金価格の上昇が止まらない。20年前と比べて約10倍。地政学リスクの高まりやインフレ懸念を背景に、安全資産としての金に資金が流れ込んでいる
で、海水には約50億tの金が溶けているという見方も
これは人類がこれまでに採掘した量の2万倍
そんな海水に溶けた金を取り出す技術を開発しているのが、株式会社IHI(旧石川島播磨重工業株式会社)の福島康之主任研究員
足掛け10年この新規事業に携わり、技術そのものは確立済み
あとは事業化を推し進める段階
この事業が採算に乗れば、そのコストによって金価格に影響が及ぶだろう
福島氏
「海から取れるようになれば、金価格が下がる可能性はある」
人類が採掘してきた金の総量は約18万tで、競技用50mプールの約3.8杯分そして地中にまだ残っている可採埋蔵量は約5万tで、同じようにプールに換算すると約1杯分しかない、と
福島氏
「これらの数値には、少し誤解が含まれていると思う」
誤解とは、可採埋蔵量の定義に関わる
可採埋蔵量とは現在の技術とコストで採掘可能な量のこと
金鉱山でも濃度が低い鉱石は採算が合わず、放置されている
しかし技術が進歩し、あるいは金価格が上昇すれば、かつてゴミとして扱われていた低品位鉱石からも金が取ろうとする
福島氏
「例えばある鉱山では、20年前に言われていた金の埋蔵量と、今言われている残り何年で枯渇するかという年数が、実は変わっていないんです」
その延長線上に海がある
海水中の金濃度は諸説あるが、その話を鵜呑みにすれば
人類がこれまで採掘した量と、今後採掘可能な量を合わせた総量(約23万t)の約2万倍
この金を経済的に取り出せる技術が確立すれば、そのコストが金価格の上限を決めることになる
では海水から金を取り出すにはどうすればいいのか
塩を取るように海水を蒸発させればいいと思うかもしれないが、それでは無理だ。
水に溶けた状態のまま金だけを狙って回収する方法が必要
福島氏がたどり着いたのがバイオソープションと呼ばれる技術
日本語では生物吸着
生物を使って水中の金属を吸着・回収する技術
鍵を握るのは藻
海水中の金は塩素と結びついた塩化金などの形で溶けている
この塩化金が藻の成分と出会うと化学反応が起きる
塩素が外れ元の金属の金に戻る
藻がいわば金の回収役を果たすのだ
この反応によって水に溶けていた金が固体として回収できるようになる
金だけが選択的に取れるのは
「金はイオン化傾向が一番低い金属なんです。つまり、最も還元されやすい」
他の金属も多少は反応するが金だけが飛び抜けて藻に吸着される
この藻は東北地方のある温泉に自生していた野生の藻である
「温泉に生える藻って、そもそも珍しいんですよ」
その温泉は源泉の水温が50度以上、pHはアルカリ性
普通の藻類や植物が育たない過酷な環境
2017年、バイオソープションを研究する専門家との共同研究を通じて、この藻を入手した
福島氏の本来の専門はセラミックであり、生物学は門外漢だった
・・・こういうの、よくある
会社、研究室etcの都合で
でもコレがイイ結果につながるコトがある
それでも試行錯誤の末、研究室での培養に成功
「ネットで調べて、こうじゃないかなと思ってやったら、運良くうまくいった」
専門家が引退した今、同じ形で藻を入手することはもうできない
ノーベル賞科学者も挑んだ「100年の夢」
海から金を取る——この発想は、福島氏が最初ではない
約100年前、ノーベル賞科学者が本気で挑み、そして諦めた夢でもある
フリッツ・ハーバー
空気中の窒素からアンモニアを合成するハーバー・ボッシュ法を開発し、1918年にノーベル化学賞を受賞したドイツの化学者
彼は第1次世界大戦後、敗戦国ドイツに課された莫大な賠償金を支払うため、海水から金を回収しようと考えた
結局ハーバーはコストに見合わないと判断してプロジェクトを断念
福島氏自身も、研究を進める中でハーバーが諦めた理由を実感したという
