2021年9月21日火曜日

エネルギー2題

天然ガスの需給が逼迫し、価格が高騰
EU欧州議会議員
「ロシア大手エネルギー企業ガスプロムが天然ガスをバルト海経由でドイツに運ぶガスパイプライン『ノルドストリーム2』を巡り、EUに圧力をかけているためだ」
一方、イギリスでは思わぬ天然ガス危機が

アメリカ エネルギー情報局(EIA)
天然ガス先物取引価格は昨年6月に$1.482/mmBtu(百万英国熱量単位)で底を打ってから上昇
2021/9/14には同$5.26を記録
3.55倍の高騰
この価格は日本やヨーロッパでは2倍から3倍跳ね上がる
昨冬の大寒波とコロナ危機からの回復に伴う中国やアジアの需要増大が原因

世界最大の天然ガス産出国はアメリカ、2番目はロシア
冬に向けヨーロッパではエネルギー価格が家計を圧迫し始めている
EU議会議員の有志グループはEUの行政執行機関、EU委員会に対し
「われわれはガスプロムによる意図的な市場操作とEUの競争ルール違反の可能性について早急に調査を開始するよう求める」

EUは天然ガス輸入の約4割をロシアに依存
2008年のジョージア(旧グルジア)危機、14年のクリミア危機を経験したヨーロッパは輸入元の分散、再生可能エネルギーの拡大によりロシアへのエネルギー依存を減らそうとしてきた
しかしロシアにガス栓を止められると簡単にエネルギー危機に陥ってしまう
冬には凍死者が出るかも
ノルドストリーム2はウクライナを通らずにロシア産天然ガスをドイツに送る海底ガスパイプライン
今月11日に工事は完了したものの、ロシアへのエネルギー依存を高める上、パイプライン通過収入を得てきたウクライナへの打撃になるとして、ヨーロッパ・アメリカ諸国には依然として根強い反対論がくすぶる

ロシアが年内稼働を確実にするため、天然ガスの需給逼迫に乗じてヨーロッパへの供給量を絞っているのではないかとEU議会議員は疑っている
ノルドストリーム2が稼働すればドイツはロシアからの天然ガス輸入量を事実上2倍にできる
資源国ロシアと製造国ドイツの紐帯をさらに強める地政学上の巨大プロジェクトで、ドイツは基本的に前向き

ロシア側は意図的な市場操作を全面的に否定
「ノルドストリーム2の早期稼働こそ欧州に天然ガス価格の安定をもたらす」
と一刻も早くガスパイプラインの使用を認めるようせっついている
ここまでなら、これまでにも幾度となく繰り返されてきたストーリー
だが、イギリスでは予想もしていなかった事態が

イギリスは島国の上、天然ガスの備蓄が十分ではない
8月に入ってから中小のエネルギー供給会社5社が倒産
2200万世帯以上がガス供給を受け、ガス需要の38%が家庭用暖房に、29%が発電に使われている
うち1500万世帯は供給会社が請求できる価格の上限が定められているため、ガス価格が上がると赤字に

イギリスでは1990年代後半に電力・ガスの小売りが自由化された
フィナンシャル・タイムズによると、40社以上の零細供給会社だけでなく、大手企業の倒産も懸念される
今年初めに50社以上あった供給会社は冬には6~10社に淘汰されているだろうとも
これまでに倒産した5社の57万人は規制当局によって別の供給会社に振り替えられた
今後も倒産が続けば、別の供給会社が引き受ける方針
政府はエネルギーの安定供給を守るため、£数十億規模の緊急対策を検討していると
イギリスでは民営化されていた鉄道事業がコロナ危機で乗客が激減
経営破綻を回避するため事実上、まるごと国有化され
自由化された小売りの電力市場にも政府が介入する可能性が

天然ガスの高騰で副産物である二酸化炭素の生産も滞り、発泡酒やビール、食肉、肥料工場が深刻な影響を受けている
二酸化炭素は家畜を屠殺する前に気絶させるために使用される
イギリス食肉業界は現在ある二酸化炭素の在庫がなくなると食肉の生産ラインが2週間以内に止まる恐れがある
すでに採算がとれなくなり、殺処分を迫られている養豚場も
食肉の真空パック工程で使用される二酸化炭素がなければ賞味期限が最大で5日間も短くなるという

