2021年10月9日土曜日

100m*100規模の太陽光受光型光触媒水分解パネル反応器(以下、光触媒パネル反応器)と水素・酸素ガス分離モジュール(以下、ガス分離モジュール)を連結した光触媒パネル反応システムを開発

2021/8/26国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
人工光合成化学プロセス技術研究組合
NEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)など
人工光合成システムの社会実装に向け、100m*100規模の太陽光受光型光触媒水分解パネル反応器(以下、光触媒パネル反応器)と水素・酸素ガス分離モジュール(以下、ガス分離モジュール)を連結した光触媒パネル反応システムを開発
世界で初めて実証試験に成功

2019/8から屋外の自然太陽光下で光触媒パネル反応システムの実証試験に着手
水を分解し生成した水素と酸素の混合気体(以下、混合気体)から、高純度のソーラー水素を分離・回収することに成功
さらにガス流路を適切に設計することで、混合気体を長期間安全に取り扱えることを確認
・・・どうやって?
チョットの刺激で・・・コワい

今回の研究成果は、2021/8/25日にイギリス科学誌Natureのオンライン速報版で公開
NEW WINDOWPhotocatalytic solar hydrogen production from water on a 100m2-scale
1.概要
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)※1」において、
このプロジェクトは、三つの研究開発テーマ(図2)で構成され
二酸化炭素排出量の削減に貢献可能な革新的技術開発の一つです
・・・疑いなく確実にモノゴトを伝えようとすると
言い回しが、みょう~に長くなりメンドクサくなる


NEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)※3は今般、人工光合成システムの社会実装に向け国立大学法人東京大学、富士フイルム株式会社、TOTO株式会社、三菱ケミカル株式会社、国立大学法人信州大学、学校法人明治大学とともに、ガス分離モジュールを備えた大規模な光触媒パネル反応システムを開発し、2019/8に東京大学柿岡教育研究施設(茨城県石岡市)内に設置し、実証試験を行ってきました

開発したシステムは100*100mの受光面積を持つように連結された光触媒パネル反応器※4と分離膜を内蔵したガス分離モジュールで構成
実証試験の結果、水分解反応により生じた水素と酸素の混合気体から高純度のソーラー水素を、安全かつ安定的に分離・回収することに世界で初めて成功
具体的には、発生する混合気体の気泡がスムーズに移動し、かつ着火しても爆発しない構造を持つ光触媒パネル反応器を設計・開発
・・・?
これらを連結することで100*100mの光触媒パネル反応器を製作
混合気体を屋外環境でも継続して1年程度発生することを確認
さらに光触媒パネル反応システムのガス分離モジュールにより、混合気体から高純度のソーラー水素を分離
日照条件によらず、ガス流量を適切に制御できるので安定したガス分離性能を維持
さらに屋外でも数カ月にわたり機能性を損なわず動作することを実証
また光触媒反応システムを適切に設計することで、屋外試験中、一度も自然着火・爆発はありませんでした
さらに万が一の場合の爆発の影響を見るために、光触媒パネル反応システムの各構成部に意図的に着火
爆発による装置の破損や、光触媒や分離膜の性能劣化は確認されませんでした
これらは光触媒パネル反応システムの大規模化やソーラー水素製造プロセスの安全設計に関する基本原理を示した画期的な成果です

人工光合成プロジェクトの概要(今回の成果は(1)光触媒開発のテーマ)
(1)光触媒開発 太陽光エネルギーを利用した水分解で水素と酸素を製造する光触媒およびモジュールの開発
(2)分離膜開発 発生した水素と酸素の混合気体から水素を分離する分離膜およびモジュールの開発
(3)合成触媒開発 水から製造する水素と発電所や工場などから排出する二酸化炭素を原料としてC2~C4オレフィンを目的別に合成する触媒およびプロセス技術の開発

2.今回の成果
(1)光触媒パネル反応器の開発
NEDOとARPChemは今回、大量生産が可能で相互に連結でき、長期間使用可能な光触媒パネル反応器を新たに設計、開発しました
この反応器の上面は透明なガラス製で、中に25cm角のチタン酸ストロンチウム光触媒シートを格納
光触媒シートとガラス窓の間には0.1mmのわずかな隙間があり、そこへ水を供給して反応させます
ここで用いるチタン酸ストロンチウム光触媒は、太陽光のうち紫外光しか水分解には利用できませんが
量子収率ほぼ100%※5で水分解ができるという優れた特長を持っています
また光触媒のシートは、スプレーなどを用いて光触媒を基板上に塗布するだけで、簡易に製造が可能

開発した光触媒パネル反応器に紫外光を照射すると、生成する水素と酸素の気泡がスムーズに反応器上方に移動
光触媒シート表面は濡れた状態を維持(図3右)するため、高い水分解効率を保つことができ
また、気泡が速やかに移動して合一していくために気泡による光散乱の影響もほとんど生じない
この光触媒シートに実験室環境下で疑似太陽光を連続的に照射し続けて水分解活性の長期耐久性を測定
初期活性の8割以上の活性を2カ月以上維持

