2025年12月29日月曜日

ロシア防衛企業の苦悩

  ロシアによる2022年のウクライナ侵攻は、科学者のウラジーミル・アルセニエフさんにとって千載一遇の好機に思えた
アルセニエフさんは戦車に乗り込む兵士が使用する通信装置の部品を製造するモスクワの企業 ボルナ中央科学研究所を経営
ウクライナ侵攻後は防衛関連の受注が殺到したが
この受注で苦境に追い込まれた
ロシア国防省が設定した価格で受注し、猛烈なペースで生産を拡大
厳しい納期に間に合わせなければならなかったから
失敗は許されなかった
ロシア政府はソ連時代の独裁者スターリンの恐怖体制さながらに、契約義務を果たさなければ刑務所に送ると脅した
2023年春までにアルセニエフさんの工場は生産計画に遅れが生じ、幹部同士の対立が激化していた

少数株主のセルゲイ・モシエンコさんは、会社が納期を守れないと見て内部告発
モシエンコさん
「国防省が顧客だ」「彼らは常に正義なのだ」
工場長によると、アルセニエフさんが当局者に助けを求めても無視された
会社が破産寸前に追い込まれた2024/7/26
アルセニエフさんはモスクワの赤の広場に足を踏み入れた
ロシア革命の指導者・レーニンの霊廟近くでアルセニエフさんは全身にガソリンをかけ、自らに火を放って焼身自殺を図った
一命を取り留めたものの重度のやけどを負い数週間入院
アルセニエフさんは契約に問題があったとの主張を否定し、自分をおとしめようとする人たちが当局に根拠のない苦情を送ったと主張

アルセニエフさん
「受注が増え、納入を履行している会社がなぜ倒産するのか」
「おそらくそこに問題があるということだろう」
ロシアの大統領府と国防省は、アルセニエフさんの事例や防衛契約全般の取り扱いに関する詳細な質問に回答しなかった
ボルナ中央科学研究所は部品価格を巡る政府との対立が資金不足を招き、納税不履行により同社の口座は凍結された
給料が払えなくなり訴訟も起こされた

アルセニエフさん
「突然、破産寸前に追い込まれた」
2024/9債務回収のために執行官が派遣されたが、差し押さえ可能な資産を見つけられなかった
アルセニエフさんの苦境は、生産拡大を長年求められてきたロシア防衛企業が受けている圧力を表している
モスクワの裁判所の判決を調べたところ
アルセニエフさんが経験した困難は特異な事例ではなかった
モスクワの裁判所のウェブサイトに掲載された文書によると
ロシアのウクライナ侵攻後に国が発注した防衛品納入を妨げたとして刑事訴追された人は少なくとも34人
この中には少なくとも11人の企業トップと2人の幹部が含まれる
ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を命じて以来
ロシアのメーカーは砲弾やミサイル、戦車、ドローン(無人機)の生産を増強してきた
それらはウクライナが生産できる量や、西側の同盟国から調達できる量を上回っている
しかし、ロンドンのシンクタンク、チャタムハウスのコンサルティングフェローのマチュー・ブレグ氏や、西側諸国の複数の安全保障アナリストによると
この分野は非効率性と汚職に悩まされている
結果としてコストの急騰、生産遅延、割当量の未達成が生じている
ロシア大統領府の対応策、すなわち国防省と国営防衛企業ロステックへの意思決定の集約や、請負業者への厳格な規則の適用が企業の革新と近代化の能力を損なっていると
ブレグ氏は7月に発表した論文で
短期的にはロシアがウクライナや西側諸国に対する脅威であり続ける能力に影響を与えないだろうと
一方で「ロシアが敵対国との競争力を維持することはより困難になる」

ロステック
ロシア防衛産業が衰退しているとの見方を「プロパガンダによる作り話だ」
ロステックはテレグラムのアカウントを通じて「ロシア防衛産業は全く問題ない」

ロシア大統領府によるメーカー対応は、防衛産業を監督する軍事産業委員会の委員長を務めるメドベージェフ前大統領(ロシア安全保障会議副議長)が指揮している
メドベージェフ氏は23年3月の業界幹部との会合で
スターリンが第2次世界大戦中に送った電報を読み上げた
そこには武器を期日までに納入できなかったメーカーを「犯罪者のように粉砕する」
メドベージェフ氏が自身のテレグラムのアカウントに投稿した動画
同氏は「諸君、私の言葉を聞いて最高司令官の言葉を覚えておいてほしい」
メドベージェフ氏による脅しの根拠となるのが
17年に制定された法律
の法律では、私利私欲のために防衛契約を損なう行為を犯罪とし
最高で禁錮10年の刑を科すと
ウクライナへの侵攻前、モスクワの裁判所のウェブサイトに記録された起訴事例はわずか1件だった
この法律は22/9に改正され
起訴対象となる過失行為の適用範囲が拡大
現在では防衛契約の拒否や履行不能も対象に含まれており
特定の状況下では被告が私利私欲を追求していたことを立証する必要がなくなった
23/1プーチン大統領は検察官に対して
防衛発注の期日通りの履行について「監視を強化する」ように促した

