2019年6月13日木曜日

EVでもうける方法

ぼや川より
ためらわず・女性車両に・乗るおばちゃん
・・・いいんでない?・・・

2019/6/7トヨタ
"EV(電気自動車)の普及を目指して"と題する説明会を開催
「なんだ、EVに否定的だったトヨタが、出遅れに焦って慌ててEV計画をスタートしたのか」と思う人は多いだろうが・・・

2018年秋、トヨタは”電動化プロジェクト説明会”を開催
30年までにEV、FCV(燃料電池車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)などを年間550万台販売という目標を明らかに
トヨタの新車年販は約1000万台なので、550万台が電動化されると、過半が電動化車両になる
電動化車両の内訳をみてみると、HVを中核とするエンジン併用モデルが450万台
純モーター駆動のEVとわずかながらのFCVを合わせて100万台
残念ながら30年の時点でも純EVは10%
理由は高価なバッテリーをたくさん必要とするEVは値段が高すぎて売れないから
しかし今回の発表で、この550万台達成を5年前倒して2025年とするとアナウンス
前倒しの原動力は予想を超えるHVの加速
これまでトヨタが繰り返してきた通り、30年までの主力はHVという見通しがさらに補強された格好
実際、欧州をはじめ、いくつかのメーカーが華々しくEVを先行開発してきたが、その頼みの綱のEVが売れない
メーカーごとの全販売実績の平均CO2排出量で規制する20年のCAFE規制(企業平均燃費規制)をクリアできるめどがたたない
トヨタにHVを供給してくれというケースが増えていると・・・
その結果が先日のトヨタによるHV特許の無償提供だ
HVを欲しがるメーカーはエンジンごとトヨタのシステムを受け入れるわけにもいかず
自社のエンジンとトヨタ・ハイブリッド・システム(THS)を組み合わせた動力源を望む
しかしそれは大きな工数を要する開発となる上、膨大なノウハウが必要
THSだけ渡して「あとはご自分で」では成立しない
そのためにトヨタは他社エンジンとTHSを適合させる部署を立ち上げ、システムサプライヤー機能を持つ覚悟を固めた
しかしながら、そもそも自社だけでも5年前倒しに売れている上に、他社に供給する分も必要になったという流れでいうと、これまでも散々調達に苦しんできたバッテリーの確保がさらに大変に
ハイブリッド特許の無償提供に際し、トヨタはバッテリーを除外しているが
調達能力の無い会社にHVのシステムを供給しても「バッテリーはご自由に」では、ビジネスが成立するわけがない
バッテリー供給については、ある程度の面倒は見ざるを得ないはず
加えて世界で一番台数を売る中国マーケットでは「EV以外はナンバー交付2年待ち」という極端なEV優遇策が施行されており
政府は非公式に「わが国でEVを売るなら中国製のバッテリーを採用すること」というアンフェアなルールを強要している
ここ数年中国での拡販を目指し始めたトヨタは、すでに提携を発表しているパナソニックのバッテリーだけでは、総量的にも、中国の俺様ルール的にも対応しきれない
そこでトヨタは、従来からパイプを築いてきたパナソニックに加え
中国のバッテリーメーカー、BYDおよびCATLとも提携
これは恐ろしい話で、トヨタはバッテリー生産量でトップ3のメーカー全部と提携したことになる

