2024年9月29日日曜日

賢い?タコ

タコが複数の種の魚をまとめて狩りをしているという驚きの研究結果が発表された
狩りのチームの多くはタコ1匹と2~10匹ほどの複数の種の魚で構成されていた
論文は9/23付けで学術誌Nature Ecology & Evolutionに発表された
研究を率いたのは、ポルトガルにあるリスボン大学とドイツ、マックス・プランク動物行動学研究所の博士研究員であるエドゥアルド・サンパイオ氏
2018~2019年に紅海で、タコと複数の種の魚たちが繰り広げる次のような行動を観察し、興味をそそられた
狩りはうまく行っている、と思っていたら、1匹のアカハタが勝手な行動を始めた
すると、これに気づいたワモンダコ(Octopus cyanea)が瞬時に体の色を白と黒に変化させ、腕を1本繰り出し
アカハタ(Epinephelus fasciatus)にパンチを食らわせた
殴られたアカハタはおとなしく持ち場に戻り、仲間と一緒に狩りを続けた
「タコと魚が本当に協力して狩りをしているのか、それとも魚たちがタコの後をついて回っているだけなのかが謎でした」
そこで氏は、研究仲間とともに2台のカメラリグを使って紅海で狩りをする魚の群れを撮影
コンピューターソフトウェアでこれを再現
そして100時間を超える映像を確認した結果
研究チームは、ワモンダコが魚の群れをまとめ、協力させていると結論づけた
「獲物を見つけるのは、ヒメジ(ウミヒゴイ)などの活発な捕食魚です」
そしてタコは「狩り仲間のために隠れている獲物を追い出す役割を担います」
「群れがちゃんと動いていれば、全員が満足し、何の問題もありません」
ところが、まれにアカハタのようなトラブルメーカーがみんなの仕事を台無しにすることがある
これらの捕食魚は通常、獲物が自分たちのほうへやってくるのを待ち伏せするが、仲間がしっかり動いてくれなければ狩りが遅くなる
「群れの中にアカハタがいると、2回に1回の割合で殴られています。協力しないのはあいつだと、タコが理解しているのは明らかです」

すべての専門家がサンパイオ氏の論文に同意しているわけではない
タコの認知能力を専門とするカナダ、レスブリッジ大学のジェニファー・マザー氏
「エドゥアルド氏が見たものを、ほかの研究者がみんな見逃していたのでしょうか?」
マザー氏は、狩りをするタコをブルドーザーに例える
タコが周囲を引っかき回すと、そこにいた生きものたちが驚いてあらゆる方向に散り散りになるからだ

マザー氏の研究を含む過去の研究では
ほかの捕食魚がタコの捕食行動に依存し、その後をついて回ることが示唆されている
「魚たちはしばしば、ブルドーザーから逃げてくる生きものを先頭に立って待ち受けます」
マザー氏は今回の研究には参加していないが、タコの食べこぼしにあずかろうと近づきすぎた魚をタコが叩いたり、逆にスズメダイがタコを攻撃したりする様子を観察したことがある
マザー氏は、魚がいる場所ではなく、どこを向いているかに注目すべきだと考えている
「協力して狩りをするチームのメンバーならタコとは別の方向を向いていて、餌をあさろうとする魚はタコの方を向いているはずです」

イギリス ケンブリッジ大学の客員研究員でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーのアレクサンドラ・シュネル氏
そう単純なことではないと
「たとえタコが先頭に立っていなくても、ほかの魚が群れとどう関わるかは、タコが獲物を追い出す能力に影響されます」
さらに研究を重ねる必要があるが、お互いの利益のために魚とタコが協力することを学んだと考えるのは、そう強引なことではないと

タコが岩やサンゴの上にしばらく腕を広げているのは、小さな魚などの獲物を捕らえたサインだと論文の著者は言う
対してマザー氏は、タコは単に獲物が残したものを確かめているだけかもしれないと異を唱える
サンパイオ氏の仮説が正しければ、タコは魚と協力することでエネルギーを節約できる
単独で行動するよりも広い範囲を短時間で探せる
その結果、繁殖、社会交流、遊び、巣作りやその維持といったほかの活動により多くの時間を割けるようになる
ほかにも、協力が必要な場面で仲間に行動を強いる生きものは存在すると、シュネル氏は言う
「ホンソメワケベラなど、掃除魚と呼ばれる種の場合、掃除をする相手の魚をかじってしまったメスをオスが罰することがあります
彼らの役割は、顧客を食べることではなく、きれいにしてやることですから」

