2021年4月12日月曜日

グリーン政策KPI(重要業績評価指標)

 農林水産省、EUを見習ってのグリーン政策KPI(重要業績評価指標)
2050年までに
化学農薬の使用量を50%低減
化学肥料の使用量を30%低減
耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ha)に拡大
などの計画案をつくり現在、パブリックコメントが行われてる

根拠に欠ける目標値、文言が並び、関係者からは
「目標達成は絶対に無理」
「EUの猿まねをしてどうする?」
「このままではカビ毒汚染などが増えるおそれがあり、食の安全が脅かされかねない」etc
今年9月に開かれる国連食料サミット向けのポーズ?
選挙を間近に控えたポピュリズム?

農水省が検討しているのは
「みどりの食料システム戦略~食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現~」
省内で2020年戦略本部が設立されて検討が始まり、関係者との意見交換を経て21/3に中間とりまとめを発表
3/30から4/12までパブリックコメントを実施
5月には戦略を策定予定
災害や温暖化に強く、生産者の減少やポストコロナも見据えた農林水産行政を推進してゆく必要があ
「持続可能な食料システムは、生産者だけでなく事業者、消費者の理解と協働の上で実現するもの」
それには、関係者の行動変容とイノベーションが必要
2050年までの中長期的な戦略を

農水省は計画検討にあたって、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と共に
EUが2020/5に策定した Farm to Fork Strategy(ファーム トゥ フォーク、農場から食卓までの戦略)で化学農薬・化学肥料の削減目標を示したことを強調
「我が国も国際環境交渉や諸外国の農薬規制の拡がりにも的確に対応していく必要がある」
EUは、2030年までの化学農薬50%削減、肥料の20%削減、有機農業面積25%以上という目標
農水省のKPIは、目標年次がかなり遅いものの数字はよく似てる
これらの目標は可能なのか? (3)の有機農業面積100万ヘクタール(ha)を事例に考えて見ましょう。

現状、日本で有機JAS認証を取得している農地面積は1万850ha(2018年)
2013年の9937haから、ほとんど増えてない
有機JAS認証を取得していると、諸外国も自国の認証と同等と見なしてその生産物を有機食品として取り扱ってくれる
日本で作付けされている耕地面積は約400万haなので0.3%
これではあまりにも少なすぎると考えたのか農水省
有機JAS認証を取得していないが有機農業が行われている農地
を有機農業面積に入れようと
この農地は第三者機関によるチェックなどを受けていないため、その農産物は海外では有機とは認められない
それを入れると、2009年には1万6300haだったものが
2018年には2万3700haとなっており、上昇基調にあるように見える
これをしても全耕地面積の0.5%
これを、2050年までに25%、100万haに・・・
す単純計算で年間に3万haずつ増やしてゆくことに
今、有機農家がやっとの思いで維持している広さ分よりもさらに広い面積をこれから毎年、増やしてゆかないと、目標達成できない
農水省がどんな具体的プランを示して実現を目指そうとしているか?
「2040年までに次世代有機農業技術の確立」
などの言葉が並んでいます
・・・その内なんとか?

