2022年5月17日火曜日

大国ロシアは過去のものに・・・元ウクライナ駐在中国大使

ウクライナの首都キーウ(キエフ)駐在の元中国大使
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに送り込んだ部隊は敗北に向かって突き進んでおり
この敗戦がソ連崩壊後の凋落にとどめを刺し、大国ロシアは過去のものとなる

この元大使は、2005〜2007年にウクライナ駐在中国大使を務めた中央アジア専門家の高玉生さん
中国社会科学院主催の非公開のオンラインセミナーでの高の発言を、香港メディア・鳳凰衛視が伝えた

高さんは習近平(シー・チンピン)主席の前任者である胡錦濤(フー・チンタオ)の下で大使を務め、現在は政府の役職には就いていない
彼の編集済みの発言は5/11に公開された後数時間で削除された
だが、10年間中国で勤務した経験を持つ元米外交官のデービッド・カウヒグが中国のニュースを英訳して伝える自身のブログで、高の発言を紹介

高さん
ロシアはウクライナやジョージアなどソ連崩壊後に独立した共和国を自国の属国のようにみなし
「領土と主権をたびたび侵害してきた」
ウクライナの世論は、かつては親ロ派と親欧米派に真っ二つに分かれていたが
2014年のロシアによるクリミア併合後は親欧米感情が高まったと
「さらに今回の侵攻で、ウクライナの状況は一変した。ウクライナの人々は一丸となり、ロシアに抵抗し、国を守ろうとしている」
ロシアは皮肉にもウクライナを力ずくで奪おうとして
「完全に失ったようなものだ」
プーチンとその取り巻きは
「軍事、経済、政治、外交、世論、プロパガンダ、情報」
の領域で展開される現代のハイブリッド戦争の戦い方がよく分かっていない
「ロシアが電撃作戦に失敗し、短期間で勝利できなかったことが、ロシアの敗北の始まりを告げた」
ロシアには
「1日に何百億ドルもの戦費が掛かるハイテク戦争」
を続ける財政的余裕はない
軍事力と経済力ではロシアのほうがはるかに有利なはずだが
ウクライナの抵抗と西側の効果的な支援が国力の差を帳消しにした
ロシアの兵器と軍事的コンセプトがアメリカやNATOと比べ
「世代的に遅れている」
ことが、ロシア軍の不利をいっそう際立たせている
「ロシアが最終的に敗北するのは時間の問題だ」
「ソ連崩壊後、ロシアは凋落の一途をたどってきたが」
ロシアの支配層はこの流れを変えられなかった
「西側の経済制裁で、今やこの流れが加速している。制裁はロシア経済の多くの部門を痛めつけている。プーチンの指導下で、ロシアは再生し、経済が活気づいたと言われてきたが、それは嘘だ。ただの幻想にすぎない」
今後、ロシアはクリミアと東部ドンバス地方を死守しようとするだろうし
ウクライナは全ての領土の奪還を目指すと予想されるため戦闘は
「激烈を極める」
「アメリカ、NATO、EUは繰り返しプーチンを敗北させる決意を表明している。つまりロシアが負けて、痛い目にあうまで、戦争は終わらないということだ」
その結果、旧ソ連圏にとどまらず、さらにその周辺までロシアの
「息の掛かった地域」
にしようとするプーチンの野望はあえなくついえることになる
「ウクライナ戦争の敗北で、大ロシア復活の夢は完全に断たれる」
そしてウクライナは
「偉大なヨーロッパの家族の一員になる」

高さんはこの発言で
中国の立場とウクライナ戦争後の中国外交の行方については一切触れていない
今年2月、北京冬季五輪の開催前に会談した習とプーチンは、中ロの友好関係には
「限界がない」と
ロシア軍の侵攻開始からこの11週間、中国は外交面ではロシアを擁護する姿勢を見せつつも
主として口先だけの擁護にとどまり
今のところ物質的な援助は行っていないと、アメリカはみている

ウクライナ戦争後にロシアが著しく弱体化し、国際的に孤立すれば
中国は頼りになる盟友を失うことになる
中ロが結束して西側の民主主義陣営に対抗する権威主義的な陣営を構築すると見られていたが、この構想もつぶれる
プーチンとの親密ぶりをアピールしてきた習の対ロ外交は
ロシアのウクライナ侵攻で裏目に出た
今後戦闘が長引けば、ロシアに対する国際社会の非難が中国にまで向けられる恐れがあると懸念する声も
それと同時に、習もプーチンと同じ状況に置かれていることを警戒する声も
つまりイエスマンに囲まれ、地政学的な環境の変化について
「耳の痛い助言」
をする者はおらず、偏った見方を補強する情報しか得ていない

