2021年4月7日水曜日

忘れたい現実

藤巻健史さん
アメリカ長期金利の上昇が始まっている
ワクチン接種が進み、経済回復が見込まれるのがアメリカ長期金利上昇の最大の理由
市場の人間の常識からすれば、景気が良くなれば長期金利が上昇(=国債価格は下落)
景気が良くなると、事業が成功する可能性は高くなる
だから人々は安い金利のお金を借りて事業を行おうとする
好景気はインフレをもたらす
モノの需要が供給より大きくなりがちだから
インフレ下では借金をしていると有利
返済する元利金は名目では同額でも、実質で考えると負担減
借金をする人が増えれば金利は上昇する

さらにコロナ禍で各国が財政出動を推し進め、その原資である国債を中央銀行が買いまくっている
この行為により世の中にお金がジャブジャブになっているのだから、単なる景気回復以上の金利上昇圧力を市場が織り込んでいく
このインフレ予兆は長期債市場だけでなく貴金属、石油、銅等の原材料、半導体やコンテナ料金の市場からも読み取れる

要はワクチン接種による景気回復を予知し、財政出動でお金ジャブジャブの状態も反映しての長期金利上昇
この兆しは、ワクチン接種が順調に進み、かつ更なる財政出動で財政肥大化が懸念されるアメリカで顕著に表れている
他国にとっては経済にとってマイナス要因の石油価格上昇も、世界最大のエネルギー輸出国のアメリカにとっては景気押し上げ要因
現在、景気回復と、お金がジャブジャブな状況を反映し世界中で株価が史上最高値圏にある
それなら低金利しか得られない長期国債投資には魅力がないはず
だから債券価格は史上最低レベルであってもおかしくない
価格と金利はコインの裏表の関係であるから、長期金利は史上最高圏でもおかしくない

ところが現在のアメリカの10年もの金利はたったの1.7%
1980年の20%超え、リーマン・ショック直前の2008年8月の11%と比べてもあまりにも低い
まだかなりの上昇余地があると思われる

史上最高圏の株価と市場最高圏の国債価格(=史上最低の金利レベル)は市場原理が働いていればありえない
現在の珍現象は世界の中央銀行が長期国債市場に介入したがゆえに起きている
現在の市場には、市場原理が働いていない

かつての中央銀行は長期国債など購入していなかった
中央銀行の責務の最大のものは通貨の安定
30万円の給料をもらっても通貨価値の下落で、1万円分しかモノやサービスが買えなくなったら国民生活がなりたたない
このため中央銀行は、財務状況の劣化を引き起こし通貨の信用を失墜させかねない金融商品、すなわち価格が大きく上下する株や長期債を購入しなかった
それが鉄則だった
株価と長期国債価格のいびつな関係は、その鉄則を中央銀行が破ったがゆえに生じた
そして中央銀行にとって幸いなことは、(日本を中心として)
中央銀行が国債価格をコントロールできる
との幻想に惑わされている経験不足の投資家が存在したことにより、何とか今まで持続してきた
景気が回復していけば、いつか長期金利は上がっていく
1990年代までは
短期金利は中央銀行、長期金利はマーケットが決める
が市場人間の常識だった
日銀も2016年11月まで 教えて! にちぎん という一般国民向けのホームページに
「中央銀行は長期金利を思いのままに動かせない」
と書いていた
それなのに、突然「長期金利はコントロールできる」と書き換えた
異次元緩和で長期国債を爆買いし始めたこととのツジツマ合わせ

たしかに日銀のように他の中央銀行とは桁違いの爆買いを行えば、長期金利をゼロ%に押さえ込むことがしばらくの期間出来る
しかしばら撒いた金を回収できず、後にハイパーインフレを引き起こした歴史から日銀以外の中央銀行はそこまでは踏み込まないし、今後も踏み込まないだろう
そうであれば
景気回復&お金がジャブジャブ というファンダメンタルによる金利上昇を中央銀行の国債爆買いという需要増で押さえ込むこむことなど無理
世界の中央銀行マンたちはそれがわかっている
だから国債購入増強などの施策は、口には出しても実行はしないだろう

たしかに今現在、アメリカではパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長やイエレン財務長官の発言があるたびに長期金利上昇は一時的に止まる
彼らは、何かの施策を期待している国債保有者の期待に働きかけている
しかし為替介入と同様、長期金利を抑えようという施策は抜かずの宝刀にすぎない
一度抜いてしまえば、それ以降、効果が全くなくなる
それがわかっているがゆえに中央銀行は何もしないと・・・

日銀は引き締めができないから、株価はどんどん上がる
株価の暴落には中央銀行の金融引き締めへの転換が決定的な影響を与える
日銀は金融引き締めを未来永劫できない
引き締めれば国債価格の暴落により、保有国債に大きな評価損が生じ
日銀自身が債務超過に陥り、自身が存続の危機を迎えてしまう

