人民解放軍は腐敗だらけで機能せず?
石平 × ロバート・D・エルドリッヂ
石平
中国軍には固有の弱点があります
アメリカ軍は勝ちきれなかったにせよ、第二次世界大戦の後、ずっと戦争しています
つまり戦争の実体験、いろんな経験やデータの蓄積がいっぱいある
一方、中国は朝鮮戦争でアメリカと戦った後、唯一戦争したのは、1979年のベトナムとだけ
中国空軍と海軍に至っては本格的に戦争を体験したことがありません
そしてもう1つ、中国軍の直面している問題が、台湾海峡があること
一番狭いところで80km以上あります
例えばロシアがウクライナに侵攻する場合は、陸続きで長大な国境を接しており、平原が繋がってるから、地理的な障害もほとんどありません
それでも、ロシアは苦戦を強いられています
陸ではなく海を越えなければならないというのは中国軍にとっては大きな問題です
さらに、いちばんの弱点は別にあります
中国軍の装備調達を担当する共産党中央軍事委員会装備発展部という部署があります
中国軍の空母、ミサイル、戦車など兵器調達を全部担当しているところで以前は後勤部と呼ばれ、習近平政権時代になってから組織を改編しました
しかし装備発展部になってから、今までこの部署のトップを務めた部長が、次々と刑務所送りになっているのです
最初の部長・張又侠は今年2月に捕まりました
2代目の部長・張又侠の部下の李尚福は一時期、中国の国防大臣も務めた人物だったのですが、これも捕まりました
李尚福の後任も捕まったし、その後任の後任もまた捕まりました
要するに、あの部署のトップを担当する人がみんな捕まりました
もちろん権力闘争の側面もあるけど、根底にあるのは、信じられないほどの腐敗です
どういう腐敗かというと国から降りてきた予算の半分を装備発展部がネコババして山分けする
その残りの半分で装備を調達する
そうなると当然、装備の品質を落とす以外になくなります
もっというと汚職に手を染めるのは実は軍だけじゃない
この数年間、中国の軍事産業の責任者たち…例えば空母や戦闘機をつくる企業の経営陣が、ほとんど捕まったのです、それも腐敗で
要するに彼らも装備をつくるに当たって、装備発展部が1億元で調達すべきものを「5千万元で発注した」として、また、そのなかの、2千万元を自分たちの懐に入れて、最後の3割程度の金で装備をつくる…ということをやっていました
今、中国軍の装備は、まともに使えるかどうか誰にも分かりません
例えば、2022/8にアメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾訪問したあとで、中国軍が台湾を包囲して軍事演習を行いました
そのとき中国軍が台湾に向かって9発のミサイルを発射しましたが、そのなかの5発が台湾周辺ではなくて、日本の排他的経済水域に着弾しました
当時、みんな意味が分からなかった
なんで台湾を威嚇するための軍事演習で、ミサイルの半分以上が日本の方に落ちたのか
結局あとで分かったのは、全部、ミサイルの品質に問題があったということでした
それ以来、中国軍のロケット部隊の歴代司令官も、全員、刑務所に入っています今、ロケット軍にはね、司令官すら居ません
何が言いたいかというと、たしかに、ご指摘のように中国軍の能力は、毛沢東の時代とは比べものにならないほど高まりました
しかし中国軍も致命的な弱点を抱えているわけです
その1つが、徹底的な腐敗
中国共産党幹部の腐敗は、もう信じられない水準です
しかも共産党軍幹部は腐敗して、せっかく手に入れたお金どうするかとなると、大体ね、エルドリッジさんのお国へ持っていくのです
つまり彼らの財産はアメリカにあります
だから彼らも分かってる。台湾侵攻をやったら、自分たちの財産がアメリカ政府に凍結されることを
それは、彼らにとって死活問題です
ウクライナ戦争には、アメリカが派兵しているわけではないし、ヨーロッパ、NATOも実際派兵していません
まあ援助はしているけれど。ウクライナは見事に、一応世界第2の軍事大国だと言われるロシアと戦って踏ん張っています
むしろ、ロシアのほうが押されています
エルドリッジさんが最初に指摘していた点が実に大事ですよ
要するに国民が、最終的に自分たちの国を守る強い意思を持っているかどうか
もしゼレンスキー大統領が侵攻最初の日にアメリカまで逃げ出していたら、もう終わりでしたよ
台湾人はもうどんなことがあっても自分たちの国をきちんと守る
中国共産党の侵略と戦う覚悟がある、となるとアメリカは台湾を放棄することはできないです
特に中国共産党に台湾を占領をされると、地政学的にも大変不利になるし、世界が変わってしまう
台湾の半導体は、おそらく今後10年世界を制するでしょう
軍事力も大事ですけれども、いま先端技術はAIです
アメリカは先端技術で中国と競争しているわけで、台湾の半導体が中国に抑えられたら、それこそアメリカも自由世界も負けてしまう
