2022年5月14日土曜日

仮想通貨の崩壊?

韓国のソウルに本社を置くテラフォームラボの仮想通貨ルナ(Luna)
時価総額4兆円を超える仮想通貨が一夜で価値が0に
ブロックチェーンの基礎研究開発やコンサルティングなどを行うTuringum(チューリンガム)でCOOを務め、DeFiに詳しい橋本欣典氏(KanaGold名義でも活動)
 「文字通り、一夜にして壊滅したというのは、いかに変動が大きい仮想通貨においても珍しい」

5/13朝時点でルナの価格は¥2
1日前には¥1万を超えており、99%以上下落
4月には時価総額が¥5兆を超え、仮想通貨全体のランキングでも10位に入っていたルナ
将来有望と見られていた、いったい何が?
今回のルナの暴落は、ステーブルコインであるテラUSD(UST)で起きた異変がきっかけ
ステーブルコインとは法定通貨と価値が連動するように設計された仮想通貨
USTでは、米$の価値と連動するよう作られていたが
5/10に入って急落
一時は1USTが$0.3まで下落
連動が完全にはずれてしまった

なぜ、USTはドルとの連動が外れてしまったのか
通常、テザーUSD(USDT)やUSDコイン(USDC)などのステーブルコインは
裏側に同額の法定通貨を保有することで、価値を保証している
発行元には必要な$が保管されていて、1USDCを発行元に持っていけば、$1で買ってくれる
これが、ステーブルコインの価値を$に連動させる仕組み

一方で、USTでは法定通貨を保有するのではなく、仮想通貨のルナを準備金として用意したところに工夫があった
つまりUSTを持っていけば、時価で$1相当のルナがもらえる
もしUSTが$0.9ドルで売られていたら、それを買ってルナに替えれば、$1分のルナが手に入る
これはノーリスクで$0.1を手に入れられるということ
だから、USTが$1を下回っていたら、たちまち買い手がついて$1まで上昇するはず
こうした行動をアービトラージといい、アービトラージを行う人によって平常時はUSTが$1を維持していた。

クラッシュ直前のUSTの発行量は$185億分
一方でルナの時価総額は$300億で仮にUSTがすべてルナに替えられてもルナには余裕があるはずだった
ところが5/10に入ってすぐ、USTの価格は$との連動を外れて下がり始める
数時間後には$0.7を切り、連動は失われた

きっかけは?
橋本氏
「こういうもののきっかけは分からない。誰かが仕掛けたのか、同時多発的に起きたのか」

USTの価格が下がれば、それを買って$1分のルナに替えようとする動きが起きる
ところが、アービトラージャーは手に入れたルナをすぐに売却し$にする
ルナ自体も仮想通貨であり、価格が安定していないから
すると
USTには買い圧力がかかり価格が上昇する一方
ルナはアービトラージの都度売却されることになり売り圧力がかかる
タイミングの悪いことに、ルナは5/5あたりから価格が下落傾向に
時価総額は$196億とUSTの発行量に近づいていた
ルナの時価総額がUSTの発行額を下回ると、一気に信用を失った
信用を失い価格が下落すると、さらに信用を失う
金融危機のときにも似た出来事が1日で起こった(CoinMarketCap)
そこに5/10、USTの価格下落を発端とした大規模なアービトラージが重なり、ルナの売り圧力はさらに増していく
結果、ルナの時価総額は急減、10日の終わりには約$100億まで減少
ルナの時価総額が減少するとどうなるか
橋本氏
「USTの総発行量よりもルナの時価総額のほうが低くなった。となると、USTを持っている人は、さっさと手放したくなる」
これはいわばデジタル版取り付け騒ぎ
ステーブルコインがステーブルである理由は、いざとなったら発行元が同額の法定通貨に替えてくれるところにある
だから、ステーブルコインの発行額と同額以上の法定通貨が裏側にあれば安心できる
ところがUSTの場合、裏付けとなっているのが法定通貨ではなくルナという仮想通貨
これは、USTの特徴であると同時に最大の課題でもあった
ルナの価格が下落すると、USTの価値を保証できないから