(2)100m*100m規模の光触媒パネル反応器の実証
新たに開発した光触媒パネル反応器を連結して3m*3mのモジュールを組み立て
さらにそれらをプラスチックチューブで連結することで、世界最大となる100m*100m規模の光触媒パネル反応器を組み立てました
それぞれのモジュールには自動的に水の供給量を制御する機構が組み込まれてる

光触媒パネル反応器は、屋外環境で継続して1年程度水素と酸素の混合気体が発生することを確認
夏の日照条件が良好な時期には、最大0.76%の太陽光エネルギー変換効率を達成

今回用いた光触媒は紫外光しか吸収しないため、太陽光エネルギー変換効率は1%未満
今後数年以内に可視光と紫外光の両方を吸収できる光触媒を開発※6し、5~10%の達成を目指す

(3)ガス分離モジュールによる混合気体からのソーラー水素の分離
水分解反応で生成した水素と酸素の混合気体を光触媒パネル反応システムのガス分離モジュールに導入
水素だけを分離・回収する実証試験
光触媒パネル反応器からガス分離モジュールに供給されるガスの成分は水素と酸素が2:1で
これを1日分離すると平均で、水素濃度が約94%の透過ガスと酸素濃度が60%以上の残留ガスに分離
類似の実験を複数回実施し、天候・季節によらず約73%の回収率で水素を分離できることを確認

今回の実証試験では本プロジェクトのテーマ(図2(2))で開発中の分離膜ではなく、市販のポリイミド中空糸分離膜を使った
水素が透過ガスに、酸素が残留ガスにそれぞれ濃縮される
ガス分離モジュールには混合気体を一時的に貯留するタンクを設け、分離膜に供給される気体の量を一定にして分離性能を安定化させる機構を備えた
NEDOとARPChemは低コストの水素製造を実現するために、今後さらに水素分離性能の高い膜の開発を行っていく予定

(4)光触媒パネル反応システムの安全性試験
ソーラー水素製造プロセスでは、生成物である水素と酸素の混合気体の安全性が課題
水素は可燃性ガスで、1気圧の混合気体中の水素濃度が4~95%の範囲で着火すると爆発
1年以上にわたる屋外試験の間、一度も自然着火・爆発は発生しなかった

今後の実用化に向けて爆発のリスクを確認するため、混合気体が存在している光触媒パネル反応システムの各構成部に意図的に着火し、どのような影響が生じるかを調査
その結果、光触媒パネル反応器、ガス捕集用配管、中空糸分離膜を含むガス分離モジュールのいずれも、破損や性能劣化は確認されなかった
混合気体を貯留するタンク(容積3L)も、タンク内に適切な仕切りを設けることで着火による破壊が起こらなくなることも確認
一連の結果は、爆発性の高い混合気体であっても、適切に設計されたシステムを用いることで安全に取り扱えることを示してる
今後より厳密な安全性試験を行っていく予定

3.今後の予定
光触媒パネル反応器の大面積化の技術開発は、光触媒を用いて、低コストで大量のソーラー水素を製造する人工光合成システムを社会実装するために必須
今回開発した世界最大となる100m*100規模の光触媒パネル反応システムはソーラー水素製造プロセスの安全設計の実現にも寄与
今後、可視光応答型光触媒による太陽光エネルギー変換効率(5~10%)を持つ高効率な光触媒開発で実用化を目指すとともに
光触媒パネルの低コスト化と一層の大規模化、ガス分離プロセスの分離性能とエネルギー効率の向上のための技術開発を進めていきます

【注釈】
※1 二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)
ここでいう人工光合成とは、太陽光エネルギーを用いて、相対的にエネルギーレベルの低い水や二酸化炭素などを、相対的にエネルギーレベルの高い水素や有機化合物などに変換する技術で、本プロジェクトでは、2012年度~2021年度までの研究期間で、人工光合成に係る基盤技術開発に取り組んでいます。2012年度~2013年度までは経済産業省、2014年度からはNEDOのプロジェクトとして実施中です。
※2 C2~C4オレフィン
二重結合を一つ含む炭化水素化合物で、炭素数2から4のもの。C2はエチレン、C3はプロピレン、C4はブテンと呼ばれ、プラスチック原料などになる基幹化学品として用いられます。
※3 人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)
参画機関:(株)INPEX、TOTO(株)、(一財)ファインセラミックスセンター、富士フイルム(株)、三井化学(株)、三菱ケミカル(株)(五十音順)
※4 光触媒パネル反応器
ここでは、光触媒を固定した基板を格納して水を水素と酸素に分解させる、平板状の反応器を指します。
※5 量子収率ほぼ100%
NEDOニュースリリース 2020/5/29
世界初、100%に近い量子収率で水を分解する光触媒を開発
※6 可視光と紫外光の両方を吸収できる光触媒を開発
NEDOニュースリリース 2019年7月3日
世界初、可視光を利用して水を分解する酸硫化物光触媒を開発

・・・光触媒といえば
その発見者が研究チームごと中国に行っちゃったんだよね~

今日は~
アジアンタム レニフォルメ/Adiantum reniforme

ガラス容器・ハイドロもどき仕様
用土表面にコケ⇒藻類
仕立てなおし
今度はコツボゴケをトッピング
しようかな?






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