2022年12月29日木曜日

自動車業界の思惑

世界的に自動車の急速なBEV(バッテリー電気自動車)化が進んでいる
一方で、資源高騰やエネルギー問題により、BEVの課題も見えてきた
日産サクラとリーフの値上げが発表された
サクラはベースモデルで¥16万600、最上位モデルで¥10万100の値上げ
リーフは40kWhバッテリー搭載車で37万1800円、60kWhモデルではなん¥102万8500の値上げ
バッテリー搭載量が多いモデルのほうが値上げ幅が大きい

テスラも、モデル3を中国生産に切り替えた2021年初頭には¥429万で買えたのだが、その後小刻みな値上げを繰り返し、2022/12現在では¥596万4000にまでなっている
2年弱で¥167万円の上昇
アメリカでも同様で、2019年に$3万4990から買えたモデル3が、現在では$4万8190
約¥180万の値上げ

フォードが2022/4に約$4万で発売したBEVトラックF-150ライトニング・プロは半年後の10月に$5万6000に
約40%、¥220万の値上げ

50万円EVで話題となった中国で最も売れているBEV、宏光(ホンガン)ミニEVも発売当初の2万8800元⇒3万2800元に値上げ

これらの値上げの主たる要因は、バッテリーのコストの大幅上昇
自動車メーカー各社がEVの大増産に取り組んでいるため、大量生産により製造コストは大きく下がっているはずなのだが
リチウムイオンバッテリーの製造に不可欠なリチウムの価格が今年に入って一気に高騰
2020年は4万元/t(中国元)を下回っていた価格が2021年前半には9万元に
2022/5には50万元、11月には60万元

リチウムは200年近い埋蔵量があり、枯渇の心配はないといわれていた
今までのリチウムイオンバッテリーの需要はスマートフォンやPCなどが主体
EVが一気に普及するとなると話はまったく変わってくる
スマートフォンのバッテリー容量は3000mAh=3Ahくらい
軽自動車の日産サクラでも20kWhのバッテリーを搭載しているので、1台でスマホ6600台分のバッテリーを搭載していることになる
テスラ・モデルSならば100kWhのバッテリーを搭載しているので、スマホ3万3000台分
2022年上半期のプラグイン車(BEVとPHEV)の販売台数は、前年比62%増の430万台
これだけのリチウムイオンバッテリーの需要がここ数年で爆発的に増加した

需要が増えたからといって生産はそう簡単には増やせない
リチウムが採れる場所は限られていて世界の推定埋蔵量はボリビア、アルゼンチン、チリといった南米諸国に偏在
南米のリチウムの多くは塩湖から潅水かんすいを汲み上げて水分を蒸発させる方式で生産しており、生産量を短期間で大幅に増やすことは物理的に難しい
塩湖周辺の環境破壊という問題も増産を難しくしている
オーストラリアや中国では、リチウム鉱石からリチウムを取り出す方式で生産している
そして精製プロセスはほとんど中国
精製の過程で有害な廃棄物がたくさん出るため、環境規制が緩い中国に集中

またどちらの方式でも生産に多くのエネルギーを要し、現状ではその燃料に化石燃料が使われている
EV化の目的はCO2の削減であるわけだから、その要であるバッテリーの製造に多くの化石燃料が使われるのでは・・・
本来は製造のためのエネルギーもカーボンフリーないしカーボンニュートラルのエネルギーに置き換えなければならないが
そのためにかかるコストと時間はかなりのものになる
このように、EVが増え続ける限りリチウムイオンバッテリーの価格は上昇基調を続けることになり
結果としてBEVの価格も上昇トレンドを続ける
現状でもBEVの価格はガソリン車やハイブリッド車と比べてかなり高いので
その価格差はさらに拡大する

世界のBEV販売台数は現状伸びているが、その多くは中国で
BEV化を推進していたヨーロッパではその伸びは鈍化
2022/1~10のデータでは、中国のプラグイン車の販売は113%増
ヨーロッパでは9%増
2021年まで1台あたり€9000という巨額のBEV補助金を出していたドイツ
2022年に補助金が€6000に減額されたことも影響?
補助金は2023年に€4500、2024年には€300に減額される予定
販売台数が増えてくると1台あたりの補助金の額も下げざるを得ない?
車両価格も上昇しているので、ユーザーのBEV購入へのハードルは高くなる
そうなるとBEVの販売台数の伸びは大きく期待できない・・・