化学農薬の使用を削減し有機農業面積を拡大すれば、安全性は高まる
目標値は途方もないとはいえ、方向性はよいのでは?
ところが、そう単純な話では・・・
有機農業、有機農産物だから安全というのは完全な誤り
科学的な根拠がない
まず、有機農業では化学農薬は使えませんが、生物農薬等は使える?
化学農薬に比べてそれらのリスクが低いとは言えない
・・・毒は毒
たとえば、スピノサドやミルベメクチンは微生物が作る生物農薬で、有機農業でも使えることになってる
これらのリスクは、一日摂取許容量(ADI)という指標から見ると一般的な化学農薬とあまり変わりがなく、これらよりもリスクの小さな化学農薬が数多くある
また、有機農業では、銅や硫黄といった鉱物も自然だとして農薬利用を認められています
しかし、これらは元素なので分解せず蓄積
DDTなどの有機塩素系農薬は難分解性で環境を破壊するとして禁止されたのに、まったく分解されないものが有機農業では多用されている
とくに硫酸銅は、毒性が高いのにワイン向けのブドウ栽培において大量使用され問題化
一方で、化学農薬はより蓄積性の低いものへと開発が進んでいるの
さらに、国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子・安全情報部長
「農薬を使わず栽培する場合には、カビ毒の増加に注意しなければならない。とくに、日本のような高温多湿の気候では、心配だ」
カビは土壌にいて空気中にも胞子を飛ばしており、作物の栽培時に付いて増殖
カビの中には人にリスクとなる毒性物質を作るものがあり、農産物のカビ毒汚染は食品の大きなリスク
トウモロコシやナッツに付きやすい発がん物質アフラトキシン
小麦のデオキシニバレノール・ニバレノール
リンゴ果汁に含まれるパツリンなどがよく知られてる
日本でも2000年代初め、小麦の赤カビ病により、赤カビが作る毒性物質(デオキシニバレノール、ニバレノール)が国産小麦から高濃度で検出されていた時期があった
汚染の程度は、輸入小麦よりも高く、高温多湿でカビが増殖しやすく収穫期に雨が降りやすい日本の気候風土に起因?
そのため、品種改良や栽培方法の改良、化学農薬の適期使用、収穫後の速やかな乾燥などさまざまな対策を組み合わせたマニュアルが農水省により作られ、カビ毒の低減が図られた
中でも農薬使用は非常に効果的だった

西欧では、カビ毒の食品汚染に対する懸念が強く研究も数多く行われてる
有機農産物のカビ毒が化学農薬を使用する慣行農産物に比べて多い、検出率が高い、とする研究結果がある
一方、違いがない、という報告もあり確定的な結論は出てない

日本の場合、湿度が高いためカビが増殖しやすく、西欧に比べてカビ毒のリスクは高いとみられる
以前は、発がん性の強いカビ毒アフラトキシンを産出するカビは日本にはいない、と考えられていたが
国産米でアフラトキシン汚染が見つかっており、温暖化によるカビ毒汚染の増大も懸念されてる
しかし、有機農業自体が少ないために西欧で行われているような比較研究は、まったく実施されてない
畝山部長
「カビ毒は、小麦だけでなく、国産のほかの穀物やリンゴ果汁などからも検出されています。みどりの食料システム戦略では、家畜の飼料の自給も推進されるようですが、飼料を国内で栽培するようになれば、そのカビ毒で牛乳などが汚染されるリスクも生じます。化学農薬はカビ毒を抑える重要な方策の一つです」

ところが、 みどりの食料システム戦略の(1)化学農薬の50%削減と(3)有機農業面積の拡大という農薬がからむ二つの目標設定において
”食の安全”の確保からの検討がなされた気配がない?
この計画案は、農水省に設置された みどりの食料システム戦略本部 (構成員は政治家と官僚)が20回に渡って各界の関係者と意見交換会を開き、それに基づいて作られたと
しかしヒアリング対象の中に食品安全の専門家がいない
もともと、農水省内で食品のリスクがしっかりと理解されている、とは・・・
食品は、カビ毒のほか、病原性微生物や農作物自体が持つ毒性物質など、多くのリスクを内包してる
農薬を使わず栽培した場合に農産物中のアレルゲンが増加する、という報告も
一方、農薬は内閣府食品安全委員会のリスク評価を経て、農水省や厚生労働省が使い方や残留基準等を決めて使われており、リスク管理がなされてる
残留基準は非常に厳しく設定されており、残留農薬の健康影響は事実上、無視できるとされてる
・・・ちと不安

畝山部長
「除草剤を使わない場合、雑草の有害性も無視できなくなるかも」
毒性物質を作る雑草が海外から侵入しており、とくにナス科の有害雑草が繁茂してる
これらが牧草や飼料作物に混じると、家畜の中毒や畜産物汚染を招く場合があり、海外では数多く事例が報告されてる

