2023年9月6日水曜日

徴兵は・・・

皇學館大学准教授の村上政俊さん
「フィンランド国民は過去の歴史や地政学的要因から徴兵を幅広く支持している。徴兵が幸福を妨げるというのは日本の尺度でしかない」
1970年から1980年代にかけて、フィンランドの国防予算は6倍に膨れ上がり、空軍、海軍の刷新を中心に、国防力の整備が進められた
冷戦後の軍縮の流れも、フィンランドには波及しなかった
国防費の対GDP比は、ウクライナ全面侵攻前の2021年にすでに1.85%
ウクライナ侵攻後にはさらに、国防費を2023年からの4年間で約$22億増額すると決定
北欧の雄と目されるスウェーデンに比べてフィンランドは、人口もGDPも約半分に過ぎない
だが、その国力に比して強大な軍事力を維持整備してきた

これに対して冷戦が終結してからのスウェーデンの国防政策は、国防費の削減、多くの基地の閉鎖など、フィンランドとは異なる
ゴットランド島も非武装化された
軍隊の運用についても、冷戦期の総合防衛から、危機管理、国際的貢献へと位置付けを変えた
なぜ、フィンランドとスウェーデンの間に、国防政策の違いが生じたのか
それはロシアをどのように見るのかという対露観に相違があったから
ロシアとの間で1300kmを超える国境を接するフィンランドは、冷戦終結後もロシアの脅威に対して、より高い警戒を維持し続けていた
一方でスウェーデンは、ロシアとの間では陸上で国境を接していない
フィンランドが壁となって、スウェーデンとロシアを隔てる

フィンランドはもとより、自前の国防力の整備を着実に進めてきていた
ウクライナ全面侵攻によって急速に高まったロシアの脅威に対応するために、強力な国防力という土台の上に、NATOによる集団防衛をプラスアルファしようとしている
自国に危機が迫ってから、泥縄的にNATO、そしてアメリカを頼ろうとしたわけではなかったということ
平素から、自国の国防力を高めておく
その基盤の上に同盟の力を足し合わせていく
こうしたフィンランドの国防に対する考え方は、世界的に見ても極めてオーソドックス
日本としても参考とすべき
フィンランドは、約1300kmの陸上国境で隣接するロシアを、仮想敵として想定して、長年にわたって軍事的な備えをしてきた

フィンランド軍制服組トップのティモ・キヴィネン司令官
何十年にもわたってロシアの攻撃に備えてきたと
フィンランド陸軍は、ヨーロッパ最強といわれる砲兵部隊を以前から擁しており、主力戦車としてはドイツのレオパルト2を採用
すでに述べたように、2023/2には、同戦車を3両、ウクライナに供与すると発表した
空軍力の増強についても、フィンランドは積極的に取り組んでおり、F‐35戦闘機の導入を決定している

ウクライナの人々の勇姿は、国防への国民の参画、戦時にあっていかに大切かを我々に教えてくれている
自分たちの国は自分たちで守る
洋の東西を問わず、この点こそが国防の根幹
日本人にとっても決して他人事ではない
軍事組織の構成員を確保する方法については、徴兵制と志願制に大別することができる
日本の自衛隊は志願制
フィンランドでは、18歳以上の男子に兵役が課され、徴兵制が敷かれている
フィンランド憲法第127条第1項は国防の義務について
全てのフィンランド国民は、法律で定めるところにより、祖国の防衛に参加し、又はこれを支援する義務を負う
兵役の期間は2013年の法改正によって短縮されたものの
165日(5.5カ月)、255日(8.5カ月)、または347日(11.5カ月)となっている
フィンランドでは、フィンランド大公国時代の1878年に徴兵制が導入され、1950年に国家徴兵法が制定された
冷戦が終結した後もフィンランドでは徴兵制が一貫して維持されてきた
最も大きな要因、ロシアに対する軍事上の警戒心
ロシアとの間に1300kmを超える陸上国境が横たわるという事実は、冷戦が終わっても何ら変わりない
隣国であるスウェーデンが、2010年に徴兵制を一旦廃止したのとは対照的
なおスウェーデンは2018年に徴兵制を復活させている

