2018年3月31日土曜日

デジタルアニーラ

スパコンで8億年かかる計算を1秒で解く富士通の
デジタルアニーラ 量子現象に着想を得て開発されたコンピュータ
デジタルアニーラは量子現象に着想を得てイジング模型を解くことに特化したデジタル回路
組み合わせ最適化問題を高速に解くことができるハードウェア
あくまで従来型コンピュータの技術を使ったもので、量子コンピュータではない
だが、新しいアーキテクチャのコンピュータであり、規模・結合数・精度のバランスと安定動作で実社会の問題に適用できるものだと・・・

株式会社富士通研究所コンピュータシステム研究所次世代コンピュータシステムプロジェクト主任研究員の竹本一矢氏
「毎週のようにアニーリング技術、量子コンピュータ技術に関する発表が行なわれている」
富士通は2017年11月に量子コンピュータのアプリ開発で、Accenture、Allianzと共同で1Qbit(1QB Information Technologies Inc.)に出資している
脳型や量子コンピュータなど新しいコンピュータアーキテクチャが模索されている背景には、ムーアの法則と微細化の限界が想定されていることがある
デジタルアニーラはその1つで、既存のデジタル回路技術を使って量子コンピューティングマシンのような振る舞いをまねることで組み合わせ最適化問題など従来型アプローチでは難しい問題を解こうという試み

量子コンピューティングには”量子ゲート方式(量子回路方式)”と”イジングマシン方式”の2種類がある
量子ゲート方式はIBMやGoogleなどが研究開発中で、暗号解読などへの適用が期待されている
後者のうちアニーリング方式の量子コンピュータとしてはいち早く商用化したD-waveのサービスが有名
いっぽう、富士通のデジタルアニーラは
「量子ではなく従来のデジタル回路でアニーリングマシンがやっていることを実現したもの」
産業界への適用が進んでいるのはアニーリング方式
量子ゲート方式のコンピュータが実産業、企業に適用されるには、まだまだ時間がかかる・・・

アニーリングとは焼きなましのこと
材料をゆっくり冷却する過程で、内部のひずみが取り除かれ、安定した状態に落ち着いていく過程
時間はかかるが最終的にはエネルギー的に安定な状態に落ち着く
アニーリングアプローチはその物理過程をコンピューティングに活用しようとしている
例えば従来手法でパズルを解こうと思ったら総当たりでやっていた
アニーリングは確率探索を行ない、コスト関数の評価値が最小あるいは最大にする方式で問題を解く

本物の量子コンピュータは量子ビットを用いて、1と0の重ね合わせを表現する
デジタルアニーラはデジタル回路なので、1と0の状態を重ね合わせで表現することはできない
そこで、乱数発生器を使って1と0の揺らぎのような状態を表現する
最適解ではないがコスト関数がある程度低いところに落ち着きそうになっても、ある確率で高いところへの移動も許すような仕組みをアーキテクチャに組み込んでいる
こういった工夫によって、デジタル回路を用いながらも、量子過程ならではの並列化や高速化の仕組みを実現している
これらはあくまで厳密な制御によって成り立っている
とにかくイジング模型のかたちに問題を定式化できれば、デジタルアニーラで高速に解くことができる
例えば四角い箱にピースを入れていくパズルだと
通常のやり方では四角い箱にピースを逐次入れていき、ダメならまた全部やりなおす
いっぽうデジタルアニーラの場合は、パズルのピースを全部入れてしまい、揺らしながらだんだん落ち着かせ、納まるかたちを見つける
変なかたちに納まってしまったら、また大きく揺らしてやりなおす
本当の最適解は見つからないかもしれないが、近似解は見つかる
そういうやり方をとることで、とりあえず高速で答えを見つける場合に有用・・・
量子コンピューティングについてさまざまなリサーチをしていくなかで、顧客目線で見ると、顧客は必ずしも量子コンピューティング自体を求めているのではなく、あくまで組み合わせ最適化問題を高速に解くこと自体を求めている
用途は創薬、投資ポートフォリオ、物流、パーソナライズ広告など
組み合わせ最適化問題の代表例が、セールスマンが都市を訪問して巡回するときの最短ルートを見つける巡回セールスマン問題
5都市程度なら120通り程度なので簡単だが、20都市だと234京通り、30都市だと1京×1京通りと、総当たりだとスパコンでも8億年かかる
これがデジタルアニーラ、アニーリングアプローチだと最適に近いルートを1秒以内に見つけることができる
具体的には、まず問題を0と1の状態をとる格子点からなるイジングモデルで表現
丸と丸のあいだは都市間の距離を与える。各行、各列に1は1つだけの状態をとるように計算させる
ほかにも組み合わせ最適化問題には、分子構造を比較しなければならない創薬、投資先を組み合わせる投資ポートフォリオ、物流、パーソナライズ広告などのアプリケーションがある
何をどう組み合わせて配分すればいいかという課題に用いることができる
創薬においては、従来手法では高速化のために分子の部分的特徴を抽出して比較検索していたが、分子全体をまるごと検索できる
たとえば新薬候補のスクリーニングなどに用いることができる

金融については、Quantum-inspired hierarchical risk parity(QHRP)という方式があり、シャープレシオが60%向上したという。投資先の相関関係をグループ化して、ツリーを作成
安定して収益が上げられる組み合わせを選び出すことができる
1,000社程度の組み合わせを一気に選びだすことができるとのこと

倉庫物流に関しては、富士通の関連会社で、サーバーなど富士通の主力製品を製造している株式会社富士通ITプロダクツの倉庫で実際に使われている
ピックアップ手順の最短ルートを見出し、最大30%歩行距離を縮め、また3,000種類の部品間の相関関係を見出し、レイアウトを最適化すると
月あたりの移動距離を45%短縮することができた

東氏
「富士通デジタルアニーラは1,024bit規模でビット間全結合。ビット間結合精度は65,536階調。デジタル回路なので常温で動作可能、2018年度には規模、精度ともに拡張予定で、デジタル回路なので拡張は比較的容易だ」
制約が少ないためアプリケーションが組んだ問題をそのまま適用することもでき、他社の量子コンピューティング技術に比べても現実的な問題を解くには強みがある・・・
巡回セールスマン問題、ナップザック問題、数独など、それぞれ2次元、1次元、3次元にマッピングして解いていく問題であっても、ビット数が何ビットあるか、お互いにビットがつながっているか、結合精度などが、実問題に適用する上では重要であり
「大きな実際の問題も解きやすい」
ただし「顧客の課題から組み合わせ最適化問題を抽出するところが一番難しい」
「それをうまく引き出せれば、あとは数式かできるエンジニアがいる。チューニングして、デジタルアニーラに投げるためのノウハウは蓄積しはじめているので、そこはカバーできる」

・・・組み合わせに特化したコンピュータ
そういう割切り方があるんだ・・・
久しぶりに知恵熱

今日は~
ワケギ
アチコチに
もう少し大きくなったら使う

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