2023年7月5日水曜日

フランスの暴動から・・・

 フランス・パリ郊外で17歳の少年が警官に射殺された事件をきっかけに国内各地へ広がった暴動は、発生から約1週間で€10億を超える損害

射殺された少年の祖母
「もううんざりです」

日本在住のフランスの方
今回の暴動について

6/14未明、地中海でリビアからイタリアへ向かおうとしている難民船が転覆し、500人超が死亡?

以前もイタリアの島の沿岸で数百人の難民が溺死した事故があった
その時は、港に並べられた死体や、精神的に参ってしまった救援隊など、数日にわたって微に入り細を穿(うが)つように悲劇的な映像が流された

ところが今回は、過去最悪レベルの事故となりそうなのに、人権を声高に叫ぶNGOのコメントもなく、事実を淡々と報道するにとどまっている
その背景にあるのは、EU各国政府の難民政策の変化
そして、主要メディアはいつものごとく、政府に歩調を合わせているのだろう
あるいは、もう難民の悲劇は珍しくなく、ニュースの価値がないのかも
ヨーロッパの国々も皆、難民問題では困窮している
密航ルートとなっている地中海のリビアとイタリア、およびリビアとマルタの間での死者・行方不明者の数は、今年はすでに最初の5カ月だけで1000人を超えた
国境の管理は、主権国家の重要な仕事の一つであり、それが機能しないと、いったい自国に誰が何人住んでいるのかがわからず、国家の体をなさなくなる
現在、EUはまさにその瀬戸際のところにいる
元来、難民というのは、庇護を求めた国で正式に難民と認定された人たちのことを指す
つまり、ボートで密航を図ったり、国境に詰めかけたり、収容所に待機したりしている人たちは、まだ難民ではなく難民希望者
彼らが正式な難民と認定されるには、難民申請をして審査を受ける必要がある
審査に通れば一定期間の滞在が可能になる
ただし、母国の状況が好転すれば戻ることが前提
審査に通らなかった人たちは、本来ならば出国しなければならないが、現在はそれがほとんど機能していない

誰もが難民になれるわけではなく、現在、シリア、アフガニスタン、イラクなど、本当に生命の危険があるとされている国以外の難民はチャンスが少ない
単に生活が苦しいでは難民申請はできない
だが実際には、チャンスが少ない国々の生活苦に苛まれた人たちが、命がけでEUに侵入してきて、さまざまな理由で申請を行う
で収拾がつかなくなっている
遭難船の乗客も、エジプト人とパキスタン人が多かったというが、どちらも、本来なら難民申請が受理されにくい国

EU各国の難民政策の変化とは、主だったものを挙げると
スウェーデンはこれまで半世紀近く、来る者はすべて受け入れ、難民と移民はほぼ同意語だった
現在180度の方向転換中
理由は治安の劇的な悪化
特に銃を使った犯罪が急増している
そこで、移民・難民の8割減を目指し、来年からは原則として永住権は与えない
犯罪者や麻薬常習者はもとより、売春に関わった者、過激派と接点のある者などは、すでに与えた滞在許可も剝奪
帰化は特に難しくする
なお、これまで多くの移民や難民を受け入れていたデンマークも、すでにスウェーデンと同じ方針

一方、EUの外壁に位置するハンガリーはセルビアとの国境に
EUの南方の飛び地ともいえるギリシャはトルコとの国境に、それぞれ柵を造った
ただギリシャは海上でも、トルコ当局との間で、難民船の熾烈(しれつ)な押し戻し合戦を展開している
それを一部のEU国が非人道的であると非難していたが、だからといってそれらの国々が積極的にその難民を手分けして引き受けるわけでもない
ギリシャにしてみれば、柵を造れないだけに、海からの難民は深刻な問題

イギリスでは法律が改正され、今後、不法入国者は難民申請ができないばかりか、見つかれば逮捕状なしに最大28日間拘束され、追放になるという(例外は18歳以下と病人など)
また、ドーバー海峡を越えて侵入する難民を防ぐため、フランスに€5億4000万(3年分)を提供し、厳重に監視してもらうことも決まった

これまで中東やアフリカから一番多く難民が流れ着いているイタリアでは、現メローニ政権が難民そのものよりも
難民を運んで暴利を得ている組織の取り締まりを強化するという
ただ、彼らは国際的なプロの犯罪組織なので、そう簡単に尻尾を掴ませるかどうかは不明

いずれにせよ、これまでドイツの主導もあり、難民の権利や人道を掲げ続けていたEUだが
今や受け入れ能力が限界を超え、治安が悪化し、国民の不満が膨張してきたことで、急速な仕切り直しが始まっている

そんな中、今なおドイツだけが従来の方針を固持しており、それどころか21/12に社民党政権になって以来、難民擁護はさらにエスカレート
最近になって難民申請の条件も帰化の条件も緩和された上
審査中に殺人を犯した難民希望者でさえ、母国に送り返すと死刑になるかもしれない、という理由で送還を拒否している状態
ドイツは、政治的に迫害されている人を庇護するということを憲法に明記している唯一の国
元々、難民には親切だったが、今ではまさに“入ってきた者勝ち”

