2023年11月19日日曜日

理性ある服従

自衛隊の幹部養成機関である防衛大学校は1952年に設立(当時は保安大学校)
戦前の日本では陸海がそれぞれ士官学校を持つスタイルを取っていましたが
それが無駄な縄張り意識と対立構造を生んだという反省から、当時世界で初めての陸海空の仕官を同じ学び舎やで育てる統合型の士官学校
その初代校長に指名された人物は軍人ではありません
オックスフォード大学で学んだ経験があり、イギリス憲法史が専門の政治学者・槇智雄氏
元慶應義塾大学の教授
指名を受けた槇氏は学校設立の準備にあたって各国の士官学校を視察し、戦後の日本に合った士官学校とはどんなものか必死に考えたそう
槇校長は自衛隊の将来を担う幹部候補生たちを
ただの軍事オタクや視野の狭い人にしないため、一般大学のカリキュラムをすべて導入
それに加える形で、防衛学など軍事に関する知識を身に付けることとしました
同時に帝国陸海軍で当然とされた軍人マインドを変えることに尽力

に防大と慶應のつながりはその後も続いており
現在の久保文明校長を含め、歴代10名の校長のうち4名が元慶應義塾の教授
そんな槇校長が防大生たちに繰り返し伝えた概念のひとつが理性ある服従

”服従”という言葉にいい印象を受けない方がほとんど?
軍事組織であろうと企業であろうと、組織である限り、誰かが決定権を持ち、組織はその決定に従うという構図は必須
指揮系統が曖昧(あいまい)な組織はスピーディな意思決定ができないので
どれだけフラットな組織でも必ず意思決定者や責任を負う人はいる
当初は超フラットな組織でも何とかなったスタートアップ企業が、肥大化するにつれて官僚的な組織に変り果てるといった話はよくある
このように組織運営においては一定の規律、つまりルールに従うことは必要ですが
もしその命令に”唯々諾々”と従う部下しかいなかったら?
それこそ太平洋戦争のときのように、情実人事によって生まれた資質に欠ける指揮官による明らかにまちがった判断によって、組織を壊滅に追い込むことに
そこで槇校長は、新設する自衛隊の幹部に対して”理性ある服従”を訴えた
つまり、上官の命令を”正しく疑う力をもて”と言われた
現代風にいえばクリティカル・シンキング
言われたことをただこなすだけではなく、自分の頭で考えられる自律的に動ける人材を育成
そして、そういった部下だった人だからこそ、部下を活かす組織運営ができるリーダーになれる

自衛隊には教育の指針として、守るべき自衛官の心構えとして5つの項目が定められており
その一つ”規律の厳守”の解説には、

◎ 真の規律は理性ある服従の状態
◎ 真の規律を確立するためには、命令は常に適切であることを必要とし、受令者が自覚自律して積極的に服従する気風をつくりあげなければならない
◎ 良い命令をする者は必ず良い服従をする者
◎ 服従の真価はみずから進んで行うところにある
最近はビジネスの世界で自律自走型組織という言葉をよく耳にしますが
一見古臭い体質と思われがちな自衛隊では、実はこうした先進的なアイデアを70年前に打ち出していた

”理性ある服従”のできる部下
これこそいま多くの日本企業に足りない人材
言われたことを勤勉にこなすことが美徳であると叩き込まれる日本人の多くは
服従はするが理性に欠けた状態
もちろん自分の意見を上司に臆せずぶつける部下も少数存在
しかしそういう人の多くは、今度は逆に上司のことを上司と思っておらず
”理性はあるが服従しない状態”であることが多い?
そんな人は組織を飛び出して起業しがちですが、自分の考えが強いだけに部下に対しては”無批判な服従”を要求してしまう
結局、いつまで経っても日本企業はトップダウン型組織が多い?
”理性か服従か”といった両極端ではなく
”理性”と”服従”をバランスよく備えた人材をもっと増やして日本型組織をアップデート・・・

・・・できればイイんだけど
なかなか
人民解放軍ではムリ
今のイスラエル軍では・・・?

今日は~
キク?

ウチでは割とイジめられてる
けど
根絶やしにはしない
このまま立ち枯れさせて地面を保護したり
枯葉をおさえたりに使う

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