2023年8月27日日曜日

貧困問題はなぜ解決しないのか

 コロナ後に広がった世界の経済格差。貧困の問題はなぜ解決しないのか
貧困層に少額融資をするグラミン銀行を創設し、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス博士
世界を動かしている経済システムそのものに問題がある。システムを設計し直さないといけないが、多くの人が誤った資本主義のイメージや人間像に囚われている」

世界不平等研究所の世界不平等レポート2022
世界の上位1%の富裕層が世界の富の約40%を保有している(2021年)
前回のレポートでは上位1%の富裕層が占める富の割合は22%(2016年)
格差が拡大している

コロナパンデミックは全世界を襲い、経済システム全体の動きを止めた
当時、各国の政府はさまざまな救済策を打ち出し、巨額の資金を投じて経済のエンジンを再始動させようとした
私はそれに対し、政府や企業に「エンジンを再始動させないで、元に戻らないで」と
私たちが作った経済のマシンは、貧困や環境破壊、気候変動などさまざまな問題をもたらしており、後戻りはいただけません
パンデミックのおかげでこれまでの経済システムを止めることができたのはラッキーでした
新しいマシンを設計し、これまでとは違ったやり方でスタートを切る好機です
私たち自身がつくり出したすべての悪、すべての困難を是正し、これまでとは違ったやり方でつくることができるのですから

そんな中、人々を救うべく登場したのが新型コロナウイルスのワクチン
私たちは世界に対し、ワクチンに知的財産権を認めるべきではないと呼びかけた
(ワクチンに関する情報は)公開されるべきで、どの国も自分たちで製造して誰もが接種を受けられるようにすべきだと
でも、なかなか耳を貸してもらえませんでした
そして、少数の国だけがワクチンを独り占め
ワクチンは非常に高価だったうえ、世界のワクチン輸出の80%を10カ国が占めていると言われる状況になった

今の経済システムはこのように振る舞うのです
生命と利益のどちらを選ぶかという点で非常に残酷です
多くの人が命を落としたのに、利益が優先されました
先進国の製薬会社は多額の利益を手に
そしてパンデミックの間に数多くの人々がさらに貧しくなりました
貧しくなかった人々まで貧しくなり、貧困とはかなり離れたところにいた人々も、貧困に陥りました
数多くの人々が苦しみました
でも同時期に、てっぺんにいるごく少数の人々は巨額の富を手にした
経済システムの働きが、いかに醜悪か分かるというものです

日本のような先進国でも15%の世帯は相対的貧困状態(※2)にあり貧困問題は存在します
豊かな国も例外ではない?

経済システムは富やリソースを底から吸い上げ、てっぺんへと送るように設計されています
ポンプのようなものです
おかげで底は常に空っぽというか、ほとんど何も残っていない状態のまま
その一方で、てっぺんにいるごく少数の人々はとてつもなく豊かに
その下にいるたくさんの人には、全体の富のほんの小さなひとかけらしか残りません
これはどこでも見られる現象です
世界的に見てもそうだし、国内的に見てもそう

世界の富の不平等な分布上位10%の人が、世界の富の75%を所有(ちなみに、上位1%の人の富は世界の富の38%を占める)
残り25%の富を、90%の人々で分け合っている
みんなが豊かな国と言うとき、いったいどういう国を指して?
国全体の富を人口で割った場合の富が大きいという
国民すべての富を計算に入れるなら、1人あたりの富は非常に多い
でもてっぺんの10%の人々の1人あたりの富と、底辺の10%の人々の1人あたりの富を比べれば、その差は歴然
経済のマシンは常にそうなるように動いている

これは日本だけの問題ではありません
世界で最も金持ちの国、アメリカはどうでしょう
私たちはアメリカでもマイクロファイナンスのプログラムを運営していますが、それは生活していけない人たちがいるからです
国からの小切手だけに頼って生きている人たちがいるのです

人々が生き延びるための月々の支援を行うプログラムがあるということは
その国には金を稼ぐことができず、自力では生活が立ちゆかない人々がいるということです
だから国が彼らの生活の面倒を見なければならない
では、国の支援を必要としている人々がいるのはなぜ?
本来ならどんな人にも自活能力はあるのですが、経済システムはそれを許さない
だから国民から税金を集め、そこから施しをする
施しに頼った生活というのは、経済システムがもたらした病と言っていいでしょう

すべての富がてっぺんに行ってしまうのは、マシンに欠陥があるということ
個人や企業に問題があるからではありません
企業はシステムが金をつくれと言うのに従っているだけ
どれだけ金儲けができたかが成功のものさしになっている
そのプロセスの中で金儲けをひたすら続けることになる
そして多くの人々は置いてけぼりにされる
これがいまのマシンがもたらす結果

システムはどうしたら変えられるのでしょう?
例えば水をくみ上げるマシンがあるとします
水を低いところから高いところにくみ上げるだけのもの
でもニーズが高いところに水をくみ上げるのではなく、低い方に流すことにある場合は、どうすればいいでしょうか? 
そう、逆に動かせばすべての水は低い方に流れます
現行のマシン、つまりいわゆる経済システムは、(富を)上の方に送るように作られています
その逆のマシン、つまり(富を)下の方に送ったり、下だけでなく全体に分配するようなマシンがあればいいのです
ではマシンを設計し直すにはどうしたらいいか
(例えば)速く走る乗り物が必要とされているとしましょう
あなたはいろいろ考えた末、馬車を使うことにします
ただし馬は使いたくありません
そこで小さな機械を作って馬車の中に設置します
そうすると、馬なしでも馬車は乗り物として機能するようになります
マシンを設計するとはそういうことなのです

