2018年11月6日火曜日

経済学?

2018年、ポール・ローマーさんはノーベル経済学賞を受賞
そのローマーさんん2016年の講演で
マクロ経済学は、過去30年以上にわたって進歩するどころか、むしろ退歩した

2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンさん
その受賞の翌年、過去30年間のマクロ経済学の大部分は
「良くて華々しく役に立たなく、悪くて全く有害」

2011年、元米財務長官で大統領首席経済顧問やハーバード大学学長を歴任したローレンス・サマーズさん
主流派経済学の理論モデルに基づく論文は、政策担当者にとっては本質的に無益であった

リーマン・ショックから間もない2008年11月イギリスのエリザベス女王
経済学の世界的権威たちに
「なぜだれも危機が来ることをわからなかったのでしょうか」
・・・

主流派経済学の理論は
“”完全情報を有する合理的な個人が完全競争市場において最適化行動を行う”
・・・欲に目の眩んだ輩ばっかなのに
という非現実的な仮定を置いた一般均衡理論をベースとしている
1980年代以降、この一般均衡理論を基礎としたマクロ経済理論を構築する試み”マクロ経済学のミクロ的基礎づけ”が流行
いわゆるRBCモデル(実物的景気循環モデル)が構築された
さらにRBCモデルは、DSGEモデル(動学的確率的一般均衡モデル)へと発展
1990年代以降のマクロ経済学界を席巻するに至った
この”ミクロ的基礎づけ”とは、非現実的な仮定に基づく論理操作であったためDSGEモデルなる理論モデルは実際の経済から著しくかけ離れたものとなった
ローマーが、過去30年間で経済学が退歩したと述べた際に念頭にあったのも
”マクロ経済学のミクロ的基礎づけ”の非現実性
リーマン・ショックを経ても改善は見られず
”マクロ経済学のミクロ的基礎づけ”の問題点はイロイロあるが
重大な欠陥は、その根底にある一般均衡理論が”貨幣”の存在を想定していないこと
・・・は?
 経済学とは貨幣に関する理論だと思い込んでいる人々は、主流派経済学の理論モデルに貨幣が組み込まれていないと聞いて
・・・そりゃ驚くわ
これは、一般均衡理論の中心的な理論家の一人であるフランク・H・ハーンですら認めている
エリザベス女王は知らなかったであろうが、主流派経済学者たちは、貨幣の概念を欠いた経済理論に依拠していたのだから
金融危機を想定できるはずもなかった
そのような経済理論が経済政策に影響を及ぼしていたことこそが、金融危機を引き起こした?
そしてリーマン・ショックが起きたにもかかわらず、経済学のあり方には、それほど大きな改善がみられない

我が国では、現在、消費税率の10%への増税がなされようとしており、多くの経済学者がそれを支持している
しかし、この増税が安倍政権の目指すデフレ脱却を頓挫させ、景気の悪化を招くことは、明らか
消費税が5%へと引き上げられた1997年から日本はデフレ不況へと陥り
2014年の8%への消費増税もまた、デフレの悪化や消費の縮小などの悪影響を及ぼした
ところが、8%への消費増税の是非が検討されていた2013年当時、多くの経済学者たちは増税を支持していた
その一人伊藤隆敏氏
消費税を引き上げても「デフレ脱却に失敗することはない」
ちなみに、伊藤氏は2003年、吉川洋氏など日本を代表する経済学者らと共同で、政府部門の債務の対国内総生産(GDP)比率が200%に達した場合
「この水準は国家財政の事実上の破たんを意味すると言ってよい」(2003年3月19日付、日本経済新聞「経済教室」)。
しかし、現在の政府債務の対GDP比率は230%を超え、伊藤氏らの言う
「国家財政の事実上の破たん」の水準をすでに超えている
もし事実上の財政破綻であるならば、日本国債の買い手などいなくなるから、長期金利は急騰するはず
ところが、実際の長期金利はわずか0.03%程度
伊藤氏らが依拠する経済理論は、この現実をまったく説明できていない
・・・え~と、こういう方々が委員になって政府の方針を・・・

