2022年6月10日金曜日

¥安で

コラムニスト:John Authers
Newly-stamped Japanese 500 yen coins in a container during the production at a Japan Mint factory in Saitama, Japan, on Thursday, Nov. 11, 2021. 
Newly-stamped Japanese 500 yen coins in a container during the production at a Japan Mint factory in Saitama, Japan, on Thursday, Nov. 11, 2021.  Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
今の為替市場の勝者は円安に賭けた投資家
経済大国で日本だけがデフレ対策に突き進んでいるため、当然の帰結
日本銀行がイールドカーブコントロール(YCC)で10年債利回りを抑え込み、¥は対$で20年ぶりの安値

Aという国の物価上昇率がBという国に比べて低い場合
それ以外の条件が同じと仮定すれば、Aの通貨は購買力平価という観点でBの通貨に対して強くなる
日本はどの通貨よりも高い購買能力を維持しながらも¥安
円安が自己永続的になっているのは、日本の投資家による行動に一因がある
ミセス・ワタナベとも称される小口の個人投資家の間では
¥安の長期化が国外投資で高いリターンを得られるということが常識に
国外の株式や債券に資金を投じるという行為が¥安をさらに促し、投資の成功につながるという循環

ゲームに参加しているのは日本の個人投資家だけではない
金融危機前に流行した¥のキャリートレードが復活している
(\を調達、$とかで運用。運用益と為替益(安くなった¥を返して)で儲ける)
外国為替は本質的にゼロサムゲームと言える
2008年の金融危機を前に、¥キャリーのトレーダーらは惨敗
リスク敬遠で国外投資家が¥を買ったから
これが再発することは想像どおり
ただ今回は大事な決定が日銀に委ねられる
YCCとデフレ対策の継続は、¥売りを無難な戦略にしてきた
日銀がとうとうタオルを投げ入れたら何が起きる?
¥相場は日本・アメリカの国債利回りに左右される傾向があるが
最近の$上昇はそれだけにとどまらない観測が広がっていることを表してる

日銀が路線を変更すればダメージの大きい急停止が起きるリスクが増している
通貨ペッグ制の廃止と似たような影響が?
1998年を最後に実施していない$売り(¥買い)介入を(日銀砲)日銀が再開する可能性は非常に低い
仮に介入するとしても、為替市場で直接動くのではなく、債券市場への関与を緩和するというやり方になる
(あったか、無かったか分からない成長戦力が効果なく日本経済が弱くなりムリできない)

バンク・オブ・アメリカのリポートから
「インフレ圧力が一過性のものではないと、またイールドカーブをターゲットとする政策を引き揚げる時機が来たと、いつ日銀が見なすのか。ボールは圧倒的に日銀側のコートにある。そこには特定の$¥水準というよりも、¥弱気派にとっての継続的な危険が存在する」

しかし日本でもインフレが急に進むリスクが多少はある
コアインフレは1%に近く、日本の基準ではすでに高くなりつつある
過去のインフレは消費税の導入が引き金になった傾向があるが
今はこうした要因がないにもかかわらず、日本ではすでにインフレが芽吹く気配が見られる

従って日銀にはいずれ行動を起こす可能性がある
マネックス・グループのイェスパー・コール氏
「いずれ日本もアメリカに続く。日銀は常にそうしてきた。一度だけアメリカの政策と違う道を進んだことがある。バブル経済がそうだ。岸田首相はもちろんのこと、誰もあれを繰り返したくはない」
そうなると、問題は日銀の黒田東彦総裁を説得するのにどれくらいの時間を要するか?
あるいは次期総裁が指名される来年まで待つ必要があるのか?
¥の上昇を望む向きにとって問題なのは、黒田総裁がデフレというあまりにも大きな敵を相手にしていること
日本経済が長らく病んでいるデフレを打ち負かしたいと、黒田総裁が野心を抱くのは・・・

しかしマネックスのコール氏
「¥の運命は日本の投資家が鍵を握る。世界の主要債権国としての日本の立場も同様に影響する。日本の機関投資家とリテール投資家が国内市場への投資を拒否し、アメリカなど国外資産を選好し続ける限り、¥上昇というシナリオは実現性が低い」
世界最大の資産運用機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に触れ
同法人が運用する$1兆7000億は、世界の債券の推定26%、株式の24%に相当する
¥安の長短をめぐる議論はさておき
日本の年金受給者が¥安によって大きな恩恵を享受していることに留意を促している
アベノミクス初期においてGPIFが日本国債から外債と外国株に資金を移したのが、¥の命運を分けたポイントだった

GPIFが日本買いの再開を決める時が、そして影響力は劣るがミセス・ワタナベが同様の決定を下した時がYCC停止の合図になるかもしれない
それは¥キャリートレーダーらに痛みをもたらすだろう
今のところ日本の国内総生産(GDP)成長率は若干のマイナスになっている
キャリートレーダーらは危険なしと判断する可能性が高い
その状態が続くのは、まさに危険が来るときまでだ

・・・やっとマトモに
つまり
正に、異常緩和は異常だった
これに乗ってたアベちゃんの新成長戦略
そして岸田ちゃんの新しい資本主義は・・・
日本経済を、より脆弱にしたし
これからもする

今日は~
シラネアオイ/Glaucidium palmatum

知人宅
ブナの下
谷風が通る
これ以上ない立地
・・・うらやましい
ウチのコは・・・
カイガラ虫の排泄物にヤられてから
息も絶え絶え



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