2021年4月19日月曜日

悪路走行用トラック

  2021/4/10奈良県吉野の山奥の清光林業の作業道に多くの人々が集まった
主催側のポロ・ビーシーエスの高井洋一社長、清光林業の岡橋清元会長はもちろんだが、本郷浩二林野庁長官や、日本に健全な森をつくり直す委員会の天野礼子事務局長の顔もある
そして日野自動車の面々

悪路走行に向いた高床・低速ギアタイプのトラックの製造が中止されたため、各地で林業が廃業に追いこまれかねない状況が・・・
2016/10吉野で林業を行う会社ポロ林業部がブログで
「死活問題なんです!!」

Yahoo!ニュースなど多くのウェブニュースのトップ記事になり、各トラックメーカーの上層部にまで林業家の悲鳴が伝わった
またYahoo!ニュースの担当者によって、実際にトラックメーカー2社に直接陳情する機会
その結果、日野自動車が現行車の低速に強いオプション仕様のトラックでテストしてみた
17年の冬、奈良県の作業道で2回にわたって旧式トラックと現行トラックにおける走行実験
結果として、両車両の差は歴然だった
2回目は、旧式トラックがスイスイ登った道を現行車はスタックして立ち往生
そして、現行車をオプションで改造して林業仕様にするのではなく
急勾配や悪路走行性能の高い新型4輪駆動トラックを開発することに
単に旧式トラックの性能を取り戻すだけではなく
排ガス規制や燃費など厳しくなる環境性能の欲求にも応えなければならない
林業用の作業道は公道とは桁違いの悪条件
勾配は20%を超すところも珍しくないし、舗装されていない地道は雨が降れば泥だらけになり滑る
とくに山の環境に配慮して作られた作業道は幅が2.5m
ヘアピンカーブの連続
回転半径が大きいと取り回せない
19年末、試験車が完成
尿素フリーの4ℓターボエンジンと超低速ギアによる高トルク、急勾配走行用ミッションを装備し、リアデフLSD付き4WDシステムを開発
それは旧式トラックを超える性能を生み出した
さらにその後、各地の森林組合や林業事業体などで試乗テストを繰り返し
そこに奈良県の松原自動車なども加わって改良を重ね、より高床(40mmアップ)で悪路性能を高めて林業用に特化した日野デュトロ 吉野EDITIONを2月に生み出した
今回は、その試験走行も兼ねていた

現場の作業道は天を仰ぐように伸びている
そこを丸太を満載(約2.7t)したトラックは、ぐいぐいと登っていった
まったく止まることなく、急カーブを巻くように登る
最小回転半径が5.2m
同行した4駆の乗用車が切り返さなくてはいけない場面もあったのに、トラックはそのまま進む
下りは、まったくフットブレーキを踏んでいない
エンジンブレーキだけでスリップもせずに下っていく

近年の林業界は、低コスト・高効率にするために機械化や大規模化が至上課題のように言われている
しかし、そのための林業専用機械は、1台¥数千万
なかには億単位の車両も
これで低コストと言えるわけがない
しかも稼働率を上げるためには過剰に伐採することになりかねないし、燃料費が馬鹿にならない
そんな重機を入れるためには幅員の広い道が必要
余計に山を傷める
林内を走れば森林土壌をえぐる
また悪路を走れる木材運搬専用のフォワーダは公道を走れないから山から下りたら積み替えが必要
全然効率がよくない
今回のトラックなら山の現場で丸太を積んで、そのまま公道を走って目的地に向かえる
もちろん丸太以外も積めるから、小回りの利く運用が可能
そして価格は¥500~¥600万程度
通常のトラックとそんなに変わらない

それにしても今回の開発に漕ぎ着けるには、SNSを通じて広がったブログやネットニュースの読者が林業界の危機感を共有して示してくれた熱意は欠かせなかっただろう
悪路走行用トラックというニッチと思える用途に、意外と潜在的な需要が大きいことをメーカーに認識させた

・・・かの国がコピーしそう

今日は~
キクザキイチゲ/Anemone pseudoaltaica濃色大輪種

増殖がはんぱない
思わぬトコに出てきたコ
困るんで移植


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