2021年6月30日水曜日

昨今の新型コロナ事情

2021/6/24アメリカのFDA(=食品医薬品局)
中外製薬が開発した
人工呼吸器などによる治療を必要とし、ステロイド系の抗炎症薬を投与されている2歳以上の患者が対象
入院期間を短縮するなどの効果が期待できる
アクテムラは炎症を抑える働きをする国産初の抗体医薬品で、関節リウマチの治療薬として世界110か国以上で承認されてる

南米チリはワクチン接種のスピードが速い国の一つ
チリの人口1900万人のうち63.3%が1回以上ワクチン接種を受け、接種を全て終えた割合も50.0%に達している
しかしチリでのコロナ感染者数は減少していない
最近も1日5000人以上の感染が確認されており、今月8日には7294人もの感染者が出た
チリは中国製のシノバックを主に使用している
チリだけではない。モンゴルでも全人口の58.7%が1回以上、さらに52.1%が接種を全て終えたが、人口335万人の国で1日2000人以上の感染者が出ている
人口100万人当たりの感染者数を計算すると世界第2位
モンゴルでも中国製ワクチンを使用している
アメリカのニューヨーク・タイムズ紙
接種率が高いイギリスでも感染者は多いが、接種を受けていない若い人が中心という点でこれらの国々とは事情が異なる
つい先日にはインドネシアでシノバックのワクチン接種を受けた医療関係者350人以上が一気に感染したことも確認された

世界保健機関(WHO)は先月と今月1日、中国製ワクチンのシノファームとシノバックに対して緊急の承認を行った
その際感染予防効果についてはそれぞれ79%と51%とする推定値を公表した
しかし中国はこの二つのワクチンに関する詳しい臨床資料を一度も公表していない
WHOの事務局長はこれまで何度もその中国寄りの態度が問題になってきた・・・
香港大学の研究チームがシノバックとファイザーの接種を受けた1000人を対象に抗体検査を行った
研究チームは具体的な数値は公表せず、ファイザーの接種を受けた人の方がシノバックよりも抗体の数がかなり多かったと発表
さらに「シノバックの接種を受けた人はブースター・ショット(ワクチンの効果を高めるために行う追加の接種)を受ける必要がありそうだ」との見方も
チリの保健当局
「9月には3回目の接種が必要」との方針

ただ幸いなことに中国製ワクチンの接種を受けたことで大きな副作用(副反応)が出たというニュースは今のところない
そのため一部のメディア
「中国製ワクチンは副作用もないし効果もない」
中国ではすでに自国のワクチン接種が10億回を上回ったと・・・

最近ツイッターなどのSNS上で
という主張が拡散
主張の裏付けとしているものはある外信の報道
カナダの電子メディアライフサイト(LIFESITE)
今月18日(現地時間)、イングランド公衆衛生局(PHE)の統計資料の一部を引用
死亡率6倍の記事を発信
記事の内容は防疫当局の説明とは正反対
当局はこれまで、万一新型コロナにかかってもワクチンによって重症化を食い止められると説明してきた
どちらが事実なのか

イングランド公衆衛生局の報告書
PHEは18日(現地時間)、変異株ウイルス状況をモニタリングした報告書を公表
この報告書は毎週出されているが、今週の報告書の中で
「接種状態に伴うデルタ株感染患者の応急治療および死亡」(表4)の部分を見ると、イギリス人4087人が接種を完了し
14日経過してデルタ(インド)株に感染した
このうち26人(0.64%)が亡くなった
反面、未接種者は3万5521人が感染し、このうち34人(0.1%)が死亡した
この表だけを用いて2つを単純比較
ワクチン接種(完了)者がデルタ株に感染したとき、未接種者よりも死亡率が6倍以上だという結論を出した
また、ワクチン接種者の入院比率が未接種者に比べて高いとも主張
同じ表4でPHEは接種者のうち入院事例は4087人のうち84人(2.1%)
未接種者の入院は3万5521人のうち527人(1.5%)という統計を作成
あわせてライフサイトはワクチンの副反応「抗体依存性免疫増強(ADE・antibody dependent enhancement)」作用を疑っている
ADEは1回目感染の時に体内で形成された抗体が2番目の感染を防御するのではなくむしろウイルスを助ける現象をいう

