マルチ商法などの悪徳商法の手口が巧妙に
ライターの雨宮純氏
「街コンや起業セミナーなどあらゆるところに構成員がいる。洗脳するまで商材を見せないという点で、手口は非常に悪質だ。ある20代女性は、同じ組織の構成員と寝食をともにしながら毎月15万円を上納することになった」
「最初はあのお店がそんな場所だとは、まったく知りませんでした」
繁華街にある、小ぎれいでリーズナブルなダイニングバー
カクテルは1杯300円,食事の味も悪くない,
何も知らなければ、単にコストパフォーマンスの良い便利な店だろう
Aさん(20代・女性)が出入りしていた店は、経営者から従業員、常連までが悪徳商法集団の構成員
Aさんが彼らと関わるきっかけは
ある日、友人との食事から帰宅していた彼女は、路上で男女二人組に声をかけられた
「すみません、このあたりでおいしいラーメン屋を知りませんか?」
親切心から近場のラーメン店を教えた彼女は、話の流れでLINEを交換したという
その翌日、路上で声をかけてきた女性から、食事を誘うLINEが届いた
予定の空いていたAさんは、誘われるままに食事の約束をした
場所として指定されたのは繁華街の中心地にあるダイニングバー
立地と店構えの割にメニューが妙に安かったが、格別味が悪いわけでもなかった
Aさんはその後も食事に誘われ、気づくとその店で行われるパーティーに参加するようになった
参加者には起業を目指している人が多く、店の経営者という男性を紹介された
男性は客にひどく慕われており、その周りには会話を求める人の輪が出来上がっていた
しかし、パーティーに通うなかで、Aさんはある違和感を持った
「何というか、店員と常連の仲が良すぎるんです。不思議に思って聞いてみたら、常連が店員として働いていることがあると説明されました。そんなものかと思っていたんですが、話を聞くうちに、常連も店員も、なぜか皆同じ場所に住んでいることが分かりました。本当の理由が分かったのは、入会後だったのですが」
誘ってきた女性との会話のなかで、経営者の高収入と時間の自由を強調された
話の流れで起業に興味を持った彼女は、その女性から経営の師匠を紹介された
その人物はパーティーにいた経営者の男性だった
Aさんは起業の勉強をしている団体があると説明され、起業の意思を確かめられた後に入会を認められた
その後始まったセミナーで、彼女は驚愕
「あの店の経営者も店員も常連も、皆同じセミナーに参加していたんです。お店やパーティーにいたほとんどの人が同じ団体の会員でした」
その数カ月後に彼女を待っていたのは、シェアハウスで同じ組織の構成員と寝食をともにし、師匠に毎月15万円支払う生活だった
彼女が入会していた団体は"環境"や"事業家集団"などと通称されている
あくまで通称なのは、この団体に正式名称がないため
違和感を覚える方もいると思うが、これにも狙いがある
彼らはネットで悪評を検索されないよう、あえて名前を付けていない
いわば逆SEO対策
以下、本稿では彼らを"環境"と呼ぶ
"環境"の勧誘手法とビジネスは以下のようなもの
彼らはまず、街コンやボードゲーム会、あるいは主要駅の路上といった人が集まる場所に出向き、連絡先を大量に交換する
その後、食事や飲み会、パーティーなどに誘い、属性を聞き出すとともに親交を深めていく
ターゲットにされやすいのは独身の一人暮らしで、職場に不満を持っていたり、今の仕事とは他にやりたいことがあるなど、現状を変えたい志向を持つ人
ここで聞き出した情報はスプレッドシートで管理されるとともに師匠(上位階層メンバー)に報告されている
私が脱会者に見せてもらったスプレッドシートには、氏名や出身地、職業や生活形態といった個人情報がびっしりと書き込まれていた
勧誘できそうだと判断すると、最初に接触した人物が師匠を紹介する
この時の組み合わせは、勧誘対象―構成員―師匠という、マルチ商法でもよく見る「ABC(A=アドバイザー:説明者、B=ブリッジ:勧誘しようとする人、C=カスタマー:勧誘される人)」である
構成員は「起業で成功する方法を知っている」「何人もの弟子が独り立ちしている」といった言葉で師匠を持ち上げ
また師匠が経営している店舗や会社のウェブサイトを見せて信用させる
