2022年4月11日月曜日

現代の破戒坊主

2016年、滋賀県甲賀市の古刹、大岡寺から15年前に姿を消した国の重要文化財
木造千手観音立像と木造阿弥陀如来立像の2体の仏像が
複数のブローカーの手を経て、東京都品川区の安楽寺に渡っていたことが判明

その後、大津地裁で、この2体の仏像の所有権をめぐる両寺の争いが繰り広げられた
大津地裁は18年、安楽寺に対し仏像を大岡寺に戻すよう命じる判決を下した
ところが、その判決から約1年後の19年
2体の仏像が大岡寺から安楽寺に〈無償譲渡〉され
さらにその2年後の21年、安楽寺から、熱海の美術館を運営する東京都千代田区の財団に売却されていた
2体の仏像は判決後も、安住の地を得られないまま、彷徨い続けていた

 一体、なぜ、そんなことが起こったのか……。私は、ことの真相を確認するため、大岡寺から仏像2体の〈無償譲渡〉を受け、さらにそれを千代田区の財団に売却した当時の安楽寺の住職Aを直撃したところ、冒頭のように彼は何も答えようとはしなかったのだ。

大岡寺から仏像2体の〈無償譲渡〉を受け、さらにそれを千代田区の財団に売却した当時の安楽寺の住職Aは21/7/25付で
安楽寺の包括宗教法人である天台宗から擯斥
一般社会でいうところの懲戒免職処分を受けた
安楽寺の法人登記を確認しても、A氏は21年7月25日付で退任となっている

天台宗関係者
「A氏にはもともと浪費癖があり、10数年前から、(安楽)寺の所有する土地などを担保に金融機関などからお金を借りるだけでなく、それらの不動産を(天台宗)本山に無断で処分していたのです」
安楽寺は天台宗の被包括法人
被包括法人が寺の不動産や宝物などの財産を処分する場合、包括法人である天台宗の承認を得なければならない
「天台宗では、(末)寺の不動産を担保に供することさえも宗規で禁じています。末寺の土地や宝物は、その寺のものではなく、『天台宗のもの』ですから。しかしA氏はそれを無視し、ゴルフ仲間だった不動産ブローカーと組んで、不動産売買にのめり込み、数億の負債を抱えたのです」
かつて、安楽寺の目の前には別院五雲閣という葬祭場があった
そこには現在マンションが建っている
A氏はここも借金の担保に入れてしまい、そのカタに取られてしまった
住職にとって禁じ手である、寺の財産に手を付けていたA氏
そんなA氏のもとに、2体の仏像が持ち込まれたことから、彼の浪費は一気に加速
負債も膨れ上がっていった
「安楽寺に仏像を持ち込んだのは、A氏の幼馴染で、檀家でもあった建設業者のB氏
誰がB氏に仏像を引き渡したのかは知りませんが、B氏が第三者から借金のカタに取り上げたと聞きました
二人は初めから、仏像を売り払うつもりでした
ただ、一個人であるB氏の所有より、安楽寺の所有としたほうが高く売れるだろうと踏んだ2人
B氏からの寄進という形で、安楽寺の所有という体裁を整えたのです」
A氏は2体合わせて50億で売れると皮算用していた
その売却益を見込んでさらに借金を重ね
「自分にはベントレー、息子にはジープを買い与え、60フィートのクルーザーに、ヨットハーバー近くのマンション、山中湖に別荘を購入する」
 一方で、仏像を譲って欲しいという申し出も何件かはあったようだが、二人があまりに高値をふっかけたため、なかなか売れず、A氏は逆に借金を重ねることに

そうした中で、安楽寺は18年、所有権の確認を求めた裁判で敗訴
だが、A氏にとってこの仏像は膨れ上がった借金を返すための最後の切り札
簡単に諦めて、大岡寺に引き渡すわけにはいかない
大岡寺から“無償譲渡”を持ちかけられたのはそんな時で、A氏にとっては願ってもない申し出だった?
しかしなぜ?
大岡寺関係者
「一審で敗訴した後も、安楽寺が仏像を欲しがっていることに目をつけたXは、(大岡寺の)住職に無断で、安楽寺に仏像の譲渡を持ちかけた」
表向きは〈無償譲渡〉としながら、実際は有償譲渡
安楽寺から大岡寺に約¥8500万が支払われた?
X氏は「もっと低い(金額)」と主張

この金額は、重要文化財の仏像の“相場”からみて安い方
既に借金で首が回らなくなっていたA氏が用意できる金額としては、これが限界だった?
また同時に、A氏には「ここで8500万円を支払っても、もっと高い金額で仏像を売却できる」
という確信があったからこそ、この取引に応じたはず

しかし、借金塗れとなった安楽寺の危機的な財政状況はほどなく、同寺を管轄する天台宗の東京教区宗務」を通じ、本山の耳に
天台宗の行政上のトップ、天台宗務庁は21/1から、A氏の事情聴取を始めた

