中国は日本と異なり、国有企業の存在感が非常に大きい
特に国有企業では、企業内の党組織は大きな影響力を持つ
企業の方向性を左右しますし、職場のガバナンスに対しても大きな力を発揮
民間企業となるとこのような影響力は減退する傾向にありますが、一部の民間企業でも党組織が大きな力を持つケースも
テンセントやアリババや恒大グループなど、日本でよく話題になる中国企業には民間企業が多いですが世界ランキングで目立つ中国企業の多くは国有企業
トップレベルの国有企業である中国移動は携帯電話の契約者総数が9億4000万人(2020年現在)を超える世界最大の携帯電話事業者
また、2020年に粗鋼生産量ベースでアルセロール・ミタルを追い抜き、世界最大の鉄鋼メーカーとなった中国宝武鋼鉄集団も国有企業
そして、フォーチュン・グローバル500などの世界企業ランキングの上位にランクインする中国企業を見ても、ステート・グリッド(国家電網)やペトロチャイナ(中国石油天然気)などの国有企業が
さらに、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによる世界銀行ランキング
2020年のベスト5は東アジアの銀行
このランキングのベスト5のうち、5位の三菱UFJフィナンシャル・グループを除く4行(中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行)は全て中国の国有銀行
中国企業は意思決定が速いとか、変化が速いと云われる
その理由について
「コンセンサスを重視せずに経営者が専横的に決めているからだ」
「コンプライアンスの縛りが日本企業ほど厳しくないためだ」
と論じられたりする
確かにこのようなケースもなくはない、必ずしもこのような原因によるものだけでは・・・
コンセンサス軽視やコンプライアンスの欠如を理由に挙げるのは、中国に対するステレオタイプも大いに作用している見方だと
組織にとって大切なことは、ビジョンを共有することと、人の和
しかし、中国企業であってもビジョンの共有や人の和が重要であるのは同じ
構成員がビジョンを共有せず、また、従業員同士の関係が希薄で相互に不信感を抱いている組織は強い組織には・・・
人の和《人和》というのは兵法書の『孫子』にも出てくる
中国の組織においても、お馴染み
『孫子』では、天の時や地の利に恵まれようとも、それは人の和にはかなわないと記されてる
天候や地形が自軍に有利であろうとも、仲が悪く味方同士がいがみあっている軍隊は戦に負けるということ
ビジョンの共有も
コンサルタントのジェームズ・C・コリンズと経営学者のジェリー・I・ポラスによって著された『ビジョナリー・カンパニー』は組織論の名著
強くあり続ける企業にはカリスマ的経営者や天才的なアイデアなどは必要なく
企業理念やビジョンをメンバーが共有し、かつ、信じ切っていることが重要だと同書に
組織における人の和とビジョンの共有を強めることこそが
職場における党組織のカギ
この点は、社内での党員教育への関与やレクリエーション活動への関与の面で特に強く出てくる
また、大学時代に共産党に入党を希望する学生の少なからずが、国有企業等への就職を選択肢として考えている学生
日本では、党員が特権階級として優遇されている、と捉えられることもあるようですが
国有企業側から見れば、既に党員になっている若者を採用したほうが経営理念や管理の方針に同意してもらいやすく使いやすいという面も
党組織が企業の経営や組織の指導に少なくない影響を及ぼしているため
また、企業幹部と企業内の党組織幹部を同一人物にする取り組みが行われているため
”党課”とは、党組織内で党員への教育を行うこと
中国語の”課”には、授業の意味もあります。党の授業なので党課と呼ぶ
形式は、大学等の大教室での授業とあまり変わらない
教師役の幹部がパワーポイントの投影や板書をし、それを多数の党員が聴講する
”党課”の教師は、党組織内の幹部が兼任したり、やる気のある特に優れた党員が担当したり
場合によっては、上級党組織の幹部や外部の教師や学者を招聘することも
場合によっては、上級党組織の幹部や外部の教師や学者を招聘することも
党課それ自体は、企業以外の共産党組織にもありますが
企業内の共産党組織の党課には、社員教育のような側面も
企業内の党課はそれほど高い頻度で催されるものではないようで
国有企業の党組織の場合、年に一回程度、主に夏季に行われる
国家電網党校(管理学院)党建研究課題グループによる『国有企業党支部業務指導ハンドブック』によれば
企業内党組織における党課の教育内容は次のようなもので、党員としての面だけではなく、社会人としての側面からも教育が施される
1習近平思想や過去の指導者の政治思想に関する政治思想理論やその精神の教育
2党の基本方針や重要政策に関わる教育
3党章と党の基本知識に関わる教育
4時事的な状況に関わる政策やタスクの教育
5党の伝統や風紀の教育
6党員の現実思想の教育
7市場経済知識や科学・文化知識の教育
8専門知識教育
9企業文化教育
10廉政(クリーンな政治)のための教育
11社会主義核心価値観や中華民族の伝統美徳に関わる教育
以上のうち、1、2、3、5、10、11)等は、大学の党支部で入党希望者に施される教育とそう大きく変わらないテーマ
企業以外の党組織でも行われているもの
ですが、国有企業の党組織の場合、これらのテーマが