こうして"環境"に心を許していると判断すると入会を勧め、師匠の近辺に引っ越すよう助言する
入会後はコミュニケーションやビジネスマインドに関するセミナーに毎週末参加させ
セミナーの内容で特徴的なものがチームビルディングと自己投資
チームビルディングとは
「起業するにあたってはチーム作りが重要なため、直下9人・総勢50人のチームを作り上げることが必要である。」
と伝え勧誘手法を叩き込む
”環境”では、上記のチームを作り上げるとオーガニックショップの出店が許可されるが、これを実現する会員はほとんどいない
実現した場合も顧客のほとんどは”環境”の構成員
自己投資とは
「起業のためには月15万円程度の『自己投資』が必要」
と伝えるものだが具体的な内容はまだ伝えない
ひととおりのセミナーが終わると勧誘する側に回らせ、毎日深夜にまで及ぶ勧誘活動や師匠への報告を行わせて疲弊させていく
・・・洗脳の常とう手段
そうして3カ月ほど経ち、完全に組織に染まった時、初めて自己投資の内容を明かす
それは、師匠の店舗から15万円分のシャンプーやサプリメントを毎月購入すること
構成員が勧誘した人物が自己投資を行った場合、自己投資に使えるポイントが付与される
このため構成員は自己投資の負担を下げ、チームを作って出店を許可されるため勧誘にいそしむ
つまり構成員に勧誘を行わせ、商品販売を行うピラミッド状の組織を作るビジネスを行っている
これがマルチ商法、つまり特商法における連鎖販売取引にあたるかどうかは解釈が分かれるところ
彼らの特徴は月15万円もの買い込みを行わせることと、目標が起業=オーガニックショップの出店に置かれること
そしてビジネスの正体を徹底的に隠すこと
一般的なマルチ商法であれば勧誘の早い段階で商品説明やデモを行うため、その企業の名前や業態を知ることができる(そもそも事前に企業名やマルチ商法であることを示さず勧誘するのは違法である)
ところが”環境”の場合、単に起業を目指す集団であるとだけ伝えて入会させ、完全に染まりきるまで核心を伝えない
これは徹底しており、勧誘の場では組織で扱っている商品は絶対に見せず、自己投資の正体を明かす前にもその説明は行わない
勧誘の途中でターゲットから外れ、飲み会やパーティーの主催が”環境”だったと気付かないままの人も多くいるだろう
勧誘の毎日で交友関係を”環境”周辺に限定させ、疲労で思考力を鈍らせてから初めて月15万円もの買い込みを勧める
この状態で15万円の自己投資を選択したとして、果たして本人の意志であると言える?
冒頭で示したような飲食店は東京都内や大阪市内に多数あり、この他にも前述したオーガニックショップやレンタルキッチン、貸し会議室などがある
事例としてよく聞くのは東京だと品川や五反田、大阪では福島
これは都内でも山手線の南側に多くの弟子を持つ師匠が多いことと、この団体の発祥の地が大阪だったためと考えられる
特に飲食店の場合オーガニックショップとは異なり一般客もそれなりにいるため、それと知らずに使っていることも十分あり得る
グルメサイトを確認したところ、彼らの店舗も掲載されており肯定的なレビューも付いていた
彼らはとにかく勧誘機会を求めており、その代表が前述した街コンである
東京・大阪で数千人の会員が毎日活動しているため、一時は大抵の街コンに”環境”の構成員が入り込んでいる状況で、同じ街コンで仲間を見かけることが何度もあったという
この他にも駅や路上での声かけ、各種交流会、読書会、朝活会、ボードゲーム会、IT系の勉強会、フットサル、パブリックスタンド、スタンディングバーなど、およそ人が集まる場所のほとんどに入り込んでいる
コロナ禍で街コンや交流会が激減している昨今だが、彼らの活動は衰えていない
相変わらず路上での声かけは行われており、またオンラインでの街コン、読書会、勉強会などに入り込み、勧誘機会を窺うかがっている
オンラインビジネス講座サイトの講師が”環境”の構成員というケースもあった
リモートであっても人が集まる場所、特に参加ハードルが低い場所には彼らが潜んでいる
ただ、怪しい場所や人物を判別し連絡を絶てば、このような集団に取り込まれることは防げる
そこで、人物や店舗が”環境”関連であると判断できるポイント
○人物編
・街コンで同性の連絡先を大量に集めている
