2024年3月11日月曜日

ブラッグガラス相・・・またメンドウなモノを

これまで理論上のものだったブラッグガラス相という奇妙な物質の相が、現実の物質で確認された
ブラッグガラス相は、ガラスのような特徴がありながら、ほぼ完璧な結晶となっている
なんだか矛盾しているような奇妙な状態
これまで理論的には存在が予測されながら、本当に存在するのかどうか不明だったが、コーネル大学をはじめとする物理学者チームがそれを確認
それはテルビウムとテルルの層の間にパラジウムを差し込んだ合金PdxErTe3の中に隠れていた

ここでの相とは、物質を構成する原子や分子が並んでいる様子を表したもの
たとえば長距離秩序相とは、原子がどこまでも整然とした規則的なパターンで並んでいる状態
その反対に無秩序相なら、原子はごちゃまぜで、規則的なパターンはない
たとえば水のような液体がそうだが、ガラスのような固体なのに無秩序な物質もある
ブラッグガラス相はその中間にあるもので、ガラスのような特徴がありながら、ほぼ完璧な結晶となっている相
過去の研究によって無秩序なところでの渦糸格子や電荷密度波系において発生すると予測されていた
image credit:Mallayya et al., Nat. Phys., 2024
コーネル大学などの研究チームは、この奇妙なブラッグガラス相は電荷密度波(CDW)がある物質で見つかるのではと考えた
電荷密度波とは、物質の電荷密度が周期的に高くなったり低くなったりして波のように見えること
ひとまず電子の分布の波と理解してもらいたい

3種の相では電荷密度波の振る舞いがそれぞれ違っている
たとえば秩序相では、波とその構造との相互が無限に続いていく
その反対に、無秩序相では波の相関が無限には続かず、どこかの距離で壊れる
ブラッグガラス相の場合、波の相関がきちんと崩れる
ところが、それがあまりにもゆっくりしていて、まるで無限に広がるかのよう見える
現実にブラッグガラス相かどうか確認するには、実験データからその微妙な違いを検出せねばならい
これはそう簡単なことではなかった

ブラッグガラス相探しの対象となったのは、PdxErTe3という特殊な合金
これは数年前にSLAC国立加速器研究所とスタンフォード大学の研究者によって念入りに調べられ、幻の相発見の有望な候補とされていた
研究チームはPdxErTe3にX線を照射し、物質内部で起きた光の回折を測定
さらに秘密兵器として利用されたのが、その解析を担当した機械学習ツールX-TEC
これによって電荷密度波のピークが何千も調べられ
これに基づき、それまで理論上のものだったブラッグガラス相の実在が確認された
とらえどころのない相だが、その痕跡がデータに刻まれていることに気づけたのは、機械学習を利用したツールによるところが大きい

コーネル大学のEun-Ah Kim氏
「機械学習ツールとデータ科学的な視点を用いることで、包括的なデータ分析を通じて繊細なサインを突き止めるという、難問に挑むことができます」

この研究は『Nature Physics』(2024/2/9付)に掲載された

・・・またメンドウなモノを・・・
一見、結晶構造を持つ
けど結晶じゃない

今日も~
フクジュソウ/Adonis ramosa秩父紅

先日アげたコ
画を撮った翌日
で、綿帽子をかぶった花
閉じてる

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