2022年4月8日金曜日

中国・ウクライナ友好協力条約

2013/12/3~6にかけて、当時のウクライナのヤヌコーヴィチ大統領は国賓として中国に招かれ5日に北京で習近平と首脳会談
共同声明を発表すると同時に中国・ウクライナ友好協力条約を締結
両国の戦略的パートナーシップを約束した共同声明の第二項に
――双方は、国家の主権、統一、領土の一体性に関する相互の確固たる支援が、両国の戦略的パートナーシップの重要な要素であることを強調した。
双方は、自国の状況に応じて選択した開発の道を断固として支持し、国家の独立、主権及び領土保全を維持し、政治と社会の安定を保障し、民族経済を発展させる努力を支持する。
いずれの当事者も、国内法および国際条約に従い、他方の当事者の主権、安全保障または領保全を損ねる分裂、テロ、過激派組織またはグループを自国の領土において設置することを絶対に許さず、その活動を禁止する。
ウクライナは一つの中国政策を強く支持し、中華人民共和国政府は中国全体を代表する唯一の合法的な政府であり、台湾は中国の領土の不可分な部分であり、いかなる形態の台湾独立にも反対し、相互関係の平和的発展と中国の平和的再統一の大義を支持すると認めた。
中国は、ウクライナが核兵器所有を放棄し、1968年7月1日に調印された「核兵器不拡散条約」に非核保有国として参加したことを高く評価する。
 中国は、国連安保理決議984および1994年12月4日に中国がウクライナに対して交わした安全保障に関する中国政府の声明に基づき
非核保有国であるウクライナに対して核兵器の使用または脅威を与えないことを無条件に承諾する。
さらに、もし、ウクライナが核兵器の使用によって侵略された場合、またはそのような侵略の脅威に晒された場合は
中国はウクライナにそれ相応の安全保障を提供することを約束する。

ここにある国連安保理決議984とは1995年に決議された決議
非核保有国に対する核兵器の使用に反対し、安全保障上の確証を与えた決議

1994/12/4に中国がウクライナに対して交わした 安全保障に関する中国政府の声明は
中華人民共和国国務院公報 1994年12月12日 第29号(総号:778)の1132ページにある
共同声明文書を忠実に翻訳したので堅苦しく、かえって理解を妨げるかもしれないが要は
中国はウクライナが核攻撃を受けるような事態になれば、ウクライナ側に立って、攻撃してくる相手国と戦う準備がある
ことを約束した

もしプーチンがウクライナに核攻撃をするようなことがあったら、習近平はウクライナ側に立ち、プーチンを敵として戦う
ということ

中国ウクライナ友好協力条約は21条から成っており、上記共同声明は、いくつかに分かれて記載されている
その中の第4条に
――中国は、ウクライナが核兵器を一方的に放棄したことと、非核兵器国として、1968年7月1日に署名された核兵器不拡散条約に加盟したことを高く評価する。
中国は、1994年12月4日のウクライナへの安全保障の提供に関する中国政府の声明に従い、非核保有国であるウクライナに対して核兵器の使用または脅威を与えないことを、無条件に承諾する。

これは
中国がウクライナに対しては、如何なることがあろうとも核攻撃しないことを約束する
共同声明はいくつかの条項に分かれて成立している条約の精神を謳ったもの
いずれにせよ習近平はウクライナと約束した条約の精神を守らなければならない

習近平がウクライナと交わした条約には、習近平の署名もあり、ウクライナとの友好条約を破棄しない限り
プーチンが核兵器を用いれば、中国軍がロシア軍と戦わなければならないことになる

しかし現状で中国とロシアが戦うなどということは想定しにくいので
習近平はプーチンを説得する以外に、道はない?

