ミネソタ州ダルースで1990年代に育ったロイド・アームブラストさん
大人になったら工場で働くのだといつも考えていた
当時のダルースでは製造業が盛んで、彼の父は市内で石灰加工工場を経営していた
その製造業も寂れてしまった
企業がより安価な労働力と調達先を海外で探し始めると、アメリカ中西部の工場は活気を失った
祝日や家族の集まりの席になると、アームブラストの父は決まって同じような話をする
中国に世界の工場の地位を明け渡したアメリカは、きっと大きな報いを受ける
2020/4ソフトウェア分野の起業家であるアームブラスト
は新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）に対応すべく思い立ったプロジェクトとして、テキサス州フルーガーヴィルのマスク工場の設立に数百万ドルを拠出
このプロジェクトは膨れ上がったマスクの需要を満たすだけでなく、精度の高い加工を伴うものづくりがアメリカでもまだ可能であることを示す目的があった
ところが、このプロジェクトは順調には進まなかった
サージカルマスクの耳ひもを切ってマスク本体に取り付ける機械は中国からの輸入品
この機械は100枚ほどマスクを生産すると、糸を繰り出す動きを監視する指先サイズのセンサーの故障が原因で作動しなくなった
・・・安いんでしょうがない・・・
と思わないと
そのセンサーは台湾や中国、日本にはよくある低価格の部品
しかしアメリカでは入手不可能だった
それから1週間が過ぎてもマスクの生産は再開せず、アームブラストは海外からセンサーが届くのを待っていた
「これでようやく目が覚めました。『なんてことだ、米国は本当に遅れている』と、気づかされたのです」
「中国は製造業を支えるインフラ面において、極めて優位に立っているのです」
今、同社は1日当たり100万枚のマスクを生産できる能力をもつようになり、テキサス州の公立学校やイリノイ州にマスクを納品している
新型コロナウイルスのパンデミックに対応すべく、アメリカの製造業は新たな事業を立ち上げたり、新たな需要に対応すべく事業転換したりするようになった
フォードの工場では労働者がフェイスシールドを量産した。ボルティモアのワイヤーメーカーであるMarlin Steel Wireでは、試験管ラックの生産を始めた
しかし、経済が平常を取り戻しつつあるなかで安価な輸入品が再び出回るようになっている
このためアームブラストをはじめとする製造業者は、この1年で苦難の末に得た利益や学んだ教訓が無になってしまうのではないかと恐れている
ほかの企業が事業の新規開拓に躍起になっていた2020年春
アームブラストは何十年も前から起きていたアメリカの産業における“悪循環”の後遺症に対処すべく動いていた
マスクのような製品の輸入が増加して米国の工場が閉鎖されると、材料や機械を国内で生産する能力が低下する
このため工場の運営や新設がさらに困難になる──という悪循環
製造装置のほとんどをアジアから輸送しなければならず、たいてい中国語で書かれた不完全な書類を解読するために翻訳者を雇わなければならなかった
通常なら発送元から近い工場に運ばれることが多いからなのか、機械が輸送中に破損して届くこともあった
・・・梱包の仕方が・・・
また、素材や生産に関するノウハウの入手も困難
マスクのフィルター層を形成するメルトブローン不織布と呼ばれる素材は、そのほとんどがアジアで生産されている
このためArmbrust Americanの従業員はデトロイト市内の駐車場でソーシャルディスタンスを保ちながら業者と取引することで最初の必要量を確保していた
ところがパンデミックの影響でメルトブローン不織布の価格が高騰
同社は不織布の内製化を決断
不織布の生産に必要な機械は中国から輸入
そこでアームブラストはフルーガーヴィルまで送られてくる装置を事前に検査すべく、ドイツのコンサルタントを雇って中国へと派遣することにした
高さ35フィート（約11m）の機械が到着したとき、エンジニアがあることに気づいて懸念を示した
定期的にメンテナンスが生じる部品が地面から高い位置にあるのだが、その点検に必要な足場がなかった
そこでメーカーに問い合わせたところ、機械に金網を巻き付けておいて、必要に応じて作業員がよじ登ればいいとの答えが