他国では、ファンダメンタルズを反映して長期金利が上昇する一方、日本では、日銀が、自身の存亡をかけて長期金利を抑え込めば、日とアメリカの長期金利差は拡大する
それを反映してドル/円は大幅に上昇
長期金利が日銀により抑え込まれ、かつ円安/ドル高が進むなら
米国長期金利が上昇したとしても、日経平均はそれなりに上昇を継続するのかもしれない?
しかしながら、円安・ドル高が進行すれば、日本の景気は上昇し、インフレも加速していく
万が一、円安を反映して日本株が高いままいけば
バブル期同様、資産効果(資産を持っている人が金持ちになったつもりで消費を増やす。それを見て株価がさらに上昇するという好循環)が景気をさらに押し上げる
そうなるといくら日銀が円の長期金利を抑え込もうとしても長期金利は上昇せざるを得ない
要は他国の長期金利が上昇しているとき、日本の金利だけが、その流れに逆らうことなど無理
日銀が日本国債の現物市場でモンスターであっても現物債より大きな先物市場が存在するから
先物市場では現物を持っていなくても先物市場で売り込むことができる
また、いまだ発行済国債の半分は民間が保有している
国債を持つ人は倒産が怖いから、そういう事態に陥れば先を争って売る
日銀は、たとえ長期金利の上昇を抑えこめたとしても、過熱してくる景気を鎮静化するために短期政策金利を引き上げざるを得ない
長期債の爆買いを継続することによって日銀当座預金残高が膨れ上がる
日銀当座預金への付利金利引き上げが日銀に残された唯一の短期政策金利引きあげ策だが、そんなことをしたら、莫大な損の垂れ流し
日銀は途端に債務超過に陥る

黒田日銀総裁は、一時的だがとの断りをつけたものの
「日銀が債務超過になる可能性がある」
ただ一時的で終わる理由が?

ヨーロッパ・アメリカの金融機関には日銀も倒産するという前提がある
短期政策金利を引き上げて日銀が債務超過になった時はもちろん、長期金利の上昇で保有国債に巨大な評価損が生じ債務超過になった時も日銀と円の危機が発生する
そうすると債券の暴落と、それまで順調に上昇してきたとしても日本株が大暴落する
黒田日銀総裁
「日銀は償却原価法という簿価会計を採用しているから、評価損の計上はない」
「債務超過は一時的だ」
後者に関して、黒田総裁の頭には政府の損失補填がある?

邦銀では少なくとも先進7カ国(G7)の政府や中央銀行とは青天井で取引ができた
しかしJPモルガンではG7の政府や日銀といえども倒産する、との前提の下で取引枠が設けられていた
本店の審査部が短資業者は財務基盤が弱いとの理由で取引枠の大幅削減を指示してき
当時は、短期の余剰資金は短資業者を介して他行に貸し出すという仕組みであり、短資業者との取引縮小、または廃止は日本からの撤退を意味する
短資業者の信用が問題になるはずがない、との日本人の常識はヨーロッパ・アメリカ人の常識ではなかった
藤巻さん
短資業者なくして日本では金融業は行えない
有事の時は政府・日銀が必ず短資業者を守る
守らなければ金融システムが即日、崩壊すると・・・
本店審査部は聞く耳を持たなかった
彼らには審査のプロとしての矜持があり、自分の審査にミスがあれば審査マンとしてのキャリアが終わるから
そのシビアな審査部が、まさか前世紀の遺物である簿価会計で日銀を審査するとは思えない
日銀が簿価会計で会計を行っている
といっても審査するほうは自分の基準で審査をする

ましてや債務超過に落ちた日銀を
日銀自身が国債購入で刷った銭で政府が日銀に資金補填したところで
日銀に十分な信用力ありとの判断をするとは到底思えない

約束手形というブツの交換は手形交換所で行われていても、その資金の決済は日銀当座預金を通じて行われる
国債取引の決済もドル円取引の円決済もすべてが日銀当座預金を通して行われる
この認識は重要
外資が日銀との取引を辞める、すなわち日銀当座預金を廃するとは日本からの総撤退を意味する

ドル/円でいえば、外資はドルを取引相手に渡しても、(日銀当座預金勘定がないのだから)円を受け取る手段がない
対価を受け取れないのにドルを売ってくれるはずがない
日本はドルの調達手段を失う
それは円の地方通貨化を意味し、価値暴落(=ハイパーインフレ)を招く

この危機を全く認識していないのか、認識していても打つ手がないから放置しているのか知らないが、政治は全くこの点に触れない
放漫財政でここまで赤字をため、かつ危機を先延ばしにしてきた政治の無策を被るのがまっぴらなら、自分で自分を守る術を考えねばならない

国際通貨基金(IMF)によると、21年の一般政府債務残高の対国内総生産(GDP)比は
日本258.7%、米国132.5%、ドイツ69.9%で、日本は世界ダントツの悪
税収はほぼGDPに比例するから、日本はもはや税収で借金を返済することは無理

・・・あの時、まっとうな財政にデキたのに
それをしなかった輩は・・・
お国はハイパーインフレを織り込みずみ?
さて、どうすべ

今日は~
シュンラン/Cymbidium goeringii

古株でないほう
4月初め開花

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