有機農業は、バイオテクノロジーを認めないという別の問題も
遺伝子組換え品種は拒否
ゲノム編集技術についてはまだどう対応するか決まっていません
有機農業団体は反対姿勢
一方で、化学技術を駆使した交配育種、放射線照射や化学物質処理による突然変異育種のタネは使用を認めてる
また、遺伝子組換え作物を食べた家畜の糞尿から作られた堆肥、油かす等は
組換えDNA技術が用いられていない資材の入手が困難な場合、について使用を認めてる
科学的には矛盾だらけ・・・
遺伝子組換え技術等を駆使した大規模農業を推進するアメリカ農務省
小規模農家に対しては有機農業を推奨
特徴を活かせ農産物が高値で売れるから

日本はアメリカ、ブラジル等から約2000万tの遺伝子組換えトウモロコシや大豆、ナタネ等の作物を輸入
食用油や異性化液糖、飼料などを得ている
そんな実情にはまったく触れず、その構造を変える目処がないまま、イノベーションという言葉を振りかざして
有機農業面積を25%以上に、とは・・・
世界でもっとも遺伝子組換え品種に依存している日本のこの目標値は・・・

畝山部長は宮城県の出身で、両親は数年前まで自家用に米を作り、野菜も直売所などに出していた
「私の専門の食品のリスクの話ではないのですが……」
「環境負荷や人への影響を、もっとしっかりと検討する必要があるのではないでしょうか」
たとえば除草剤
昔、日本の田んぼでは膨大な除草時間が費やされてた
現在は、一度田んぼに入れれば長く効く一発処理除草剤が開発され、除草時間は著しく減った
「除草剤を使わない、となった時、どうやって除草するのか? 作業をする農家の腰の痛さ、熱中症など、人の健康被害も出てくるんですよ」
合鴨農法を、というのは都会人の発想
高齢化が進む農家は、管理にそんな手間をかけられない
除草ロボットの活躍?
米の価格低下は激しく、そのようなコストをかけられる見込みはまったくない

環境負荷低減についても、多角的にみる必要が
たしかに、化学農薬を用いず分解性の高い生物農薬等を用いていれば、生物多様性保全には貢献できる
しかし、その代わりに機械除草をする時のエネルギー使用量と温室効果ガス発生量は? 
そもそも、水田は温室効果ガス発生源
大量のメタンや亜酸化窒素を発生
西欧の科学者の中には温室効果ガス削減のため
「水田作を止めればよい」と発言した人も
・・・ただ小麦とかと違って、ほぼ永遠に続けられる

畝山部長
「すべてがうまく行く方法などありません。各種のリスクのトレードオフをどうするか、環境負荷低減を図った時に、安全性確保とどこで折り合うか。そもそも、今の日本人の食生活に問題はないのか? さまざまな要素を協議し合意し、それを踏まえて、政策は推進されるべきではないでしょうか?」

農水省はこれまで数々の計画をぶち上げ、達成できないまま知らん顔をしてきた “前科”が
わかりやすいところでは、国産小麦や米粉の振興
2010年、平成22年食料・農業・農村基本計画で、自給率を上げるために
国産小麦生産量を88万tから180万tに
米粉用米を0.1万tから50万tに増やすという2020年の目標が設定された
実際の2020年の数値は、国産小麦の生産量が70万t米粉用米はわずか2万8000t
国産小麦は需要はあるものの生産が追いつかないのが実情

・・・こんな、しょうもないコトに時間と銭をかけてると思うと・・・

今日は~
室出し

3月末
いつもは、もっと後
室の覆いをとると・・・
ジャストタイミング

ヒカゲツツジの花芽が開く前
いつもは、グズグズしてて花が開いてることが多かった
鉢、石についた砂を払い
洗って吊り場の下に

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