2022年3月21日月曜日

¥の凋落

これまで世界に危機が訪れた場合、\ほど安全な避難先として喧伝されてきた資産は少ない
しかし2/24にロシアがウクライナに侵攻してからの数週間で、\は$に対して下げ続け

国際金融市場の混乱時に\が堅調となる根拠は、金利低下とモノの値下がり、日本の膨大な経常収支黒字
今ではいずれも存在しない
さらに¥にとって悪いことに、これらの要素はむしろ逆方向に
アメリカ連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測を受けて金利は世界的に上昇
エネルギーや他のモノの価格は高騰
日本の経常黒字は小幅にとどまり、しかも消滅しつつある

HSBCの通貨アナリストチームはとうとう白旗を揚げ
ウクライナ侵攻以降の市場を襲ったショックの性質を過小評価していたと認めた
¥のようなカウンターシクリカル通貨を押し上げる、典型的なリスク回避取引の代わりに
モノ輸出国の通貨の大半がモノ純輸入国の通貨を上回るため
日本ほどエネルギーを輸入に頼っている国は世界中を見渡してもほとんどいない

日本の主要エネルギー需要の大半は原油で賄われ、その原油の90%以上が中東地域から輸入されている
日本は世界屈指の液LNG輸入国でもあり、LNGが電源構成の約25%を占める
原油価格は、ウクライナ侵攻前に$90前後だった北海ブレントが
今月に入って一時$140まで跳ね上がった
アジアのLNGスポット価格は新型コロナウイルスのパンデミック前に比べると約20倍の水準
こうしたエネルギー市場の動向に伴って日本の交易条件は急激に悪化する
¥高のためもあって何十年間もほとんど途絶えたことのなかった経常収支黒字が今回、間もなく赤字に転じる恐れが出てきた

ドイツ銀行のマクロ・ストラテジスト、アラン・ラスキン氏
「これはいつもと違う形の危機だ。アメリカ金利と原油は下がらずに上がり、交易条件は日本にとって好ましくない方向で推移している」
ラスキン氏は40年にわたって外国為替市場の動きを見てきた
その間には1990年の第1次湾岸戦争、1998年のロシア財政危機とLTCM破綻危機、2007~09年の世界金融危機、2020年の新型コロナウイルスのパンデミックといった大きなショックが発生
いずれも大幅な¥高をもたらしている
平時に日本の巨額の経常黒字を背景に蓄積している海外資産について
国内投資家が一部を突然、環流させるため
世界有数の規模の海外投資資金を国内に戻そうとするホームバイアスが持つ力は大きい
最も強い¥高局面が到来したのは1998/10だった
その2カ月前の8月、ロシアがルーブル建て債務の突然のデフォルトで世界を驚愕させ
これをきっかけに1カ月後にアメリカ ヘッジファンドLTCMが経営につまずく危機が発生
当時の¥は10/7に対ドルで7%、その週全体で16%も上昇

今、ロシアのデフォルトが再び目前に迫っているが
¥の安全資産としての地位は影を潜めてしまっている

以前、市場が重大なストレスないし地政学的緊張にさらされた際には
いつも日・アメリカ金利差が¥高に作用してきた
国債利回りはアメリカの方が日本より急速に下がるから
ところが今回の危機では、アメリカ債利回りの上昇が最近になって加速
アメリカの物価上昇率が8%近くと40年ぶりの高い伸びを記録
FRBはインフレへのタカ派姿勢を見せている
市場はFEBが利上げペースを速める公算が大きいと予想している

一方、スタンダード・チャータードのグローバルFX戦略責任者で
やはり長年外為市場を見守ってきたスティーブン・イングランダー氏
¥の対$下落率がこの3週間弱で2.5%に達した時点から、¥安は一服の態勢にあるとみている
それでも同氏は、日・アメリカ金利差や、安全資産としての魅力度、基調的な経済成長という通貨価値を左右する3つの主な要素がどれも¥にとってマイナスに働いている以上
¥が小康状態を保つのは恐らく一時的だと分析
「¥は目下、安全資産としてはコストが大きい」
3要素全てが$高/¥安に働いている上に
エネルギーショックという4番目の要素も加わるとすれば
¥に対して強気になる理由は非常に乏しいとみている

・・・はじまった
日本銀行は、どうでる?

エネルギーは
直近はコマる
中期的には
高効率石炭火力
ニューエイジの安全・小型の原発
が選択枝に

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