専門家は統計処理をしていないため、接種者・未接種者の死亡など2つの数値を単純比較するべきではないと
韓国高麗(コリョ)大学九老(クロ)病院感染内科の金宇柱(キム・ウジュ)教授
「2つの数値は(年齢・接種率・性別など)同一条件で統計処理をせずに観察したもの」
「もちろん観察も研究方法の一つではあるが、明らかに限界がある。どれくらい有意味なのか、検証が必要だ。そうでなければ(死亡率の高低を)判断することは難しい」

入院率の比較も問題
大韓ワクチン学会のマ・サンヒョク副会長
「接種群のほうが入院率が高いという(一部外信の報道は)もう少し今後を見守らなくてはならない」
「単純に入院件数だけを用いて比較しているが、例えば呼吸困難で入院したのかなど入院基準を明確にした後、これを基に統計を出さなければならない。主観的な判断による入院率比較は誤差が生じるおそれがある」
ADEについては
「(接種者・未接種者の死亡など単純な数値比較後)ADEを疑ってはいけない」
「ADEは病気にかかったものについて説明するものだ。ワクチン効果は別個で判断しなければならない」

これに先立ち、PHEはアストラゼネカ(AZ)およびファイザーワクチンの接種を完了すればデルタ株に感染しても重症化を防ぐ効果がそれぞれ96%と92%に達すると発表
問題の外信報道は事実がゆがめられた分析

嘉泉(カチョン)大学医大予防医学科のチョン・ジェフン教授
「PHEのデータを見ると、ワクチンが重症化防止に90%台の効果が出ている」とし「ワクチンに否定的な、典型的な『アンチワクチン』記事」

中央防疫対策本部はフェイクニュースと評価
疫学調査チームのパク・ヨンジュン・チーム長は23日の記者説明会で
「(死亡率6倍は)中央防疫対策本部もモニタリングしている部分」としながら「フェイクニュースに該当すると見てもいいだろう。PHEは週単位で変異株関連の状況をモニタリングした報告書を提出している。陽性者のうち死亡率統計をみると、デルタ株が他の変異株に比べて致命率が高くはなかった」
・・・同じような条件の(年齢、健康状態etc)のヒトの比較でないと・・・

台湾で感染が拡大した2021年5月後半から
「台湾のワクチン接種は周回遅れ」「現実的な漢族のDNA」「日本人の台湾幻想、妄想」といったネガティブな言葉を多用し、台湾のワクチン政策がうまくいっていないことを批判する記事が出始めた
さらには
「多くの台湾人がワクチンを求めて中国に殺到」
「在台日本人も中国製ワクチンを打ちたいと思っている」
「日本で使われていないワクチンを送るのは毒を送るのと同じ」
「漢人である台湾人は実はしたたかで信用できない」
といった記事が

こうした記事のソースの多くが、いわゆる「中国寄り」「反与党政権」の台湾メディアという共通点もあった。記事中に例として取り上げられた日本人の意見もかなりの少数派と思うが、それが台湾全体のことのように語られているのを見て、怒るというより呆れてしまった。

台湾で感染が広がったのは突然だった
そのためワクチンを求める声は急激に高まり、それに見合うワクチン入手が遅れていることは確かで、それは政府のワクチン対策に問題がある
それに対する建設的な意見や議論ならばもちろん必要
とはいえ、さまざまな理由が重なってそうなってしまったのは、台湾で暮らしてニュースや中央感染指揮センターが連日行う会見を見ていれば何となく理解もできる
台湾は、ただでさえ多くの国際機関から排除され、国際社会のなか一人ぼっちで頑張ってきた
台湾についてそこまでネガティブに日本の読者に伝える目的は?
筆者らの経歴を見るとメディアでの経験も多く、中国や台湾での駐在経験もあるようで、台湾事情にはかなり詳しそう
とくに問題を感じたのが、2021年6月4日に日本から提供された124万回分のアストラゼネカ製ワクチンが台湾へ到着した後の一連の報道
台湾から日本への感謝が伝えられ、日台双方で高まっていた友好ムードに冷や水を浴びせるような記事が
「日本から台湾に送られたアストラゼネカ製ワクチンで大量死」
「ワクチンを送った日本に対し反日感情が高まって台湾で暴動寸前」
etc