そんなわけで、これまでなかなか統一した難民・移民対策を編み出せなかったEUだったが、6/8ようやく各国の内相が集い、大筋の方針が合意を見た
結果を言うなら、今後、EUは難民受け入れにブレーキをかけることになる(これはドイツの影響力の低下とも無関係ではないだろう)
新しい法案によれば、難民はこれまでEU域内のどこかに着地すれば、そこで難民申請ができた
今後はEU国境が厳重に見張られ、難民(希望者)はEU域内に入る前に、国境のところに新設される施設に収容される
そして、脱走しないよう監視され、身元確認が行われ、難民として認められるチャンスがあるかどうかが審査される
その結果、あるとみなされた人だけが難民申請に進み、その他の人はEUには入れず申請もできない
現在、密航の多いチュニジア、モロッコ、エジプト、バングラデシュなどからの難民希望者のほとんどは、ここで門前払いになるだろう
この法案にドイツは最後まで反対した
現内相は社民党のフェーザー氏だが、氏は子連れの難民に限り、国境での収監と審査を免除するよう強く主張
子供は学校へ行くべきであり、国境で閉じ込められ、犯罪者扱いされるのは非人道的であるという理由

ただEUは現在、まさにこの人道を行き過ぎであるとして、縮小しようとしており
フェーザー氏の主張はあっさりと却下された
法案が欧州議会に回った時点で、若干の修正はあるかもしれないが
無制限に難民を入れ続けようとするドイツはすでに孤立している
もっとも現実問題として、難民希望者や不法入国者の母国送還は簡単ではない
新しい規則ができたからといって、彼らが素直に祖国に戻るはずはないし、罪を犯した難民でさえ、彼らの母国が引き取らない限り送り返せないのが現在の国際法
しかも実を言うと、国境のところに造るという施設も、EUの内側なのか、外側なのかさえ決まっていない
つまり、すべてが絵に描いた餅になる可能性も

そこで内相会議の3日後、EUは苦肉の策として
チュニジア政府に€10億を援助
その代わりに、チュニジア政府が海岸線を監視し、難民を出さないようにするという協定を結んだ
これは、2016年にメルケル首相の主導で、EUがトルコに莫大(ばくだい)な資金を提供し、中東難民がトルコの海岸からギリシャ方面に漕ぎ出すのを阻止してもらったのと同じやり方
チュニジアには、同国だけでなく、アフリカのサハラ砂漠以南の国々から命懸けで集まってきた人が集結しており、常時、EU密航を狙っている
ちなみに難民の中で犯罪率が高いのもチュニジアやモロッコなど、本来なら難民申請の対象とはなっていない北アフリカの出身者
彼らが危険を冒してまで国を離れる原因は、貧困
だから、チュニジア政府にお金を積んで出航を阻止してもらったところで、抜本的な解決にはならない
本来なら、現地の生産性を上げ、人々が出ていかなくても済むような援助が必要であることは、皆が百も承知
しかしヨーロッパ・アメリカ(日本も)とて戦後70年間、何もしなかったわけではない
特にアフリカには莫大な開発援助を注ぎ込んだが、それがいまだに実を結んでいないだけ(それはアフリカだけのせいではないが)

日本はもっと難民を受け入れるべきだなどという声もあるが、ヨーロッパと同じ過ちを繰り返さなければならない理由はどこにもない
資金援助も、お金はどこかに蒸発してしまう可能性が高いので要注意
しかし、日本にできることもある
例えば、経済発展を望んでいるアフリカ諸国に熱効率の良い火力発電所を建てること
電気は殖産興業に役立つばかりか、夜も灯りが確保でき、また、薪やら動物の糞でなく電気で調理ができるようになるだけで、人々の生活は画期的に向上する
注ぎ込むエネルギーと出てくるエネルギーの対比は、19世紀に薪が石炭に置き換わったことで、一気に4倍から6倍も改善されたという
今の石炭火力と薪なら、科学の進歩でそのエネルギー収支の対比は当時とは比較にならないほど大きいはず
しかも、現在の日本の火力発電所は、CO2の排出も画期的に改善されている
どこの国でも、電気があってこそ産業が発展し、インフラが整備され、教育が向上し、情報が行き届き、民主主義も進んでいく
火力発電所の建設は真の援助として、難民受け入れよりもずっと効果的で、素晴らしい方法だと思う
ところが、発展途上国が切望しているせっかくの火力プラントに対し、日本政府はCO2
を排出するという理由で融資を止めてしまった
CO2削減は先進国の理念が結集したものだが、そもそも世界で本当に困った人たちを助けていない
先進国の人々は無視しているが、薪で調理をしている人たちにとっては、煤(すす)の健康被害のほうがCO2よりも危急の問題であることすら、先進国の人々は無視している
日本政府が途上国を応援するなら、現地のエリートたちの利益ではなく
貧しい人々が本当に必要としているものを提供すべきだ
そして、それこそが回り回って、間違いなく難民の命を救うことにもつながる

フランスの作家で学者のジャン=ポール・グレヴィッチ氏
ラジオ・シュッドとのインタビューで
「私はこの問題について徹底的に研究してきたが、今日ではフランス国民全員が、左派から右派まで、移民には入国にかかる費用よりも費用がかかることに同意している」
「コストに関しては、左派経済学者と右派経済学者の間に大きな違いがある。左派経済学者は財政赤字が€60億~€100億[年間]だと言っているのに対し、右派経済学者は€400億~€440億だと言っている。私自身の科学的調査によると、赤字は€200億~€250億です。」


・・・う~ん
日本は今のシャバを守るポジション
日本人は
郷に入らば郷に従う・・・って
なんで海外から来た方が強い自己主張?をするのがイヤ
なんで厳しい難民審査に・・・
それによる悲劇も

今日は~
テントウムシ

成虫と幼虫
オウレンシダに付いてる
多分、上の梅から落ちた

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