2023年1月29日日曜日

YCCを・・・ヤめたい

 間もなく新しい日銀総裁の名前が明らかに
日銀総裁が取り組むべき金融政策の正常化は極めて険しい道のり
もしかすると任期の5年間では足りず、10年以上を要するかもしれない
・・・失敗するかも・・・

次の焦点はイールドカーブ・コントロール政策(YCC)の撤廃
そのスキームを見直すことがいかに難しいかは、昨年12月と今年1月の会合で改めてよくわかった
日銀自身ももがき苦しんでいると
・・・あたりまえ
なんせ中央銀行にとっての禁じ手なんだから

昨年の12月日会合では、長期金利の変動幅の上限を0.25⇒0.5%に引き上げた
本当は上限撤廃でもよかったが、それでは長期金利が跳ね上がり
払う国債金利が↑
しかし上限を0.5%にした後も8,9年などの年限での上昇圧力が働き続ける
やむを得ず指し値オペで10年のところの金利上昇圧力を抑えるしかなかった

1月会合では、隠し玉として共通担保資金供給オペの10年までの長期化を決める
金融機関がオペで得た資金でより金利水準の高い年限を買ってくれるから、自然とイールドカーブのゆがみは解消されると日銀は考えた

共通担保オペの長期化という対応ならば金融機関が長期国債を買ってくれる
で、日銀自身が買い切りをしなくても済む
それでも日銀のバランスシートは膨らむ
指し値オペは日銀が決めた上限を超えると、いくらでも長期国債を購入しなくてはいけない
その点、共通担保オペはいつでも止められる
必要なときにだけ長期の共通担保オペをオファーすればよい
いつでも長期金利のコントロールを弱められる点で、1月の措置は今までのYCCの縛りを緩めることにつなる
しかし長期金利が日銀の決めた上限を上回って上昇しようとする限り
長期オペを打ち続けなくてはいけない
日銀のバランスシートは膨らみ長期資金が供給され続ける
日銀は意図せざる量的緩和を続ける羽目に
インフレ率が高まるほどに日銀の資金供給は増えるというジレンマから逃れるには
やはりYCCの撤廃を決めて長期金利コントロールを停止するしかない

共通担保オペの長期化が決まったとき、これはEU中銀(ECB)が緩和ツールとして用いた長期オペではないか?
EU・アメリカの中央銀行が引き締めをしているとき
日銀が逆にECBが使った長期オペを導入するのは???

1月会合の決定は日銀が長期金利コントロールをすることのジレンマに対して本質的解決になっていない
日銀が目先のYCCのゆがみをフラットに変えようとすると
どうしても資金供給を増やさなくてはいけなくなる
YCCの撤廃論が浮上してくるのは
世界的なインフレの中で日本の長期金利が上昇することに介入しようとすると
逆に追加的に緩和強化をしなくてはいけなくなるから
日銀はその枠組みを放棄したいのだろうと多くの人が考えるから

セカンド・ベストの対応は
自然体の長期金利水準を超えるところまで長期金利の上限を引き上げるしかない
現状であれば10年の上限を1%か、1.5%へと引き上げることに?
しかし、そこまで長期金利が上昇してしまうと政府の利払い費が膨らんでしまう
企業の資金調達コストも増える
それに10年の上限を1%にすると
日銀がいよいよ出口に向かっているというメッセージになりはしないかという心配を日銀自身が抱く
日銀がまるで長期金利上昇を誘導しているのではないかとは、絶対に見られたくない

次期日銀総裁の下で、長期金利の上限を0.75%か、1%まで引き上げていくことは十分にある?
日本のインフレ率は2023年度になっても2%を超えていく可能性があるから
自然体の長期金利はしばらく上昇していくことが背景に
日銀が長期金利上昇を容認すると政治的に日銀批判が強まることは間違いない
それを次期総裁がどう説明していくかは・・・
・・・センセイ方が要求したと言っちゃえば?