今回の論文に関しては、タコが
「複雑な社会的交流を行い、群れのなかでの役割分担を理解していることを示しています」

しかし、疑問も多く残されている。魚たちは本当に協力しているのか
それともマザー氏が言うように
「単に同じときに同じ場所に居合わせただけ」

サンパイオ氏は、タコの黒と白の体色が魚に対する警告になっているのかどうか興味があると
「イライラさせるなよ!」とでも言っているかのように
また魚がこれを理解して行動を変えているのかも知りたいと

もう一つの疑問は、数十年生きる個々の魚をタコが見分けているのか
「『あれがスティーブで、こっちがマーサだ』とわかっているのでしょうか
そして、スティーブとマーサと一緒に狩りをしたいと思っているのでしょうか」

アメリカでタコ養殖禁止法が・・・
タコなどの頭足類は、地球外にルーツを持つ生命体との説が論じられるほど海洋生物の中で突出して知能が高いため
科学者の中にはタコの養殖はやめるべきだと提唱する人もいます
そんな主張を受けて、商業的なタコの養殖を禁止するOCTOPUS Act(オクトパス法)
の制定に向けた議論が、アメリカ議会で進められています

Whitehouse, Murkowski Introduce Bipartisan Bill Banning Commercial Octopus Farming - Senator Sheldon Whitehouse
https://www.whitehouse.senate.gov/news/release/whitehouse-murkowski-introduce-bipartisan-bill-banning-commercial-octopus-farming/

Opposing the Cultivation and Trade of Octopus Produced through Unethical Strategies Act Introduced in the U.S. Senate - Animal Legal Defense Fund
https://aldf.org/article/opposing-the-cultivation-and-trade-of-octopus-produced-through-unethical-strategies-act-introduced-in-the-u-s-senate/

2024/7/25に議会に提出されたOpposing the Cultivation and Trade of Octopus Produced through Unethical Strategies Act(非倫理的な方法で生産されたタコの養殖および取引に反対する法律)、通称OCTOPUS法は、
民主党のシェルドン・ホワイトハウス上院議員と共和党のリーサ・マーカウスキー上院議員が発議した法案で
ホワイトハウス氏
「タコは海で最も知能の高い生物のひとつです。そして、タコは海で生きるべきであり、工場のような養殖場で苦しむべき生物でもありません。マーカウスキー議員と私の超党派法案は、この残酷な慣行が根付く前に、アメリカ企業がこれに加担するのを先制的に阻止するものです」

マーカウスキー氏
「OCTOPUS法はアラスカの海洋生態系を積極的に保護するとともに、アラスカの漁師が天然の漁業を行う機会を支援するものです。アラスカの漁師が世界市場の厳しい状況を切り抜けようとしている中、私は世界で最も持続可能な天然漁業を提唱し続けます」

OCTOPUS法の骨子
・アメリカにおける商業的なタコ養殖事業を禁止する
・商業的に養殖されたタコおよびそれを含む製品の輸入を禁止し、違反した者に罰金を科す
・輸入業者に対し、養殖タコを輸入していないことを証明するよう義務付ける
・アメリカ海洋大気庁(NOAA)に対し、管轄下の貿易プログラムにおけるタコの漁獲方法に関するデータの収集を義務付ける

タコは多くの研究で高い知能を持つことが裏付けられていますが
これに加えて意識を持つことを示唆する研究も増えてきました
つまりタコは喜びや苦痛といった感情を持つことができる動物であることを意味しており
そのような生き物を狭い養殖場で飼育するのは非倫理的であるとホワイトハウス氏らは主張

動物福祉の観点からの懸念に加え、タコの養殖は窒素やリンなどの物質が海洋に流出して藻類の大量発生する事態を招き
酸素が少なく生物が住めない海域を発生させたり、海洋生態系を脅かしたりするおそれがあると憂慮する専門家も
また、病気や寄生虫を防除するために使用される抗生物質などの薬物が、海の食物連鎖を崩壊させるのではないかと危惧する声も
・・・餌を食べ残すほどヤる必要があるみたい

発表によると、この法案はアメリカ動物愛護協会を含む21の団体から支持されていると

マイアミ大学の環境科学者であるジェニファー・ジャケー氏
「タコは肉食動物で、飼育には餌となる動物を捕獲する必要があるので、商業的な養殖は持続可能ではありません
またタコは大変賢く、好奇心旺盛で、活動的なので工場式養殖場でいい生活を送らせることもできません
この法律は、アメリカ人が自由を支持する方法のひとつなのです。つまり、タコの自由を、です」

今日は~
マメヅタ/Lemmaphyllum microphyllum

新人さん
ラベルにはイチョウ豆ツタと・・・
まあウチにある金魚と同じかと
このへん
業者さんは適当なんで・・・

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