2024年2月18日日曜日

ロシア軍産複合体

軍産複合体(military-industrial complex)
ロシア語では、国防産業複合体と呼ばれることが多い
軍備を製造する軍需産業
広義の軍産複合体として有名なのは、1961/1/17ドワイト・アイゼンハワー大統領の別れを告げる演説で警告した
巨大な軍事施設と大規模な兵器産業との結びによって生まれた巨大構造
軍・産・学といった巨大構造

2024/2/2プーチン
「軍産複合体に属する企業は6000社あり、350万人を雇用している」
「これらの純粋な防衛関連企業とは別に、防衛に何らかの形で関連している企業、防衛関連企業と提携している企業、請負企業が1万社あることを念頭に置けば、それがどれほど軍のためになっているかは想像がつくだろう」
「この1年半だけで、防衛産業では52万人、50万人以上の新規雇用が創出された」
「2交代制、場所によっては3交代制で働いている」
「われわれは戦闘機用の防護服の生産量を10倍に、軍服の生産量を2.5倍に増やした」

どうやらロシアの戦時経済はうまくいっていると強調したい?
ロシアは2022/10以降、戦時経済体制下にある
現在のロシア経済を考察するうえでもっとも重要なのは、2022/10/21付大統領令
「ロシア連邦の軍隊、その他の軍隊、軍事組織、団体の必要性を満たすために、ロシア連邦政府の下にある調整会議について」
で設置が決まった調整会議(以下、国防支援調整会議)
ロシアには国防省傘下の軍のほかにも事実上の軍として
内務省軍
連邦国家警備隊(2016/4、ウラジーミル・プーチン大統領による大統領令によって設立された連邦国家警備隊局に属する軍隊で、当初、内務省軍17万人のほか、警官の一部20万人、特殊部隊や迅速対応部隊の3万人の計40万人ほどを同機関に移す計画だった)
国境警備隊
市民防衛隊などがある
こうした兵士を総動員して特別軍事作戦たるウクライナ戦争を戦い抜くために、軍産複合体による兵器製造などで協力体制を築こうとしている

この大統領令によって承認された規則によると、国防支援調整会議は
「特別軍事作戦中のロシア連邦軍、その他の軍隊、軍事組織、団体のニーズを満たすことに関連する問題に対処するために、連邦行政機関とロシア連邦の構成団体の行政機関の間の交流を組織する目的で設立される」
そのトップは首相が務めている
この戦時経済を理解するためには、ソ連の後継国としてのロシア連邦という性格を知らなければならない
ソ連といえば社会主義体制のもとで国家計画委員会(ゴスプラン)が計画経済を運営してきた
ソ連は計画経済を営むために5カ年計画を策定し実施
政治局は1927/5軍事力と国防計画に関するトップシークレットの決定を採択
その内容は不明だがソヴィエトの工業が国防向けに十分な資源を供給できずにいることを認め
この採択が軍事予算の増加につながったとみられている
さらに経済最高ソヴィエト内に動員計画部が、また国家計画委員会(ゴスプラン)内に国防部門が設置された
こうしてゴスプランの国防部門は国防にかかわるすべての仕事を包含するように拡大された
その仕事は
第一に戦時のすべての経済計画の立案であり
第二に動員計画を起草するすべての経済人民委員会委員間の調整であり
第三に戦争計画、同じく軍の長期再編改革と経済5カ年計画や15年計画との調整

最初の5カ年計画(1928/10/1~1933/10/1)は1929/4になって全ソ共産党の会議で採択され
翌月、第10回ソ連ソヴィエト大会で承認された
5カ年計画における軍事的考慮は三つの次元に要約される
第一は高品質の鉄鋼、非鉄金属、化学品の生産の急拡大
第二は自足的なソヴィエト機械生産への可能な移行
第三は軍事的配慮によって基本的に導かれた、重工業や国防生産のための立地パターン
つまり、それらを戦地や長距離爆弾の射程外におくこと
重要なことは5カ年計画が決して経済だけの計画ではなく
軍事との関連で関係機関との紆余曲折を経て誕生したこと
だからこそロシア革命後の戦時共産主義時代から5カ年計画の時代に入っても
軍事面の影響力が大きかった
つまりソ連は軍事優先の経済体制を構築していた
その結果、軍産複合体が優先され、より品質の高い生産物を優先的に適時に必要な場所に輸送するサプライチェーンが完成
実はこの伝統がいまでも役に立っている
このソ連時代の軍事優先体制は、軍産複合体の工場で軍備だけでなく民生品を生産するという二刀流が特徴
自動小銃として有名なカラシニコフ銃を製造するイジェフスク機械製作工場(イジマシ)は本社がウドムルト共和国にありながらモスクワで自動車の組み立ても手掛けていた
ゴーリキー自動車工場(GAZ)として知られる企業集団も戦車や装甲車を製造する一方でトラックや乗用車などを製造していた
ウクライナのドニプロペトロウシクにある南部機械製作工場(ユジマシ)では、大陸間弾道ミサイルなどを製造する一方、トラクターを生産することを義務づけられていた
チェリャビンスクとヴォルゴグラードのトラクター工場では、自走砲ユニットが生産された