台湾人で北海道大学法学研究科助教の許仁碩氏
これらの記事の論点や傾向を整理してどういった性格のものかを分析している
許氏
「今は日台関係が良いので影響も限定的だが、何かしら日台関係に摩擦があるときには、これらの論調が含む問題に日本人が気づけるかどうか」
台湾では2021/6/14、15から、日本が提供したアストラゼネカ製ワクチンの接種が、高齢者を対象として行われている
そして接種後に死亡が相次いでいるというニュースが流れ、接種を不安に思っている人も確かに少なくない
ただ、これは接種への不安を感じている人の多い日本やその他の国々と同じでは?

中央感染指揮センターの陳時中部長はこれに対し
同じくアストラゼネカ製を承認している韓国やイギリス、アメリカと比較して台湾が特別多いわけではないこと、死亡原因は追跡調査を行ってきちんと明らかにすること、ワクチン接種はリスクよりも有効性のほうが大きいことを強調
さらに言えば、多少の不安感はあるとはいえ、それを日本のせいにする台湾人はめったにいない?
不満の矛先を向けているのは台湾政府に対してであって、ましてや暴動寸前というのはまったくのデタラメ
間違った情報が日本で広まることへの危機感を持ち、公式の統計データを用いて日本人向けにツイッターで解説する台湾人もいる
ツイッターでそういった公式データを分析した結果を公表したkaito2198氏
2021/6/20時点でのワクチン接種後の死亡者は64人
そのうち90歳以上は15人、80歳以上が32人、70歳以上は8人、69歳以下は9人
接種してから亡くなった時間も、接種当日から接種4日後までとまちまち
kaito2198氏のような民間パワーが正しい情報を見つけ解説して広めるなど、フェイクニュース対策の協力者の役割を担っている
死亡者の95%に基礎疾患があり、とくに透析を受けている方が多い
そのほか認知症や糖尿病、高血圧、腎不全、冠状動脈性心疾患、がん、心臓病といった慢性病を抱え、寝たきりの方もいた
また、台湾では祝日となる端午節(2021/6/14)で食べるチマキをのどに詰まらせた人や、接種前に転倒して死亡したといったデータも紛れ込んでいたという

実際に、台湾で昨年2020年に75歳以上の高齢者で亡くなった人は1日平均260人
今回のワクチン接種ではほとんどが75歳以上を対象としていたが、3日間合わせてもその数には及ばない
・・・コレはちょっと・・・

一方で、新型コロナウイルスを原因とする死亡率は台湾は突出して高い
介護施設でのクラスターや家庭内感染など、高齢者への感染が広がっているため
接種後に死亡した後期高齢者の人数を約50人とした場合、(ワクチン接種と直接的な関係がどれほどあるかは不明だが)死亡率は0.0087%
一方、コロナに感染した場合の死亡率は22%だ
だからこそ、高齢者への接種が一刻も早く望まれていたタイミングで到着したのが日本が提供したアストラゼネカ製ワクチンだった
それでも、世界的に有効性が高いと言われるモデルナ製やファイザー製のほうを接種したいと望む人も少なくない
日本では、台湾がアストラゼネカ製のワクチンしか承認していないと思われているようだが、そうではない。たんにその時はアストラゼネカ製しか入手できなかったのが実状だ