全文と云われるモノがアったので
 〈 1.今回の戦争では、ロシアの態勢が日増しに受け身になり、不利になってきている。すでにロシアの敗勢が顕著だ。ロシアが失敗に向かった主要な原因は、以下の通りである。

 第一に、(1991年12月の)ソ連解体後、ロシアは終始、衰退していく過程が続いていた。その衰退は、まず解体前のソ連の衰退の持続であり、ロシアの統治グループの内外政策上の失策とも関係している。西側の制裁もまた、衰退の進展を加速化させた。

 プーチンの指導下で行われたいわゆるロシアの復興、もしくは振興は、もともと存在していない架空の出来事だったのだ。ロシアの衰退の芽は、経済・軍事・科学技術・政治・社会など各分野において、またロシア軍及びその戦力にも、深刻なマイナスの影響を与えたのである。

 第二に、ロシアの電撃作戦の失敗、速度戦によって(戦争を)即決できなかったことは、ロシアが失敗に向かって進み始めたことの予兆となった。いわゆる軍事超大国の地位とは不釣り合いな経済力と財政力は、実際、日々数億ドルずつ消耗していく先端科学技術戦争を支えきれなかった。ロシア軍が窮して敗れていく状況は、いまや戦場の随所で見られる。戦争を一日引き延ばすごとに、ロシアには負担が重くのしかかっていくのだ。

 第三に、軍事的、経済的実力などの面でのウクライナに対する(ロシアの)優位性は、すでにウクライナの決然とした頑強な抵抗反撃と、西側国家のウクライナへの巨大で持続的かつ有効的な援助によって、抹消されてしまった。そしてロシアと、アメリカなどNATO(北大西洋条約機構)国家との武器技術装備、軍事理念、作戦モデルなどの分野での実力差が、双方の優劣の勢いの違いをさらに突出させている。

 第四に、現代戦争はすべて、必然的に総合戦である。軍事・経済・政治・外交・世論・宣伝・諜報・情報など各分野を包括したものだ。ロシアは戦場で苦境に立たされているだけでなく、これらその他の分野でもすべて打ち負けている。このことが、ロシアの最終的な敗北を決定づけている。もはや時間の問題である。

 第五に、今回の戦争をいつどんな形で終結させるかという決定権は、すでにロシアの手中から離れてしまっている。主要な既得の成果を得た条件下で、一刻も早く戦争を終結させようというロシアの意図、希望は、もはや無に帰したのだ。そうした意味で、ロシアはすでに戦略的なリードと主導権を失ってしまったと言える。

 2.今回の戦争では次の段階で、(ウクライナの)対抗するパワーと強度がおそらく一歩上がる。

 (戦争が)この先、拡大し、エスカレートしていく可能性を排除しない。その原因は、双方の目標が大きく相反し、向き合うべき方向と走っている方向が逆のためだ。

 ロシア側のボトムラインは、クリミア半島の帰属を確保しつつ、ウクライナ東部を占領することだ。一方のウクライナ側は、主権と領土保全の問題で、ロシアに譲歩するつもりはない。そのため、ロシアとの戦争によってウクライナ東部とクリミア半島を取り返そうと決めている。

 アメリカ、NATO及びEU(欧州連合)は、プーチンを敗北させるという決意を明白にしている。サリバン米大統領安保担当補佐官は最近、ロシアとウクライナの戦争でアメリカが達成すべき目標を3つ掲げた。第一に、ウクライナを独立した自由な国家にとどめること。第二に、ロシアの力を削ぎ、孤立させること。第三に、西側諸国が団結し、確固たる関係を築くことだ。

 これらの目標を実現するため、アメリカとNATO、EU加盟国は、ウクライナへの支援を公然と増やすだけでなく、アメリカは(5月9日に)第2次世界大戦後、初めてウクライナ支援のための「武器貸与法案」を通過させた。アメリカはすでに、41ヵ国国防相会議で、ウクライナに対する援助を国際化、制度化させた。

 さらに重要なことは、アメリカ、イギリスなどの国が直接、戦争に参画する程度が深まり、範囲も拡大しつつあることだ。これらすべてが、今回の戦争でロシアを敗戦に追い込み、懲罰を与えて終わらせるということを示している。

 3.ロシア・ウクライナ戦争と新たな国際秩序

 ロシア・ウクライナ戦争は、(1945年2月の)ヤルタ会談のシステムと(東西)冷戦の残滓を、完全に終結させた。そして世界は、新たな国際関係のパラダイムと秩序に向かって進み始めた。

 (1991年に)ソ連が解体した後、ソ連が保持していた国連安保理常任理事国のポストと、軍事超大国としての地位は、ロシアが引き継いだ。ロシアは、国内政治・経済・社会・文化及びイデオロギーなどの方面で、非常に多くのソ連時代の遺産と影響力を継承した。そのためロシアの外交政策は、旧ソ連とロシア帝国時代の混合体となった。

