2022/2に始まったロシアの侵攻から2年半余り
今なお激しい戦闘が続くロシア・ウクライナ戦争は、ウクライナのみならず、ヨーロッパ全体に大きな影響を与えている
ベラルーシと接するポーランド東部ビャオビエジャ
国境線はヨーロッパ最後の原生林と呼ばれる森の中にある
広大な国境の森林地帯から中東出身者ら数千人が突然、ポーランドに密入国を始めたのはウクライナ侵攻前年の2021年夏
ポーランドはヨーロッパ域内を自由に移動できるシェンゲン協定の東部境界にあたる
ここを越えればドイツなどへ行けると、SNSを通じて世界中の移民・難民たちに拡散
だがポーランド政府は非常事態を宣言し、彼らを国境の外へプッシュバック(押し返し)して、高さ5.5mの鉄条網付きフェンスを186kmにわたって構築
監視カメラや熱探知システムを整えた
ポーランド、ベラルーシ双方から押し返されて森の中で行き場を失う人が相次ぎ、支援団体によると少なくとも82人が遺体で見つかっている
その惨状を描いた映画 人間の境界(日本で今年5月公開)はポーランドの世論を揺さぶり、昨年12月、右派から中道への政権交代を後押しした
しかし今、再び移民・難民排斥の動きが高まりつつある
きっかけは、若い兵士の死だった
ポーランド国境警備隊によると、密入国の試みは雪解けとともに今年4月から急増
上半期だけで2万件を超えた
出身国はイラクやアフガニスタン、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国など約40カ国に上る
その様子を地区報道官カタジュナ・ズダノビッチは
「ベラルーシから送り込まれる人たちは一層攻撃的になっており、石や枝、割れたガラスを投げてくるなど極めて危険な状況です」
5/28約50人の集団越境を阻止しようとしたポーランド軍の兵士がフェンス越しに刃物で胸を刺されて死亡
政府はすぐに立ち入り禁止区域を復活させ、反移民を掲げる地元青年らも自警団をつくってパトロールを始めた
かつては密入国者の多くがベラルーシ発だったが、今や大半がロシア発だという
「ほとんどが留学や観光、就労といった合法的なロシアのビザを所持しており、モスクワからベラルーシに連れて来られて密入国地点を指示されています
組織化された密入国システムが出来上がっています」
森で人命救助に当たるボランティアたちも逆風にさらされている
ベラルーシとの国境近くに拠点を構え、移民・難民たちを支援する団体ベズクレス財団の理事マリアンナ(43)
「今や状況は一変しました。社会からの支えが目に見えて減り、資金集めはもはや困難です
SNSには支援者の殺害を呼びかける身の毛もよだつような投稿まであります」
そこにはウクライナ侵攻も大きく影響している
「私が会ったアルジェリア人一家はロシアで暮らしていましたが、ロシア軍の召集令状を受けて慌てて逃げ出してきました」
支援団体のもとで難民申請の結果を待つアフガニスタン人女性ヒラ(18)も、ロシアから来ていた
「ロシアにはお金さえ払えばビザを手配してくれる大学がたくさんあって、大勢のアフガン人が学生ビザで来ていました」
実母が病死し、イスラム主義組織タリバン政権下で学校に通うこともできなくなった彼女は21年、義父に借金の形として身売りに出された
すきを見て逃げ出し、ロシア大使館で学生ビザを取ってモスクワに逃れた
だがビザも切れ、不法滞在になったところでヨーロッパへの密航を請け負う人物の連絡先を知った
指示に従って$120(現在のレートで約¥1万8000)を送金すると
23/5ベラルーシの首都ミンスクに連れて来られ
「小川を渡れば3~4日でドイツに行ける」と
十数人のグループで国境の森に入ったものの、すぐに遭難
ベラルーシの国境当局に見つかって拘束された
そして国境フェンスのそばに連れて行かれ、当局者に掘削道具を渡され、こう告げられた
「午前2時が過ぎたらフェンスの下を掘れ。ベラルーシの森で再び見つけたら射殺する。戻ってくるな。国境を越えろ」
地中に固いものが埋め込まれていて掘ることができなかった
雨の森で立ち往生している間に水も食料も尽きた
グループで話し合い、はしごをつくってフェンスを越えることになった
フェンスによじ登った瞬間、ヒラはポーランド側に転落し、背中から落ちて意識を失った
マリアンナの仲間に救助されて約2カ月間入院した
背中や足に金属板を埋め込む手術を3回受けたが、今も腰回りの感覚はないという
モスクワからベラルーシを経てポーランドへ
こうした移民・難民の大量密入国が意味するものは何なのか
ロシアもベラルーシも認めることはないが、その意図は移民兵器という言葉に集約される
世界中の移民・難民たちを集め、EUに向けて一斉に送り込むことで混乱を引き起こす
人権尊重を掲げてきたEUの価値観が揺さぶられる
サイバー攻撃や情報戦などと同様、通常の軍事力と組み合わせて実施されるハイブリッド攻撃と呼ばれるものの一つ
バルト3国の一つ、エストニア東部の街ナルバは、川を挟んでロシアのイヴァンゴロドと向き合う
川幅百数十mのナルバ川には4車線の橋が架けられている
高台から望遠レンズで橋を見ると、スーツケースを引いて往来する人たちが列をなしていた
だが、車が行き来している気配はない
橋の中央部に一辺が1mほどのピラミッド型の小さなコンクリート製ブロックが約20個設置されていた
