2022年3月2日水曜日

密放流者

久保田潤一氏の新刊『絶滅危惧種はそこにいる』から
そんな侵略的外来種を意図的に池に放つとの知られざる戦い

東京都には、都立公園(東京都建設局所管)が82か所
最大の公園が、狭山丘陵にある野山北・六道山公園
この公園の中に桜沢という谷があり、そこに桜沢池という池がある
11種の生物が確認されているが、その顔ぶれに危機を感じる
在来種はドジョウ、ニホンスッポン、ニホンマムシ、アズマヒキガエル、スジエビ。特にアズマヒキガエルの大繁殖地
ニホンスッポンとニホンマムシは絶滅危惧種だし、これらを見るとむしろ良い池だなという印象
問題は外来種
オオクチバス、ブルーギル、コイ、アカミミガメ、ウシガエル(写真2)、アメリカザリガニの6種類
いずれも侵略的外来種
その背景として問題なのが、バス釣り人
都立公園では、一部の例外を除いて釣りを禁止しているが、桜沢池ではバス釣りをする人が後をたたない
釣る人がいるということは、池に放流する(した)人がいるということ
バスやギルを捕獲しようと定置網やもんどりを仕掛けたこともあったが採り尽くすことはできない
2018/12/15根本的な解決のために、かいぼりを行った
採れた魚は、多くがその年に生まれたブルーギル
かいぼりが終わった後、約2か月は池干し状態を維持
池の中にブルーギルの稚魚の取り残しがいたとしても、すっかり絶えたことだろう
また、池底に蓄積していた窒素やリンが酸化・ガス化するなどして富栄養化が改善されているはずで
池の水の透明度が向上することが期待できる

3月中旬にまとまった雨が降り、あっという間に桜沢池の水位は回復
これを受け、3/20飼育していたコシアキトンボのヤゴとドジョウを池に放流
 「これで桜沢池は生まれ変わるぞ」

5月の終わり、すっかり平和になったはずの桜沢をパトロールしていたパークレンジャーより緊急連絡
「桜沢池を大きなバスが泳いでいる。少なくとも2匹いる」
密放流
かいぼりでオオクチバスがいなくなったことを知ったバス釣り人が、またこっそりと放流したのだろう
あれだけみんなで頑張ったことを一瞬で無にしてしまう、その行為をいとも簡単にする人がいることが衝撃だった
オオクチバスは特定外来生物に指定されている
放流は犯罪
個人がこの罪を犯した場合、3年以下の懲役もしくは¥300万以下の罰金
5月の終わりは、オオクチバスにとっては繁殖最盛期
もし見つかった2匹がオスとメスだったら、繁殖する可能性が
そうなれば、せっかくの努力がいよいよ本当に無駄に

このころ、後輩の舟木匡志くんが、僕に代わって狭山丘陵の保全リーダー
彼は即座に手を打った
「釣って駆除しよう」
釣り経験のあるスタッフに指示し、すぐに2匹を釣り上げた
しかし翌日には、オオクチバスの成魚がもう1匹泳いでいるのが確認された
2匹だけではなかったのだ。慌てて再び釣ろうとするが、今度は釣れない
その3日後、恐れていたことが現実に
桜沢池の中に、オオクチバスの稚魚が群れで泳いでいた
孵化(ふか)までの日数がおおむね1週間ぐらいであることを考えると、2匹を釣り上げたときにはすでに産卵は終わっていたことになる
密放流を環境テロと表現するのをときどき耳にするが、まさにそのとおり

舟木くんはあくまで前向きで全然へこたれていなかった
「地引網を使って、繁殖した稚魚をまとめて捕獲できるかやってみます。それでダメなら、池の水をもう1度抜いて駆除しましょう。あわせて、池の中にネットを張って、釣り針が引っかかるようにしてみます。釣りがしづらくなれば、釣り人も再放流を諦めるかもしれません。それから今回のことを警察に相談して、それを看板に書いて池の前に立てようと思います」
地引網は、たっちゃん池の魚類調査で使おうと思って特注で作ってあったもの
この捕獲はある程度成功し、3000匹以上を駆除することができた
ただ、その後もタモ網を入れるたびに少数が採れる状況が続き
ゼロにはなっていないことがわかった
やはり水を抜くしか
かいぼりでは池の水を電動ポンプで抜いたが、今回はサイフォンの原理で抜いてみることにした
これも舟木くんが地形を見て立てた作戦
時間はかかったが、池の水は見事に抜けて、オオクチバスの稚魚をすべて駆除することに成功
「でも、また放流されるんじゃないだろうか」
だが、いいのだ
放流されたらまた水を抜いてすべて駆除する
何度でも
そういう姿勢を見せることが、密放流の防止につながっていくはず

池の水が抜けているうちに、釣りを邪魔するためのネット張り
釣り人の気持ちになってみると、買ったばかりの高価なルアーを失うわけだから、これは嫌だろう
警察にも相談
パトロールを強化してくれることが決まった
かいぼり後に密放流が行われたこと、それが犯罪であり警察に相談していること、密放流を目撃したら情報を寄せてほしいこと
これらを看板にしたためて桜沢池の前に立てた

その後、新たな密放流は確認されていないが、水中に張ったネットにルアーが引っかかっていたことが数回あった
おそらくバスが駆除されたことを知らずに釣りに来た人がいたのだろう
また、設置した看板が壊されていたことが3度
あ我々の外来種駆除の取り組みに腹を立てている人がいることもわかっている

・・・多くの池が
仕方なくブラックバスの釣りを認めざるおえない状況
それでヨシとするしかない現実
しかし
それでは在来種の魚etcは・・・

今日は~
フウラン/Vanda(Neofinetia) falcata天賜
きのこ

昨年の7月
今は着いてる流木のヤワいとこはボロボロになったんで
除去
なんで今年から、この姿はみられない
まあ他にもあるんで・・・

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