だから我々としてはもうどんなことがあっても中国共産党の台湾侵攻を許してはならない。 最近、改めてそう思います
エルドリッヂ
私もそう思います
だけど、原点に返って考えてみましょう
申し訳ないですが、本当に台湾国民に戦う意思があるかどうか
残念ながら、台湾の方々でさえこれには疑問を持っています
国民党側とか、中国寄りの人たちもいますから
台湾軍の中にもいろいろな問題がありますし
あまり表に出したくないけれども、実際問題、戦争経験では台湾は中国より少ない
国民党の台湾移転以来、実戦的な経験がもうありません
さらにウクライナと台湾の比較が難しいと思う点が2つあります
1つはウクライナは国際承認を得ている国であるのに対し、台湾は残念ながら、国際承認は得ていませ
12カ国にしか認められていない
2つ目はウクライナは周りが陸地で他国と接しています
容易に支援、救援に行けます
けれども台湾は孤立する島なので、支援を届けることがなかなかできません
石平
今、エルドリッヂさんが議論しているのは、要するに
実際、戦争が起きた場合、台湾側や、我々が勝つことできるかどうか
それよりも、戦争を起こさせないためにどう知恵を絞るか
そこがいちばん大事な問題です
戦争が起きたらね、勝つにしても、負けるにしても、台湾は破滅的な被害を受けるわけです
中国自身も、大変な事になります
アメリカも当然、大変な事になります
もしアメリカが参戦すれば、アメリカも多くの兵士の命を失う事になります
では、何が大事か
要するに、習近平と中国共産党にその気を起こさせない、思い留まらせることなんです
エルドリッヂ
だからこそ、やはり国際社会の連携がすごく重要だと思いますね
例えば台湾関係法を作ること
日本もアメリカも中国との国交回復の際、中国の「一つの中国」という主張は「理解し、尊重する」とはしましたが
台湾を「中華人民共和国の帰属とする」とは認めていないし、国共内戦の結果生じた両岸関係は「平和的に解決する」という約束しているはずでした
それがもう破綻しています。中国は毎日、台湾をイジメています。毎日です
だから私は、アメリカは台湾を再び国家承認するべきだと思っています
今、世界で12カ国しか台湾を国家承認していないですが、10倍の120カ国が台湾を国家承認すれば、中国にとって本格的な抑止力になるはずです
たった12カ国では抑止力にはなれません
そのうえ、日本は守る意思がない、守る能力もない
アメリカにも、守る意思があるかどうか分からない
石平
要するにアメリカが台湾を守る能力はもう無い、という前提……それがエルドリッジさんの安全保障専門家としての分析ですね
私は、軍事の専門家ではないですが、直感的には、アメリカ軍が今でも中国軍に勝つ能力を十分持っていると思っています
ただ一番大事なのは私がどう思うかではなくて、中国共産党がどう思うか
彼らはアメリカ軍の能力を過小評価していません
明らかにアメリカ軍の能力を大きく見ています
だから、アメリカの態度をすごく気にしています
もし、中国共産党がエルドリッジさんと同じ前提で考えていれば、もうとっくに台湾侵攻をやってしまっているでしょう
しかし彼らは実行していない
台湾も台湾なりにね、ずっと中国の脅威に晒されるなかで、かなりの軍事・反攻能力を備えていますよ
おそらく中国もそれが分かっているから行動に移していないのでしょう
そう考えた上で、習近平たちを思い留まらせるのは、エルドリッジさんの言う通り、やっぱり意思を示すことだと思います
ここは一致します
要するに、アメリカにしても、国際社会にしても、中国の台湾侵攻をどんなことあっても許さない、という態度を示すことです
エルドリッヂさんのご意見で、私が最も賛成するのは
自由世界全体で、もう一度、台湾国家の存在について真剣に考えなければならないということです
昔、日本は大きな過ちを犯してしまいました
中国と国交を結ぶために、台湾と外交関係を断絶しました
それが、1972年
アメリカがやったのは1978年
ただアメリカは台湾と外交関係断絶したとほぼ同時に、台湾関係法を作ったんです
一方、日本はほったらかし
エルドリッヂ
そうですね
アメリカは1978/12/31に断絶しましたが、議会が動き、79年の4月に台湾関係法を作り
「遡って1月1日元日から有効だ」としました
日本でも、議員立法で台湾関係法をつくれるはずです
石平
だからそういう意味では、私はこれから、国会の中で動いていきたい
一兵卒の政治家ですが、それでもやっぱり頑張りたい
エルドリッヂ
やはり台湾関係法が日本にとって極めて重要と思っています
だけど、日本は、法律にうるさい国ですからね
法律がないと何もできない…という風に解釈されているので
これを突破できるか、注視していきたいと思います
・・・1971/10/25以前は中華民国が国連の常任理事国だった
日本もアメリカetcも
銭に目がくらんで中華人民共和国にすり寄った
今にして思えば、アレが間違いの元だと・・・
今日も~
ツマグロヒョウモン
放蝶
まだ羽化が続いてる