天然ガスは肥料工場の動力源で、肥料の生産にも使われる
このため2つの工場が無期限の操業停止に追い込まれた
その過程で出る二酸化炭素の生産も必然的にストップ

天然ガスの高騰がもたらしたエネルギー危機は、イギリスのEU離脱によるトランク運転手、食肉処理工場の労働者不足という問題を一段と悪化させた
EU離脱でヨーロッパのサプライチェーンからも分断されたため、ちょっとした需給の逼迫がすぐに危機に直結してしまう

二酸化炭素が不足すると果物や野菜の生産にも影響が出る
作物を育てるために温室に二酸化炭素を送り込んでいるから

医療分野でも外科手術に二酸化炭素が使用されてる

・・・空気中から抽出
たぶんコストが・・・

エネルギー絡みで水素
「水素なんて未来永劫(えいごう)可能性がない」というのはかなりプロパガンダ臭い
一方で「水素こそエネルギー問題を完全に解決する新技術である」というのは多分ポジショントーク
インフラの普及でも、エネルギー当たりのコストでもまだ水素は可能性の芽生え
現状の実力を持って、主要な選択肢の中にカウントするのは・・・
水素は”作る””運う””使う”の3つの側面に分けて考えていくべき
トヨタは使うのところについてステップバイステップで、ソリューションを提案し続けている
具体的には燃料電池(FC)スタックを開発し、主に燃料電池車(FCEV)MIRAIで数をさばきつつ
そのFCスタックをさまざまに外販拡張しようと考えている
トラック、バス、鉄道、店舗、工事現場などで使う移動可能な発電機など
そしてそうした汎用FCスタックとしては、従来比で革命的なコストパフォーマンスを提供することに成功した
”使う”のところではFCスタックベースのものはかなり実用段階まで到達している
コストはさらに下げられるに越したことはないが、少なくとも使う側が
場合によっては採算に合う、ところまで来たという意味では、バッテリー電気自動車(BEV)に比べてもさほど遜色ない
ただしこれはあくまで”使う”の部分で、”運ぶ”に属するインフラはまた別の話

これに加えて、内燃機関の燃料として水素を使う水素エンジンの開発を行い、カローラスポーツをベースにしたレース車両で、スーパー耐久シリーズに研究中車両として賞典外で出場し技術熟成を図っている
コレに関しては、FCEVほどの完成度はまだないが、とりあえず補給と航続距離という問題をさておけば、走行中だけならレースが成立する速さがあることを立証
ただし、これはまだ近未来技術に類する部類で、FCEVの領域に並ぶにはまだまだ遠い
一方で夢見られるメリットもまた多い
それは人類が140年にわたって開発改良し続けてきた内燃機関の技術を生かせる道につながるから

そこで使用する水素はどうやって作るのか? 
トヨタはまたもやお金や技術を出してさまざまな取り組みをやっている
京浜地区の風力発電由来のハマウイングもあれば、浪江町の太陽光由来の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)、さらに九州では地熱による地産地消型の小規模地熱発電ベースの開発も進めている
これらはどれも実証実験であり、いずれ商用化するために運用しながら、オンザジョブで研究開発を進めている
もう少し踏み込んで説明すれば人口40万都市(国内地方都市の平均的モデル)の補完的エネルギーとして
例えば災害時にエッセンシャルワークに電力を回すためにどうするかという実験
災害時のためだけにインフラ整備はできないので、そういう時に役立てる技術として、普段から回しておかないと具合が悪い
それにはどこにどれだけの設備を持ち、どの程度のコストでどのくらいの量の水素を消費するインフラデザインにすべきか、それを求めるための実証実験

新エネルギーに求められるのは、やはり環境負荷
そのため、これまでは環境負荷が極めて低く、カーボンニュートラルというより、むしろゼロカーボンを志向してきた
そうやって理想の形を求めていく過程で、それ以外のアプローチがあることが徐々に見えてきた
それが意外や意外、褐炭ベースの水素というソリューション
これまで、褐炭ベースの水素は敬遠されてきた
水素への変換時にCO2が発生してしまうことが大きかった
環境負荷が高いなら石油で構わないということになる
それを解決する方法として期待され続けてきたのが二酸化炭素回収技術であるCCS
資源エネルギー庁のwebサイトから説明文
CCSとは、Carbon dioxide Capture and Storageの略
日本語では二酸化炭素回収・貯留技術と呼ばれます
発電所や化学工場などから排出されたCO2を、ほかの気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入するというもの
これが過去の資源エネルギー庁のレポートなどでは、コスト的にかなり難しいと・・・