そのときに日銀はYCCの限界を説得しなくてはいけない
黒田体制の下では、長期金利を完全にコントロールできる前提でYCCを決めた
・・・政府が求めたって言っちゃえ・・・

しかし2016年以降の経験で明らかになったことは
本格的に長期金利の上昇圧力が発生すると、完全なコントロールは難しくなる
完全にはコントロールできない 
ことを日本社会全体に理解してもらわないと、長期金利の上限をさらに引き上げることは困難
黒田体制からのパラダイム・チェンジ

金利操作は自然体の金利水準に合わせて政策金利を動かすものだとされてきた
マーケット・プライスへのアコモデーション(合わせて動くこと)を人為的に行っている
この人為的とはコントロールではなく、少し遅らせるか、少し強めるかという範囲でしかない
ましてや上昇する金利上昇圧力を長期にくぎ付けして我慢することは無理
この感覚を社会全体で共有するのは難しい
政府の願望、日銀が政府債務の利払いコストを可能な限り小さくすること
日銀は、その方針を黒田東彦総裁の下で実行してきた
今、それが限界に来ている
それを認めてもらうことが次期総裁の役割である
・・・さぞや腹が痛いでせう

日銀という組織は、一度自分たちが決めたことが失敗だったと認めることはできない?
前総裁の政策は誤りがあったとは決して言えない
しかし4月以降、事実上、黒田路線からの軌道修正は不可避
この仕事は本当に次期総裁にとってつらいものと・・・

日本銀行が打ち出した共通担保資金供給オペの拡充に
市場参加者

 スワップ金利は日銀金融政策決定会合前、一時1%超まで上昇
日銀がYCCを撤廃した後の金利水準が意識され、0.5%付近で推移していた長期金利の2倍に
18日の決定会合で共通担保オペ拡充が発表されたことを受け、スワップは一時0.7%台と長期金利を上回る幅で低下

日銀が国債を購入して長期金利を直接引き下げるYCCと違い
共通担保オペは資金供給を受けた金融機関にスワップ市場での取引を促し金利を低下させるのが狙い
日銀の関与は間接的だが、黒田東彦総裁は18日の会見で
金融機関がスワップその他で裁定行動をして長めの金利低下を促すことができると・・・
さらに共通担保オペについて
「必要に応じてさまざまな年限や方式を有効に組み合わせながら実施していく」
実際に日銀は27日午後、2度目の5年物の共通担保オペを31日に実施すると発表

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト
共通担保オペ拡充は市場参加者からスワップ版YCCと皮肉を込めて呼ばれている
スワップ金利の人為的な押し下げはスワップが持つリスクヘッジ(回避)機能低下につながる
「いずれ誰もこの市場で金利の将来経路を予想できなくなる」

ちよし証券の愛宕伸康チーフエコノミスト
日銀がスワップ金利まで操作しようとすると
「市場が発する将来金利についてのサインを読み取ることができなくなる」

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブエコノミスト
「そうした操作自体が市場の自由な取引を阻害し、市場機能を低下させてしまう」

スワップは変動金利を固定金利と一定期間交換する取引
外国人投資家が主導
金利上昇を予想すれば固定金利を支払って変動金利を受け取り
金利低下を予想すれば逆の取引をする
無担保コール翌日物金利の将来予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)はその中心で、金利変動リスクを避ける目的でも利用される

10年物スワップ金利は20日に下げ止まった後、再びじわじわと上昇
26日時点で0.8%台まで反発
バークレイズ証券の海老原慎司チーフ債券ストラテジスト
金融機関の資産拡大への忌避感や担保の限界から
共通担保オペも
「無限大のツールではない。今はまだ効果の余韻が残っているが、少し時間がたてばそれも薄れてくるだろう」
日銀の大規模な国債買い入れを受けて、新発債を含む10年物4銘柄の日銀保有比率は20日時点で100%を超えた
YCCの限界を意識する外国人投資家が
3,4月の日銀会合に向けて再びスワップの払いに注力する可能性もあり
いずれの会合も政策変更の可能性を警戒するライブな会合にならざるを得ない

・・・日本銀行も大変だわ
まあ、日本銀行が
センセイに忖度しないで原則を貫けば・・・
黒田さんに
自分の首が飛ぶ覚悟が無かった結果

・・・YCCはセンセイ方の
尻ぬぐいの結果
国民の皆様も
そのセンセイを選んだ責任が・・・

今日は~
カノコユリ/Lilium speciosum赤
8月の終わり
咲き始め
いい感じ

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