 プーチン政権の外交政策の核心であり主要な方向性は、まさに旧ソ連圏を(ロシアの)独占的な勢力範囲と認識し、ロシアが主導する形で各地域を一体化させ、ロシア帝国の機構制度を復活させることにある。そのため、ロシアは発言と心意が異なっており、食言を尽くしている。

 (ロシアは)旧ソ連圏の国の独立、主権、及び領土の保全をいまだに真に承認したことがなく、頻繁にそれらの国々の領土と主権を侵犯している。そのことは、ユーラシア大陸の平和と安全、安定に対する最大の脅威となっている。

 ロシア・ウクライナ戦争は、こうした状況を極めて大きく変化させることとなった。ウクライナは(1991年8月に)独立後、特に2000年から、西側派(親欧米派)と東側派(親ロ派)の勢力がほぼ均衡し、選挙を通じて交代で執政するようになった。

 だが、2014年にロシアがクリミア半島を併合し、ウクライナ東部地方を占領した後、ウクライナ国内では反ロ感情が高まり、親ロ派勢力は委縮し始めた。大部分のウクライナ人は、西部地域だけでなく東部地域においても、EUとNATOへの加入を支持するようになった。

 今回の戦争が勃発した後、ウクライナを巡る状況は、根本的な変化が起こった。ウクライナ国内の党派や地域、階層によらず、国民が一致団結して救国抗ロを目指すようになったのだ。

 ロシア(の信頼)は、ウクライナで完全に失墜してしまったと言ってよい。同時に、ベラルーシを除く旧ソ連圏の国々は、CSTO(集団安全保障条約機構=旧ソ連圏の6ヵ国加盟)とEAEU(ユーラシア経済連合=旧ソ連圏の5カ国加盟)の加盟国を含めて、すべての国がロシア側につくことを拒絶している。

 ロシアは敗戦後、過去の栄光の山河を取り戻すことや、帝国として復活する機会を、徹底的に喪失するだろう。(ウクライナ侵攻によって)ロシアは、かつてのロシア帝国や旧ソ連時代の国際的地位と影響力を再び得ようとした。既存の国際秩序を打破し、ユーラシア大陸と世界の地政学的な政治版図を塗り換えようとした。旧ソ連圏の国々を再び糾合し、連盟や帝国復活の追求に執着したのだ。

 だがそれによって、アメリカ及び西側諸国との根本的な対立と衝突を起こしてしまった。それがロシアと、アメリカ及び西側諸国との関係の主要な矛盾点となり、障害物となってしまった。

 こうした問題における双方の角逐と闘争の大部分は、米ソ冷戦時代の継続であり余韻である。同時にイデオロギー的な色彩も帯びていると言える。

 今回の戦争を通じて、ロシアとアメリカ及び西側諸国との対峙と争奪戦は、ロシア側の完敗となって終わりを告げることになるだろう。換言すれば、ポスト冷戦時代、もしくは冷戦時代の延長が、最終的に終了することになるのだ。

 4.ロシア・ウクライナ戦争後の国際秩序の変化として起こりうるいくつかの要点

 1)ロシアは政治・経済・外交などの面で、目に見えて弱体化と孤立、懲罰を余儀なくされる。ロシアの国力はさらに衰退していくだろう。おそらく一部の重要な国際組織から放逐され、国際的な地位は明確に低下するに違いない。

 2)ウクライナは、ロシアの軌道と勢力範囲(ロシアにもしも勢力範囲というものがあればの話だが)から離脱し、ヨーロッパの大家族のメンバーとなる。すなわち西側諸国の一員となるだろう。

 3)その他の旧ソ連圏の国々は、おそらく程度の違いこそあれ、ロシアから遠ざかっていく。そのような新たな趨勢が出現するだろう。一部の国は、より積極的に西側諸国に寄りかかろうとするに違いない。

 4)日本とドイツは、完全に第二次世界大戦の敗戦国としての約束に別れを告げる。軍備拡張を加速化させ、より積極的に政治大国としての地位を掴もうとする。ただし、(日独が)西側陣営から離脱することはない。また、完全に平和的発展の方針に背くわけでもない。

 5)アメリカとその他の西側諸国は、国連とその他の重要な国際組織の実質的な改革を、本気になって進めるだろう。たとえ改革が暗礁に乗り上げようとも、別な手段を模索していく。アメリカと西側諸国は、いわゆる自由民主のイデオロギーで線引きをし、ロシアなど一部の国を排斥するだろう 〉

・・・そして
中国に寄りかかる?

今日は~
シロバナノヘビイチゴ/Fragaria nipponica
画は4月の末
まあまあの作
今年はいくつ、ワタスの口に
・・・

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