2022年11月19日土曜日

FTX劇場・第一部

2019年創業から瞬く間に、資産$数百億規模の企業となった世界有数のアメリカ暗号資産交換業者があっという間に逝ってしまった
破綻したのは大谷翔平選手らトップアスリートをアンバサダーとして用い、F1のメルセデスとチームスポンサー契約を結び、日本でも暗号資産交換業登録済の子会社を有していたFTX Trading Limited(以下、FTX)
FTX創業者のサム・バンクマン・フリード
今年の5-6月の信用収縮によって、八方ふさがりとなったレンディングサービス大手のブロックファイや、暗号資産ブローカーのボイジャーデジタルを買収や融資などで救済したことから、暗号資産業界では神様のような存在
弱冠30歳で$数百億の会社を築いた業界の神様は、顧客資産を自身の関連企業の融資の原資として利用する愚行を犯してしまった
・・・よくある勘違い

今年春から一気に進んだ暗号資産関連業界の信用収縮
一斉に資金が業界から流出する阿鼻叫喚は、今まさにクライマックス
新興市場である暗号資産の顧客資産の保全の難しさ、信用収縮の二つから、これから暗号資産に起こる悲惨な末路を・・・
FTXは、米時間11日、既に連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請
その関係会社に日本法人のFTX Japanの名前が含まれていることから、国内当局は厳格な資産の保全に走る対応に迫られている?
・・・どいいう立ち位置?
いわゆる金融当局の規制、監督の元にアったの?
余計なコトをしなきゃ単にバカがバクチで損したですんだのに・・・

既に、関東財務局は、日本時間11/10 22時過ぎ
FTX Japan社に対して、業務停止命令及び業務改善命令を出した
命令の理由として
「投資者に明確な理由を説明することなく、親会社であるFTXの方針であるとして、再開の日程を明示しないまま、取引に係る証拠金の出金を停止している一方、当事者からの財産の受入れや投資者との暗号資産取引を継続しているところ」
業務停止の対象サービスは、11/10~12/9の一か月間
店頭デリバティブ取引に関する業務及び店頭デリバティブ取引に係る証拠金等の預託を新たに受ける業務
同時に、資産の国内保有命令と預託を受けた資産の保全等が命令対象となっている

金融庁や自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)は、2017年の資金決済法スタート後、初めてとなる登録業者の破綻対応を迫られている
2018年のコインチェックのハッキング事件
同年のZaif(現カイカエクスチェンジ)のハッキング事件など厳しい局面に立たされた事業者は複数あったものの、破綻に至ったケースはない(Zaifを運営していたテックビューロ社は事業譲渡後に、暗号資産交換業務を廃業)
初のケースに、当局及び自主規制団体の一挙手一投足に注目が集まることとなろう

国内のFTX Japanの預かり資金は数百億円ほど
業界最大手のbitFlyer、コインチェックが有する数千億円(コインチェックの最新データは、10/28発表のマネックスGのデータ集 2023/3期 第2四半期の¥2,794億)と比べると数十分の一ぐらい
ここだけ切り取ると国内利用者の影響は限定的と見えるだろう
ただ、暗号資産はそんな簡単なものではない
利用者との分別管理が法令で明確に義務付けられているのは、世界中で日本だけ
FTX Japanが親会社のFTXに顧客の預かり資産(暗号資産含む)の管理を任せていた場合
管轄権はアメリカとなる
日本の法規制が及ばないアメリカにおいて、償還請求権を行使できるのか?
既に分かっているだけでも、FTXは創業者サム・バンクマン・フリードが保有する暗号資産関連会社のアラメダ・リサーチに融資していた$100億ドルの原資の大部分が、FTXの顧客預かり資産であることが判明
資金難のFTXからFTX Japanに資金を送れという命令が出ていてもおかしくない状況を考慮すると、関東財務局が10日付で資産の国内保有命令を出した意味は大きい
・・・直に命令に従ってるのか?

FTX Japanが保有する数百億円の預かり資産が既にFTXに送られていた場合
顧客資産の保全がややこしくなる・・・

続いて信用収縮
今年5-6月にかけてアルゴリズム型ステーブルトークンの価格崩壊に伴い、暗号資産関連事業者が経験した信用収縮のレベルとは全く異なる
・・・韓国のアレ

あの時は、レンディングサービス大手のCelsiusや大手暗号資産ヘッジファンドであるスリーアローズ・キャピタルなど$数億規模の破綻が相次ぎ暗号資産冬の時代入りのきっかけとなったが
今回は、コインベース、バイナンス、OKexなどとしのぎを削る世界屈指の大手暗号資産交換所の破綻
今のところ、負債総額は$数百億、債権者は10万人以上とメガトン級
・・・一説ではモロモロ含めると百万人越え

市場規模は違うが、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻と同じような状況?
国内外の暗号資産交換業者の多くは、FTXとのビジネス関係は無いことや
自社は分別管理等を当然のように行っているなどのリリースを行っているが
利用者だけでなく融資する側(銀行やベンチャー・キャピタル(VC))は疑心暗鬼
ソフトバンクGが傘下のファンドを通じて$1億ほど投資していたり、大手VCのセコイア・キャピタルも傷を負った
体力が無い企業は破綻する可能性もあるだろうが、このような融資及び出資に伴いダメージを負うケースは想定内?

本当に怖いのは、ビットコインを筆頭とした暗号資産そのものの下落による影響
・・・いや
訳もワからずに銭をツっこんだ人がほとんど
個人・犯罪組織・銀行・ファンドetc・・・そういや国も
たぶん、仕組みを作った?
本人もど~なるかワからなかったはず

暗号資産全体の時価総額は、Coin Market Capのデータを見る限り、11/8時点で$1兆あったが、10日時点で$8000億を割り込んでいる
実に48時間で$2000億の時価総額が吹き飛んだ
4/1時点で、$2兆あった暗号資産全体の価値は半年ほどで6割消えた
ショートポジションであれば最高な状況だが、ロングポジションが多い投資の世界を考えると、この価値の棄損は投資家にダイレクトで跳ね返ってくる
アメリカ暗号資産ファンドの大手であるグレイスケール・インベストメンツは、ピーク時に$数百億の暗号資産ファンドを手掛けていた
つまり暗号資産に直接投資していなくても、間接的に暗号資産に投資している投資家は数多くいる
2008年のサブプライム・ショックのような複雑に絡み合った金融商品は暗号資産には存在しないが
ファンドなどを通じて暗号資産に投資をして損失を負ったり、暗号資産ファンドそのものの事業の行き詰まりなど、年末にかけて哀しい話題が・・・
今回のFTX破綻の後遺症はこれまでの暗号資産業界が経験したなかで最大のものとなる

・・・ハッキングされて資産が無くなったとか
イロイロ云われてるけど
まあ銭をツっこんっだ人は
いい夢を見たと思うしかないような・・・

第二部は見なくてもイイかも

サム・バンクマン・フリード氏


今日は~
マスデバリア ピンクガール/Masdevallia Pink Girl

11月初め
花芽が2つ
いつ咲く?

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