2020年11月13日金曜日

無症状の感染者によってグループ内に新型コロナの感染が拡大する

世界中で感染が広がる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者は、誰もがせきや熱といった症状を経験するわけではなく、多くの人々が感染しても無症状のままである可能性が。アメリカ海軍の新兵1800人近くを対象にした大規模な実験により、無症状の感染者によってグループ内にSARS-CoV-2の感染が拡大する

SARS-CoV-2 Transmission among Marine Recruits during Quarantine | NEJM

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2029717

Study of nearly 2,000 Marine recruits reveals asymptomatic SARS-CoV-2 transmission

https://medicalxpress.com/news/2020-11-marine-reveals-asymptomatic-sars-cov-transmission.html

アメリカの原子力空母セオドア・ルーズベルトで発生したクラスターでは、感染者の大半が無症状。そこでマウントサイナイ医科大学と海軍医学研究センターの研究チームは、海軍の新兵を対象にした大規模な実験を。研究チームが2020/5~7月の調査期間中に訓練を実施した9つの異なる海軍の新兵訓練クラスから被験者を募ったところ、合計で1848人が被験者として応募。各クラスには350人~450人の新兵が含まれていたため、全体の半分ほどが今回の実験に志願。新兵は訓練の参加前に2週間の自主的な自宅隔離を行ってから専用の訓練施設に入り、2人部屋に割り当てられて共同生活。ま、1クラス当たり50~60の小隊に分割され、研究チームによる監視を受けながら2週間にわたる訓練を行った。調査期間中、新兵たちは実験に登録したかどうかにかかわらず、マスクの着用や6ftの社会的距離の維持、定期的な手洗いといった検疫措置に従って生活。各クラスはそれぞれ異なる食事時間と訓練スケジュールが設けられており、別々のクラスが相互に関わることはなし。また訓練施設は途中でクラスの入れ替わりがあったが、その際には徹底的な消毒作業が全ての個室や共有スペースで行われた。研究チームは、新兵たちの体温チェックや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状観察を行うと共に、訓練施設に入ってから2日目・7日目・14日目に被験者に対し症状の有無を問わずPCR検査を実施。また実験には登録しなかった新兵たちに対しても、調査期間の終わりである14日目にPCR検査。

症状の観察やPCR検査の結果を分析、施設に到着してから2日以内に1848人中16人(約0.9%)がSARS-CoV-2に感染、このうち15人は無症状だった。また、7日目と14日目に行われたPCR検査では合計35人(約1.9%)の参加者がSARS-CoV-2陽性、そのうち4人が検査前に症状がでた。なお実験に登録しなかった新兵1554人は、26人(約1.7%)が14日目のPCR検査で陽性、こちらは事前に症状が確認された事例がゼロ。SARS-CoV-2の感染は、同じ部屋で生活するルームメイトや、接触が多い小隊内で広まる傾向が見られた。

また、新兵たちから採取されたSARS-CoV-2のゲノムを分析、実験全体で6個のクラスターが独立して発生していた。研究チームの一員でマウントサイナイ医科大学で助教授を務めるHarm van Bakel氏「異なる遺伝子変異によって特定された6個の独立したクラスターは、監視された検疫中に複数の独立したSARS-CoV-2の導入・拡散があったことを示しています」

今回の実験で、検疫やさまざまな公衆衛生規則に従って生活した場合でも、多くの感染者が無症状のままSARS-CoV-2の感染を広めていることが明らかに。van Bakel氏「この大規模な研究データは、グループ内でのSARS-CoV-2感染を減らしてより広いコミュニティに波及するのを防ぐため、症状に関係なく全ての個人に繰り返し検査を行う必要があると示しています」症状に依存しない検査が感染拡大を抑える上で重要と・・・

で・スイス

スイスは新型コロナウイルス感染が急拡大しており、このままいけばヨーロッパで一番の感染拡大地域に。人口比の感染者数はすでにスウェーデンやアメリカの約3倍、欧州連合(EU)諸国平均の2倍。それも検査数が特別多い訳ではなく、検査普及率はアメリカやヨーロッパ諸国の平均と同程度。そのなかで検査の陽性率は27.9%と、スウェーデン(8.5%)やアメリカ(8.3%)を大きく上回る。世界保健機関(WHO)によれば、検査陽性率が5%を超えているのはウイルスを制御できていない証拠と。

パンデミックについてスイス政府に助言を行う専門家たちは、しばらく前から警鐘を鳴らしてきた。同国内の病院は、11/13までにICU(集中治療室)の対応能力が限界に達する見通しで、今後はICUでの治療をできる限り短期間に抑えることが課題になると専門家は言っている。平常時であれば、スイスは医療水準が極めて高く、イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ元首相など、世界の著名人や政治家たちが治療を受けるために訪れる、だが新型コロナ流行下の今は医療態勢がひっ迫し、フランスが逆にスイスの患者の受け入れを申し出ている。