・路上でおいしい店やおすすめの居酒屋を聞いてくる
・「友達が集まる飲み会」といったつながりの不明瞭な集まりに誘ってくる
・「自分が源」「過去は生ゴミ」といった言葉(彼らのセミナーで教え込まれる)を使う
・「起業や経営について学んでいる人物」を紹介しようとしてくる
○店舗編
・メニューが不自然に安い(好立地で小ぎれいなのにハイボールが300円台、カクテルが400円台など。構成員を無給で働かせている場合もあり、それでなくても月15万円回収しているため。ただし普通の価格帯のこともある。)
・一般名詞や地名など、店名が妙にシンプル(団体名と同様の逆SEO目的)
・休日が貸切営業になっている(勧誘パーティーに使っているため)
・店員と常連の仲が不自然に良い
・店員も常連も皆同じ場所に住んでいる(師匠の近所への引っ越しを勧めたり、シェアハウスで集団生活をさせているため)
現状や将来への不安から、誰しも現状を劇的に変える希望に心惹かれてしまうことはある
しかしその希望を見せてくる相手が、もしもあなたの財産を狙っているとしたら
元会員
「環境に入会して、貴重な時間と資産を奪われてしまった」
不安を抱えることは誰にでもあるが、そんなときに上記のような特徴をもった人物や店舗に遭遇したら要注意
50人以上が暮らす悪徳商法集団 環境シェアハウス
これは私が悪徳商法集団”環境”を辞めたという会員Bに誘われ、引っ越しの手伝いをした
「『環境』を脱退したためにシェアハウスから引っ越します。話は付けておきますので、手伝いに来てみませんか」・・・
シェアハウスは関脇の靴入れには外観からは想像できない量の靴が入れられ、収まりきらない靴が床に散らばっていた
傘入れにもおびただしい量の傘が差し込まれ、昼間にもかかわらず室内は薄暗かった
物件は一軒家で、インターネット上に掲載されていた間取りと面積から考えられる居住人数は多くても10人程度
Bさんに人数を聞いたら
「今は50人弱ですね。あまりにも多いので正確な人数は把握できていません」
荷物を運びながら見た部屋には、例外なく三段ベッドが複数押し込まれており、収納しきれないのか床には荷物が散乱していた
また、晴れた日の昼間にもかかわらずカーテンが締め切られ薄暗かった
これは外からその異常な空間を見られ、奇異に思われるのを防ぐため?
そしてシェアハウスならば通常見られる交流スペースが見当たらない
見た部屋の全てに三段ベッドが押し込まれ、食事をするスペースが見当たらなかった
脱会者によれば、私が見ていない部屋は雑魚寝状態の居室か、収納に利用されていると
特に収納に関しては、各自の荷物のほか”環境”で取り扱っている商品のダンボールが積まれている
毎月15万円もの買い込みを行っているため、1カ月では使い切れない商品がたまっていく
ここに限らず”環境”の物件では総じて通常では考えられない人数を住まわせている
6畳ワンルームに3人、20畳1Kに5人、シェアハウスの15畳の部屋に5人とか
20畳1Kに5人のケースでは、3段ベッドと布団2組で生活
毎日のように勧誘を行っている住民が帰ってくるのは深夜23時過ぎで、ほぼ寝るだけの部屋
Bさんによれば、入会後に師匠と呼ばれる幹部から住む場所を指定されるため、断ることはできない
この物件の場合、家賃は4万5000円ほど
師匠から
「自己投資の15万円を捻出するため、安く住める物件がある」
確かに都内の家賃としては安いかもしれないが・・・
そして、物件のオーナーも師匠
15万円の自己投資と合わせて毎月20万円近くを上納することに
通常考えられる賃貸条件とはかけ離れており、物件を所有しているのでなければこのような貸し方はできない
そして
・大人数で住んでいるためとにかく汚い。信じられない程汚れた浴室を利用していた。
・掃除が満足にされていないためダニが湧く。跡が残るほど刺され、かゆみで睡眠不足になった。
・深夜や早朝に電気をつけて作業をしている住民がいるため、落ち着かず眠れない。
・洗濯物や小物がよくなくなり、金銭の盗難も発生した。
・若い男女が集団生活しているため、夜になると隣の部屋から性行為の音が聞こえることがある
シェアハウスに住んでいた脱会者によると、浴室はバスタブや床部分がカビで真っ黒
深夜まで勧誘にいそしんだ住民は、カビだらけの浴室で短時間のシャワーを浴びていた