そのCCSのコストは実はいうほどには高くなかった
従来手法での採掘限界に達した油田では、地中にCO2を圧送することで、原油に圧力を掛けて採掘している
すなわち、原油価格で十分に回収できる程度のコストでCCSは可能になる
となると話は変わってくる
褐炭由来は環境負荷が高い、という先入観は・・・
まあ最初からゼロの方が分かりやすい、のは間違いない
褐炭はそもそもFランクの石炭
クズ石炭。世界中に広く分布していて、利用価値も低い
量があって需要が低いから単価は安い
水素化する時のCO2さえ対策できれば”作る”の部分はメリットだらけになる
再生可能エネルギーベースの水素とは明確にコスト差がつけられる

褐炭は採掘時に水分を多量に含んでおり、これが熱量を吸収してしまうから燃やしても効率が低い
ところがこれを事前に乾燥させると今度は自然発火しやすい面倒なところがある
だから褐炭のまま輸送するのはリスクが高い
なので産出国、例えばオーストラリアで水素化を行いCCSでCO2を除外する
気体のままの水素は輸送効率が悪い
水素は分子が小さく、いろんな物体を透過する性質があり密閉しにくい
できれば液化したいのだが水素はそう簡単に液化できない
触媒を使って例えば窒素などとの化学反応で液化させることは可能で、アンモニアやギ酸などに変換できるのだが
化学系の反応を使うと、元の純度にほぼ戻せない
エンジンで燃やす分には問題なくとも純度が低いとFCには使えない
高純度を保ちつつ、まともな輸送効率を実現するには、沸点以下に温度を下げて液化させるしかない
ところが水素はこの沸点が-253℃と極めて低く、冷やすのも難しく、エネルギーを食う
しかし液体水素を作りたい場所にはCCSによってカーボンニュートラル化された水素が大量にある
その水素を燃やしてガスタービン発電機を回せば、冷却によるコスト的負荷は低くできる

川崎重工と岩谷産業、それに電源開発の3社を中心としたスキームで、他にシェルジャパン、丸紅、ENEOS、川崎汽船などがジョイントして
オーストラリアの安価な褐炭で水素を作り、冷却式で液化水素化して、水素運搬船で日本へ運び、さらにそれを消費地へデリバリーするプロジェクトが
で・川崎重工による水素運搬船
液体水素タンクは、いわゆる魔法瓶構造で、二重壁の間を真空引きして熱伝導的に断熱し、放射損失は反射素材で防止するという極めて伝統的手法
川崎重工側から、例として挙げられたのは
100℃の熱湯をこのタンクに入れて、1カ月間放置しても温度は1℃しか下がらない
つまり輸送中は保冷のためのエネルギーがいらない
CCSと、水素ガスタービン発電での冷却、輸送中の保冷まではほぼ解決される
残る2つの内1つは輸送そのもののコスト
これを解決するのは輸送船の大型化と大量輸送なのだそう
今回の商用実証船より大型の輸送船を開発
これを80隻ほどに増やせば大幅にコストが低減
天然ガスより少し高い程度に持っていける試算ができているそう
今後炭素税などが導入されて天然ガスにこれが課税されれば、価格は逆転するかも・・・

最後の1つは、水素をエンドユーザーにデリバリーする部分
例えば水素ステーション
これはもう地道に拠点を増やし、そのためには充填に必要な資格制限などの規制を緩和していくしかない

・・・トヨタと川崎が組むっていうし
ただ水素ステーション
お高いんだよね~

今日は~
多肉

外れた、折れたetcの
1つづつ植えるのがメンドウ
なんでまとめて植えた
植えた時はタップリ水やりして
根っこを落ち着かせ
その後は水は切り気味
いくつかは、お星様になる?
いくつ残るのか?

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