フィンランド国防省によって、2022年5月に実施された世論調査によれば、フィンランドが攻撃された際に、祖国防衛に参加するとの回答は82%
直接的には目下のウクライナ危機が関係しているが、それに加えて、第二次世界大戦中の冬戦争で、ソ連に侵略された苦い歴史が背景に
国民の非常に高い国防意識は、民主主義国家の強靭きょうじん性を示しており、権威主義体制との対峙たいじが激化するにつれ、その重みは増していくだろう
さらにはフィンランドを侵略しようとする者の意志を怯ませる効果も期待される
国民の高い国防意識に支えられることで、フィンランドの徴兵制は機能している
篠田研次元駐フィンランド大使がヘルシンキ在勤中に得た感触によれば
「フィンランドの人々は、人生の一定期間若い頃に兵役に服し、その後老いるまでの間も予備役として技量・知識が消えないよう何年か毎に訓練のために軍に戻ることを極々当然のこととして受け止めており、国民の徴兵制度に対する支持は揺るぎないものである」

世界の中で徴兵制を採用している国は、現在64カ国ある
中立国として知られるスイス、オーストリアでも、徴兵制が維持されている
両国とも徴兵制に基づく国防力を背景に、中立を維持している
スイスでは、民兵制によって軍が組織され、民間防衛についても憲法で規定されている
軍事同盟に加わっていない中立国では、自分たちで自国を守る重要性がさらに大きい
非武装中立とは、まったく正反対の現実が、そこにはある

ヨーロッパでは、徴兵制をいったん廃止したものの、再び採用するという徴兵制復活の動きもみられる
リトアニアでは2015年に、フランスとスウェーデンでは2018年に復活した
2007年に志願制となったラトビアでも、徴兵制再導入に向けて、国防省が取り組みを開始している(2024年からの再導入が決定)
スウェーデンでは徴兵制復活にあたり、国防相がロシアに言及し、クリミア侵略やスウェーデン近傍での演習増加を挙げた
バルト三国での徴兵制復活の背景にも、ロシアへの警戒があるだろう
徴兵制が維持されているエストニアでは2023年に、徴兵期間の延長が決定した
フランスでは1996年に、当時のシラク大統領によっていったん廃止されたが、マクロン大統領が大統領選挙で公約し、徴兵制を復活させた
マクロン大統領は、「国家連帯の礎石を固める」
社会的紐帯という観点から徴兵制を重視する姿勢を示した

一方で、日本は?政府見解によれば、徴兵制は許容されないとされている
憲法上の根拠としては意に反する苦役について定める第18条、幸福追求権について定める第13条が挙げられている
だが6年連続で幸福度世界一と日本人が賞賛し、憧れるフィンランドには、一貫して徴兵制が維持されてきた
ではフィンランド人は、苦役を強いられ、幸福を追求する権利を侵害されているのか?

北岡伸一東京大学名誉教授
「世界の多くの国で、兵役は国民の神聖な義務だということになっている。日本で苦役なら、外国でも苦役のはずである。徴兵が苦役であるとは、世界の常識とかけ離れたとんでもない解釈であって、日本の憲法学のガラパゴス性を示す顕著な例である」

徴兵制を採用するか、あるいは志願制を採用するかについては、それぞれの国が自由に選択している
判断基準としては、それぞれの国を取り巻く安全保障環境や置かれている社会情勢が挙げられる
フィンランド国防軍のウェブサイトでは徴兵について
フィンランドの選択と明記されている
フィンランドの徴兵制は他国による強制の結果では決してない
徴兵制を維持するフィンランドから我々が学ぶべきは、国民自ら国家を守るべしという国防意識
ほとんどすべての国民が、基本的な銃の取り扱い方すら知らないというのが日本
日本においても徴兵制を直ちに導入するかどうかはさておき、タブー視することなく議論することが少なくとも必要