だからまず目的は何かを定義する
目的が決まったら、あとは一生懸命にマシンを設計する
誰にでもできることです
例えば私は、(人々に富が行き渡らないという)問題の元凶は銀行だと考えました
だから銀行を再設計し、貧しい人々に金を貸すことのできる銀行をつくりました
金融関係者はグラミン銀行のやっていることはすばらしいと口を揃えて言うのですが
従来の銀行のあり方を変えようとする人はいません
なぜでしょうか
それでみんなが幸せになるなら、どの銀行もやるべきなのに

何が問題なのでしょうか?
よく言われるのが銀行法で許されていないから、というものです
ならば銀行法を変え、すべての人に門戸を開き、みんなに金を貸すようにすればいいのです
相手を問わず資金を貸し出すのは、金をドブに捨てることでもなければ、社会福祉プログラムでもありません
これはビジネスです
貸したお金は利子を付けて返してもらい、必要経費はそこから出し、利益も上げる
(他の銀行と)変わるところはありません
なのに、それでも無理だと言うのです
銀行への規制は非常に厳しいからできないと

私たちは日本と同様にアメリカでもマイクロファイナンスの事業を行っています
NGO(として運営しているのですが、融資額は年に$10億を超えます
融資はきちんと返済されていて、自立した経営ができています
それでも銀行にはなれないのです
理由は、私たちがやっているようなことを銀行法が認めていないからです
つまり、これは法律の問題であり、法律は変えなければなりません
解決法は分かっているわけです

マイクロファイナンスの誤ったコピーが生まれる理由
グラミンの仕組みは世界中に広まりました
しかし、理念と異なり利益を求める動きも出ています
それはグラミン銀行の適切な解釈とは言えません
是正しなければなりません
コピーの仕方を間違えたのです
私が作った車のコピー商品を作ったら、前には進まず後退してしまうような車ができてしまった――というところです
つまり設計に欠陥があるわけではありません。組み立てが間違っていたのです。となれば、設計書に立ち返って正しい方法で組み立てなければなりません
そういうことをする人々は辛抱が足らず、マイクロファイナンスの何たるかをきちんと学ぶことができなかったのでしょう

政府は私がグラミン銀行のトップであることを快く思わず、グラミン銀行から私を追い出しました
たぶん、(総裁の座にいると)私が非常に強い政治力を手にするからでしょう
私はバングラデシュの非常に多くの家族、貧しい家族たちとつながりを持っていますからね

ユヌス博士は貧困をはじめとするさまざまな社会課題に対する解決方法として、資本主義のビジネスの仕組みを応用しながら、損失ゼロ、配当ゼロで運営するソーシャル・ビジネスを提唱していますが、それも十分に広がっているとは思えません
広がりを阻むものはなんでしょうか?

私としては広がりつつあると思いたい
みんなが私の言うことに耳を傾けてくれていると思いたいですね
問題は、人でもなければ政府の政策でもなくシステムにあると私は考えます
システムはいわゆる資本主義のあり方のイメージそのもの
だからこそ資本主義はそういうやり方で機能する
底辺から金やリソースを奪っててっぺんに送り、金儲けのタネにするというやり方で
ビジネスのコンセプトの土台には、経済学における人間についての定義があります
経済学では人間は、個人的な利害に突き動かされる存在と定義されます
私欲に突き動かされるものだというわけです
これは経済学の基本ですが、私に言わせれば人間についての誤った解釈です
人は利他のためにも行動します
そうでなければ世界中に慈善団体が存在する理由が説明できません
現在の文明は私たちを崖っぷちに追い込んでいます
この星の上で私たち人類が生き残るための時間はあまり残されていません
この文明に殺されてしまう前に、私たちは新しい文明を創らなければならないのです

この文明は利益の最大化に基礎を置き、私たちが人の命に目を向けなくなるようしむけました
私たちはカネの依存症になってしまったのです
だから分かち合いの精神にもとづく、新しい文明を建設するのは急務です

・・・ヒトは欲に奔りがち・・・

今日は~
エンセファラルトス アエムランス/Encephalartos aemulans

去年、新芽が日光の直射でダメになったんで
日の当たる外で水ヤりをしてたけど
水ヤりしたらスグに日陰に移したり
ダイジ・ダイジにしてたけ
まあ、ハッパも無事展開、カタくなった
こうなったら、もう大丈夫
ただ、一部茶色になった部分が
日なたで水ヤりした時
水滴がレンズのように光を集めてヤケドしたと・・・
以前は、ここまで熱くならなかったんで平気だった
けど、ここまで熱くなると、それに対応しないと
で、ワタスの場合
室内のコ達の水ヤりは午前中でも遅い時間になる
どうしても熱い
で午後、建物の東、日陰で水ヤりをするように
できたら16:00すぎの、多少なりとも涼しくなる時間
これならヤケドはしないと・・・
気候の変化に対応した、お世話を・・・

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