肺の治療に集中すべきタイミングではないというケースもあったのかも・・・
バーバラ・マイルズ医師
「この病気は、いくつかの段階を経ていくようだ」
「なので、どの段階で呼吸器を使うのが効果的なのか、今後もっと知見が得られるようになるといいと思う」
ウイルス性肺炎の重症患者は通常、1週間は人工呼吸器を必要とする
COVID-19の場合、1週間では足りないことが多い
北アイルランド・ベルファストのロイヤル・ヴィクトリア病院で集中治療を担当するダニー・マコーリー教授
「それよりずっと長いこと人工呼吸器が必要だったケースが相次いでいて、なぜそうなのかよく分かっていない」
「可能性として、まだ対処できていないウイルスが体を攻撃しているのかもしれない。あるいは、体がウイルスに反応し続けている表れなのかもしれない。ウイルスによって大量に炎症が起きて、これが体内で問題を起こしているのかもしれない」
そしてこういう問題の多くが血液と関係している?
COVID-19では、ほかに類を見ないほどの炎症が肺に起きる
それゆえにこれはまったく未知の病だと誰もが同意
血管の膜に炎症が起きれば血栓ができやすくなる
そしてCOVID-19の重症患者の血液は、とんでもないほど粘度が上がり、どろどろになっている
ヒュー・モンゴメリ医師
「肺の小動脈に小さい血栓があった。それだけでなく、肺の大動脈には大きい血栓があった」
「患者の25%以上にかなりの血栓がみられ、これは深刻な問題だ」
そして、血液の粘度が高ければ高いほど、問題は大きくなる
ベヴァリー・ハント医師
「深部静脈血栓症を、かなり発症しやすくなる」
深部静脈血栓症とは通常、脚にできるもの
「そして、肺塞栓症。これは、深部静脈血栓症が体内を移動して、肺に入るはずの血液供給が阻害される状態のこと。肺炎がさらに悪化してしまう」
血栓ができると心臓や脳などの臓器に血液が正常に行き渡らなくなりCOVID-19の重症患者に心臓発作や脳梗塞が起きる確率が大いに上がってしまう
血栓の主な原因になる血中のたんぱく質はフィブリノゲンという
ハント医師
「正常なフィブリノゲンの量は、血液1リットルあたり2~4グラムです。妊娠中には少し増えるものの、COVID-19では、1リットルあたり10~14グラムまで増えている」
「医者を長年やっているが、こんなのは見たことがない」
血栓リスクを測る別の指標、Dダイマーと呼ばれる血中たんぱく質も、あり得ないような異常値を示す
モンゴメリー医師
「健康な患者のDダイマー値は数十から数百だが、COVID-19では、6万、7万、8万といった聞いたことのない数字がしきりに出ている」
これほどの異常値は場合によっては、複数の血栓の発生を意味
しかしDダイマーは重篤な感染の指標(マーカー)になることもある
感染があまりに激しいため体の免疫系が致命的な過剰反応をしてしまっている状態を示していることもある
サイトカインとは、感染と戦うために体が作り出す小さい分子で、化学的な警報システム
炎症を引き起こすもので、それはある程度は体にとって良いこと
感染と戦い、やがては克服するための仕組みになっている
しかし、COVID-19は一部の患者にサイトカイン・ストームと呼ばれる状態を引き起こしてしまう
アントニー・ゴードン医師
「もしも感染と戦う体の反応を感染が圧倒してしまうと、こうした炎症マーカーが大量に放出される。するとさらに激しい炎症が起こり、呼吸器の問題だけでなく、他の臓器も傷つけることになる」
重症患者の研究で特に注目されているのがT細胞の数
T細胞は免疫系にとって重要な血液中の細胞だがサイトカイン・ストームの最中にはこの量が劇的に減少してしまう
各地の研究者はT細胞の数を改善することが回復につながることを期待している
こうした様々な要素が合わさること、COVID-19は症状の変化がきわめて予測しにくい
専門家が多臓器系疾患と呼ぶもの
そのせいで個々の患者にとって最適な治療法が非常に分かりにくく現状では現場の医師にこうすべしと言える標準治療のマニュアルがない
ヒュー・モンゴメリー医師
「肺だけがやられるわけではないので」
「腎臓も、心臓も、肝臓も打撃を受ける。筋肉がひどい炎症を起こして、重症化した症例も見ている」
集中治療を必要としたCOVID-19患者のうち、2000人以上が腎不全を起こしている
バーバラ・マイルズ医師
「その場合は透析装置で支えるものの、機械を通る血液は通常よりはるかに固まりやすくなっている」
「そのため、血液を薄める薬の投与も通常より増やさなくてはならない状態だ」
モンゴメリー医師
「脳に重篤な炎症が起きる患者が大勢いることが、今では分かっている」
「脳の炎症によって、せん妄から混乱、けいれんや『びまん性脳炎』と呼ぶものなど、様々な症状が出ている。集中治療室で普通という状態よりはるかに多い」
「そのため、人工呼吸器を外しても、意識が十分に覚醒(かくせい)しない人たちがいる」
酸素不足と血管の損傷が明らかに関係している
しかしウイルスが複数の臓器を直接攻撃しているという証拠が積みあがりつつある
しかもCOVID-19と特に多く関係する基礎疾患が、ぜんそくなど呼吸器系の病気ではないことも特に注目されている
むしろ、COVID-19に結びつく基礎疾患は循環器系のものが多い
静脈や動脈に影響する高血圧や糖尿病や心臓病
性別や肥満度そして高齢かどうかも影響する
イギリスの集中医療の独立監査機関 集中治療全国監査研究センター(ICNARC)
イングランド、ウェールズ、北アイルランドで集中治療室に入った重症患者の7割以上が男性で7割以上が太り気味や肥満だった
さらに集中治療を受けながら死亡した人の3分の2以上が60歳超だった
ロン・ダニエルズ医師
「そこはまだ完全には理解できていない。当惑してしまうほどだ」
重症化して集中治療を受ける患者の間でも、その状態は様々
バーミンガムのダニエルズ医師
「症状は呼吸不全だけで、人工呼吸器で少しだけ補助すれば何とかなる70代の患者がいるかと思えば、20代の人がたちまち多臓器不全になることもある」
ICU医の多くは一部の患者の重症化には遺伝子が関係する可能性が高い?