さら、フィンランドでは1995年から、女性に志願兵役が認められている
希望すれば女性も兵役に就くことができる
2022年には過去最多となる1211人が参加した
ロシアによるウクライナ侵略以降、軍事訓練を受ける女性が増え、銃の使い方、キャンプの設営方法、応急処置の仕方などを学ぶ女性向けの講座では順番待ちになっている

フィンランド国防軍は自らをフィンランド社会の背骨と称しているが
その背骨は多くの女性によって支えられている
こうしたことは、これまで日本では注目されてこなかったが、社会と軍事の関わり方についても、フィンランドには見習うべき点が
女性を対象とする徴兵については、他の北欧諸国で実施する例がみられる
2015年にはノルウェーで、2018年にはスウェーデンで、女性の徴兵が開始された
他にはイスラエルでも女性を徴兵している

マリン首相は、男女参加の機会均等を考慮すべきだと述べて、徴兵対象の女性への拡大を支持した
オランダの女性国防相も
「女性と男性は平等の権利を有しているだけではなく、平等の責任も負っている」

権利だけでなく、義務も等しく分かち合うことこそが、真の平等をもたらす
なお2022年10月のフィンランドでの世論調査によれば、徴兵対象の女性への拡大について、反対が44%だが、賛成も35%

・・・ロシアが占拠したトコでの悪行を見れば
女性も戦闘訓練を受けたいと思うのはアタリマエ

ちなみにフィンランド憲法第127条第2項
「信念に基づき軍事的な国防への参加の免除を受ける権利については、法律で定める」
との条文を設けて良心的兵役拒否について規定している

加えてフィンランドは、大規模な予備役を擁している
人口わずか約550万人のフィンランドが、戦時には28万人の兵力を30日以内に動員することが可能
そして90万人という大規模な予備役を持っている
人口が約1億2000万人の日本において、各国の予備役に相当する予備自衛官は、5万人
フィンランドの総人口に予備役が占める割合は約16%であるのに対し
日本の総人口に予備自衛官が占める割合は0.04%

こうした人口に比して巨大な規模の予備役は、フィンランドが第二次世界大戦の敗戦国となったことと大きく関係している
1947年のパリ講和条約によって、フィンランドには軍備制限が課されたが
大規模な予備役はその副産物だといえる
フィンランド軍は1948年にパーシキヴィ大統領に対して
条約が動員を禁じていないことを指摘し、動員システムの基礎を予備役に置くことを進言した
これによって第二次世界大戦後のフィンランド軍の姿が小さな常備軍、大きな動員軍という柱によって構成されることが固まった

ウクライナ侵略において、プーチン大統領は2022/9に、予備役を対象とした部分動員令を発令した
翌10月には、約30万人を招集したとしたが国外脱出が急増するなど、ロシアの動員体制には綻びが見られた
それとの比較では、高い国防意識に支えられたフィンランドの予備役は、同国にとっての大きな強みである

・・・ドッカが日本に侵攻してナニを得るか
土地?・・・まあ太平洋に接している立地をかんがえるとソレもアリ
あとは、勤勉?従順?な国民性⇒生産力
もし、侵略してできた政権に日本国民が反抗する意志とノウハウを持っていたら・・・
コレも抑止力
まあ、民草がマトモで、政権もマトモならだけど

日本共産党の野坂参三は、戦力の放棄を批判してる・・・コレはマットウ
逆に日本自由党の吉田茂は、戦力の放棄を・・・コレはヒヨった
その後、両者が、それぞれ変節した・・・

今日は~
キキョウ

8月の出先で
沢沿い・木陰
紫が濃い
イイわ~
日向だと、色が薄くなる
庭に入れたいけど・・・

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