とはいえ、日本からのワクチンが到着した後に、それまでアストラゼネカ製の悪口をさんざんテレビで言っていたメディア関係者や富裕層が、自主診療のクリニックへ配布された同社製ワクチンを抜駆けしてこっそり打っていたことが明るみに出ている
またその後、中央感染指揮センターは各国と比較しながら同社製よりもファイザー製のほうが接種後の死亡例が多かったことも示している
結局、どのワクチンも未知数であることには変わりない
それでもやはり、熱が出るなど身体に負担がかかることは考えられ、基礎疾患のある人には充分な事前検討が必要であろう
本当に信頼できないならば打たずとも良いし、台湾でも日本と同じくワクチン接種は強制ではない
台湾政府は現在、フェイクニュースを捏造した人に高額な罰金を処している
また受け取ったフェイクニュースを誰かに流しただけでも罪に問われる
何をもってフェイクニュースとするかを、政府という権力機関が判断できることには当然、議論の余地はあるだろう
しかし、台湾の人権団体が異議を唱えているのは、あまり効果の上がらない高額な罰金や特定メディアへの攻撃といった手段であって
安全保障や公共福祉を脅かす大量のフェイクニュースに台湾がさらされているという問題は共有
解決手段として透明性ある情報公開を求めている
それほど切羽詰まった情報戦争の渦中にいる
フェイクニュース、とくに現在の蔡英文政権に関するものがとてもひどかった2018年ごろ、筆者も個人のフェイスブックでフェイクニュースに事実を列挙して反論したことがあった
すると、多くの捨てアカウントの持ち主から攻撃を受けた
こういった攻撃は台湾で網軍と呼ばれ、ネット軍隊とでも言えるだろうか
コメントが中国で使用される簡体字で記されたり、その内容もかなり汚い罵倒語を使って書き込まれていた
こうした網軍によってフェイクニュースが作られ、拡散され、世論が攪乱される
台湾政治は大まかに言えば、その支持・志向性によって2つの色に分かれる
1つは中華人民共和国に融和的な藍陣営と
リベラル的な政治志向をもち台湾の主体性を志向する緑陣営(現在の与党・民主進歩党も緑)
網軍はどちらにも存在する
つまり、台湾では日々熾烈な情報戦が双方で繰り広げられている

フェイクニュース法規制が敷かれてから情報戦はさらに巧妙になっている
こうしたことが日常的な台湾では、少なくない人が情報リテラシーに敏感
またメディア側もその報道姿勢が藍か緑に分かれ、そのソースがどこのメディアかで、その信憑性を各個人が判断する
藍側のメディアには多くの中国資本が入っているとも言われる
このような事情から、台湾で暮らした経験があったり、長いあいだ台湾に興味を持ってきた日本人は、台湾に関する記事がどのような目的を持っているかをある程度は判断できるだろう
しかし台湾への関心がこの数年、急激に高まってきたなかで、そういった台湾に関するメディアリテラシーを日本人の多くは持っていない

このことは1つの必要性を示している
つまりデマやフェイクニュースに惑わされず、日台友好という関係をきちんと機能させていくためには、現状を知るだけでなく歴史や地理、社会政治といったさまざまな角度からの台湾理解を進めながら情報を判断するのが重要

台湾の在日大使館にあたる台北駐日経済文化代表処の謝長廷・代表
「日本提供のワクチンに対する行きすぎたバッシングは、以降の日本からのワクチン支援に影響する」

フェイクニュースは、実に巧妙に作られる
すべてがウソというわけでもない
しかし、かなり極端なホン」を拡大し、そのうえで虚実取り混ぜて作成される
さらに安倍晋三前首相が主導といった政治家の名前を入れることで、政治的な志向を異にする人たちの関心を引き寄せる状況も見られた
そういった一部の人たちにとり、こうした台湾情報は現政権を攻撃できる材料でしかないように思える
また、日本で使っていないアストラゼネカ製ワクチンを提供するのは申し訳ないという、多くの日本人がどことなく持っていた後ろめたさを実に刺激した

「台湾は親日だから好き」「敵の敵は味方」といった考えも危うい
台湾はかつて日本の植民地であり、歴史的にも政治的にも、そして心理的にも解決されていない問題は実はまだ残っている
さまざまなバックグラウンドを持つ人で構成される多様社会であり、日本に関心がない、またはよく思っていない人ももちろんいる
「親日だから、そうした不満を言わないはず」
という決めつけは、公平・平等な相互理解を妨げる
互いに問題点をしっかり指摘し合い、解決をともに探ることができ、ともに明るい未来を目指すべき・・・

今日は~
アサツキ/Allium schoenoprasum var.foliosum

のネギ坊主 じゃなくて
アサツキ坊主

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