2023年7月9日日曜日

FRB債務超過に・・・日本銀行は・・・

FRB債務超過

で昨年のノムラのコラム
米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げを続ける中、FRBの赤字に迫っている
それが直ぐにFRBの利上げの大きな障害とはならない?が
FRBが政治的な圧力にさらされるきっかけに?
多少長い目で見れば、利上げを一定程度制約する要因に?

FRBに限らず、各国中銀の重要な収入源となっているのは、国債を中心とした保有債券からの利子(金利)収入
中央銀行は通常の金融政策運営をしている際にも、一定程度の国債を民間銀行から買い入れ、それと交換に中銀当座預金というマネーを民間銀行に供給
それが経済が成長していく中で必要となる銀行貸し出しや現金を生み出す原資
近年で、幾つかの中央銀行は、国債など債券を大量に買い入れるバランスシート拡大策を導入
その結果、中央銀行が買い入れた債券の利子収入は大幅増加傾向にあった
ところが今年に入ってからは、FRB、イングランド銀行(BOE)など主要中央銀行は、バランスシートを縮小させる量的引き締め(QT)を始め利子収入は減り始めている
さらに、短期の政策金利を引き上げているため、それに連動して中央銀行が民間銀行に対して支払う中銀当座預金の利払いが増加
利子収入は長期金利、利払いは短期金利と連動
中央銀行が短期金利を大幅に引き上げ、長短金利が逆転(逆イールド)すると
中央銀行の収入はネットで減り始め、いずれは経常赤字に
さらに赤字が拡大すれば債務超過

仮に中央銀行が赤字あるいは債務超過に陥っても、自らマネーを生み出し、債務返済を無制限にできる中央銀行は基本的には破綻しない
しかし赤字あるいは債務超過に陥れば、中央銀行の債務、つまり通貨の信頼性に悪影響が及び、物価高、通貨安などの弊害が生じる可能性が

さらに、中央銀行はそのネットの利子収入(利子収入―利子支払い:シニョレッジ)のほとんどを、政府に納付している
中央銀行が赤字あるいは債務超過に陥れば、この納付金が減る
あるいはまったく払えなくなり、その分政府の歳入に穴が開く
それは間接的な国民負担となることから、中央銀行がその失策を政府、議会、国民から厳しく問われることになりかねない

日本銀行の場合には、日本銀行法を改正して、独立性を制限する動きへとつながる可能性がある
こうした政治的リスクを踏まえると、中央銀行は、利上げ局面で赤字あるいは債務超過になることを、できるだけ避けようとする

FRBは2021年に、約$1,070億を国庫に納付
9月に政策金利を3.00~3.25%にまで引き上げたことで、いよいよFRBが保有債券から受け取る利子収入は、中銀当座預金とリバースレポという負債の利子支払いを下回り始めた
さらに利上げが行われた場合、FRBのネットの利子収入(シニョレッジ)は2023年に$600億程度の赤字になる、との試算も
FRBが損失を出した場合、バランスシート上に繰り延べ資産と呼ばれる借用項目が作成され
FRBが将来再び利益を計上すれば、まずはこの借金の返済を優先
それが完済した後に通常の国庫納付を行う

日本銀行の場合には、将来の金融政策正常化の過程で赤字あるいは債務超過に陥る場合
FRB以上に政治的リスクが大きい
FRBの場合には、歴史的物価高への異例な対応の結果として、国民は一定程度容認する傾向があるとみられる

日本銀行の場合にはそうではない
日本銀行が債務超過に陥り国庫納付金が停止すれば、財務省が日本銀行に公的資金を注入して債務超過の状況を解消する可能性がある
それは直接国民の税金を使うことになる
国会では、日本銀行の失策を問う声が強まり、それが日本銀行の独立性を制限する形での日本銀行法改正の議論につながる可能性が
こうした点からFRB以上に日本銀行は、利上げ局面での債務超過をなんとか回避したい

今後、多くの中央銀行で、損失リスクの議論が浮上することが予想される
その行方次第では、金融政策にも相応の影響を与えることになるだろう
他方で日本では、損失リスクがあるゆえに、日本銀行がマイナス金利解除などの正常化策に踏み切れないのではないか、という議論も
日本銀行で逆ザヤが生じるのは、短期金利が+0.18%まで引き上げられた場合
経常赤字が生じるのは、短期金利が+0.43%まで引き上げられた場合
債務超過に陥るのは短期金利が+2.6%まで引き上げられた場合とそれぞれ試算される

日本の正常化では日銀の財務リスクは大きく高まらない
アメリカでの現在の政策金利の水準まで日本銀行が短期金利を引き上げれば、日本銀行は債務超過に陥り、政治的リスクが高まることになる
しかしアメリカでの金融政策の正常化と日本での金融政策の正常化とは、全く異なるもの
日本の低金利水準は、日本銀行の政策よりも、経済の潜在力の低さに根差した側面が強い
そのため、日本銀行の正常化によって生じる金利の上昇幅はわずか
日本銀行が来年以降マイナス金利の解消を中心に正常化策を模索するとしても、現在-0.1%の政策金利は0.0%あるいは+0.1%までの引き上げにとどまるだろう
その場合、上記の試算に従えば、逆ザヤさえ生じない計算
この点から、日本銀行の財務リスクの問題が将来の正常化の妨げとなることはなく、日本銀行は強い意志さえあれば、正常化を実施することができる

・・・はあ?
そんな予測が成り立つなら
とっくに日本銀行はヤってる
それがデキないというコトは・・・
日銀砲が役にたたない時が・・・

今日は~
オオナルコユリ/Polygonatum macranthum

4月半ば~終
喰い時
さっそく収穫

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