2024年1月24日水曜日

もし珠洲原発があったら・・・

 能登半島地震の震源地近くに建設が計画されていた珠洲原発
建設予定地だった石川県珠洲市高屋町は、今回の地震で住宅の大半が壊れ、陸路も海路も閉ざされて孤立状態に

今回の地震で被災した高屋地区にある円龍寺の住職・塚本真如さん
関西、中部、北陸の3電力は1976年に正式に原発計画を公表
しかし関電が建設計画を進めた高屋地区では当初、住民のほとんどが反対
そこへ関電側が住民の懐柔に動いた
「タダで飲み食いさせたり、原発視察名目の接待旅行に何度も招いたり。芸能人を呼んだ住民向けのコンサートも開かれた。僕は一度も行かなかったけど、最後は住民が飽きて視察に参加しなくなるほどだった」
関電から、地域の祭りで使う奉灯キリコの収納庫や農作物の保冷庫などを建てるための多額の寄付もあった
原発予定地の土地を貸して、億単位の賃貸料を得た住民もいたと
カネの力の前に、一人また一人と賛成に回り、地域は分断されていった

計画が持ち上がった当初、塚本さんは原発に賛成でも反対でもなかったが
「推進、反対の本を100冊は読んだ。学ぶほど、安全はウソで固められていると疑うようになった。放射能と人間は共存できんなと」
アメリカ スリーマイル島や旧ソ連チェルノブイリでの原発事故もあり、疑念は確信に
反対運動へ深く関与していった
転機となったのが、関電が高屋地区での原発建設に向けた現地調査に乗り出した89年5月
塚本さんを含めた住民たちは調査に入ろうとする関電の車列を阻止
市役所で約40日間にわたる座り込み抗議を始めた
円龍寺は反対運動の拠点となった
「それまで表に出ないようにしていたが、このときは大声を上げた。行動しないと何もならんと。知らん間にリーダー的な存在に祭り上げられていた」
住民らは念仏を唱えて道路に座り込み調査を中断に追い込んだ

この頃から原発を巡る対立は激しくなっていく
高屋地区では住民の賛否が分かれる中で、毎年秋の住民運動会が中止された
生活雑貨店を営み、原発に反対した井上伸造さん
「『反対派の店で物を買うな』と、不買運動も起きた」
塚本さんへの圧力も強まった
自宅では連日、無言電話が鳴り、電話が盗聴されたとしか思えない内容が書かれた手紙などが届いた
嫌がらせは計画が凍結されるまで10年以上続いた
推進派に包丁を突きつけられたこともあった
しかし
「絶対に推進派の個人攻撃だけはするな」
と周囲に何度も言い続けた
反対派で建設予定地の土地を共有化したり、関電株を買って計画撤回の株主提案をするなどして手を尽くした
原発に反対する政治家を増やそうと、県議選や市長選などにも関わった
「強い者の味方をしたら坊主じゃない」という父の教えが行動を後押しした
塚本さんらの反対もあり、3電力側は2003年12月ついに計画凍結を発表
11年の東京電力福島第1原発事故の後には
「珠洲に原発はなくて良かった」と、推進派だった住民が塚本さんに話しかけてきた
今では原発が住民の話題に上ることもない
住民同士のわだかまりは「もう過去のこと」だと

今回の能登半島地震で珠洲原発の予定地だった高屋地区の海岸線は数メートル隆起
もし原発があったら・・・
井上さん
「原発事故が起きたら、能登はなくなっとったかもしれんね」
塚本さん
「言葉を尽くすより、あの様子を見て想像がつくでしょう。やっぱり日本に原発を造れるところなんてどこにもないね、と」

東京電力福島第1原発事故後、市民の立場で脱原発を求める発信・提言を続けている 原子力市民委員会
今回の能登半島地震で地震や津波が頻発する日本の原発の危険性があらためて浮き彫りになったとして、18日にオンラインシンポジウムを開いた
「事業者による活断層評価は明らかに過小評価だった。数メートルに及ぶ地盤の隆起や変異を原発の安全設計に組み込むことはできない」
「社会インフラが機能不全に陥った。原発事故発生時に避難や機材、人員の増強は不可能だと分かった」
座長を務める龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)
「原発にとって脅威なのは、想定していない揺れが起こること」

元東芝原発設計技術者の後藤政志氏
志賀原発1号機の直下には活断層が走っていると一時は評価されたが昨年、覆った
「この断層を元に地震が起きると強く主張するわけではない。他で大きな地震が起きた時に連動して揺れ、原発に影響を与えるんじゃないか、という心配をしている」
「地割れや隆起が起きれば、原発は持たない。原発を断層のない安定した地盤の上に設置することは最低限必要。能登半島地震は原発の危険性を突きつけている」

原子力資料情報室の松久保肇事務局長は使用済み核燃料(SF)について
北陸電は仮に全電源が喪失した場合、SF冷却プールが100℃に達するのは1号機で17日間、2号機で29日間と推定している
「志賀原発は長時間停止しており、SFの発熱量がかなり下がっているからこれだけ時間がかかる。停止直後ならこんなに余裕はなかった、ということになるだろう」
「今回は原発に3mの津波が来たとされているが、3m以上来たらどうなるか。海水ポンプも壊れていたのではないか」

環境経済研究所の上岡直見代表
石川県が策定した避難計画で指定する道路の多くが寸断されたとし
「原発避難は30キロ、数十キロ移動する。徒歩は考えられない。自動車で移動するのかといったら駄目ということ」
今回は、多くの家屋が倒壊しており、屋内退避もままならない
「仮に倒壊しなくても、ライフラインが途絶すれば屋内退避はできない」
さらに避難時に放射性物質が衣服や体に付着していないか調べる場所スクリーニングポイントの開設や、ヨウ素剤の配布も困難だと

大島氏
「日本は世界にも稀な地震、自然災害大国。現行の規制基準に重大な欠陥があり、避難態勢にも実効性がない。現在稼働する全ての原発をただちに停止させるべきだ」

・・・たぶん関西電力も、東京電力の二の舞にならず
ほっと・・・
しかし、お上とか銭を持つ方って
何かを推し進める時は、かなり強引に・・・
まあ、そういう風にしないと
権力も銭も手にできないか・・・

今日は~
マスデバリア イグネア/Masdevallia ignea

先日の、お姿
やっとここまで
咲くのは、まだ先
ちゃんと開いてほしい・・・

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