BEV化の目的はグローバルでのCO2削減のはず
裕福なヨーロッパでもその普及が遅れるのであれば
それ以外の地域、アジアやアフリカで高コストのBEVが普及する見込みは・・・
BEV化は単にBEVを売ればいいというわけではなく、充電インフラの整備、発電量の増大(しかも、カーボンフリー/カーボンニュートラル発電である必要がある)といった非常にコストのかかる社会インフラの整備も必要
リッチで環境意識も高い一部ヨーロッパ諸国や、中央集権国家である中国では達成できるかもしれないが
それはグローバルで見れば一部
当面の間は多くの国で化石燃料に頼らざるを得ない

ここ数年の中国におけるBEVの普及スピードはすさまじいが、これは国策として行っているから
中国はリチウムの産出国であり、世界の埋蔵量の10%弱を占めている
リチウム鉱山の開発も、中央集権国家である中国はほかの国より圧倒的に有利に進められる
そしてリチウム鉱石の精製は中国の独壇場
国策としてBEVに取り組んだ結果、今や世界のEV用リチウムイオンバッテリーのシェアの34%を中国・CATL社が占める
中国2位のBYDも12%で、10%のパナソニックを抜いている
中国メーカーを合計するとそのシェアは56%

CATLは中国メーカーだけでなく、世界の主要自動車メーカーにバッテリーを供給
現在日本で売られているテスラのモデル3とモデルYのバッテリーはすべてCATL製
日産アリアのバッテリーもCATL製
その価格競争力は圧倒的で、西側のメーカーは努力しても・・・

中国におけるBEVの生産も勢いが増している
2022年上半期、BYDのプラグイン車の生産台数は、前年比320%増
(データは前述のCleanTechnicaなどのサイトを参照)
テスラも46%増やしているが、BYDに一気に逆転され、今や世界最大のプラグイン車メーカーはBYD
2022/10の数字を見ると、BYDのプラグイン車の販売台数は21万7219台
そのうち10万3157がBEV
BEVに限定してもテスラの8万221台を大きく超えている
BYD製品の品質も短期間で見違えるほど向上
中国内ではテスラの商品力が相対的に低下して販売不調
バッテリー価格が上昇しているにもかかわらず中国では10月に9%の値下げ

BYDは日本をはじめ世界市場に進出
BEVとしての競争力はすでに非常に高い
このように、BEVの世界では中国がすでに圧倒的なポジションを築き上げている
西側メーカーは安くBEVを作ることが難しくなっており、高級BEV以外の普及価格帯のBEVは中国製に席巻されてもおかしくない

トヨタもBEVに関してはBYDと提携しており(せざるを得なくなっている)、先日中国で発売されたモデル(bZ3)はBYDとの共同開発車
BEV化を進めようとすればするほど中国に利する
安いBEVを買おうとすれば選択肢は中国車しかない

BEVを普及させる意味はCO2の削減
しかし高価で使い勝手も悪いBEVを20%まで普及させたところでCO2の削減率は20%(生産の際に排出されるCO2を無視したとしても)
BEV1台分のバッテリーでハイブリッド車を80台作れる
プリウスに搭載されているリチウムイオンバッテリーの容量は0.75kWh程度
最近主流の60kWh級バッテリーを搭載するBEVの80分の1
つまり、BEV1台分のバッテリーでハイブリッド車を80台作れる
コストも通常のガソリン車より若干増えるだけで済む
航続距離はガソリン車より長くなって使い勝手が向上し
インフラは今までのままでいい
世界中どこであれ、BEVに比べて圧倒的に普及させやすい
ハイブリッドにすることで燃費が半分になるとすれば
ハイブリッド車を100%普及させればCO2削減率は50%
トヨタがずっと主張しているのはこの点
BEVが普及させられるところは普及させればいい
しかし、世界中の車をBEVにするのは当面の間不可能

トヨタはインドネシアやインドなどで生産される新興国市場向けのモデル、イノーバにもハイブリッドモデルを追加
グローバルなハイブリッド化にも取り組み始めている
長期的な理想は全車BEV化?であったとしても、現状では生産プロセスでガソリン車より多量のCO2を排出してしまい
火力発電がメインの国(現状は多くの国がそうである)ではそもそもCO2削減効果が少ない
中国という政治的要素も絡からむ話なので、来年以降の中国以外の地域でのBEV普及の伸びは鈍化?
日本でも火力発電がメインな現状では中国に利することになってしまうBEVに補助金を出すのではなく、もっと多くの人がハイブリッドを選ぶようにするような施策をとるべきだと・・・
そのほうが当面のCO2削減に圧倒的に効果的

・・・まあ、こんな話は皆ワかってた
それでもユーロッパやアメリカはBEVを普及させろと言わざるおえなかった?
それでしか生き残れないと思ってた
で結果は・・・
今ではVWやBMWは水素燃焼に色気を・・・
中国はしてやったり
思惑通り自動車大国への道を走ってる

今日も~
今日、門松作成

今年は2対
馴れたせいか手早く、ムダなくできた

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