これではアメリカ労働安全衛生局（OSHA）に非難される？
「だからメーカーの担当者には、『そんなことできない。もし落ちたら死んでしまうから』と言ったんです」
「そしたら相手はこう返してきたんです。『普通は死んだりはしませんよ』とね」
Armbrust Americanは20年のホリデーシーズンにはマスクの生産停止にも追い込まれている
ソフトウェアによる生産の監視と自動化に失敗
機械の制御装置のサプライヤーである中国企業が、十分なデータにアクセスできる権限をアームブラストに与えなかったため
・・・これ、アメリカもやってる
そこでArmbrust Americanは中国製の制御装置を取り外し、代わりに日本製の新しい制御装置を取り付けた
「わたしたちは文字通り、最も困難な方法ですべてを学んだのです」
Armbrust Americanはサージカルマスクの生産をほぼ自動化し、11の生産ラインを完成させた
マスク1枚当たりの人件費は、10￠から約3￠に
さらにN95マスク用の生産ラインも新設できた
最盛期のArmbrust Americanは、従業員数が120人
州政府や医療機関への大量販売に加えてオンラインでの直販事業も開始
こうした出来事はパンデミック下においてアメリカの製造業者は既存の企業か新規参入かを問わず経験している
誰もがディスラプション（破壊的創造）や短期間での学びに悪戦苦闘していた
全アメリカ製造業協会（NAM）ヴァイスプレジデントのクリス・ネトラムさん
「ひと言で表すなら、レジリエンス（復活できる強さ）でしょうね」
事業者たちの努力によってアメリカの産業の可能性について新たに関心が寄せられるように
NAMが提案した減税措置のほか、設備や研究開発、研修に対する補助金などの政策を連邦議員に議論してもらえるようになった
こうしてバイデン大統領は今年2月、半導体や大容量バッテリーなどの国家安全保障に不可欠とみなされるサプライチェーンの見直しと政策提案を命じている
とはいえ、マスク生産の現場はバラ色の状況にはない
Armbrust Americanをはじめとする多くのアメリカメーカーは、地域経済やグローバルなサプライチェーンの回復に伴い、これまでの成果が水の泡になってしまうのではないかと不安を感じている
こうしたなか新たに設立されたアメリカマスク製造業協会のメンバーであるアームブラストら
ホワイトハウスにさらなる支援を要請する書簡を5月中旬に提出
アメリカにおいて中国が、マスクや人工呼吸器をダンピングしていると訴えた
AMMAの説明ではアメリカでは中国製マスクが1枚1￠ほどの安値で販売されているが
原材料コストはこの価格の3倍以上
さらにAMMAの予測によると、アメリカのマスクメーカー全体の生産能力の5割が、連邦政府の介入がなければ60日以内にツブれる
この事態を防ぐにはアメリカ食品医薬品局（FDA）による海外の一部の個人防護具（PPE）の緊急使用許可の取り消しや、PPEに提供される連邦政府の補助金をアメリカ製マスクに振り向けるといった施策が求められる
アームブラストさん
「米国でマスクを生産して金持ちになろうと思っている人などいないと思います」
彼は将来の危機に備えて政府がマスクの国内生産を支援する費用を惜しまないだろうと期待を寄せている
一方で、新型コロナウイルスの影響が収まりつつあるなかで、ある程度の規模縮小は避けられないとも
今ではマスクの需要が減少したことで、アームブラストの工場は必要最小限の人員で操業している
彼はマスク生産の継続を目指しているが、今回のアメリカでの製造業ブームの成果を維持していくには方向転換が必要だと
このため、今度は室内やクルマの空気中から有害物質を取り除くエアフィルターの生産を検討している
アメリカ生産であるがゆえの不都合を克服するためであれば
価格が少しは高くても購入する価値があ
これからはアメリカ製というブランドが、そのように消費者を納得させられるかも？
・・・半導体でもそうだけど
いわゆるグローバルリズム
からの脱却がアメリカでも・・・
今日は～
アヤメ/Iris sanguinea
６月はじめ
条件が悪くても増えてく
逆に種を飛ばして思わぬトコで出てこないし
園芸むき
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