これだけ事実によって理論が反証されているかかわらず
経済学者たちは、財政健全化論に固執し、消費増税や歳出抑制を主張し続け
財政政策に影響を与え続けている
その結果、防災関連予算ですら削減され、多くの国民の生命や財産が失われるという事態すら招いている
ここまで来ると、経済学が、国民の生命を危うくしている?
しかし、なぜ経済学者たちは、ここまで現実から目を背け、非現実的な理論に固執し続けているのであろうか
ローマーによれば、経済学者たちには、次の7つの特徴が当てはまると
①途方もない自信
②異常に一枚岩の共同体
③宗教団体か政党のような、同じグループとの一体感
④他分野の専門家から隔絶された強烈な内輪意識
⑤他のグループの専門家の思想、意見、業績に対する無視と無関心
⑥証拠を楽観的に解釈し、結果に対する大仰あるいは不完全な言明を信じ、理論が間違っているかもしれないという可能性を無視する傾向
⑦研究プログラムに伴うはずのリスクの程度に対する評価の欠如

経済学者の閉鎖的な内輪意識については、トマ・ピケティもまた、ベストセラーとなった『21世紀の資本』の中で
率直に言わせてもらうと、経済学という学問分野は、まだ数学だの、純粋理論的でしばしばきわめてイデオロギー偏向を伴った臆測だのに対するガキっぽい情熱を克服できておらず
そのために歴史研究や他の社会科学との共同作業が犠牲になっている
経済学者たちはあまりにしばしば、自分たちの内輪でしか興味を持たれないような、どうでもいい数学問題にばかり没頭している
この数学への偏執狂ぶりは、科学っぽく見せるにはお手軽な方法だが、それをいいことに、私たちの住む世界が投げかけるはるかに複雑な問題には答えずにすませているのだ
ピケティの言う”数学への偏執狂”
とは、DSGEモデルのような”ミクロ的基礎づけ”の理論への固執
そして”ミクロ的基礎づけ”の理論を共有していることが、経済学者たちの強固な内輪意識の源
土居丈朗・慶應義塾大学教授は、2016年のアメリカ経済学会で
財政出動の是非を巡る経済学者たちの論争を聴いた際の感想を、こう述べている(ちなみに土居氏は、伊藤氏同様、熱心な財政健全化論者である)。
この議論を拝聴して、意見の相違は残ったままだったが、建設的で示唆深い議論にすがすがしさを感じた
パネリストは皆、大学院で教育を受けて経済学の博士号を持つ共通の学問的裏付けがあり、ミクロ経済学やマクロ経済学という演繹法的な基礎理論に基づく点で共通している
演繹法的な立論であるため、まったく同じ理論に基づいていても、現状認識や前提条件が異なれば、結論が異なりうるという議論の大原則がある
日米で違いすぎる「反緊縮財政」を巡る議論(東洋経済オンライン、2016年1月11日配信)
土居氏は、アメリカ経済学会における論争に
「すがすがしさを感じた」理由として、パネリストたちが皆「経済学の博士号」を持っており
その議論が「演繹的な基礎理論」に基づいているからだとしている
その「演繹的な基礎理論」とは、「マクロ経済学のミクロ的基礎づけ」のある理論のことである
要するに、このアメリカ経済学会の論争とは
「経済学の博士号」を持ち、「マクロ経済学のミクロ的基礎づけ」を共有することで一枚岩となった、閉鎖的な経済学者の仲間内での論争
土居氏がその論争に「すがすがしさを感じた」のは
土居氏自身が、この非現実的な理論を共有する閉鎖的な経済学共同体の一員だから
ローマーは、講演の聴衆に対して、こう問いかけている
「あなたは、医療科学よりも、ワクチン反対派やホメオパシー派の友人を重視するような医者に、自分のお子さんの治療を任せられますか?」

・・・要は経済学って頭の体操?お遊びにすぎない
もともと”経済学”ってデキた?時
モノの見える方は”学”をつけられるようなシロモノでないって・・・

今日は~
マスデバリア マルガリーテ*ヒトミ/Masdevallia Marguerite*Hitomi
10月の終わりっころより開花
なかなかな色合い

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