2024年7月21日日曜日

中央委員会第3回全体会議から

7/15~7/18の4日間、中国共産党は第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)を開いた
通例通りでは昨年秋か年末に開かれるはずの三中全会は半年以上も先延ばして開催
会議では何か重大なる政策決定が行われるのではないかとの観測が以前からあった
に加えて中国経済が今は崩壊寸前の緊迫した状況?であるから
しかし18日に会議が閉幕して全会のコミュニケでは
全会は一応、中国式現代化という長期的ビジョンを提示し2029年での完成を目指した改革深化の方針を示したが
これは以前から唱えられてきた悠長な机上の空論あって新鮮味も実効性もない
その一方、燃眉の経済問題への対処に関しては何の具体策も打ち出されないまま
鳴り物入りの三中全会というのは、いつまでも先伸ばせないから一応やることはやったものだが、ほとんど内実のない会議に終わった

そして18日に発表された全会のコミュニケは
”改革”という言葉を五〇回以上も使って
「改革をより突出した位置に置き、さらに深化させなければならない」
習近平政権になってからの十数年間、特に習近平独裁体制が確立された政権の二期目からは、習近平政治の方向性と最大の特徴はむしろ鄧小平の改革路線から離反、毛沢東政治への回帰
ここに来て突如、政権が声高らかに改革を唱えるようになったのは・・・

大きな理由として考えられるのは
内憂外患の難局打開に万策の尽きた習近平政権
今でも国民全体に人気のある鄧小平改革に縋る以外に局面打開の手はない・・・
実際、全会が始まってから人民日報などが行なった宣伝においては
改革を盛んに唱えると同時に習近平と並んで鄧小平の名前も頻繁に引っ張り出してきて
あたかも習近平こそが鄧小平改革の真の継承者であるとの論調
全会が開幕した15日、国営新華社通信
改革家・習近平と題する論評記事を配信
習氏を鄧小平以来の卓越した改革家と持ち上げた
そして全会のコミュニケも鄧小平理論にも触れている

注目すべきなのは、3中全会のコミュニケが習近平思想に対する扱い方は冷淡になった点
昨年2月に開かれた2中全会のコニュニケは、習近平思想に4回に触れ
「習近平思想の全面貫徹」、「習近平思想を指針としなければならない」、「習近平思想教育の全面展開」etc
それに対し3中全会のコミュニケでは習近平思想に触れたのは一度だけ
習近平主宰の党の全体会議が習近平思想をこのように取り扱うのは?
習近平自身の意思によるものか、党内の圧力に屈したことの結果なのか?
習近平の一枚看板である習近平思想が後退?

三中全会閉幕、コミュニケ中身より気になる異例の周辺事態
新華社が15日に配信した三中全会特別原稿 改革家習近平が17日には取り下げられた
国内のインターネットニュースサイトでは読むことができなくなっている
新華社は中国共産党・国務院直属の組織であり、三大中央メディアのトップ
新華社の配信記事は、中共ハイレベルの意見そのもの
習近平が指示を出さなければ、このような記事は配信されない
だとすると習近平も気づかなかった政治的問題が配信後に発覚?
だが「習近平は鄧小平よりすごい改革家だ、鄧小平より難しいことに取り組んでいるのだ」という内容自体は、習近平がてらいもせずに言いそうなも

この原稿が削除されたことについて、在米華人経済学者の程暁農がラジオフリーアジアに面白い見方を語っていた
記事が削除されたのは、この記事自体が高級黒(ハイレベルな皮肉)だからだ・・・
「もし習近平がこうしたプロパガンダ調子の記事のマイナス効果を心配しないのであれば、自分で月桂樹の冠(勝者の証)をかぶって見せることも意に介さないもしれない。だが、現在問題なのは状況が全面的に混乱しており、それを習近平がどういじくりまわしても、解決はしないのだから、そういうタイミングで習近平をこんなふうにほめたたえるのは、習近平にしてみれば『高級黒』(皮肉、嫌み)だと感じただろう!」

習近平がやり遂げるように課せられた改革、鄧小平がやり残した、嚙みきれない硬い骨の改革は、ひとことでいえば政治体制改革
だが、じつのところそれは習近平がやろうとしていることではない
習近平は政治体制的には毛沢東時代の個人独裁時代に回帰しようとしている
なのに新華社の原稿では、開明派政治家の父親の習仲勲のイメージを重ねたりして、最終的には習近平の本心とはずれた印象になっていることに、読み返してみて気付いた?
それが、むしろ嫌みや批判であると受け止めた?
るいは新華社の配信したこの記事を受けた中国国内外の世論が、習近平を冷笑する形で広まったことで、習近平もようやく、こういう礼賛原稿が恥ずかしいと気付いたのかも?
あるいは党内の鄧小平に心酔する主流中央委員、官僚たちが三中全会会議中に、鄧小平の改革をたやすいことだと言わんばかりのこの原稿に強い反発を示したのか?

中国共産党常務委員たちの現在の分担に照らし合わせると、こうした官製メディアのプロパガンダ原稿の責任を負っているのは党内序列五位の蔡奇
習近平を改革家だというイメージで宣伝政策をうったのは蔡奇のアイデア?
蔡奇に対する党内の反発がこの記事をきっかけに三中全会で表面化し、取り下げられたという見方も?