ソ連崩壊でソ連時代の軍産複合体は再編を迫られた
しかしロシアになって以降も、軍産複合体を所管する大臣が第一副首相格に位置づけられ
特別な待遇を受ける態勢は維持された
だからこそソ連時代の伝統やミーム(文化遺伝子)のようなものによって、いまの戦時経済体制に適用しやすかった

2022/11経済学者で下院議員のニコライ・ノヴィチコフ
「ロシア経済はゴスプランへの切り替えが必要」
そのなかで将来のゴスプラン2.0の原型は、国防支援調整会議である

最近、注目を集めているのが戦略文書や国家命令の実行をリアルタイムでコントロールするためのデジタル・ゴスプラン・システムの開発
モスクワ大学などの専門家が現在、開発中のシステムであり
将来、連邦税務局、連邦関税局、財務省、産業商業省、デジタル発展省の既存の情報システムと統合
ゴスプランとしての集権的指令経済の運営に役立てることが推進されている
2023/4にはロシアの科学者らが安全保障会議に対して、ロシア経済のデジタル国家計画システムの構築を提案
先に紹介したイジマシはロシアになってからも生き残り1994年に株式会社化され
2013年になって、社名をコンツェルン・カラシニコフに改めた
自動車工場についてはイジマシから切り離され、生産がほぼ停止した1990年代の混乱期を経て、サマラ州の州都サマラに拠点を置く持ち株会社SOKの所有に
その後、ロシア最大の軍産複合体ともいえる、国家コーポレーション・ロシアテクノロジー(Rostec)に買収され、事実上サマラに近いトリヤッチのヴォルガ自動車工場(VAZ)と合併

Rostecは2014年のロシアによるクリミア併合後、アメリカから制裁を受けるようになった
2022/6にロシア国営企業に対する規制が拡大され、アメリカ財務省はRostec本体および同社が50%以上出資する企業との取引を8/1日までにすべて完了するよう命じた
このためRostecは2023/5保有するVAZ株32.3%を連邦国家単独企業「自動車研究所」(NAMI)に譲渡した。

2021年末までVAZはRostec(32.3%)とフランスの自動車会社ルノー(67.7%)が共同所有するオランダのJVアライアンス・ロステック・オートB.V.を通じて支配されていた
2021年末、VAZを支配するJVはロシアの管轄下に移され、ラダ・オート・ホールディングLLCがVAZのオーナーとなり、RostecとルノーがVAZの株式を保有していた

いずれにしても軍産複合体が一時的に民生品を製造してきた会社を救済
その後も軍産複合体の影響下に置くことで、結局、ソ連崩壊で進んだ軍民転換が今度は民軍転換といえるようなかたちで、国家との結びつきを強めている

こうしたロシアの経済実態が教えてくれるのは、戦時経済における軍備生産のためのサプライチェーンの重要性
決していいことではないにしろロシアはソ連時代からの武器製造のためのサプライチェーンの残滓(ざんし)をとどめていた
それがいま、役に立っている
欧米諸国や日本はどうするのか
戦争をするということは戦時に武器製造ラインを増産しなければならない
そのためには、平時においてどんな準備をしておくべきなのか
そもそも日本政府はそんなことを考えたことがあるのか
どうにもやりきれないことも想定しておかなければならないのかもしれない

・・・そういえば
中国では戦時経済体制云々とかってより
人民解放軍は各部隊が副業を
その中では軍需産業が大きなウェートだったけど
今は?
まあ、ど~考えてもヤってそう

今日は~
ミルタシア スノー クリスタル/Miltassia Snow Crystal

久しぶり
もう、この株しか残ってない
1月終の水やりん時
小雪が舞ってた
咲くのは、まだまだ先?
何年かかるやら・・・

2024/2/20
加筆

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