価値が維持できないと思われたコインは、一斉に売られる
$185億分のUST保有者は先を争って売却に走った
市場で売却すれば$1以下でしか売れないので、$1分のルナに替えて、ルナを売却した
こうなるとUSTもルナも下落が止まらない
ルナの価格が下落すれば、ますますUSTの裏付け資産としての価値も低下
「もしかしたら$との連動が回復するかも」
と考えていた人の期待も・・・

5/12夕方時点で、ルナの時価総額は$6億8300万まで減少
当然ながら$185億分のUSTの裏付けとなるはずもない
UST価格は乱高下し、一時は$0.3まで下落、現在は$0.5前後

今後、USTとルナはどうなってしまうのか?
ルナを運営するテラの非営利組織ルナ・ファウンデーション・ガード(LFG)
ルナの価格維持のためにビットコインを基金として保有していた
売り出したルナを原資に購入したもので、時価で$35億ドルを越えるといわれる
ルナが急落した際にはこのビットコインを使ってルナを買い支え、構造的な弱点をカバーする計画だった
しかし橋本氏
「買い支えには全然足りない。買い支えるという言い訳でポケットに入れられるようにビットコインを買っていたのではないか」
別の報道では、すでに買い支えのためにビットコインを使い切ってしまったとも
いずれにせよ、買い支えには十分ではなかった

橋本氏は、ルナもUSTもこのまま価値が0まで落ちると見ている
USTとルナの価値はステーブルコインを実現することで
それが失われたなら何ら価値はない
価格としては、最後に成立した取引額を表示するため、完全な0にはならず、$0.1とかそうした値段は残るだろう
しかし、実際に$0.1ドルで買い手がつくわけではなく
流動性が失われた状態になる可能性が高い

ではほかのステーブルコインは大丈夫?
実際のドルを裏付け資産として保有しているテザーUSD(USDT)とUSDコイン(USDC)は別格だ
一時はUSDTに裏付け資産が本当にあるのかという疑義が取り沙汰されたこともあるが、現在は監査が行われ、またアメリカ政府の規制の下にある
USTのような裏付け資産のスパイラル的な減少は、原理的にあり得ない
ただしbitFlyerのアナリスト金光碧氏
「十分な裏付け資産を持たないステーブルコインの危険性が注目された形になり、USDT、 USDCの裏付け資産への注目が集まっている」
USDCの準備金はすべて現金と短期アメリカ国債(T-Bills)といった現金同等物で用意されているが
USDTについては現金または現金同等物は83.74%にとどまる
現金同等物の中身も、短期アメリカ国債やMMFが中心

アルゴリズム型ステーブルコインの破綻は過去にもあったが、今回のUST破綻は規模が大きい
金光氏
「今後は規制でステーブルコインの裏付け資産の監査が厳しくなることが予想される」

ではUST同様にアルゴリズムによって$連動を保証するステーブルコインであるDAIは?
DAIも直近$60億ドルを発行、時価総額16位
橋本氏はDAIについてUSTとの違いは
「担保率が150%以上と高いこと、また担保のほとんどがUSDCとイーサ(ETH)であること」
つまり、法定通貨を裏付けに持つUSDCや、分散型アプリケーションの基盤であるETHを担保としていることで、ルナとは安定度が全く違うということだ。
今回の事件から教訓を導くのは、簡単そうで難しい。USTは法定通貨の裏付けなしに法定通貨と価値を連動させるという実験だったが、それは結局うまくいかなかった。保有者にとっては不幸な出来事だが、新たな価値を創造しようという仮想通貨のダイナミズムの失敗例の一つだともいえる

・・・そもそも
法定通貨を裏付けにするって
仮想通貨?

今日は~
ツボスミレ

画は4月はじめ
アチコチで咲いてる

0 件のコメント:

コメントを投稿