もう一つの異例の周辺事態は
習近平が三中全会の会議中、卒中で倒れた、という噂が駆け巡ったこと
15日の夜あたりにネットで
「筆頭株主のおじさん(叔二)が、株主総会中で卒中で倒れた」
というメッセージが中国のSNS上で散見された
それが18日になって
「習近平が三中全会中、卒中で倒れた」
という具体的な噂になっていた

在米の元中国人記者の趙蘭健が某紅二代(共産党幹部の子弟子女)から、そう聞いたと発言したことがSNSで広まった
これが事実かどうかは?
18日にコミュニケが発表されたのだから、三中全会が無事終了したことは間違いない
だがCCTVの18日夕方のニュースで三中全会が閉会しコミュニケが採択されたことを伝えるニュースで使われた映像は、閉会式の映像ではなかった
確かに習近平が演説している様子の動画ではあるのだが、それはおそらく会議1日目の場面であり、なぜ閉会式の映像を流さないのかと噂になった
それで新華社の改革家習近平記事の取り下げと相まって、なにか三中全会中に異例の事態がおきたのではないか、という憶測が広がった

習近平が健康上の問題を抱えていることは本当らしい
2つの説があって、一つは文化大革命時代に下放されたときに事故で頭にけがをし、その後遺症で脳動脈瘤を抱えている
もう一つが糖尿病を患っているという説
あるいは両方
習近平は西洋医学、西洋医薬が好きではなく、もっぱら中医に処方された煎じ薬を愛用しており、会議の場で習近平の前に置かれる2つの茶杯の1つは漢方薬の薬湯である、らしい
日本の医薬品が習近平の症状によく効くと聞き、部下たちが習近平に勧めたら、日本の薬は絶対飲まない、と言われたとか
脳動脈瘤も手術で治るのだが、手術を怖がって受けたがらないとか
そういう噂話も
中国の権力者にとって健康アピール、壮健アピールは重要で毛沢東は長江で水泳をするパフォーマンスをよく行った
だが、習近平は健康に自信がないので、コロナ蔓延中は慎重にマスクをして、あまり人とも会おうとしなかった、と
党大会や全人代など長丁場の会議でパワフルに演説したりするためにも体力、健康が重要だ
三中全会の目的が習近平権威の確立であったとしたら、もしその会議で、健康上の理由で一時的でも退席したなら、それは習近平の権威付けの失敗?

事実かどうかは別として、こういう噂を中国人民がSNSで拡散していることの背景に、習近平権威に対するそこはかとない反発が?
三中全会コミュニケの中身を改めてみると
欧米と異なる発展モデル中国式現代化を推進して建国80年目の2029年まで改革の任務を完遂させることを掲げている
これは習近平は2027年の第21回党大会後も最高指導者で居続けることが前提の新たな目標であり
さらに2035年までに、ハイレベルの社会主義市場経済体制を全面的に完成させるとしている
中国式現代化という言葉が22回も繰り返され、改革開放は4回しか言及されなかった
習近平のスローガン中国式現代化という言葉を、鄧小平の改革開放に上書きするのが狙い?
改革と言えば今まで鄧小平の改革開放を意味したが、これからは改革と言えば習近平の中国式現代化だと・・・
だが多くの中国人は、習近平のいう中国式現代化の本質が反改革であることに気づいている

改革家習近平原稿に話を戻すと
習式改革という言葉が使われ
「マルクス主義が新しい時代と中国の現実に合わせてつくり直され、中国の優れた伝統文化と融合させたものだ」
「だから改革は新たな哲学的意義を帯び、制度構築に高度に重点を置いているのが特徴だ。制度や仕組みの根深い問題をより重視しているため、規則やシステムを構築するために多くの作業が行われてきた」
つまり習近平の改革とは、習近平のルールと規律による統制の強化である
中国式現代化とは経済のうまみは失われたなかで、習近平の厳しいルール規律で統制を強化し、中共・習近平の指導地位は堅持するということ
鄧小平時代に夢みた豊かな改革開放時代さようなら
貧しく厳しい習近平専制時代に備えよう
と人民にはっきりと自覚させるのが今回の三中全会の最大の目標であった?

最近中国で流行している言葉に垃圾時間(ゴミの時間)というのがある
黙って何も考えず、抵抗せず、やり過ごす無為な時間という意味
これから始まる新たな専制時代への心構?
みんな理解していることは、この三中全会によって習式改革、中国式現代化という名の専制強化の新たな段階がスタート
改革家習近平の異様な習近平礼賛記事と、それを翌日に削除する異例の措置や、習近平卒中の噂の背景に
習近平専制におびえる党内外の心理、習近平がある日突然、いなくなればいいのにという願望が反映されている?

・・・ほんと
いなくなれば・・・

今日は~
ゼンマイ/Osmunda japonica

4月半ば
室から出した根洗い
タイミング的のはベストだった
ハッパが展開してからだと、かなり痛めちゃう
丈夫
履歴を見ると2011以前に鉢上げしてる




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