2020年9月20日日曜日

半導体設計の行方

 半導体設計大手アーム・ホールディングスの共同創業者ハーマン・ハウザー氏は14日、ソフトバンクグループ(SBG)9984.Tがアームを半導体大手エヌビディアNVDA.Oに売却すると発表したことについて、「最悪の事態」であり、アームのビジネスモデルが崩壊すると・・・「(アームの本社がある)ケンブリッジにとって、英国にとって、欧州にとって最悪の事態だ。グローバルな重要性を持つヨーロッパ最後のテクノロジー企業がアメリカに売却されようとしている」

「半導体産業のスイス」としてのアームのビジネスモデルが崩壊する。エヌビディアはアームの顧客と競争している。

同氏はイギリス政府に対し、売却に3つの条件を付けるよう要求。(1)英国内の雇用の保証(2)アームのオープンなビジネスモデルの維持(3)顧客との関係についてアメリカの安全保障上の見直しの対象から除外する──ことを求めた。

「(こうした条件が満たされない場合)イギリス政府は、ロンドン証券取引所でのアームの新規株式公開の実現を手助けし、アームをイギリス企業とすべきだ」イギリスがコーナーストーン(中核的)投資家となって株式上場を支援すべきだ。

・・・たしかに製造部門を持たないから世界中の半導体企業から仕事がはいってた。商売敵のエヌビアに仕事を頼む、技術情報を渡すとは・・・

で・

Armと同分野で競合となるアーキテクチャーの1つがMIPS。MIPSはシリコンバレーのど真ん中にあるスタンフォード大学の名物教授ジョン・ヘネシーが率いるグループが1981年に立ち上げた革新的アーキテクチャーを開発するプロジェクトに由来、ARMアーキテクチャとともにRISC(Reduced Instruction Set Computer:縮小命令セットコンピューター)の代表的なものであるが、誕生以来様々な紆余曲折があり現在に至っているが・・・

2017年、中国系のベンチャー投資会社Canyon BridgeがMIPSの親会社Imagination Technologies(IMG)を買収。このタイミングが非常に絶妙で、2018年ころからアメリカ商務省が積極的に進め始めた中国企業に対するコア技術禁輸措置が本格化するほんの少し前。ただCanyonのIMG買収では、MIPS部門だけはアメリカ資本のTallwood Venture Capitalに売却された。その後、Tallwoodは間接的にAlibabaやCanyonなどが出資するアメリカAIチップベンチャーのWave Computingに売却された。その後、Wave社は2020年4月にチャプター11を申請。その結果、事業整理の流れとして、MIPSはサモアに登記されているPrestige Century Investmentという企業に譲渡された。実はこのPrestigeは、中国企業であるCIP Unitedの100%子会社、その結果、現在ではMIPSは中国系の企業となっていてアメリカの禁輸措置に揺さぶられるファーウェイに代表される中国の企業もアクセスできる高性能CPUコアとなっている。

Armの対抗軸として長い歴史があるMIPSは、スマートフォンに活用されるArmといった派手さはないものの、オープンソースのコンソーシアムであるRISC-Vのコア技術としても現在でも発展を続けており実力的にはArmに対抗できる技術的蓄積を保有している。

2018年から開始されたアメリカ商務省による中国への輸出規制は9月15日に発効され、ファーウェイなどの中国系の電子機器メーカーは事実上アメリカから半導体製品を輸入できなくなった。その中でもあらゆる電子機器の中心にあるCPUの調達に支障が出てくる事態は非常に深刻である。今後、対象製品は半導体の完成品に限らず、材料、ソフト、製造装置へと広げられる可能性がある。こうなると中国が国策政策として掲げている中国製造2025の推進は著しく影響を受ける。

ますます激化する米中の技術覇権争いの中で、Armの対抗軸となりうるMIPSが中国系企業の傘下となったことで中国の電子業界はMIPSのIPにアメリカの横槍なしにアクセスが可能となった。中国が最終的にArmを諦めて、MIPSをコアとする高性能なCPUを開発することは十分に考えられる。その際OS、ソフトウェア、製造拠点などにも商務省の輸出規制の影響は厳然として存在するが、中国系企業がMIPS CPUコアのIPを所有するという肝心な部分を確保しているという事実は・・・

・・・よ~やるわ

今日は~

デンドロビウム アベランス/Dendrobium aberrans


7月の終わり

コケが劣化・植替え

コレをサボるとイっちゃう・・・よくやる






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