2022年4月17日日曜日

ドゥームスクローリングって

悲惨な出来事に関するニュースを読み続けてしまうドゥームスクローリング(Doomscrolling)について、専門家が解説

Ukraine doomscrolling can harm your cognition as well as your mood – here's what to do about it
https://theconversation.com/ukraine-doomscrolling-can-harm-your-cognition-as-well-as-your-mood-heres-what-to-do-about-it-178923
ケンブリッジ大学臨床神経心理学教授のバーバラ・サハキアン氏ら
面白い映画などから元気をもらったり、逆に悲しいドラマなどで気分が落ち込んだりしてしまうのには、気分誘導共感という2つの心理現象が関わっていると
このうち、気分誘導には気分の調節に重要な働きを持つ神経伝達物質のセロトニンが深く関わっています
例えば、悲しい音楽を流して気分誘導を行うと、健康な人でもセロトニンが減少してしまう
逆にセロトニンを増加させる薬剤を用いた薬物療法が、うつ病や不安障害の治療に有効な場合がある
また、共感は他の人とうまく共存し豊かな社会生活を送る上でプラスとなる特性
世界で起きている悲惨な出来事に過度に共感してしまうと
これがきっかけでセロトニンレベルが低下してしまうことも

このようなメカニズムで気分が落ち込むと、注意力や記憶力といった認知機能が低下
本来なら他のことに振り向けられたはずの認知力を消耗
そして、「悪いことばかり起きる」「悲惨な状況がいつまでたっても終わらない」
といった閉そく感から無気力な状態になり
ますますネガティブな情報の収集ばかりしてまうという悪循環が
これが、スマートフォンのブラウザやニュースアプリを延々とスクロールして悪い情報を見続けてしまうドゥームスクローリングの正体

実は、ドゥームスクローリングの原因になる認知力の消耗を引き起こすのは
悲惨なニュースだけではありません
読書中の学生の携帯電話にインスタントメッセージを受信させる実験で
インスタントメッセージに邪魔されたグループは読書完了までの時間が著しく長くなり
ストレスレベルも高かったことが確かめられてる

このことからサハキアン氏らは
「認知力の低下はネガティブなコンテンツの消費だけでなく、そうした情報にアクセスするのに使っているテクノロジーによっても引き起こされるものなのです。これは最終的に、職場や学校などの社会的な場所でのパフォーマンスに影響を及ぼす危険性があります」
悲しいニュースや、それを見るのに使っているスマートフォンの影響で注意力が低下すると
それ自体が不安の原因となり、ウェルビーイングが妨げられ
また、ひどい場合強迫性障害に見られるような繰り返し行動につながり
延々と同じ検索ワードで検索したり同じ記事を読んだりすることに

サハキアン氏らは、本を読んだり映画を見たりして気を紛らわせることや
運動をしたり友だちと会ったりして気分転換することを推奨
また、ウクライナの人を支援するチャリティーに参加するといった具体的な行動を起こすことでも、状況が改善
例えば、ある研究では親切な行動をすることで脳の報酬系が活性化
物事を好転させようとする気力がわいてくる
もし、これらの行動でもドゥームスクローリングが治らない場合は
臨床心理士に相談して認知行動療法を受けるのもいい
ドゥームスクローリングはネガティブな気分誘導が原因の1つなので
専門家の指導の下でポジティブな気分誘導をすると、気分が上向きになる可能性がある

その上でサハキアン氏らは
「グローバル化した現代社会では、テクノロジーの発達によりいいニュースも悪いニュースも含めた情報や刺激があふれています。そんな社会の中では、進むべき方向を定めて他のことに気を取られないようにすることが大切です。紛争や気候変動も確かに重要ですが、落ち込んで認知力が低下してしまったら、そのようなグローバルな問題の解決に貢献することもできません」

・・・自分がナニモノで
ナニができ、ナニをしたいのか
ソレをフまえた上で・・・

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