2024年5月7日火曜日

アメリカでも貧しい者は、より貧しく

2024年3月8日 
アメリカ セントルイス連銀が連邦準備制度理事会(FRB)の家計資産調査(SCF)のデータを用いて調査を実施
2019~22年時点で65歳以上が世帯主である家計の純資産増加額の中央値
18~39歳の世帯は$3万1600と年齢別で最も少ない増加額にとどまったが、低いベースとの比較ということで増加率では最大だった

同連銀の経済的公平性研究所データサイエンティスト、ローウェル・リケッツ氏が共同で執筆した最近の論文
シニア層は通常、若い世代より多くの富を持っているが、ここ数年は高齢者での増加がより顕著のため、格差が一段と鮮明になっている

 リケッツ氏は電子メール
「ただ、これはゼロサム的な状況ではないことに留意することが重要だ。一般的な若い世帯なら、約$3万2000の上乗せで経済的安定と経済的流動性の両方を向上させ得る」
シニア層の純資産増加は半分強が住宅の資産価値のような非金融資産
退職金口座やその他の金融資産が残りの48%
高齢者では全体的に資産が増加したものの、顕著だったのは上位層
65歳以上のうち、富保有で90%の人たちは約$89万3000ドル増えた
一方、10%では$1181の増加にとどまった

ただ、先週発表されたアマゾン・ドット・コムとスターバックスの決算では消費者の節約志向が強まっていることが指摘されている

2024/3/6ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁
ロサンゼルスで開かれたミルケン研究所主催のグローバルカンファレンスで、多くの消費者が「支出にかなり慎重になっており、幾分の減速がみられる」
との声が小売業者から寄せられていると
特に低・中所得者層の家計がパンデミック期の蓄えを使い果たし
「クレジットカードと自動車ローンの延滞率が上昇している」
「全体として見れば、経済は依然として健全だが、成長はやや鈍化している」

アメリカ サンフランシスコ連銀連銀のエコノミスト、ハムザ・アブデルラフマン、ルイス・オリベイラ両氏
「最新の推計では、経済におけるパンデミック期の余剰貯蓄がマイナスに転じた。これは、家計が2024年3月時点で、パンデミック期の貯蓄を使い果たしたことを示唆している」
パンデミック期の余剰貯蓄(実際の貯蓄とパンデミック前のトレンドとの差)は、2020/3~2021/8までに$2兆1000億に膨れ上がった
以降、家計は平均$700億/月の貯蓄を取り崩し、そのペースは昨秋には$850億/月まで加速
今年3月時点で余剰貯蓄は$720億のマイナスに転じた

アメリカ世帯はパンデミックの間、政府による手厚い支援もあり、巣ごもり状態で貯蓄を増やすことが可能だった
連邦準備制度が歴史的なスピードで利上げを実施する中で、アメリカ経済は低迷するとの予想をはね返し続けることに、この余剰貯蓄が貢献したと考えられている
継続的な雇用や賃金上昇、他の蓄え、あるいは借り入れの増加など別の手段で支出を維持できる限り、パンデミック期の余剰貯蓄の枯渇が個人消費全体の落ち込みにつながる可能性は低いと・・・

そして
アメリカではALICEが増えている…職に就いているが資産がなく、生活費の支払いに苦労している人々
彼らの存在は、アメリカが経済的に苦境にある人々を評価する方法がおかしい
ことを示してる
フードスタンプ(食料品の配給システム)や障害者手当を受ける資格はない収入を得ていながらも
その収入が家賃や医療費が支払うには十分ではない場合ALICEだということになる

ALISEとは、非営利団体ユナイテッド・ウェイ(United Way)のプログラム
ユナイテッドフォーALICE(United For ALICE)が生み出した造語
アメリカ人のうちで
資産が限られ(Asset Limited)、収入に制約がある(Income Constrained)被雇用者(Employed)
を表す言葉
4人世帯で$3万1200ドル
個人で$1万5060という連邦貧困レベル(Federal Poverty Level)をわずかに上回る収入を得ながら
基本的な生活の支払いに苦労しているアメリカ人
ALICEの多くは一般的に、得ている賃金が生活費をまかなうのに十分ではない労働者
彼らは給料ギリギリの生活をしている
中には医療機関にかかるために、食費や保育料の支払いを犠牲にせざるを得ない人もいる

ユナイテッドフォーALICEが、アメリカ国勢調査局(USCB)の全米地域調査(American Community Survey)のデータとユナイテッド・ウェイの推計によると
アメリカの世帯の約29%がALICEであり、13%が連邦貧困レベル以下にあるという

政府の多くの取り組みは、人々が貧困から抜け出すことを支援しようとしてきた
だが、ユナイテッドフォーALICEでナショナルディレクターを務めるステファニー・フープス (Stephanie Hoopes)氏が語ったように
連邦貧困レベルは多くの点で時代遅れであり、地域差や、人々の家計に占める食費の割合の変化を考慮していない
経済的には恵まれているが、将来のために投資することができない人々を支援することにあまり注意が払われていないと

アメリカ全体の貧困率はおおむね低下しており、これは一見アメリカの労働者にとっては朗報のように思える
政府の支援は最も経済的に困窮するアメリカ人たちに届くかもしれないが
依然経済的に不安定なALICEへの給付金の打ち切りは、彼らを取り残してしまうことになる
ALICEの割合はこの10年の間にアメリカ全土で増加
モンタナ州やアイダホ州などのパンデミックに起因したブームが起こった州ではその割合が大きく跳ね上がっている
これは多くのアメリカ人の収入が増加したものの、インフレや住宅価格の高騰に追いついていない可能性がある
ALICEの広がりは、一見堅調に見える労働市場の根底にある経済的な問題を示している
豊かさと支援の狭間に立たされるアメリカ人はますます増えており
国の政策はそのような人たちに応えるものにはなっていない
これは、さまざまな援助に対し受給資格を撤廃し、直接的な刺激策を提供していたパンデミック時の景気刺激策とは対照的
フープス氏
「フラストレーションやストレス、難しい選択をしなければならない状況が毎日毎日続く中に身を置くことは本当につらいことだ」
「子どものために薬を買いに行くのか、それとも今夜の夕食を食べるのか。電気はつけたままにしておくのか、保育園に行くのか」

貧困状態にあるアメリカ人は減少しているが、ALICEは増加している
低所得者用食料品購入支援プログラムであるSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program)の受給資格を得るためには、連邦貧困レベルの約138%以下の所得
つまり4人家族の総所得が$3万9000以下でなければならない
障害を持つアメリカ人に給付される補足的所得補償給付(Supplemental Security Income)の場合、受給できなくなるのは通常、年間の個人所得$2万3652から
州によっては、個人や家族が連邦貧困レベルの200%から250%の所得があっても受給できる場合もある
これらの世帯は一般的なアメリカ人よりもインフレの影響を受けている
消費者物価指数(CPI)は、アメリカのインフレを測る主な指標のひとつだが
外食、スポーツ用品、コンサートチケットなど、ALICEが頻繁に購入しない商品やサービスが多く含まれている

ユナイテッドフォーALICEは、低所得世帯の生存予算をより詳細に追跡するALICE必需品指数を考案
基本的な支出のみのインフレ率を測定すると、ALICE必需品指数はCPIよりも速く上昇している
同時に、ALICEは過去12年間、賃金の上昇に遅れをとっている

・・・アメリカも貧困層へのパイは小さくなってる
いわんや日本は・・・

今日は~
フクジュソウ/Adonis ramosa

3月末
普通のコもイイ

0 件のコメント:

コメントを投稿