そのまま、企業の内部統制やコンプライアンス、また、CSRといった内容と関連している点で、社員教育という側面も
他方
4時事的な状況に関わる政策やタスクの教育は
航空宇宙産業や防衛産業、また、インフラに関わる産業などでは、業務の遂行や今後の経営方針とも関わる重要なテーマ
7市場経済知識や科学・文化知識の教育
8専門知識教育
9企業文化教育
等は、中国共産党員としてのテーマというよりは、職業人として必要なテーマ
党課とは別に、党支部(3~49名の党員で構成される中国共産党の基本的な組織)でも党員の教育が
学習時間を比較すると、こちらのほうが党課よりも長い
党支部での教育の内容は、過去の指導者の政治思想や習近平思想、党の方針や政策などの党の基本知識のほかに
科学・文化知識や業務知識を学習する点が特色
党支部における学習時間はそれなりに長い
国有送電会社の国家電網の場合、党支部書記の場合は1年間で45~50分の学習を計56コマ履修する
同社では、一般党員の場合も、45~50分の学習を1年間で32コマ修める
党支部書記の場合は1年に1回の短期集中トレーニング履修が推奨され
一般党員の場合も、1カ月の学習時間が6時間以上であるよう求められる
一般党員の場合、半期ごとに、学習内容の要約あるいは決意表明のレポートを2篇以上、提出あうるのがノルマ
党支部の教育活動については、党員側から
「とても面倒で大変だ」etc
しかし
インターネットを通じたインタビューにおいても
「不必要である」「なくしたほうがよい」という意見は無い
外国人に対する体裁の保持という面もあるのかもしれませんが
「大変ではあるけれど、概ねいいことだと思う」
というところが一般党員の体感ではないかと
日本の知人友人から社員教育に関わる愚痴で
日本のワンマン経営者のいる企業の従業員から
「社員教育があまりにもくだらないのでやめたほうがいい」という意見がしばしば
社員の愚痴が多い社内教育は、精神論に偏っていたり、業務とはあまり関係のない創業者の独善的な理想やスピリチュアル的な偏った思想を宣揚させられたりする
他方、大企業の従業員からは
「社員教育や幹部登用の試験は大変だし、時には上司が的外れな指導をしてくることもあるが、訓練や試験そのものは不要ではないと思う」
「勉強内容それ自体はためになったと思う」etc
訓練を受ける側からの社員教育に対する評価は
ある程度は教育効果を反映している・・・
で
ニュースでもお馴染みの中国外務省の定例会見
基本的に平日は毎日1回開かれ、3人の報道官が週ごとに交代して回していた
紅一点の華春瑩(かしゅんえい)報道官が2月中旬を最後に突如会見場に姿を見せなくなった
今、中国では反腐敗運動によって公務員が次々と重大な規律違反などで失脚
突然公の場から姿を消すようなケースが相次いでいる
中国共産党中央規律検査委員会は2018年の1年間で、62万人以上を党の規律違反などで処分したと発表
単純計算すれば毎日およそ1700人が処分を受けている
・・・すげえ
華報道官をめぐっては以前
「自宅から500万ドルの現金が見つかり、取り調べを受けてる」
などと一部のメディアに誤報が出回ったことも
今回の“失踪”をめぐっても、一部で処分を受けたとの噂が
中国共産党には幹部の研修などを行う学校 中国共産党中央党校がある
共産党の高級幹部養成校
先日、異例のプレスツアーが行われた
こうした共産党の施設が外国メディア向け公開されることは極めて珍しい
すると取材中、その華報道官がキャンパス内を歩いている姿が
どうやら真相はここで数か月にわたる研修を受けている?
共産党の幹部は昇任のためにはこの中央党校で研修を受ける必要がある
中国外務省関係者によると、華報道官は近く復帰する予定だといい、研修は昇任に向けたステップと見られると
中国共産党中央党校とは1933年毛沢東が創始した学校
現在は北京市内に巨大キャンパスがある
共産党員が高級幹部となる過程で、概ね数か月から1年程度の研修を受ける
人によっては複数回入校し研修を受けると
この日公開された授業は生態環境と社会治理というテーマ
自然環境と調和した街づくりなどについて、習近平総書記の思想に基づきレクチャーが行われていた
生徒は庁局級幹部とのことで、概ね40代後半から50歳代程度に見えた
主にマルクス主義や、中国の歴代指導者の思想、その思想を実際の政策に落とし込む実践などについて学ぶという
キャンパス内には寮が完備されており、研修生は泊まり込んで研修を受ける
部屋の本棚には習氏をはじめ歴代の指導者の思想に関する本がビッシリ
かつては毛沢東や胡錦涛氏のほか、習氏も校長を務めたことがあり
キャンパス内の歴史博物館では習氏が校長時代の成果について多くの展示スペースが割かれていた
中国共産党は党員数およそ9000万人と巨大組織
習近平政権は党員の学習を重視しており、2018年は1年間で1万人以上が中央党校で研修を受けたと
党最高指導部の意向を各層にまで行き渡らせるためにも人材育成が欠かせないということなのだろう
…単に、お題目を唱えるだけでなく
実際にドウするかを洗脳?教育?
日本に比べ
はるかに人材を育てるコトを重視
・・・それでも腐敗は止まらない
今日は~
イワデンダ/Woodsia polystichoides
若葉のころ
いかにもな、みずみずしさ
ラショウモンカズラに埋もれそう
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