彼らはコロナ禍にもかかわらず、依然として密な状態で生活
しかも”環境”では現在も変わらず路上での声掛けや勧誘目的の食事を行い、不特定多数と顔を合わせている
物件での手伝いが終わり、私が部屋の様子を思い返していると、道路の先から見たこともないロゴを付けたバンがやってきた
引っ越し業者だった
Bさんによると、これは”環境”関連の業者
普通の引っ越し業者に頼んでしまうと、物件の異様さに驚かれてしまう・・・
”環境”を既存のマルチ商法などとは大きく異なる
彼らは長い時間をかけて、こんなセリフで会員を洗脳する
「起業すれば夢がかなう、そのためには『絶対に起業が成功する』方法を知っている師匠に服従し、ハードな勧誘を行うとともに『自己投資』を行わなければならない。自分たちこそ外界にはない成功法則を知っている」
その過程では、生活を勧誘漬けにする
また
「活動を否定するものはドリームキラー(夢を邪魔する者)」
「ネットの批判は負け犬の遠ぼえ」
といった思想で批判を受け付けず、人間関係を断絶させる
「意識の高い特別な仲間と生活でき、さらに家賃も安く済ませられる」と言ってシェアハウスに住まわせれば、起きてから寝るまで”環境”漬けの生活
また自己啓発セミナーがある
これは洗脳セミナーとも呼ばれ、数十〜数百人を密室に隔離し、強烈な精神的ストレスを与えるワークを繰り返し行って
「人生で起こることの全ては自分が源である」
「物事には積極的に全力で取り組むのが重要」
といった価値観を植え付ける
この形態のセミナーは、強烈なストレスによる精神的なダメージが残ってしまうことや、参加者に強引な勧誘を行わせることから、さまざまな団体が過去に何度も社会問題を引き起こしている
”環境”ではこうした危険なセミナーへの参加を奨励しており、その際のスタッフはほとんどが”環境”の先輩構成員
本来の自己啓発セミナーは人生の目標を前向きに考え直すものだが
彼らの洗脳セミナーは、これまでの価値観を破壊し、そこに勧誘活動の成功という目標を植え付ける
毎月15万円の自己投資が払えなくなった場合、穴埋めの方法はダブルワークと借金
ダブルワークでは、本業とは別に深夜まで居酒屋で働いていたり、女性の場合は性風俗業で収入を穴埋めしているケースもあった
借金では、借金と共にクレジットカードの支払い延滞でブラックリスト入りしてしまい、今もカードを作れないという方も
ダブルワークや借金でも穴埋めができなくなった会員は脱落していく
ただ”環境”の会員には高収入でフリーランスのシステムエンジニアが多い
この場合、長く自己投資を続けられてしまうため多くの時間と財産を奪われることになる
起業を目的に”環境”の会員を続けているのに起業に至らないまま10年以上も在籍している例も
勧誘に成功していれば負担額は減るものの、自己投資を1年間で最大180万円、5年間で900万円、10年間で1800万円を失うことになる
在籍期間はプライベートの時間をほとんど”環境”の勧誘に使ってしまうため、本来友人と過ごしたり、自己研鑽けんさんに励んだりする時間を組織に奪われることになる
さらに”環境”では勧誘の時間を捻出させるためにフリーランスや派遣への転職を勧めることが多い
その派遣会社が”環境”関連の会社というケースがある
ここまで来ると生活の全てを”環境”にささげてしまっていることになる
人間関係の切断や集団生活、疲労による思考力低下を狙った激しい勧誘への誘導といった手法は、カルト集団が利用してきたマインドコントロールの手法
”環境”は宗教団体や政治団体ほどは警戒されない起業サークルを自称するが
その実態はカルトであり、深みにはまり込んでしまった場合に抜け出すのは難しい
・・・ほえ~
今日は~
フクジュソウ/Adonis ramosa秩父紅
この頃は濃いオレンジ色
今日はお日柄もよろしく
ネリネ以外オールで水やり
ついでに
シャラの剪定
幹肌をキレイに
カイガラムシを駆除するために
いつもは5月に幹を洗う
タワシやデッキブラシで古い樹皮をとりながら水洗い
でもコレって春に動きだしたカイガラが
ある程度増えてる
でも今なら、まだ動いてない
剪定で脚立を使ってるんでツイデにできる
これからは冬に剪定といっしょにヤろう
2021/3/30
加筆