それは戦車の侵入を阻む竜の歯と呼ばれる軍事用障害物で、鉄条網も巻かれている
エストニア国境警備隊東部管区長エリック・プルゲルさん
「ピラミッドを置いたのは、われわれがロシアの行動をいかに深刻に受け止めているか見せつけるためです」
橋に突然、ビザを持たないイラク人やソマリア人ら若い男性数人が現れたのは昨年10月
「エストニアに住みたい」などと叫び、難民申請を訴え出た彼らの脇には
ロシア連邦保安局(FSB)に所属する国境警備隊員が緑色の制服姿で付き添っていた
「FSBが手ほどきをして、集団にときおり指示を出していました。われわれがどう反応するかを探っていたのでしょう」
その後も数回、同様の試みが続いた
ロシア側が撮影機材を設置した直後に集団が現れたこともあったと
「FSBが関与している以上、国家的脅威です。厳しく対処せざるを得ません」
エストニア側が入国を拒み続けていると攻撃はやんだが、今年5月にはエストニア側が川に設置した境界を示すブイ50個の半分をロシア側が一方的に撤去するなど、国境をめぐる神経戦は続いている
ラトビア、エストニア、リトアニアのバルト3国の国防相は今年1月、軍事侵攻に備えてロシアとベラルーシの国境沿いに防衛施設を配置するバルト防衛ラインを設けることで合意
これを受けてラトビア政府は3月、5年間で約€3億(約¥480億)を投じて対戦車塹壕や地雷、軍用倉庫を整備する計画を決めており
ラトビア公共放送によると塹壕の掘削工事がテレホバで始まっていた。いずれ竜の歯も敷設されると
リトアニアも国境沿いにフェンスを建設し、検問所6カ所のうち4カ所を閉鎖
リトアニア軍は今年4月、スバウキ回廊と呼ばれる南部地域の防衛を想定した軍事演習をポーランド軍、アメリカ軍とともに実施
世界一幸福といわれるフィンランド
「人権法違反」の批判に揺れていた
その引き金もやはり、ロシアが送り込んだ移民・難民集団の出現だった
ロシア第二の都市サンクトペテルブルクまで約200kmのフィンランド東部の街イマトラ
国境警備隊曹長ビレ・クーシスト(40)
「ロシアが不法移民問題を持ち込んできました」
「フィンランドにやって来たソマリア人やシリア人、イエメン人など、ほぼ全員がロシアに合法的に滞在するビザを持っていました。ポーランドで押し返されて、ここまで連れて来られた人もいました」
フィンランドはウクライナ侵攻後に中立政策を転換し、昨年4月に北大西洋条約機構(NATO)に加盟
すると8月、ロシア側から突然、中東やアフリカ出身の青年らの集団が難民申請のため、自転車に乗って検問所に現れるようになった
「徒歩での越境は違法なので、彼らはみな自転車を与えられていました」
フィンランド政府はこれを
「移民を道具に使ったハイブリッド攻撃」
11月末までにロシアとの国境検問所8カ所すべてを閉鎖
1300人を超えた流入は止まったが、政府は有事に備えて国境へのフェンス設置を進め、検問所は無期限に閉鎖
今年5月、政府は道具化した移民への対策法案を議会に提案
人権の国”フィンランドもまた、難民申請を受理せずに国境の外に押し返すプッシュバックの合法化に乗り出した
これに対し国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など4団体
国際法とEU法に反すると、共同声明を発表
公聴会でも有識者18人全員が反対を表明するなど物議を醸した
しかし、それでも議会は7月に可決
法案に反対してきたフィンランド難民評議会事務局長アニュ・レヒティネン(53)
人権先進国を自任してきたフィンランドの変質を危惧
「フィンランドは伝統的に人権や国際合意、国際法を先導してきた国です
国際合意や人権に反する決定をするのは初めてで、まさに歴史的な局面に立っています
EUの他の国々にとっても、憂慮すべき悪例になりかねません」
さらに東に進めば、そこはウクライナの戦場
ロシアとの戦闘が日々展開されている
そして黒海沿岸のジョージアも国土の2割を親ロシア派に占拠されている
これらをつないでゆけば、ヨーロッパ大陸の地図には今、EUとロシアを分断する数千キロの境界線が浮かび上がる
ロシアのウクライナ侵攻がもたらしたヨーロッパの“地殻変動”によって、ユーラシア大陸の西に
今、35年前に崩壊した鉄のカーテンが、位置を変えてよみがえりつつあるの
ロシアはその境界から移民・難民を兵器として送り込み、人権尊重の看板を掲げてきたEUの価値観をも揺さぶっている
境界の最前線にいる人たちが日本の北方領土問題をよく知っている
日本を遠い国としてではなく、ロシアの隣国として自国の境遇と重ね合わせて見ている
ユーラシア大陸の西側で起きている地殻変動は、同じ大陸の東側でロシアと隣り合う日本にとって、決して他人事ではない
中国、北朝鮮とも海を隔てて向き合う複雑な安全保障環境にある日本の私たちこそ、自分事として自国と重ね合わせて受け止めたい
・・・その内、日本にも
小型船で難民が・・・
いやらしい、おそロシア
非難される日本の難民政策
それが世界標準に?
今日も~
セッコク/Dendrobium moniliforme霊砲
花シーズンの画をアげてなんだ・・・
でアげる
ノドが薄い緑
爽やかなカンジ
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