開発したのは、京都大学大学院農学研究科博士課程でイモムシと植物と寄生蜂について研究している丸岡毅さん
実は虫の糞のお茶は昔から漢方薬として用いられ
蚕の糞茶は日本でも一部の農家さんが自家用に愛飲している
糞がお茶になるメカニズム
芋虫、毛虫(蛾の幼虫)は、食べた葉を消化器官内で発酵させて糞にする
これは茶の葉を発酵させてつくる紅茶の製法と似たプロセスが、虫の体内で起こっているといえる
芋虫、毛虫の糞は雑食・肉食動物の便のような腐敗由来のニオイはなく
食中毒を引き起こすバクテリアも検出されていない
丸岡さんはこの茶を虫秘茶(ちゅうひちゃ)と名付けて商品化を計画
イラガ(蛾の一種)の幼虫の糞から抽出した虫秘茶飲むと
紅茶にも似たほのかな酸味があり、ふんわりと広がるのは、まさしく虫が食べていたソメイヨシノの風味
人工的に香りを添加したフレーバーティーにはない奥深い味わい・・・?
虫の糞がお茶になるのに丸岡さんがそれに気づいたのは、研究室でマイマイガの幼虫の糞から、いい香りを感じた時だった
コロコロとした糞を乾かして、熱湯を注ぐと
マイマイガが食べていたサクラの香りが凝縮されたお茶だった
さらに、虫と葉の組み合わせを約60種類、試作
同じ虫の糞でも、食べる葉によって違う味のお茶になることがわかった
そもそもだが、虫の糞をなぜ口にしようとしたのか?
「2022年、博士課程に進学して、学位取得後の進路を探していました。その選択肢のひとつとして昆虫食があったのですが、その世界を見ると『食の多様性』といいながら、みんながコオロギに焦点を当てて、パウダーにするなど、同じことをやっている。疑問を感じました」
糞のお茶は植物と虫の多様性をそのまま飲むわけで、生態系やいきものの多様性を伝えることができる
・・・ワかったような、ワからんよういな・・・
丸岡さんは広報活動を開始、クラウドファンディングで開発支援を呼びかけた
そして2023/2目標額¥100万を大きく上回る¥300万の支援獲得に成功
物珍しさや、多様性という理想だけでは、こうはいかない
虫秘茶のホームページにはアート的なビジュアル、美しい写真でシンプルに構成されている
誰も飲んだことのない神秘的で希少なお茶として虫秘茶をアピールしたうえで、キャッチコピーをつけた
「虫と植物が作る、茶の秘境」
丸岡さんの思いを、ヴィジュアルや情報設計によって伝えるのは、デザイナーの水迫涼汰さん
ネーミングに際してはこう考えた
「『糞を飲む』というと、ゲテモノ的な商品になってしまいます。かといって、虫の存在を隠すと、この商品の魅力を伝えきれないし、必ず突っ込まれますよね(笑)。糞茶という伝統的な食文化からも遠ざかりたくない。そこで糞に、“虫が秘めている力の結晶”という意味を込めて“秘”という文字を使い『茶の秘境』というコピーにつなげました」
クラファンの支援者172人への返礼品の虫秘茶は、実験器具のシャーレに入れて発送
「商売目線ではなく、研究者というバックグラウンドをもった人が発見し、伝えていることを表現したかった」
昆虫食の情報がネガティブに届かないよう、ありきたりな表現を避け、殻を破って新しいイメージを与えた
虫秘茶は丸岡さんと水迫さんという、研究者とデザイナー2人のプロジェクトだが
既成概念や既存のプロセスを疑う丸岡さんの発想はアート思考
それを水迫さんのデザイン思考による課題解決力がサポート
異業種協働の強みが発揮されている
「虫秘茶にあるのは、“虫と植物の環境の一部を切り取ってお茶にする”という発想です。量産や生産効率を求めず、日本各地の生産者と、地産の虫秘茶ブランドをつくりたい」
たとえば、青森県のリンゴ葉とマイマイガ、沖縄県のオキナワウラジロガシの葉とキノカワガといった土地固有の虫と植物の組み合わせで、生態系を反映した虫秘茶を生みだす
その糞を生産者から買い取って虫秘茶ブランドで販売するという構想
今はその協働者を全国に求めているところで、すでに数カ所から問合せがあるそう
植物と虫の価値を地域の産業に還元
水迫さん
「植物と虫に価値が見出されて、地域の産業として還元されるという、そんな先々までを見据えた仕組みをデザインしたい」
「虫秘茶で伝えているのは『虫の糞がお茶になる』と聞いた時のドキドキ感、好奇心なんです」
・・・いいかも
単に、虫の糞を集めて乾燥するだけ?
とりあえず、ツマグロヒョウモンの糞でヤってみるか・・・
ちゃんとスミレの香りがする?
今日は~
ツボスミレ
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