そして
トヨタはついにEVでもうける方法を思いついた
テスラが切り開いた21世紀的EVとは、バッテリーを大量に積んで、航続距離問題を解決し、さらに自動運転やら何やらという高付加価値の全部盛りEV
言い方を変えれば高価であっても構わないプレミアムEV
日産のリーフはもう少々抑え気味だが、オールラウンダー型を目指していることは変わらない
トヨタはここのところCASE(Connected:つながる、Autonomous:自律走行、Shared:共有、Electric:電動)とMaaS(Mobility as a Service:移動を伴うサービス)に熱心に取り組んできた
特にMaaSは地域の特性に強く紐(ひも)づくので、地域ごとに特徴のある形が求められる
例えば過疎地の老人の移動問題
池袋でのプリウスの事故を受け、高齢者への免許返納の圧力が強い中で、クルマが無いと病院に行けない人はどうしたらいいのだろうか? 
「子供をひき殺したらどうするんだ!?」はごもっともだが
「老人は病院に行かずに死ね」と言い切れる人もいないだろう
要するに悲劇の社会現象的インパクトは違えど、この問題の本質はトロッコ問題
社会的リスクを低減しつつ、病院に行ける方法が確立していない
実はそこにこそ電動の超小型モビリティがぴったりはまる
現在でも、最高時速6キロ、免許がいらないシニアカーがあるが
トヨタはこれを高齢者の運転能力に合わせていくつか用意することを考えている
歩行速度領域をカバーする立ち乗りモデルと車いす連結モデル(時速2、4、6、10キロを切り替える立ち乗りモデルのみ10キロまで対応)
そして最高速度時速60キロの超小型EV
歩行速度領域のモデルには、ユーザーの後ろを自動追従する”ポチ機能”
つまり犬の散歩のような機能が付いており
疲れるまでは徒歩で歩き、疲れたら乗って帰るという自助生活を補助する機能が搭載される
価格の問題を解決するために、これをサブスクリプションにして月額貸出モデルのMaaSにする
トヨタが以前発表して、いまひとつ何がどう良いのかわからなかったサブスクリプションサービスの”Kinto”が俄然ここで生きてくることになる
特に2人乗り4輪の超小型EVには、運転支援機能をしっかり装備する
あるいは特定地域内専用の自動運転機能を搭載する
ルートの選択肢がさほど多くない域内交通で、かつ速度が低いなら、自動運転の難易度は圧倒的に下がる
ましてや特定の行き先へ行ったり、自宅へ戻る機能に絞れるならば、あとは障害物を回避する機能だけあればいい
こういうMaaSを考えている間にトヨタは気づいた
「あ、そうか、EVはオールラウンダーを目指すから複雑になって技術的にも売価的にも大変なんだ」
そこで、トヨタは世の中で具体的に困りごとを抱えていて
つまりソリューションを心待ちにしているお客さんに機能限定のEVをぶつけていけば売れるだろうと考えた
仮に1機種数千台しか需要がなくても、トータルではそこそこまとまった数になるんじゃないか?
10年ぐらい前に流行ったロングテールの考え方だ
どっちみちEVは月販何万台というスケールには当分の間ならない
だったら、他社と似たようなオールラウンドモデルを作って、出たとこ勝負で博打勝負するより、確実に売れるニーズに一つ一つ応えようとトヨタは考えた
例えば銀行とか電力会社とかの営業に使われている軽自動車
公的サービスの企業イメージからいえば環境負荷の低いEVを導入したいが、今の軽と価格差がありすぎて入れ替えできない
そういうニーズはあちこちに眠っている
つまり、EVの価格の大半を占めるバッテリーを削って、コストを下げ、航続距離の長さを求めない顧客に向けたEVを作れば、数千台の需要が見込める
それらを落ち穂拾いのように積み上げる
車両はシャシーを前、中、後と分けて、コンポーネンツを組み替え可能に構築しておいて
ニーズに応じてそれらの順列組み合わせで対応範囲を広げる
バッテリーの搭載量も可変にして、あとで増量が可能にしておく
それをサブスクリプションで回す
日本で個別ニーズに対応してBTO(Build to Order)のノウハウをためていけば、海外の規制にも応用して数を稼げる
それはZEV規制(Zero Emission Vehicle規制)や、前述のCAFE規制の方にもじわじわ効くはず
利幅が薄くてもクレジットを買うよりマシだし、サブスクリプションビジネスなら、後でもうけられる
ディーラーまで無人自動運転で戻り、高齢者に向けてナビの行き先の登録を都度代行したり、充電や点検などを行って指定時間に自宅に配車するようなサービスも考えているという
MaaSはイニシャルでもうけなくていい。後でじっくりもうけることができ、そうやってディーラーの人々が地域住民の問題解決を提供することができる
これから少子化過疎化がさらに進む地域で、クルマを売るビジネスを続けていくのは難しい
クルマが売れなくなった地域から撤退という考え方では、地域の地盤沈下がさらに進んで地方が消滅してしまう
だからこそ、地域の問題解決をしてお金を稼ぐビジネススタイルに変えていった方がいい
そのためのMaaSだし、MaaSの手段としてのEVである
「すごい性能のEVを作ったから買ってくれ」と言うのは完全にプロダクトアウト型で
それでは商品が変わりこそすれ既存のビジネスモデルに過ぎない

・・・トヨタ・・・コワいわ

今日は~
オオナルコユリ・・・だと思う
かなりハビっこてる
引っこ抜く?
と思ったけど
・・・来春芽を喰おう・・・

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