2022年2月23日水曜日

核融合の未来

2022/2/9ヨーロッパ各国の核融合研究機関からなるコンソーシアム
ユーロフュージョン(EUROfusion)
イギリスのオックスフォード近郊にある欧州トーラス共同研究施設(JET)の実験装置で
核融合によるエネルギーの生成量を大幅に更新したと発表

今回の記録は昨年12月に行われた実験によるもの
核融合を5秒間維持して59メガジュール(約12MW)のエネルギーを作り出すことに成功
これまでの記録は1997年に同施設で記録された22メガジュール
使用されたのはトカマクと呼ばれるドーナツ型装置
JETが所有するものは80立方mあって世界最大

核融合反応と核分裂反応は混同されやすく、核融合は原発や原爆に関わる研究だと誤解する人も
核融合反応の軍事利用である水素爆弾は
2種の水素に核融合を起こさせる起爆剤として
原爆(核分裂反応)を使うので紛らわしい

核融合も核分裂も、原子核の安定が反応の原理
すべての元素の中で最も原子核が安定している鉄を基準にすると
鉄よりも軽い水素やヘリウムのような原子は原子核同士が融合して、より重い原子核となるほうが安定
鉄よりも重いウランのような原子は、分裂して軽くなるほうが安定

核融合反応を人工的に起こす場合は、重水素(通常の水素原子の2倍の質量を持つ水素)と三重水素(通常の水素原子の3倍の質量を持つ水素)がよく使われる
両者が融合してヘリウムと中性子になると大きなエネルギーが発生

自然界での核融合は、太陽内部で熱を生み出す反応
太陽は46億年前に誕生して、今も燃え続けています
数億年の長期にわたって膨大なエネルギーを生み出し続ける反応を、地球上で人工的に行って発電等に利用することを目指すのが核融合エネルギーの研究開発

太陽の中心は約2400億気圧の超高圧状態
約1600万℃の高温で水素原子同士がぶつかって核融合が起きてる
地球ではそれほどの高圧状態は作り出せないため
核融合を起こすための温度は1億度以上が必要
地球上に存在する物質で、1億度の物体に直接触れて耐えられるものは無い
そこで高温に熱してプラズマ(気体分子が陽イオンと電子に分かれた状態,電荷を持ち磁気の作用を受ける)になったガスを
ドーナツ状の磁場に閉じ込める方法を考案

ドーナツ型の装置の内張りには、核融合が効率よく行われるような物質を使う
1997年の実験当時は炭素
炭素は核融合の材料である三重水素を吸収することが
ワかった
今回の実験では炭素をベリリウムとタングステンに置き換えた
吸収率は1/10以下に
人工の核融合エネルギーの新記録が生まれた
核融合エネルギーの利点は
(1)重水素と三重水素の原料になるリチウムは海水中に豊富に含まれていて日本は輸入に頼らなくてよい
・・・まだ経済性がない
そんなコトができたら、世間が騒がない
(2)反応で発生するのはヘリウムと中性子だけで、温室効果ガスが発生しないクリーンエネルギー
(3)太陽光のような他のクリーンエネルギーと比べて、気象条件や環境に左右されずに一定ペースでエネルギーを生み出せる
(4)核融合反応は核分裂反応のような連鎖反応がないため
原理的に暴走が起こらないので安全性が高い
(5)燃料1グラム当たりのエネルギー量は、石炭・石油・ガスと比べると400万倍
廃棄物もほぼ無

といっても、今回生成に成功した59メガジュールのエネルギーでは
家庭用の浴槽に入る200リットルの常温水(20℃と仮定)を沸騰させることすらできない

文部科学省は、核融合エネルギーの実用化に向けた研究開発を大きく三段階に分けて考えてる
・・・ほぼ世界中が

第一段階は、プラズマを高温にするために外部から投入されるエネルギーと
核融合反応によって生じるエネルギーが等しくなる臨界プラズマ条件を満たす段階
国内の実験では、日本原子力研究所のJT-60で1996年秋に達成
第二段階は、プラズマが加熱を止めても核融合エネルギーによって持続する自己点火条件の達成と
プラズマを長時間維持する段階
現在、日本や世界が取り組んでいるの
第三段階は、実際に発電をして技術的な実証と経済的実現性を検証する段階
原型炉を建設して運転
これらの三段階を経て、核融合発電の実用化を目指す

フランス南部のカダラッシュに建設中の国際熱核融合実験炉ITER(イーター)
日本、EU、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7極が計画に関わってる
JETの10倍の容量のドーナツ型装置を使って臨界プラズマ条件を達成し
約400秒の核融合反応を行う予定
2025年に設備を完成させ、2035年に核融合を開始する計画
すぐに核融合発電が実用化できるわけではありません
2050年頃に原型炉を建設
商業的に採算がとれるかの検討も含めた実用化の判断をする
日本では国産の原型炉の運転開始も2050年の目標

核融合発電が実用化すれば温室効果ガス削減に大きな効果が
これまでの開発ペースでは2050年までの実用化は不可能?
日本は核融合関連の研究開発に年間200億円以上の予算を
開発に時間がかかりすぎてカーボンニュートラルの解決策にならない?
30年の間には、技術的・経済的にもっと実用化しやすいクリーンエネルギーが得られるのではないか?
という批判も
とはいえ、核融合発電の研究は、日本の総合的な科学技術力を大きくステップアップさせる機会になると
実用化を目指すことで、高温プラズマの研究だけでなく
1億℃に耐えうる装置や磁場を作成するコイルの作成
特殊な電源の開発
効率的な電力の取り出し
安全対策の技術など広範な科学技術が必要なため
分野を横断する研究者の協働が求められるから
プロジェクトを俯瞰して統括するマネジメント人材の育成も
若手研究者が国際プロジェクトに参加することでグローバル人材の育成も

 京都大学エネルギー理工学研究所の小西哲之教授などが立ち上げた、ベンチャー企業 京都フュージョニアリング
開発を進めている、燃料を1億℃以上に加熱する装置や
生み出された熱を発電のために取り出す装置などを組み合わせ
小規模な実験用の発電プラントの建設を目指す
投資会社や金融機関からあわせておよそ¥20億の資金調達が決まった
3年半後の完成を目標に設計に着手
小西教授
「核融合反応を起こせても、そこからエネルギーを取り出して電気を作る装置を作った人はまだいない。日本のものづくり技術を集約し、世界の核融合研究のなかで貢献していきたい」

・・・¥20億
安!
はたして

今日は~
ワイルドアイビー/Cymbalaria muralis

画は1月末
左の方は凍えてる?
右は生きてる?生々しい
違いは左のランナーが地に届いてるけど
そこから根が生えてない?
右はランナーが地に届いて
そこで根を張ってる
くらいしかワからない
右の代謝が活発ってこと?

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