一方では、中国・ロシア間にも友好条約がある
2001/7/16にモスクワで江沢民とプーチンが締結した中国・ロシア隣友好協力条約
条約の有効期間は20年間
それ以降はどちらか一方が1年前に取り消しの意思表示をしなければ、5年ごとに自動延長されることになっている
2021/6/28には、中国・ロシア善隣友好協力条約締結20周年記念を祝って
習近平とプーチンが共同声明
中国・ロシア善隣友好協力条約は延長された

中国・ロシア善隣友好協力条約の第九条には
――もし締約国の一方が、平和が脅かされ、平和が破壊され、あるいは一方の締約国に対する安全利益に抵触し、侵略の脅威を伴うとみなされた場合は
両締約国は直ちに連絡して協議する

第九条は事実上の防衛協定に相当する
しかし今般のように、ロシアがウクライナを侵略しているのだから、この第九条は該当しない
第九条は、たとえばアメリカから中国・ロシアどちらかの国が軍事攻撃された場合に、条約の効力を発揮する可能性が出てくる
ロシアが他国を軍事攻撃した場合には該当せず
当然 中国ウクライナ友好協力条約の方が優先される?
したがってプーチンと戦いたくなかったら、習近平はプーチンを停戦に向かって動くように説得する以外にない?

事実、実はプーチンがウクライナ軍事侵攻を始めた2/24の翌日
2/25習近平はプーチンに電話して、話し合いによる解決を要求
プーチンもまた話し合いによる解決に応じている

こうして停戦交渉が2/28から始まったのだ
プーチンは交渉をしながらも軍事攻撃をやめないので、停戦交渉はあまり進んでいない
停戦交渉において、ウクライナのNATO加盟をウクライナ側は実質上取り下げているも同然なので
停戦の実現性が低いわけではない

一方、国連における対露非難決議に対して棄権した中国とインドの両外相(中国の王毅とインドのジャイシャンカル)
3/25ニューデリーで会談し
ウクライナに関して対話による平和的解決の方向で意見が一致した

プーチンは全世界からの批難と強い制裁により、経済的には習近平に頼るしかないところに追い込まれている
対ロシア非難決議を棄権してくれたインドとも友好を保っておかないと
インドはアメリカ側に寄ってしまい
プーチンは手痛い目に遭うので気が気ではないだろう

この中国とインドが、話し合いによる平和的解決しかない、と意思表示しているので
水面下ではそれなりのプレッシャーをロシアに掛けていることが考えられる

一方、3/22ウクライナのアンドリー・ヤーマク大統領府長官
王立国際問題研究所チャタムハウスでのビデオ会議
「中国の指導者とウクライナ大統領の会談が近い将来に行われ、中国がウクライナの安全保障システムの形成に非常に重要な役割を果たし、安全保障の保証人の1人として行動することを期待している」

保証人の1人、という言葉は
ウクライナ大統領府は必ずしも中国一国に向かって依頼しているのではなく
ロシアを含めた国連安保理常任理事国や、第二次世界大戦の戦勝国ではないが今やEUあるいはNATOで大きな力を持っているドイツなどにも声をかけている?
その上でヤーマク大統領府長官の言葉を引用すると
彼は
「中国の参加は将来の安全保障体制を大幅に強化する」
「中国は国際舞台で影響力のあるプレーヤーであり、ウクライナ最大の貿易相手国である」
「現在、中国は中立の立場をとっているとわれわれはみなしているが、われわれから見れば世界のリーダーの一人である中国は、この戦争を終わらせ、新しい安全保障システムを構築するために、より大きな役割を果たすべきだ」

ゼレンスキー大統領も、もうNATO加盟は望んでないとして
新しい安全保障システムの構築、を訴えている
その構築のためにウクライナが中国を名指ししてここまで持ち上げるのは
中国ウクライナ友好協力条約があるから?
対ロシア制裁をどんなに強化しても、習近平の軍冷経熱、という対ロシア戦略がある限り
制裁の有効性は低くなる
習近平には即刻、停戦実現に向けて強く動かなければならない義務が?

・・・もし、かの国が本気?で条約を守るなら
ロシアは戦術核でも使えない
ただ
条約は破られる為にある とも・・・
おそロシア軍は脆弱?
となると
かの国の頭には
核戦争のリスクさえが無ければ
アムール河を超え北上
東へウラル山脈まで侵攻
・・・

今日は~
紅梅

3月半ば
咲き始め

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