天台宗東京教区宗務所の所長(同宗東京教区の総責任者)
「A氏が、安楽寺の財産を本山に断りもなく処分したことは事実です。1月から宗務庁による事情聴取が始まり、3月に入って正式に“事件化”し、天台宗における裁判、『審判』が始まりました。その審判の結果、A氏は7月25日付で擯斥処分を受けたのです」
ところが、審判が始まり、擯斥処分は免れないと悟ったA氏
3/5熱海の美術館を運営する千代田区の財団に、仏像2体を売却
「A氏は当初、2体の仏像を、中国に売ろうとしていたようですが、その目論見もコロナ禍で潰えた。そこで、処分を受け、安楽寺から放逐される前に、仏像を現金に換えてしまおうと思ったのでしょう。熱海の美術館に『2億3000万円』で売却したと聞きました。(売却益は)自分の借金の返済に充てたようです」

天台宗務庁は、A氏と同時期に、同じく品川区にある観音」の住職で、A氏の僧侶の後輩でもあるC氏を事情聴取
A氏はC氏を土地取引に巻き込んでおり、C氏もまた本山に無断で観音寺の不動産を処分し、莫大な負債を抱え込む
さらにA氏は、すでに負債を抱えていたC氏から
「仏像が売れたら返すからと、1億1500万円もの金を借りていた」
観音寺は、都内の天台宗の寺院の中でも、有数の資産を持つ寺として知られていた
最終的には他の寺から3億円の借金をするなど首が回らなくなっていた

天台宗務庁による審判の結果、A氏に巻き込まれた観音寺住職のC氏も21/9/27付で擯斥処分
天台宗僧侶の身分を剥奪された
その処分から6日後の10/3の未明、C氏は自ら命を絶っている

「僧侶の先輩で、日頃から世話になっていたA氏から誘われるままに不動産取引にのめり込み、気がつけば、自分ではどうしようもない額にまで負債が膨れ上がっていた。なんとか寺の財政を立て直そうと悩み、もがいた末に、自死を選んだのでしょう。彼はもちろん、残された家族が不憫でなりません」

安楽寺と観音寺の法人登記によると、A、C両氏が擯斥処分を受けた後
ともに小林祖承という人物が代表役員代務者として就いている
「小林さんは、天台宗の『参務』。天台宗の責任役員であり、天台宗全体の財産に責任を負っている方です。宗務庁での肩書きは『総務部長』。その小林さんが今回、(天台宗のトップである)宗務総長の命を受けた『特命代務』として、両寺の代表役員代務者に送り込まれた。このことからも分かるように、今回、A氏が起こした問題は、被害額の大きさや、その内容からみて、天台宗にとって前代未聞の大事件であることは間違いありません」

本間弁護士
「確かに、被包括法人が不動産や、財産目録に掲げる宝物を処分する際は、その宗派(包括法人)の代表役員の承認や、公告が必要とされ(宗教法人法23条)、これら正規の手続きを経ずに行われた譲渡(売買)は無効とされます(24条)。
ただし、それは、あくまで〈財産目録に掲げる宝物〉が対象で、もし、安楽寺が仏像を財産目録に掲げないまま、売却していたとしたら、宗教法人法上、問題とはならないのです」

小林祖承・総務部長
「然るべき対応をとるつもりです」
「今回の件はまずもって、安楽寺、観音寺の檀信徒さんに申し訳なく思っています。
我々の最大の使命は、このふたつの寺を守り、存続させることにあります。現在も、(両寺が抱えた)負債の調査を継続していますが、財務状況は非常に厳しく、まずはこのふたつの寺の立て直しに全力を注ぎたいと考えています。
しかしながら、(不動産や仏像の処分の過程で)不法、違法行為が行われていたとすれば、宗教法人として社会的に許されることではなく、天台宗として然るべき対応をとるつもりです」

一方の大岡寺では……
一方、無償譲渡としながら、実際は仏像2体を有償で安楽寺に売却していた大岡寺
別の疑惑が浮上している

大岡寺関係者
「実は、この仏像の(大岡寺から安楽寺への有償)譲渡には、(指定暴力団)会津小鉄会の大幹部も絡んでいる。その大幹部とXは数十年来の付き合いで、Xは、その大幹部が『親』となった頼母子講にも入っている。
そして、安楽寺から大岡寺に『預かり保証金』名目で¥約8500万が支払われた後、 Xから大幹部に約¥500万が謝礼として流れたんだ」

X氏は長年にわたる暴力団密接交際者
X氏
「まったく知りませんね。そんな話、一切ありませんわ」
X氏は、くだんの会津小鉄会の大幹部との面識と
その幹部が親となった頼母子講に、子として参加していることは認めた

・・・いわゆる破戒坊主はいたけど
今時こんなコトが
天台宗は統治に失敗してるとしか
今に合わせた仕組み、ルール作りが・・・
なぜ刑事告発しないのか?

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