「ノーベル賞を取った人が断念しただけあって、そう簡単ではなかった」
原理的には金を回収できることは、当時から分かっていた
問題はコストだった。それは100年後の今も変わらない
しかし1970年代以降、状況は少しずつ動いている
パン酵母や赤カビなど、金を還元する能力を持つ微生物の存在が次々と報告されるようになった
福島氏が使う藻も、その流れの中で発見されたもの
世界中で同様の能力を持つ藻が報告されており、IHIだけが取り組んでいるわけではない
なぜ事業化に至らないのか
壁は、海水中の金の濃度にある
「1トンの海水に含まれる金は、1000万分の1g程度。諸説ありますが」
「1グラムの金を回収するのに必要な水量は、中禅寺湖1杯分です」
研究室レベルでは5ℓのビーカーで藻を培養すると、乾燥重量で約5gの藻が取れる。この藻には最大で重量の10%、つまり0.5gの金を吸着させることができる
現在の金価格で計算すれば¥1万3000円相当
だが、これは金が高濃度で溶けた水を使った場合の理論値
海水の濃度では、吸着できる金の量は桁違いに少なくなる
「10万分の1、もしかしたら100万分の1しか着かない」
実際に海で実験したこともある
藻を海中に設置すると、カニやナマコに食べられ、微生物の影響でボロボロになってしまった
深海ならまだ形状を保てるが回収の手間とコストがかかる
「中禅寺湖1杯分の水から1g取ってよと言われても、1億円もらっても厳しいですよね」
海水からの金回収が採算に乗るには、金価格が「もう100倍ぐらい欲しい」
2026年1月現在、金1gの価格は¥2万円の後半を推移している
現状、福島氏はパートナー企業を探している
海水ではなく、温泉水や鉱山の廃水など、金濃度が比較的高い水源での実用化が現実的な第一歩
「どこでやるかが決まれば、そこに合わせて技術を最適化できる」
場所さえ決まれば勝負はできる
・・・下水は?
確か諏訪市が下水から金を回収してる
金といえば宝飾品や投資対象というイメージが強い
だが福島氏は金の本当の価値は別のところにあると考えている
「金は錆びないし、電気もとてもよく通すんです。物性としてはすごくいい金属なんですよ」
電子基板には金が使われている
腐食に強く電気伝導性が高い
産業素材として優れた特性を持っている
「本当は産業用途で、電子基板だけじゃなくてもっと使いたいところがいっぱいあるんですよ。価格が高いから使われないだけで」
海水の金が利用可能になれば状況は一変する
「実質的には、銅や鉄と同じぐらいの埋蔵量がある」
金が希少金属でなくなるわけではない
取り出すコストがかかる以上、一定の価値は維持される
だが価格が下がれば用途は広がる
投資や装飾のためだけでなく、その優れた物性を活かした産業利用が進む
で
ここ数カ月、中国で金鉱床の発見が相次いでいる
湖南省地質院は、同省の万古金鉱床の地下約2000mの深さまでに40の金脈が新たに見つかり、約300tの金が眠っていることが分かったと発表
さらに地下約3000mまで探査域を広げれば埋蔵量1000tを超える超大型金鉱床があるとみられ、その価値は8000億元(約¥18兆)
2025/12にはアジア最大といわれる海底の金鉱床も見つかった
山東省の煙台市萊州(らいしゅう)沖で発見されたもので
当局によれば、この発見で萊州の埋蔵量は中国全土の確認埋蔵量の約26%に当たる3900tを超えるとみられる
2025/11にも遼寧省で1400t超
新疆ウイグル自治区の西の境界に近い崑崙(こんろん)山脈で1000t超(いずれも推定埋蔵量)の金鉱床が見つかったとか
世界一の金生産国・中国の王座は揺るがない
・・・それでも金がホしい中国
中国の金保有量、15カ月連続で増加
インドも負けてないし
・・・現在、金価格が↓ってる
けど↑るのは確実・・・だと?
今日は~
アラゲクジャク/ Adiantum hispidulum
ほぼほぼ回復
まだ発芽が見られないトコがあるけど
もう大丈夫でせう