この春、感染第一波が襲った時、スイスはドイツと同じく大きな打撃を受けることなく乗り切った。入念に計画された全国的なロックダウンが、ウイルスの抑制に功を奏した。第1波であまり死者が出なかったことで、自分たちは世界の苦しみとは無縁な特別な国なのだという思いをますます強くした。スイスは20世紀に一度も戦争や大規模な自然災害を経験しておらず、21世紀に入ってからも一度もテロ攻撃を経験していない。世界的な金融危機の影響もほとんど受けなかった。スイスは世界的な危機に対して免疫がある──スイス人はそう信じてきた。新型コロナウイルスのパンデミックについても、スイスだけは例外と思えた。ベルギーやフランスと異なり、スイスはウイルスへの対処法を知っている──少なくとも国内の雰囲気はそうだった。スイス国民に対する政府のメッセージは「(ウイルスのことを心配し過ぎるより)経済活動の再開に重点を置こう」

第1波が収束し始めると、スイスは他のヨーロッパ諸国やアメリカよりも迅速かつ大幅に行動規制を緩和。バーやクラブは営業を再開し屋内でのマスク着用は自由に任された。観光局はフランス語放送のテレビで宣伝を再開。10/1からは、1000人以上のイベント開催が解禁された。

政府が感染拡大の深刻化を認めている今でも、多くのヨーロッパ諸国の政府が決断したようなロックダウンに近い厳しい規制の導入には至っていない。オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院の調査で、スイスの新型コロナ対策は今も、他のヨーロッパ諸国やアメリカと比べるとかなり緩く、スウェーデンより少し厳しい程度。

スイスが厳しい措置を取りにくいひとつの理由は連邦制。第1波の後、連邦政府は国内26州に対して独自の新型コロナ対策を取る権限を与えた。だが州といってもスイスの州は小さいところが多く行動を起こすことに消極的だった。車で5分行けば隣の州のレストランが営業を続けているとしたら、自分の州だけ閉めろとは言いにくい。独自に新型コロナ対策を導入した場合、それによって企業や労働者に生じた損失も各州が負担しなければならない。

もっと大きな問題は、より厳しい制限措置の導入が、小さな政府を掲げるスイスの哲学にそぐわないということ。山の多い地形のため、天然資源も耕作に適した農地も少ないスイスは、伝統的に商業のみが繁栄の手段だと考えてきた。政府が国民生活の中で果たす役割が限定されている背景には、スイスが複数の独立国家(州)の同盟から発展した国だという歴史がある。各州が連邦制を取ることに同意した一番の理由は、同胞愛でもなければ国家樹立の願望でもなく、ヨーロッパの大国に飲み込まれるのを回避し各州の主権をできる限り守るためだった。中央政府の権限が弱く貿易に依存しているスイスでは、長年企業が大きな力を持ってきた。1848年以降、連邦政府は企業寄りの政党が多数を占めてきた。統一の最低賃金はなく、労働者の権利保障もほとんどない。中央政府の経済への干渉は嫌われる。現在のスイスでは個人の経済的利得を重視する傾向があり、2012年に実施された国民投票では、最低4週間の有給休暇を2週間増やす法案に67%の国民が反対。経済に負担という理由から。国民の1週間の労働時間はヨーロッパで最も長い。世論調査では、パンデミックに関する国民の一番の懸念事項は医療崩壊ではなく経済への影響。病院はすでに新型コロナ患者を受け入れるためにがんの手術などの必要な手術を延期するまでにもかかわらずだ。スイスが経済的に際立った成功をおさめ、世界の各企業にとって魅力的な場所になった理由は、このように市場自由主義や財政保守主義の傾向が強く、厳しい労働倫理があるからこそかもしれない。

ウエリ・マウラー財務相「スイスには2度目のロックダウンを行う余裕はない。そんな資金はない」スイスの2019年の政府債務残高はGDP比でわずか41%。1回目のロックダウンによる経済的損失や各種支援策の財源を賄うため、政府は今後220億スイスフラン(GDPの3%)相当の国債発行を迫られる見通しだが、倹約家のドイツでさえパンデミック対策の財源確保のためにGDPの6.4%に相当する国債の発行を決めている。

それでもマウラーは、再度のロックダウンを行えば、健康のために経済と財政を犠牲にすることになりかねないと主張。メディアや政治家からも反論はほとんどない。財務相の仕事は財政を健全に保つことでパンデミックと戦うことではないから。部分的なロックダウンを求める政党や政界幹部もいない。だが、財布の紐は締めたままビジネスはいつも通り、という政策は、健康のためだけでなく経済のためにも良くないかもしれない。感染拡大への恐怖が忍び寄ってくるにつれ、スイス人は社交を減らしており、レストランには空席が目立つ。健康と経済の間にはどちらかを犠牲にすればもう一方はよくなるという関係は存在しない。感染数が爆発的に増える一方で、倒産する企業も増えている。

この危機にあたり経済学者ら50人は11/2にようやく、政府に一部ロックダウンの導入を求める公開書簡を提出。が政府はまだ尻込みをしている。

・・・日の本ではジワジワと・・・

安心しちゃった?

今日は~

アジアンタム レニフォルメ/Adiantum reniforme


ガラスボール・ハイドロもどき仕様

礫の表面にコケが生えてきた

コレもいいな・・・

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