赤の広場で抗議行動を行った後、一命をとりとめた前出のアルセニエフさん
会社の財務面および法的な問題を解決しようと、入院先の病院からも仕事を続けたと
しかし成果はほとんど得られなかった
会社は今も存続しているが人員削減を余儀なくされ、受注規模も大幅に縮小している
アルセニエフさんはいまは職場に復帰しているが
多くの時間を裁判に費やしている
焼身自殺を図った件では、重要な場所で無許可デモを行ったとして、裁判所から罰金を科されたという

補足
ウクライナ戦争で好況を迎えたとみられるロシア防衛産業が人員不足、制裁による需給問題、そして財政問題で困難に直面している
制裁のために西側で作られた部品・材料を確保するのに困難がある中
過去に定めた供給価格を強要され、さらにロシア政府が代金の支払いを先に延ばす状況
軍事メディアのディフェンスブログがウクライナ戦争を支えてきた
ロシア防衛産業が深刻な危機に直面しているというロシア内部の評価が出ていると
戦争が長期化し、莫大な軍の需要があるが、複合的な問題がロシア防衛産業全般を圧迫
1つ目、防衛産業企業で勤務していた熟練労働者が戦争に動員されたり犠牲になったりし
防衛産業企業は生産ラインを維持する十分な人材を確保できずにいる
その結果、一部の工場は大量の注文を消化している?

2つ目、西側の制裁の余波で核心部品・原材料の確保が難しくなった
半導体以外の潤滑油・精密コーティング材料などの輸入がふさがったり価格が急騰
ロシア内部で購入する努力もあったが、ロシア産代替品は性能が落ちるという評価を受けている

3つ目、防衛産業会社の財政状態が悪化している
ロシア政府が防衛産業会社に対する代金支払いを延ばし、このため戦車を生産する企業は1月に引き渡した戦車の代金を受けていない状況で契約を引き続き履行しなければならない
政府の支払い遅延はそうでなくとも厳しい防衛産業会社の財政状況を悪化させている
ロシア軍の中高度長期滞空無人機オリオンを生産するクロンシュタットは数億ルーブル規模の債務請求訴訟がいくつか提起されている

政府が定めた価格政策も問題を悪化させている
企業は政府に過去の固定納品価格で契約を結ぶが
必要な部品は市場価格で購入している
こうした契約構造のため企業に損害が生じている

4つ目、ウクライナの攻撃で基盤体系が破壊された
ドローンとミサイル攻撃、そして鉄道網の破壊などのサボタージュは主な防衛産業工場、物流拠点、燃料と潤滑油供給施設に被害を与えている

5つ目、輸出市場の縮小
伝統的にロシア防衛産業企業は外国への輸出で損失を補填してきたが
制裁のために輸出が遮断されたり取引が延期されたりするケースが増えた
例えばインドネシアとエジプトはSu-35戦闘機を購入する計画だったが、これを取り消した
インドは海軍艦艇に搭載するガスタービン部品の需給問題で契約を取り消した
輸出による収益が減り、企業は内需用低価格契約で生じる損失を埋めるのが難しくなった

ディフェンスブログは危機が単なる一時的な障害でなく
ソ連崩壊後の最悪レベルの構造的危機と分析

・・・実情を無視してるロシア
赤字になるから、納期が間に合わないからetcでも契約を断ることもできない
無理難題を強いる・・・ゴロツキ
プーさんは、そもそもロシアを維持・発展させる気は微塵もない
喰いものにするコトしか考えてない
トラさん、習さんと同じ思考
で、お互い共感を持つ部分が
だから変に仲がイイ?
オワリだわ

コレに世界が巻き込まれる
理不尽な浮世
考えてみれば
ズ~っと、こうだったんだよね~
性癖は進化しない・・・

今日は~
マスデバリア ピンクガール/Masdevallia Pink Girl

12月に入って咲いた
また安定して毎年咲きそう
ハデな配色だけど
まあ、コレはコレで・・・

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