ダニエルズ医師
「アフリカ系や(インド系など)南アジア系の人たちに極端なほど被害が集中しているのも、これが一因なのかもしれない」
「個々人の反応の違いにも関係しているかもしれない」
たとえば高血圧や糖尿病になりやすい原因の遺伝的な差異が新型ウイルスで重症化しやすいかどうかにも影響する?
特に有力視されている説のひとつはACE-2というたんぱく質
アンギオテンシン転換酵素(ACE)2は、いろいろな種類の細胞の表面にあり血圧の制御を助ける
新型コロナウイルスはこのACE-2に結合し健康な細胞に侵入する
遺伝的に体内のACE-2受容体が特に多い人は、その分だけCOVID-19が体内に侵入しやすく重症化しやすいという可能性も・・・
この説を裏づけるのが一部の重症患者に起きる腸の問題
下部消化器官にはACE-2受容体がたくさんある
そこに症状が出るということは新型ウイルスが下部消化器官にも作用することを意味する
腎不全の多発にも、ACE-2が関係している?
バーバラ・マイルズ医師
これほどの勢いで一気に学習しなくてはならなかったのは、医者になって初めての経験だ
「COVID-19による血栓症の治療法と予防法について、もっと知りたい。防ぐためには何が最適な方法で、もし血栓ができてしまったら何が最適な治療法なのか」
複数の薬を適切なバランスで使うことが不可欠
ひとつの症状を治療しようとして別の症状を起こしてしまうこともある
マイルズ医師
「どれくらいの治療をどれくらいの期間、続けるのが適切なのか、まだ正確には分かっていない」
「この病気について経験を積んでいけば、それはやがて分かるようになると期待している」
イギリスでは集中治療を必要とする患者の数は減りつつある
その中で専門医たちはいくつかの疑問点について、答えを探し求めている
COVID-19患者の人工呼吸器使用はどのタイミングで開始するのがいいのか
最適な抗ウイルス薬はどれで、抗炎症剤や免疫抑制剤はどれくらいの量が適切なのか
回復期患者の血漿(けっしょう)、つまり回復した患者の血中にある抗体を使う治療法は、有効なのか
ダニー・マコーリー医師
「これが効く、あれが効くという体験談はいろいろ目にする」
「この新しい病気について本当に正しい治療法を知るには、今後数カ月の間に大規模な臨床試験を実施するしかない」
すでに多数の大規模な臨床試験が行われている
医師たちが第2波に備える中イギリスだけでも優先指定された全国的な調査が41件、公的資金を受けて進行
COVID-19のためICUで亡くなる人に最も多い死因は呼吸器不全
しかし死因はそれだけではない
つまり、これまでのCOVID-19治療法は全ての患者にとって最適なものではない
ハント医師
「まるで中世のような3カ月だった」
国内最高峰のICU専門医たちが、まったく未経験の病気を前にして知識や経験をもとに当て推量するしかなかった
先行実験や既存のデータをもとにした知識ではなく観察できる症状から治療法を決めるしかなかった
今後のCOVID-19治療でICUに入る患者の回復率を改善しなくてはならない
ICUの勤続年数が20年を超えるゴードン医師
「実にたくさんのことを学んだし、本当に見事なチームワークだったが、大変だった」
「自分が今日やったことは正しかったのか、実はよく分からないと思いながら帰宅することもあった」
「ほかの病気は何百年かけて学んできたことを、この病気についてはたった数カ月で解明しなくてはならない。それは本当に大変な作業だ」
・・・新型コロナ
いったいドコから来たの?
今日は~
エビネ/Calanthe discolor
5月終わり
久しぶりの開花
生きてたか
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