2023年4月9日日曜日

馬雲(ジャック・マー)氏が帰国

023/3/27中国のEC最大手アリババグループを創業した馬雲(ジャック・マー)氏が中国に帰国
なぜ当局に拘束されるリスクを承知で、帰国に踏み切ったのか
ジャーナリストの高口康太さん
「ジャック・マー氏を国外に追い出す形になったことで、中国のIT業界は勢いを失ってしまった。それに焦った中国政府が、成長の起爆剤として帰国を要請したのではないか」

ジャック・マー死は、2020年末から姿を消していた
当時、中国共産党はアリババ関連のフィンテック企業アントグループのIPO(新規株式公開)を前日に差し止め、さらにアリババを独占禁止法違反の疑いで捜査していた
一時は当局に身柄を拘束され、起訴を待つばかりとの噂が広がっていた
その後、ヨーロッパや日本などに滞在している姿が目撃され拘束説は否定された
今度は、もう中国に戻ることはないのでは、と言われるようになった
帰国すれば今度こそ拘束されかねない

中国富裕層が危険を逃れるため海外に移住するのは普通
大手動画配信サイト・楽視網の創業者である賈躍亭(ジャー・ユエティン)は、2017年に突然中国国内の役職をすべて辞任し、米国を訪問
その後、現在にいたるまで帰国していない
楽視網が破綻したこともあり中国当局は帰国命令を出したが、「来週には帰国する」と繰り返すばかりで現在まで帰国していない

中国のあるVC投資家
「さすがはジャック・マーだ。自らの帰国をカードに、中国政府から好条件を引き出す取引に成功したのだろう」

ジャック・マーの失踪は中国IT業界にとっての悪夢の始まりだった
当初、中国共産党が事実上、ジャック・マーの引退を求めたのは、アリババが一企業の域を超えたコングロマリット化したことが原因だと考えられていた
ところが2021年に入って、こうした理解が間違っていたことがわかった
アリババ以外のIT企業についても独禁法違反などでの調査が始まったのだ
独占禁止法違反、学習塾規制、サイバーセキュリティー審査、オンラインゲーム規制といった動きが矢継ぎ早に導入され
さらには共同富裕の提唱もあり、儲けすぎのIT企業は肩身の狭い思いを
無制限に広がる規制の嵐に資本市場も反応
アリババの株価はピークだった2020/10から約70%のマイナス
IT大手であるテンセントも40%の下落
TikTok(ティックトック)を運営する非上場企業のバイトダンスも、評価額がガタ落ち
新しい企業も出てこなくなった
2010年代、中国ITが目覚ましい成長を遂げ、携帯電話で買い物ができるモバイル決済や、TikTokに代表されるスマホ動画など、世界で模倣されるイノベーションを作り出してきた

この原動力となったのは、政府の規制をかいくぐって新たなビジネスを生み出してやろうという野蛮な冒険精神
ところが、少しでも目立てばとんでもなく厳しい制裁を加えられかねないとの不安が中国ビジネスに
革新的なサービスを生み出しづらい雰囲気
ビジネス作家のブログは政府によって消去

こうした変化につい、2022/5中国を代表するビジネス作家・呉暁波(ウー・シャオボー)は、ブログ記事 俺たちの国はいったいどうなっちまったんだ?で
命を賭けてビジネスに取り組む。貧困から抜け出すことが最初の目的だが、裕福になった後は自分自身への挑戦と社会的責任を果たすことへと目的が変わる。つまり物質的な充足よりも心理的な達成を重んじるようになるのだ。ところが突然、社会的栄誉が剝奪されたならばどうなるだろうか?  創業とイノベーションへの熱意はまたたく間に消えていく。

この記事は、馬雲(ジャック・マー)氏を連想させる資産家 馬某のエピソードとして、間接的に書かれていたが、あまりに爆発的に読まれたためか削除された

中国政府の規制は中国IT企業の鼻っ柱をへし折ることに成功
その結果、想定以上にIT業界が勢いを失う
コロナ禍による景気後退もあいまって、IT業界ではリストラも始まった
中国経済の立て直しが求められるなか、高成長産業の代表であるIT業界がボロボロでは・・・

習近平総書記は2021/8に 共同富裕を着実に推進する と題した講話を行った(雑誌『求是』2021年20期に掲載)
「資本の無秩序な拡張には断固反対する。敏感な領域については(企業の参入を禁止する)ネガティブリストを作成する。独占禁止の管理監督を強化する」
と、IT企業規制の方針を示しつつも一方で
「同時に企業家の積極性を引き出し、各種資本(国有資本と民間資本)の秩序立った健康的発展を促進しなければならない」

ゼロコロナ対策が破綻したこともあって、2022年の経済成長率は前年比3%増に落ち込んだ
2023年に復活するためには民間企業家の積極性を復活させることが必要不可欠
急激な方針転換にはシンボルが必要だった
・・・国営企業は?
習さん自身も公企業にはムリだと・・・

国共産党は毎年12月、中央経済工作会議を開催
経済分野における、もっとも重要な会議
昨年の会議後に発表されたコミュニケには次の一節が
「法に基づく民営企業の権益と企業家の権益を保護する。各地方政府のトップ・幹部は民営企業の難題を解決し、支援し、汚職はないながらも親しみのある政府と企業の関係を築かねばならない」

・・・なんかな~
君子豹変?

このメッセージをさらに強く打ち出すために必要だったのがジャック・マー氏の帰国
民間企業家のシンボルであり、また規制の発端ともなったジャック・マーが戻る意義は大きい

3/27ブルームバーグ
ジャック・マーが中国政府のたびかさなる帰国要請を固辞していると

実際はまさにその日に中国で姿を現したため大誤報
あながち飛ばし記事ではなかったとささやかれている
ジャック・マー氏は帰国直前、香港に滞在していた
その後、日本に向かう予定をキャンセルして電撃帰国したと

前述のVC投資家
「中央経済工作会議から3カ月、中国共産党は一刻も早い帰国を望んでいたはず。それをここまで焦らしたのは好条件を引き出すための交渉術だ。つまり、アリババの安全を勝ち得たことを意味している」

安全が保障されるまで、アリババは目立つビジネス展開を控える必要があり、ライバル企業の攻勢にさらされても反撃することはできなかった
アリババのEC売り上げがマイナスに落ち込むなか、業界2位のJDドットコム、3位の拼多多(ピンドゥオドゥオ)はプラス成長
新たな成長分野であるクラウド部門も成長率が大きく鈍化
政府との取引を終えたアリババは、今後大々的な反転攻勢?

・・・アリババは買い?

その起爆剤となるのが組織再編
ジャック・マー氏帰国の翌日となる3/28
アリババは事業ごとに分社化する構想を発表
過去1年にわたる事業再編で、クラウド、中国国内EC、ローカルサービス(マップアプリ・口コミ・旅行予約)、物流、グローバルEC、デジタルメディアの六大事業部に再編されていたが
今後は事業部ごとに分社化し、それぞれIPO(新規株式公開)することを目指している
この分社化構想は巨大企業による独占禁止という政府方針に花を持たせるものでもあるが
それ以上に小回りの利く体制を築きアグレッシブな成長を目指す

・・・ただ、あの習さん
自分の都合で、いつ豹変するか・・・
ジャック・マー氏
財を海外に、できるだけ移し(これがムズい)
いつでも脱出できる用意を(これもムズいかも)・・・
事前に海外へ・・・なんて公安が許す?

今日は~
イワホウライシダ/Adiantum ogasawarense

とりあえずのミズゴケ植えのコ
新芽
薄い茶色
こんなんだった?

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